悔しさ残るも、大きな収穫を得る(兵庫リレカ1日目)

陸上競技

 日本グランプリシリーズの一つである兵庫リレーカーニバルが開催された。今年はグランプリ種目のほかにU20世界選手権(U20)の選考レースも含まれており、1日目は早大から3000メートル障害に吉田匠(スポ2=京都・洛南)が、1万メートルに太田智樹(スポ3=静岡・浜松日体)、中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)、千明龍之介(スポ1=群馬・東農大二)が出場した。

 高校生の時から今年のU20を意識していたという吉田。出場権を獲得するため、選考競技会となったこのレースで力を発揮すべく、並々ならぬ思いで挑んだ。最初の1000メートルでは前を伺いながら力を貯めると、1500メートル付近でペースを上げ先頭に躍り出る。後半もトップを譲らなかった吉田だったが、最後のホームストレートで法大の人見昂誠に追いつかれてしまう。気づいた吉田は必死にスパートをするも及ばず。8分52秒56の2着でフィニッシュした。

ゴール間近で必死にスパートする吉田

 続いて行われた、アシックスチャレンジ1万メートルの1組目。スタートから勢いよく飛び出した中谷は先頭が見えるところに位置を取り、太田智、千明は集団の後方で様子を伺う。序盤は1000メートルのラップタイムが3分を切るペースでレースは進んだ。レースが動いたのは5000メートルを過ぎてから。集団の中で徐々に順位を上げていた太田智がギアを上げ、集団から抜け出すと、中谷はそれに対応できず5位集団を形成。千明も5位集団に付いていたが、残り3000メートルの辺りで脱落してしまった。その間、太田智は何度かギアを上げ、後続の長谷川柊(専大)らを引き離そうとするも、離しきれず勝負は残り200メートルへもつれこむ。長谷川や青木優(カネボウ)にスパートされ、それまでレースを引っ張ってきた太田智は余力が残っておらず、かわされてしまった。28分56秒73と自己記録を更新したが、悔しい組3着となった。その後、5位集団を引っ張っていた中谷も後続に抜かされ、組10着でゴール。29分19秒98とU20の中で1位の記録となった。また、千明は組29位、U20の中では4位でフィニッシュした。

トラックシーズンも絶好調の太田智

 2つのレース共に、最後に競り負けてしまう悔しい結果となった。それでも「(8分)50秒切りも見えてきました」(吉田)、「引っ張り続けて、ベストを更新できたことは収穫になりました」(太田智)と、今回得られたものは大きい。ここから関東学生対校選手権まで1カ月。入賞、そして表彰台へ、早大長距離ブロックは着々と力をつけてきている。

(記事 平松史帆、写真 藤岡小雪、岡部稜)

結果

▽男子U20 3000メートル障害

吉田匠(スポ2=京都・洛南)      8分52秒56(2位)

▽男子アシックスチャレンジ 1万メートル

太田智樹(スポ3=静岡・浜松日体)   28分56秒32(1組3着、総合15位) 自己新記録

中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)   29分19秒98(1組10着、総合32位)自己新記録

千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二)  30分16秒44(1組29着、総合62位)

半澤黎斗(スポ1=福島・学法石川)   DNS

コメント

太田智樹(スポ3=静岡・浜松日体)

――きょうのレースはどのように進めようと思っていらっしゃいましたか

 前半5000メートルは様子見て、力を使わずに、後半はしっかりと勝ち切るレースをしたかったです。

――5000メートル過ぎてから、先頭で走っていらっしゃいましたが、そちらはいかがですか

 後半引っ張り続けて、ベストを更新できたことは収穫になりました。最後に負けて2人の選手に勝ち切れなかったというのは関カレ(関東学生対校選手権)とか順位が変わってくると思うので、反省しなければいけないしこれから最後のスパートのところは課題かなと思います。

――後ろからかわされてしまいましたが

 引っ張っている分、ラストは後ろについている方が余力があると思うので、どうにかして離そうと途中途中でギアを上げていたんですが、それでも離し切れなかったのは力をつけていかなければいけないと思いました。

――次のレースの予定は決まってますか

 次は2週間後のGGN(ゴールデンゲームズのべおか)の5000メートルです。

――そこでの目標は

 記録会での5000メートルが久しぶりなので、13分台を持っていないので最低限13分台を切りたいです。あとは、今回勝ち切れなかったので記録会ですが順位をこだわりつつも記録を狙っていきたいと思います。

吉田匠(スポ2=京都・洛南)※囲み取材より抜粋

――最後に抜かれてしまいましたが、どのような気持ちですか

 正直、勝てたという油断もあって、僕自身がスプリントを得意としていなくて、スプリントの勝負まで持ち込みたくなかったので、序盤からペースを上げていたんですけど、スプリントの勝負になってしまって。もう少し、(速いペースで)押せる力をつけていきたいなと思います。スプリントも付けていきたいです。

――後ろから来ていたことは気づいていましたか

 放送で近づいてきているのは分かっていたんですが、足音が聞こえなかったのでいけるなと思ってしまって。対抗しようとしたんですがスピードが足りずに、差が開いてしまいました。

――そこまでは自分の思っていたペースでしたか

 最初、先頭に出ようかと思ったんですが、ここで力を使わずにいこうと思って、前に出たタイミングも想定通りの1000メートル越えてから1周経ったくらいで前に出て。レース展開としてはよかったと思います。

――そのあとのペースというのはいかがでしたか

 その後は、ペースを上げていけるだけ上げていこうと思っていました。

――シーズン序盤にこのような結果が出たことはいかがでしたか

 2週間前に東京六大学対校大会で9分10秒という結果だったので、今日の試合も不安があったんですが、その中で最初に余裕を持って後半上げて、8分52秒ということは50秒切りも見えてきましたし、良かったかなと思います。

――次は関カレ(関東学生対校選手権)でしょうか

 1カ月調整か、あと1本走るか分からないくらいですけど、戦える力をつけていきたいです。

――関カレでの目標は

 入賞で、更に上位入賞だったり表彰台です。

――この大会はどのくらい前から意識していましたか

 高校の頃からですね。高3の頃から考えていました。

――選考がどうなるか分からないですね

 ここで勝ち切ったら大きかったと思うんですが、負けてしまったので。でも、標準記録があって(今回の大会の)2番までが(選考に)かかるので、ここから挽回といいますかタイムを出していきたいと思います。今日は1番か最低限2番を目標にしていたので最低限と言いますか。

――東京六大学対校大会で負けてしまった法大の人見昂誠選手に負けてしまいましたがそちらはいかがですか

 東京六大学対校大会の時は歯が立たずに負けてしまって、今回はしっかり勝ちたいなと思っていたんですが、隣に飛び出てきたのを確認したら人見だったので、終わってから悔しいと思いました。次は、差されないようにペースを上げられたらと思うんですが、ライバル視はしていきたいなと思います。

――レース前から意識はしていましたか

 していました。少し話かけたりしていました。

中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)

――きょうのレースはU20世界選手権の選考会ということで、以前、世界選手権を狙いたいと仰っていましたが、振り返っていかがですか

自分としては、タイムは28分台を狙っていたので全然納得はしていないんですけど、最低限U20の中でトップを取れたので、よかったかなと思います。

――レースの前半は積極的な走りでしたが、前半に意識したことはありましたか

相楽さん(豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)から、最初の5000まではしっかり付けという指示があって、力を残してそこからしっかり勝負できるかなと思ったんですけど、思っていたよりも力を使ってしまって、太田さん(智樹、スポ3=静岡・浜松日体)が一気にペースを上げていった時に対応できなくて。太田さんに引っ張っていただいて、上がっていければよかったんですけど、それができなくて、思っていたようなレースはできなかったです。

――後半は集団を引っ張ることになってしまいましたが、その中での走りはいかがでしたか

本当はもっと誰かが引っ張ってほしいという思いはありましたし、同学年の選手が付いていて、高校時代も毎回毎回自分が引っ張っていたので、出て欲しかったなという感じで。いま思えばストレスも感じていました。でも、しっかりラストに向けて溜めていて、しっかりラストで切り替えられたので、そこは良かったかなと思ったんですけど、残り1周が62秒かかったので、60秒やそれを切るくらいで上がりたいなと思いました。自分の持ち味は出せたんですけど、スピードの面ではまだ課題が残るかなと思います。

――次は織田記念の5000メートルに出場予定ですが、そこではどのような走りをしていきたいですか

今回のレースはトップは取れて、U20世界選手権につながるレースができたと思うんですけど、5000はしっかり切り替えて、今回の反省を生かしていい記録とトップを取って、代表を決められるように走りたいと思います。

――記録はどのくらいを目指していきたいですか

勝負でもあるので、記録的には望めないかなという部分は感じているんですけど、それでもしっかり14分フラットくらいで走って、あわよくば13分台を狙っていきたいです。