練習の一環として、現状を確認するレースに

陸上競技

 東京箱根間往復大学駅伝(箱根)から約1ヵ月。寒空の下で、唐津10マイルロードレースが開催された。日本三大松原の一つである虹の松原を望みながら走る約16キロの比較的平坦なコースで、好記録も望める大会だ。早大からは清水歓太駅伝主将(スポ3=群馬・中央中教校)、新迫志希(スポ2=広島・世羅)の二人が出場した。1キロを3分のペースで走り、48分という目標タイムを設け、練習の一環として臨んだ今大会。満足する結果ではなかったが、自身の現状を知るきっかけとなるレースとなった。

 気温4度、晴れ間に時折雪がちらつき、冷たい風が強く吹いた悪条件の中で行われた。レースはハーフマラソン日本記録を持つ設楽悠太(HONDA)を中心に速いペースで展開していく。「箱根後に少し体調を崩してしまった中でどれだけ走れるか確かめるレースだった」と話す清水は、速いペースの流れに乗り、10キロを設定より20秒から30秒上回るタイムで通過した。しかし後半は風に阻まれペースダウン。それでも「最低限は走れたかなと思います」(清水)と自身の走りに及第点を与え、今日のレースが実のある練習になった様子だった。

清水は駅伝主将としての1年間が始まった

 一方、箱根の出走を逃し、11月の八王子ロングディスタンス以来のレースとなった新迫は、序盤からペースの速い先頭集団に付いていくことができない。その結果、単独走になってしまう苦しいレースとなり、ペースを維持することができなかった。以前の練習で一定のペースで押していくメニューをこなすことができなかったと話したが、今回のレースでその課題が再び明白となった。5000メートル13分台のスピードを持つポテンシャルの高い選手なだけに、今後の活躍に期待がかかる。

単独走で苦しいレースとなった新迫

 清水は後半の走りに、新迫は1キロ3分のペースを確実に刻んでいくことに課題が残った。1キロ3分というペースは箱根やハーフマラソンなどの20キロのレースでは基準となる数字である。二人はこの後、チームの合宿に合流し練習を通じて課題を克服していくだろう。3月に行われる日本学生ハーフマラソン選手権や春以降のトラックレースで活躍するために――。チームは再スタートを切った。

(記事 岡部稜、写真 岡部稜、平松史帆)

結果

▽10マイル一般男子の部

清水歓太(スポ3=群馬・中央中教校) 48分06秒(17位)自己新記録

新迫志希(スポ2=広島・世羅)    49分55秒(44位)自己新記録

小澤直人(スポ3=滋賀・草津東)   DNS

永山博基(スポ3=鹿児島実)     DNS

太田智樹(スポ2=静岡・浜松日体)  DNS

吉田匠(スポ1=京都・洛南)     DNS

コメント

清水歓太駅伝主将(スポ3=群馬・中央中教校)

――きょうのレースの意気込みは

今回は練習の一環ということで、箱根(東京箱根間往復大学駅伝)のあと、どれくらい、ちょっと箱根のあと体調を崩したりとかいろいろあったのですけど、その中でどれだけ走れるかを確かめるためのレースでした。

――レースプランは

(1キロ)3分ペースでどれだけ押せるか、ということを自分の課題としていたのですけど、思っていたよりペースが速かったのですね。目標タイムは1キロ3分で48分前後でいきたいなと思っていました。

――相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)からは何か指示はありましたか

監督も僕と同じで、3分でどれだけきついかということをしっかりわかった上で3月の立川ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)に活かしていくという感じです。

――どのようなレース展開でしたか

自分が思っている以上にペースが速くて、10キロも自分の考えよりも20秒から30秒くらい速く入って、後半、練習の一環ということで、あまり調整しなかったぶん少しペースが落ちてしまったのですけど、自分の中では現状がわかったので、そこからどうすればいいのかをまたしっかり考えてやれればいいかなと。きょうは自分が思っていたよりも突っ込んだレースだったので、ちょっと趣旨とは変わってしまったのですけど、その中でも最低限は走れたかなと思います。

――突っ込んだレースになった理由は

レースなので、最初から自分のペースというわけではなくて、レースに身を任せてやってみようかなと。その中でこのくらいで走らなければならないという最低ラインを自分の中で決めていて、レースに身を任せつつも、最低ラインは崩さないようにしました。

――後半の走りは

後半の5キロは1キロ3分を意識していたんですけど、風もあってきつかったです。でもそこはしっかり調整するのと、ここからまた練習を積めば最低限克服できるかと思います。

――風があったということですが、気候は走りに影響しましたか

寒さは、走っている後半では手もかじかんでいるような感じで。風も途中の橋でかなり感じました。折り返しコースなので向かい風もあれば追い風もあるんですけど、向かい風のときはかなり風を感じたので、走りにくい環境ではあったのですけど、みんな一緒なので、その中でどう走るかというのをしっかり考えて、それも含めていい練習になったと思います。

――いまのチームの雰囲気はいかがでしょうか

箱根が終わってから、体調不良者や故障者がちょっと出てしまったので、みんなが足並みそろってレースに出る状況になかなかなっていなくて、少し良くない雰囲気が続いています。これから合宿があるのですが、そこでみんなが足並みをそろえられるようにケガ人は早くケガを治して、調子が悪い選手はしっかり合宿で走り込んで、出来れば3月の立川ハーフや3月にある合宿では足並みをそろえてやりたいなと思います。

――次の立川ハーフではどのようなタイムをねらっていきたいですか

周りの選手やレース展開によるんですけど、63分台を出して、タイムよりも入賞を目指したいと思っています。タイムももちろん大事ですけど、立川ハーフというみんなが狙いに行くレースで入賞をしたい、タイム以上に順位を狙っていきたいと思います。

新迫志希(スポ2=広島・世羅)

――今大会の位置づけというのは

11月のトラックレースから試合に出ていなかったので、今の現状の確認と一定のペースで自分がどのくらい押せるのかということを確認するレースでした。

――具体的なレースプランというのは

一定のペースで走ることを目標にしていたんですが、きょうは全然できなかったので、課題だと感じました。

――具体的にはどのくらいのペースを想定されていたのでしょうか

(1キロを)3分フラットのペース、48分というのを目標にしていたので全然ダメでしたね。

――相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)から何か話はありましたか

今の現状が分かったということで収穫もありましたし、これからの課題も見つかったのでトラックレースにつなげていけると思います。

――先頭から離されてしまった地点など、レースの展開を教えていただけますか

最初からついていたんですが、離れてしまって。そこでペースが速いと思ってしまったので、1人でずっと走っていくレースでした。

――先日の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)では16人にエントリーされつつも、出走とはなりませんでしたが、そちらに関して何かありますか

特にないです。また次の箱根に向けて頑張るだけだと思います。

――これまでの練習などでご自身の調子はいかがでしたでしょうか

最近は右肩上がりだったんですけど、一度自信を無くしてしまう練習があって、きょうみたいな練習で一定のペースで押す練習だったんですが、それができなかったので、それが今後の課題かなと思います。

――次のレースの予定は決まってますか

特に決めてないというか、まだわからないので、これから監督と話し合って決めていきます。

――ことしのご自身の目標はどういったものでしょうか

トラックシーズン、ロードシーズン共に昨年はダメだったのでまずトラックシーズンで結果を出してその結果からロードシーズンに入っていきたいと思います。

――その結果というのは

関カレ(関東学生対校選手権)だったり、全カレ(全日本大学対校選手権)だったりで。日本選手権の標準もことしは必ず切りたいと思っているので、まずはタイムを出していくことが重要になるのかなと思います。