早大の女子部に期待のルーキーが入部した。全国高等学校総合体育大会(インターハイ)で優勝経験を持ち、前半のスピードが武器の関本萌香(スポ1=秋田・大館鳳鳴)と国民体育大会での優勝経験を持ち、安定感が持ち味の村上夏美(スポ1=千葉・成田)だ。正反対の競技スタイルを持つ2人にこれまでの競技人生や早大での、将来目指す選手像について語っていただいた。
※この取材は4月18日に行われたものです。
「(400メートルハードルは)前半負けてても後半巻き返せることがあったり、最後まで分からないところが魅力です」(村上)
質問にしっかりと答えてくださった村上
――大学生はいかがですか
関本 学校内の規則とかは高校のときより自由になって自分で動かないといけないところが大きく違うと思いました。
村上 そうですね、自分で授業とかも自分で考えて取らなければいけないので、そこが違いますね。
――授業はどんな感じで選ばれましたか
関本 私は教職を取っているので、教職との兼ね合いを考えながらですね。あとは大会が春は多いので、秋の方に授業を入れて秋に勉強を頑張って、春も頑張ろうと思っているんですけど少し少なめにするようにしました。
村上 あとは先輩にも聞いて教えてもらったのを参考にして組みました。
――実際に受けられてみていかがでしたか
村上 90分が長いです。
関本 高校の時よりも興味があるというか、メモを取ったり聞いたりしていると意外とすぐだなとも感じています。
――関本選手は教職と練習との兼ね合いはどうでしょうか
関本 練習が3時からで3限以降が入れられないので、教職は月曜のオフの日に本キャンで取っています。
――次に陸上の話に移りたいと思います。陸上を始められたきっかけというのは何だったのでしょうか
村上 自分は小学校のころから陸上をやってて。お姉ちゃんがいるんですけど、お姉ちゃんが陸上をやってて、種目もハードルだったので、それで自分も一緒にやるようになって。それで中学校、高校とやるようになりました。
関本 ほぼ同じ理由になってしまうんですけど、私も陸上部に入っている1つ上のお姉ちゃんがいて。結構なんでも真似する癖があったので、小学校の時に真似して入ってやっていたらどんどん成績が上がって楽しくなっていって。身長が小さかったんですけどストライド大きく走れるのでハードルがやれるんじゃないかということでそこからずっと続けてます。
――別の種目をしていたことはありますか
村上 小学校の時は走高跳とハードルをやってて、中学校の時は200メートルをやっていました。
――400メートルが1番得意だったということでしょうか
村上 はい。高校で400メートルと400メートルハードルをやって。中学校の時に200メートルと100メートルハードルをやっていたので中学校の顧問の先生から400メートルが向いてるんじゃないかということで高校では400メートル系に進みました。
関本 ずっとハードル1本だったので、高校も100メートルをやっていたんですけど、途中から先生に400メートルハードルを勧められて。そうしたら400メートルハードルの方が成績が伸びていったので、そっちがメインになりました。
――400メートルハードルの魅力はどんなところにありますか
村上 前半負けてても後半巻き返せることがあったり、最後まで分からないところが魅力です。
関本 ハードルの高さが100メートルハードルと比べて低いので、間も伸びるのですぐハードルが来るっていう感じではなくて、次のハードルに向けて準備する時間ができます。100メートルのスピードが速い人よりも400メートルの方が得意な人にとっては400メートルハードルはあってる競技かなと思います
――ハードルと400メートルではどちらに得意意識がありますか
村上 400メートルハードルのほうが自分は好きでそっちの方が得意かなと思います。
関本 私も同じで、ハードルがあった方がただ走るよりもスピードが出て速く走れます。
――今までのレースで印象に残っているものはありますか
村上 全部残ってる、なんだろう(笑)。
関本 全部残ってる。
――レースのことははっきり覚えているタイプですか
村上 はい、はっきり覚えてますね。
関本 1年生とか2年生の時の最初とかは忘れてきちゃってますけど、大きな大会のことはほとんど全部覚えていますね。
――他の選手で印象に残っている方はいらっしゃいますか
村上、関本 やっぱり、小山(佳奈、スポ2=神奈川・市橘)さんですね。
村上 400も速いし。
関本 走ってもハードルがあってもどっちも速くて。練習一緒にやっても全然勝てないですし。
――教わることも多いですか
村上 はい、そうですね。
関本 陸上のこともそうなんですけど、普段の生活のこともアドバイスもくださいます。
――ご自身の競技の強みは何だと思いますか
関本 なんだろう。
村上 難しい。
関本 あ、私は5台目まで5歩で押せるところが強みかなと思います。体力がないので後半の落ち幅が大きいんですけど、前半は高校生の時とかは高校の中では1番で通過できるという強みはありました。
――前半先に行って、後半粘るという感じですか
関本 そうですね、粘るか抜かれるか(笑)
村上 自分は前半リラックスして後半の切り替えて伸ばしていくというのは強みだったんですけど、今は難しくなってきて、今は練習中というか、考えているところです。
――今 大学で特に強化している点はありますか。
関本 体力面ですね。今までずっと自分が体力がなくて、前半リードしても後半で抜かれてしまうことばっかりなので、まだまだなんですけど、高校の時よりも断然練習量が増えたので、これから少しずつ体力をつけていければいいかなと思います。
村上 走り方、ストライドを大きくして走るとか、逆足を習得中で。その練習を1番やらないといけないんですけど、大学に入って 1番意識しているところではあります。
――大学ではどのように練習されていますか
関本 私たちは短長ブロックなんですけど、ブロックみんなで走って、一通りメニューが終わったらあとは各自で補強してもいいし、上がってもいいしという感じで、終わりはバラバラです。
――結構個人に任せられる感じでしょうか
村上 はい、任せられる部分は多いですね。
――高校の時はみんなで練習する感じだったのでしょうか
村上 はい、自分はそうでした。先生がメニューを出して、それをみんなでやってみたいな感じでした。
――ダウンもみんなでして上がって、みたいな感じでしょうか
村上 そうですね。
関本 ここまでではないですけど(笑)、アップは各自で一緒に走って、各自でダウンしてという感じだったので、ここまでではないですが、メニューは出されたものをやっていました。
村上 今はメニューはみんなでやるんですけど、それ以外は各自とか、あとは先輩と一緒にやることもあります。
「日本で1番400メートルハードルが強い大学」(関本)
質問に明るく答える関本
――早大に進学された理由は何ですか
関本 陸上でほかの大学よりもワセダが日本で1番400メートルハードルが強い大学だからです。田舎から来たので、今まで自分が1番という環境でやってきたんですが、自分より早い先輩がいて、引っ張られる環境で、厳しい練習で伸ばしていければいいなという感じで入りました。
村上 自分も結構同じで。400メートルハードルが1番強いという印象で、そこに小山さんといった憧れの先輩もいらっしゃったので、そこで自分も練習がしたいと思って入りました。
――400メートルハードルが強いという印象は入部した今でも変わってはいないですか
関本、村上 はい。
関本 大会に出るのにも枠があって、今7人くらい400メートルハードルの選手がいるんですけど、3人しか出られないので、枠争いが厳しい感じです。
――今まで枠争いとかは意識していなかったということですか
関本、村上 そうですね。
――大学進学前はお互いのことはご存じでしたか
関本、村上 はい。
―大会でもお会いになったりしていましたか
村上 はい。会いますね。
――どのような印象をお持ちでしたか
村上 でもここまでしゃべってなかったよね、挨拶程度とか。
関本 やっほーぐらいですね(笑)。
村上 たまに合宿とかでは、あれ合宿一緒になったことあったかな。
関本 あれしかないよね。
村上 その時はもう話し始めてた。
関本 決まって、練習に参加し始めてから仲良くなりました。 会う時が大会しかなくて、緊張してるからそれどころじゃなくて。
――結構緊張されるタイプですか
村上 彼女の方がめっちゃします(笑)
――見ててわかるぐらいですか
村上 はい。
関本 体にすぐ出ちゃう。
――何か対策されてますか
関本 したいんですけど、わからないんです。耐えるしかないです。
――ルーティーンとかもないですか
関本 ないですね。
村上 試合のスタート前のルーティーンはあります。緊張を和らげるためとかはあんまり考えてないです。
――何をされていますか
村上 高校からずっとやってるルーティーンで肩甲骨を動かすルーティーンで。
関本 見たことある。やってる。こういうやつでしょ。
――結構目立つんですか
村上 結構やってるもんね。
関本 スタート直前だもんね。ユニフォームになってから。動きが特殊だから覚えてる。
――お互いに選手としてはどんな印象を持たれてましたか
関本 ある、あります。どの大会でも必ず上位に入るなと。私は結構調子のいい悪いで大会によって、決勝に行って上位に入ることもあれば、準決勝で落ちちゃうこともあって、波が激しかったんですけど、(村上は)どんな大会でも上位にいて、多いことがないので。絶対に速いというか。あの選手今回はどうかなって思う人もいるんですけど、どうかなとかもう関係ないです(笑)。いつでも速い。よし、きょうも速いみたいな(笑)。インターハイ以外全部いる。
村上 そうだね。
関本 全部いた。あれがたまたまみたいな。珍しすぎてびっくりしたくらい。
村上 ストライドがすごく大きくて、15歩で5台行ってるのが1人くらいで、1人で前半飛ばして走ってるので、その印象が強いです。絶対に前半は1番なので。2年生の時から(関本を)知ってて。
関本 私はずっと知ってたんですけど。私が出てきたのが2年生のインターハイだったので。そこでようやく。
村上 そこからは国体、3年のインターハイと。 絶対いるからね。
――選手同士の交流はあるものですか
村上 ありますね。
関本 話したことがなくても表彰台に乗ると、そこで仲良くなる(笑)。
村上 走り終わった後だよね。
関本 前は全然。ギラギラしてるから。
村上 あとは東北と関東は違うんですけど、地方の合宿で仲良くなることが多いですね。
――どれくらいの頻度で合宿はありましたか
村上 冬が多いですね。
関本 冬しかないよね。
――去年、早大女子は日本選手権リレーで4×400メートルリレー(マイル)に出場していますが、マイルに対する思いはありますか
村上 高校時代からマイルに出ていたので、ワセダのマイルチームに入れたらいいなとは思っています。
関本 私はハードルがなくて走るとそんなに早くないので、あと体力もあまりないので、上を目指しているところで今の自分が入っていくと足を引っ張ってしまうなと思っています。頼もしいなと思われるくらいになってから入りたいですね。まだちょっと厳しいなと思っています。
――先ほど小山選手が話に出ましたが、他の早大の選手のみなさんはどのような選手でしょうか
関本 南野(智美、スポ4=山口・西京)さんは七種競技をで100メートルハードルもされていて、私も100メートルハードルの練習をしているので、400メートルハードル以外の練習を一緒にできるのが嬉しくて。1人でやるよりも一緒にやった方がモチベーションも上がりますし、南野さんは動きがわかっている方なので、アドバイスをもらったことでわからないことは南野さんが補足説明をしてくださるので、そこは助かってます。ありがたいです、本当に。
村上 400メートルハードルの練習をするときも南野さんや兒玉(紗希、スポ3=大分雄城台)さんがどうだったって声を掛けてくれてるので、助かっています。
――女子選手での結束は強い感じでしょうか
関本 兒玉さんはケガをされていて、一緒に走ってはいないのですが、これから一緒に練習をしていけばもっと。
村上 強くなれるね。
――将来はどんな選手になっていきたいですか
村上 将来は日本一をまず目指して、国際大会とか、世界で戦える選手になりたいと思っています。
関本 メンタル面の強化から始めて、長い距離も走ってきてるにも関わらず、怖いとか考えちゃったりしちゃうので、そういうのも余裕でこなせる体力とか、メンタルを兼ね備えたいと思っています。その方が大きい大会でも対応できるかなと思うので、安定感のある選手になりたいなと思います。
――今シーズンの目標をお願いします。
関本 まずはアジアジュニアと世界ジュニアです。
村上 そこが1番の目標で。
関本 あとはタイム。去年自己ベストを出せていないので、今年こそは自己ベスト更新を狙いたいなと思います。
村上 自分は400メートルもやっているので、400メートルでも54秒台を出して、ハードルの方でも58秒前半を出せたらいいと思います。
――関東学生対校選手権についてはいかかでしょうか
関本 あんまり考えすぎない方がいいかもしれないですけど、自分のことだけじゃなくてチームのことも考えないといけないと。
村上 ワセダが強くなりために1人1人がという感じで。
関本 意識しないとなと思いますね。
――ありがとうございました!
(取材・編集 佐藤詩織)
終始、和やかな雰囲気で対談が行われました!
◆関本萌香(せきもと・もえか)(※写真右)
2000(平12)年2月23日生まれ。166センチ。秋田・大館鳳鳴高校出身。スポーツ科学部1年。自己記録:100メートルハードル13秒97。400メートル55秒82。400メートルハードル58秒53。秋田から上京してきた関本選手。オフには村上選手と買い物に行く約束をしていると話してくださいました。仲の良い友人であると同時にライバルである村上選手と早大を担う選手となっていくことでしょう。
◆村上夏美(むらかみ・なつみ)(※写真左)
1999(平11)年7月1日生まれ。163センチ。千葉・成田高校出身。スポーツ科学部1年。自己記録:400メートル55秒09。400メートルハードル58秒79。実家から持ってきたものを尋ねるとぬいぐるみだと答えていただきました。厳選し、ダッフィーとシェリーメイを連れてきたそうです。お気に入りのぬいぐるみからの癒しをパワーに変え、練習に励みます。