ロードシーズンも終盤に差し掛かった、2月最後の週末。土曜日の日本選手権クロスカントリーに光延誠(スポ4=佐賀・鳥栖工)が、日曜日の東京マラソンに安井雄一(スポ4=千葉・市船橋)がそれぞれ出場した。この二大会は二人にとって早大のユニフォームを着る最後のレースであるとともに、今後の競技人生を見据えてのレースでもある。二人とも満足のいく結果とはならなかったが、それぞれがこれからの目標に向かいスタートを切った。
(記事 平松史帆)
★悔しさ残る早大引退レース
ケガで練習が積めず苦しい走りとなった光延
福岡の地で行われた、日本選手権クロスカントリー。大迫傑OB(平26卒=現ナイキ・オレゴン・プロジェクト)、遠藤日向(住友電工)ら豪華な面々がスタートラインに立った。早大からは光延誠(スポ4=佐賀・鳥栖工)が出場。スタート序盤から地力のある選手が控えたために、牽制がありペースは上がらない。光延は人数の多い集団での接触を嫌い、先頭から少し離れた位置につける。1キロ3分のスローペースで推移したが、6キロを過ぎたあたりで大迫がたまりかねたように飛び出す。大迫のスパートで集団が崩れると光延はついていけない。単独走となりラップを大きく落としてしまう。ゴールでは31分以上のタイムを要し、順位は47位と不完全燃焼に終わった。
「都道府県(全国都道府県対抗男子駅伝)が終わった後ケガで練習ができない状態でした」(光延)。早大を背負った最後のレースを飾ることはできなかったが、現状の力は出し切った。春からは戦う舞台を実業団に移し、競技を続ける。社会人では結果が一層求められるだけに、出場するレースそれぞれで上位に入れる選手になれるかどうかが重要だ。光延の戦いはまだ始まったばかり。新たな目標に向かい、努力を重ねていく。
(記事 喜柳純平、写真 藤岡小雪)
★納得のいかない結果に
マラソンは2度目の挑戦となった安井
25日に行われた東京マラソンで、16年ぶりに男子マラソンの日本記録が塗り替えられた。2時間06分11秒。海外有名選手らを相手に、攻めの走りを見せた設楽悠太(Honda)が日本記録の更新と総合2位を勝ち取った。また、今回、9人の日本人選手が2時間10分以内のタイムを記録。今後の陸上界に大きな期待ができる結果となった。今大会、早大からは安井雄一(スポ4=千葉・市船橋)が出場。スタート前には2時間15分を目標に掲げていたが、それを大きく下回る結果になってしまった。
安井は序盤から5キロを16分前後でラップを刻んでいたが、25キロ以降、ペースが急激に低下。途中持ち直す場面も見られたが、2時間22分08秒でゴールを迎えた。この結果は、前回の記録を約4分下回り、安井にとって決して納得できるものではないだろう。箱根後、「目標のオリンピックでメダルを取れるような選手になるのが僕の夢」であり、そのために将来的には2時間7分台を出すことが必要だと語った安井。今回の自身の結果と、日本記録が更新されたという事実をどう受け止め、今後につなげていくか。この先に期待したい。
(記事 金澤麻由、写真 岡部稜)
結果
▽日本選手権クロスカントリー シニア男子10キロの部
光延誠(スポ4=佐賀・鳥栖工) 31分30秒(43位)
永山博基(スポ3=鹿児島実) DNS
太田智樹(スポ2=静岡・浜松日体) DNS
▽東京マラソン 男子マラソン
安井雄一(スポ4=千葉・市船橋) 2時間22分08秒(67位)
コメント
光延誠(スポ4=佐賀・鳥栖工)
――この大会の目標はどのように定めていましたか
早大のユニフォームを着る最後のレースだったので、悔いなく終えようと思っていました。ただ都道府県(全国都道府県対抗男子駅伝)が終わった後、ケガで練習ができない状態でした。
――難しい状態で今大会に臨んだのですね
はい。練習しないと陸上競技は結果がついてこない、ということを感じるレースになりました。これから実業団に行くので、しっかり練習して結果を出さないといけないときょうの大会で改めて感じました。
――調整はどのようにしていたのですか
練習を継続するということがあまりできなかったので、ポイント(練習)をしっかりやりました。でもスタミナやスピードの部分が箱根前に比べるとだいぶ落ちてしまったので、きょうの結果をしっかりと受け止めて、これからの陸上生活に生かしていきたいと思いました。
――やはり調子としてはそこまで良くなかったのでしょうか
そうですね。出るからには先頭でレースを進めたいと思ったんですけど、練習ができなかった部分が今回の試合で出てしまったので、まずはケガをしない体を作らないといけないと思いました。
――この大会は地元での開催ですが、何か特別な思いはありますか
この大会には中学生の時から出場していて。地元ということでたくさんの応援があって、気持ち良く走ることができました。ただ今回は結果が悪かったので、応援される以上しっかり結果を出さないといけないなと思いました。
――レース内容について触れていきたいと思います。序盤は先頭集団から少し離れたところで走っていましたが、ぴったりと集団につかなかった理由としては何かありますか
不整地でのレースでバランスを崩しやすいと思ったので、集団の中でバランスを崩すよりも自分のリズムで走った方がいいと思って、少し後ろに下がりました。
――6キロ地点あたりで集団から離れてしまったと思うのですが
練習不足が残り4キロで出てしまいました。しっかりこの結果を受け止めて、練習を継続できる体作りを最初にやっていかないといけないと思いました。
――今回が早大のユニフォームを着て走る最後のレースとなりましたが、感慨深さなどはありましたか
はい。僕自身この大学に入って良かったとすごく思いますし、ここまで成長できたのもエンジのユニフォームのプレッシャーと戦ってきたからこそ今の自分があるのではないかと思っています。
――現時点で実業団の練習に参加などはしていますか
いえ、まだ参加していないです。3月7日から入寮するので、それ以降しっかりこっち(福岡)で練習を積んで、実業団での出遅れがないようにしっかりと体を作っていきたいと思います。
――実業団に入ってから、春シーズンの目標を教えてもらえますか
トラックメインでやっていきたいと考えているので、まず5000メートルで日本選手権の標準記録を切るということを一番の目標にやっていきたいです。