まさに初夏の日射しに照らされる中、先日の関東学生対校選手権(関カレ)への出場が無かった宍倉健浩(スポ2=東京・早実)と太田直希(スポ1=静岡・浜松日体)が第2回世田谷競技会に出場した。4日間かけて行われた関カレの疲労もあり、2人は自己記録には遠く及ばない結果に終わったもののそれぞれ次戦へ生きるレースとなったようだ。
夕方とはいえまだまだ暑さの残るコンディションの下、二選手とも男子5000メートル7組目に出走した。5月に行われた日本体育大学長距離競技会において自己記録を更新した太田直とは対照的に、昨年の11月以降レースから遠ざかっていた宍倉。「試合勘を取り戻すことと今の状態確認」(宍倉)、「関カレに出られなくて(きょうの試合に)出場したのでタイムよりも順位を狙う」(太田直)とそれぞれ目的を持って、レースは始まった。序盤から1つの集団となってレースは進んでゆく。宍倉と太田直も集団後方ながら余裕を持って付いていき、最初の1000メートルを2分50秒前後で通過した後も「大体8分30秒から40秒くらいで3000を通過したい」と宍倉が想定していた通りの8分35秒前後で3000メートルを通過した。
この大会が復帰レースとなった宍倉
二人が分かれたのはその3000メートルを通過した直後だった。13分31秒35の自己記録を持つ横手健(富士通)らを中心としてペースアップした先頭集団に付いたのは宍倉のみ。苦しい表情を見せながらも、なんとか食らいついていたが残り1000メートルで先頭のペースがさらに上がる。満足のいく練習を積むことができていなかった宍倉にはそのペースアップに対応するだけの力は残っていなかった。だが、「ラストのキレがなかった」(宍倉)とはいうものの最後はしっかりとラストスパートでスピードを上げ、復帰レースとしてはまずまずの14分26秒84で走り切った。一方の太田直は順位を狙っていたものの3000メートル以降ペースを落としてしまい先頭とは大きく離されてしまう。調子の良くない時の癖である、上に飛び跳ねてしまう走りになってしまい、ラストもスピードを切り替えることができず14分45秒00の組20着に沈んでしまった。
太田直は苦しい走りとなった
主にホクレン・ディスタンスチャレンジでタイムを狙うための通過点として位置付けて挑んだ今大会。二選手とも結果としては満足のいく結果とはならなかったが、現状の力と調子の確認、そして今後への課題点を発見することができたレースとなったはずだ。長距離ブロックトラックシーズンの締めくくりとして自己記録をマークし駅伝シーズンに向かうため、鍛錬期であるこの6月はしっかりと練習を積み、自信を持った状態で7月を迎えたい。
(記事 斉藤俊幸、写真 岡部稜)
結果
▽男子5000メートル
7組目
宍倉健浩(スポ2=東京・早実) 14分26秒84(9着)
太田直希(スポ1=静岡・浜松日体)14分45秒00(20着)
渕田拓臣(スポ2=京都・桂) DNS
コメント
宍倉健浩(スポ2=東京・早実)
――きょうの試合の位置づけは
一番メインとしているレースが1ヶ月後のホクレン(ホクレン・ディスタンスチャレンジ)なんですけど、11月から試合に出ていなくて、半年以上空いてしまっているので、その試合勘を取り戻す意味も込めて。あとは今の状態確認という位置づけできょうのレースに臨みました。
――3000メートルで集団が分かれたときに、前の集団に付きました。その走りはいかがでしたか
最初の1000メートルを2分52、3で入ったのですけど、その時すごく余裕を持って走ってて、3000通過もすごく余裕がありました。相楽さん(豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)からの指示で、ラスト800メートルで先頭争いをしてこいという指示があったので、そのプラン通りに行こうと思っていて。3000から切り替わることはわかっていたので、そこでしっかり前に追い付いて、ラスト800で切り替えて勝負しかけようと思ったんですけど、今の状態では後半にペースを上げてからきつくなってしまって。ラスト1000くらいから勝負しかけたのですが、その先で足が止まってしまったというかたちです。
――足が止まってしまったのは、スピードが足りていないということでしょうか
練習を休んでいた期間が約3ヶ月だったのですけど、状態的にもキレがないというか、また練習を積んでいる期間が少ないので、そこから考えるとラストのキレがないのかなという感じで。(ホクレンまで)あと1ヶ月くらいあるので、これからは練習量を一回増やして一度追い込んでから、ラストにスピード練習を入れて臨もうというように考えています。
――きょうのタイムについてはどのようにお考えですか
自分のイメージでは14分20秒は切る予定で。大体8分30から40秒くらいで3000を通過して、ラスト800で勝負して20秒切りというものをイメージしていたのですけど、どうしてもラストの切り替えができなくて、そのままズルズル行ってしまって……。タイム的には微妙という感じでしたね。
――暑い気候でのレースでしたが、気になりませんでしたか
暑いのは苦手なんですけど、ただ関カレ(関東学生対校選手権)などを考えると暑い中でのレースが重要になってくると思うので、その中ではいい経験というか、ここで勝負できなければ来年以降も関カレで戦えないと思うし、そういう面できょうは勝負したかったのですけど、力及ばずというかたちですね。
――秋以降、苦しい期間が続いたと思いますが、このレースが復調の兆しになったと思います
練習を2ヶ月くらい積んで、やっと自分の感覚的にも走りの状態が戻ってきているという感覚がつかめたので、きょうのレースはすごくいいものになったかなと思います。ただ、まだ過去の実力に比べると劣っているので、自分のメインとしては、ホクレンで一回トラックは終わりになるので、そこから練習を積んで、またそれ以降、昨年は全日本で失敗してしまったので、それのリベンジの面も含めて、(学生)三大駅伝でしっかり他大と勝負できるようにしていきたいと思います。
――トラックでの目標はありますか
トラックシーズンはおそらくホクレン一本で最後終わると思うので、そこで自己ベスト出したいと思っています。自己ベストが高校のままなので、そこで自己ベストを出していいイメージをつかんでから夏合宿に臨みたいという気持ちがあって。自己ベストを出せば全カレ(日本学生対校選手権)の標準を切ることになるので、そしたら全カレも視野に入れて、出られるようになったら入賞して、表彰台を目指したいと思います。
太田直希(スポ1=静岡・浜松日体)
――今回のレースの位置付けは何でしたか
今回は関カレ(関東学生対校選手権)に出れなくて出場したのでタイムというよりかは組での順位を狙うというレースでした。
――その中でもある程度目安にしていたタイムはありますか
そうですね、最低でも20秒(14分20秒)では走りたいと思っていたんですけどあまり良くなかったです。
――調子はいかがでしたか
そこまで悪くは無かったんですけど走れなかったです。
――では走れなかった原因は何だとご自身で分析していますか
関カレもあると思うんですけど、監督からも言われているんですけど自分が悪い時にでる上に跳ねる癖が出ていたっていう風に言われたので、上に力使っちゃって前に進んでないという感じでした。調子が良い時は前に進むんですけど悪い時にはだいたい上に跳ねるという感じです。
――外側でレースを進める展開が続きましたが位置取りに関してはいかがですか
いつもいつでもレースが動いても対応できるように外側を走るようにしているんですけど、今回は外側を走っていたらどんどん抜かされていっていつのまにか後ろの方になってそれで焦ってきてしまって自分で余裕を持った走りができなかったですね。
――気温は気になりましたか
気温は暑かったですけど、そこまで気にはならなかったです。
――今後の予定は決まっていますか
次は7月14日に北海道である大会の5000メートルに出ます。6月は鍛錬期と言われているのでそこまではしっかり練習を積んでより調子の上がった状態で一度記録を狙いにいきたいと思います。
――具体的にはどのくらいのタイムを狙いますか
最低でも全カレ(日本学生対校選手権)のB標準(14分05秒00)を切りたいと思っています。