4年生リレーチーム実現!特別レースでは会場を沸かせる

陸上競技

 雨が降りしきる中行われた第18回所沢市選手権。今回は近隣の小中学校の学生選手が多数参加。早大の競走部は大会運営に携わり、大会は終始アットホームな雰囲気で行われた。早大からはハードルブロックの石田裕介(スポ4=千葉・市船橋)、野本周成(スポ4=愛媛・八幡浜)、古谷拓夢(スポ3=神奈川・相洋)が200メートル障害に、300メートルには5選手が出走。早大の精鋭が特別レースを盛り上げた。また4×100メートルリレー(4継)では、4年生の4人でチームを編成し即席ながら後輩チームに先着。引退を間近に控え、記念に残るレースとなった。

 10月3日の日本記録挑戦会兼住友電後杯にて、城西大の渡辺佳朗によって200メートル障害の世界記録タイである22秒55がたたき出され、日本記録も更新された。「コンディション次第では出せるメンバーだった」(石田裕)。早大が誇るハードルブロックの精鋭三人も記録に挑戦しようとしたが、当日12時過ぎの天候はあいにくの雨。気温も10度少しと、短距離種目を行うに適しているとは言えないコンディションだった。レース本番、スタートから飛び出したのは野本と古谷。両選手とも本業は110メートル障害とあって、スピードで序盤から押していく。寒さで思うような走りができないながらも野本が1着でフィニッシュとなった。

スタートで飛び出し、1着でゴールした野本

 特別レース2種目目、300メートルには、加藤修也(スポ4=静岡・浜名)、徳山黎(スポ4=神奈川・相洋)の4年生に加え下級生3人が出走。こちらも好コンディションとは言えなかったが、徳山が笑顔を見せつつトップでゴール。そして昼下がりに行われたのは男子4継。早大はAチームを石田裕、徳山、野本、加藤の4年生で、Bチームは下級生で編成し挑んだ。「記念というか遊び心のあるレースがしたかった」(野本)と、4年生は普段4継にはエントリーしない選手も参加しての即席チームとなったが、見事バトンをつなぎ1着。2走の野本と3走の徳山は日本選手権でもバトンをつなぐ予定であり、今回のレースの経験が本番で生きるだろう。

4継のアンカー加藤

 「(4継は)本当に久々で楽しんだレース」(石田裕)。所沢市選手権では4年生が引退を間近に控えるなか、特別レースや4継と記憶に残るレースが行われた。そして2週間後に迫る引退試合は、慣れ親しんだ所沢のトラックから場所を移し、日産スタジアムで行われる日本選手権リレー。4継は表彰台、4×400メートルリレーは優勝し6連覇達成が早大の目標だ。残りの期間でしっかり調子を合わせ、集大成を笑顔で飾りたい。

(記事、写真 鎌田理沙)

結果

▽男子200メートル障害

野本周成  23秒29(1着)

古谷拓夢  23秒57 (2着)

石田裕介  24秒16(3着)

▽男子300メートル

徳山 黎  33秒53(1着)

加藤修也  34秒05(2着)

伊東利来也 34秒13(3着)

村木渉真  34秒55(4着)

下平健正  36秒81(5着)

根岸勇太  DNS

▽男子4×100メートルリレー

早稲田大学A(石田-徳山-野本-加藤)  41秒21(1着)

早稲田大学B(南山-古谷-根岸-伊東)  DQ

▽男子200メートル

折田歩夢  23秒16(+0.1)(2組2着)

加藤修也  DNS

下平健正  DNS

コメント

石田裕介主将(スポ4=千葉・市船橋)

――きょうは200メートル障害で日本記録を更新する意気込みだったとお聞きしましたが

 そうですね、出るからには記録を出したかったです。でもコンディションだったりここまでの調子を考えても、ベストではなかったというのが一番かなと思います。

――レース後「1台目で勝負が決まってしまった」とおっしゃっていましたが

 ヨンパー(400メートル障害)と全然違うのが200メートル障害で。単純にスプリントが必要で、その中で体力も必要という特殊な競技でした。後半はむしろ周りが垂れて僕が垂れてない状況で、若干追いついたように見えたのですが、やはり1台目が圧倒的に遅れていたので。そこで完全にけりがついてしまったというか。1台目で遅れて、どのみち向こうも2台目、3台目も速いので、抜こうにも抜けない距離だったのかなというのが正直なところです。

――いつもの400メートル障害から200メートル障害に距離が縮まりました。レースプランはどのように立てられましたか

 今回に関しては考えていなかったというか、言うのであればスタートでしっかり乗って、ある程度落とさずに台数を超えていくというのがベストだったのかなと。でもそれにはスタートが絶対に必要だったので、そこで負けていたなと思います。

――先日200メートル障害の日本記録が渡辺佳朗選手(城西大)によって塗り替えられました。同じ大学生ということで意識はされていますか

 去年の関カレ(関東学生対校選手権)では向こうが2位でした。ことしの出だしは向こうはケガをしていたみたいなのですが、(自分が)勝つべきところは勝っても全カレ(日本学生対校選手権)だけは落としてしまっていました。なので多少なりとも意識していて国体(国民体育大会)でも気にしていたのですが、決勝の舞台には来ていなかったので、お互いまだまだポイントとなる試合の時に合わせ切れていないと感じました。

――今回は渡辺選手の日本記録を塗り替えるべくレースに挑まれたのでしょうか

 多分、そういうのはないですね。去年からでしたし(記録は狙っていました)。出るからにはというのと、メンバーとしてもコンディション次第では出せるメンバーだったので。野本(周成、スポ4=愛媛・八幡浜)にしろ古谷(拓夢、スポ3=神奈川・相洋)にしろ速いですし、僕もヨンパ―を49秒台で走っているのを考えると、出せなくはないのかなと。狙いたかったところですね。

――今回は4×100メートルリレー(4継)も出られました。記念的な意味合いがあったということでしたが

 人数的にも4年生が4人でしたし、メンバー一人一人の実績から考えても普通じゃ考えられない体験だったのかなと思います。僕自身も4継は高3以来で、本当に久々で楽しんだレースでした。1走はやったことがなかったのですが、みんな楽しんでやりました。下級生も思うところはあったのかなと思います。いろいろな意味で意味のあった試合でした。「本当は勝てたのに」と悔しがっていましたが、あれも実力だと思います。その場その場でメンバー変更しても対応し切れるというのが大事なのかなと。僕らも即席になってしまったのですがしっかりバトンはつなげたので、良い言い方をすれば今回は4年生の方が積んできた時間が違う、一緒にいた時間が違うのかなと。だから上手くいったのかなと思います。

――きょうの4継は日本選手権リレーを見据えての練習も兼ねてだったそうですが、みなさんの調子はいかがですか

 はっきり言うといまは少し調子を落としているところだと思いますが、それは単純に疲労がたまっているとか、気持ちが先行しているというのもあるので、心と体の調子がしっかりそろったうえで日本選手権リレーを迎えられたらいい結果が出せるんじゃないかと思います。

野本周成(スポ4=愛媛・八幡浜)

――きょうは200メートル障害で日本記録を更新する意気込みだったとお聞きしましたが

 日本記録が22秒55だったので、その記録を破ろうと挑みました。

――その記録を打ち立てたのが城西大の渡辺佳朗選手ですが、同じ大学生として意識したりはしますか

 そうですね…意識はしていました。城西大のその選手は400メートル、400メートル障害といい成績を残してきた人でした。でもスピードなら負けないというのと、(いつもは)400メートル障害より高いハードルを跳んでいるという点で勝てるように、という思いはありました。

――ではきょうのレースプランは

 そんなに考えてはいなかったんですが、頑張ってスピードを出して後半で持たないというのが課題だったので、ハードル間をリラックスして走れるようにと考えていました。スピードを出そうとするのではなくて、リラックスしてスピードを上げて最高速度をいかに保つかというのを考えていました。

――ではそれを踏まえて、きょうの走るはいかがでしたか

 そうですね、コンディションが悪いというのがあったのですが、やはり走れてなかったので。スピードも足りていないなと思っていました。タイム的にも全然駄目ですし。

――きょうは4×400メートルリレー(4継)も走られました

 きょうのリレーは4年生のチームで出てみようという、記念というか遊び心のあるレースがしたかったというのがあります。あとは2、3走の徳山(黎、スポ4=神奈川・相洋)から僕につなぐところは日本選手権リレーでもすると思うので、そこだけは日本選手権リレーにつながると意識して、バトン練習もしっかりしました。前の全カレ(日本学生対校選手権)での失敗があるので、そこはしっかりやっていきたいと思います。

――では日本選手権リレーに向けて調子はいかがでしょうか

 今回はA、Bチームに分かれてBチームは3年生以下のメンバーでした。おそらく僕と徳山は(日本選手権リレーの4継メンバーに)固定で、あとの2人が誰かという話なんですが、(後輩で)良い走りをしていたメンバーもいましたし、勝負できるかなと思います。39秒前半、1~2台を狙えるように、今のままでは難しいのですが、あと2週間で調子を上げていけば狙えると思います。