【特集】関カレ直前ルーキー特集『have great ambitions』ショートスプリント対談

陸上競技

 2017ルーキー対談の一番手を飾るのは、男子ショートスプリントの新入生である南山義輝(スポ1=福岡・小倉東)と折田歩夢(スポ1=鹿児島・甲南)のコンビ。橋元晃志(平29スポ卒=現富士通)らが抜けたいま、二人の活躍に期待がかかる。そんな明るい二人の、これからの競技生活とは。

※この取材は5月19日に行われたものです。

「中学の時、初めて出た九州大会で一緒になって」(折田)

対談は終始和やかな雰囲気で進んだ

――最近はどういった練習をしていますか

南山 大会前なので各自でやることが多いですね。

折田 ちょっと前まで走る量を増やして追い込んだメニューをやっていたんですけど、関カレ(関東学生対校選手権)前ということで調整ですね。

――高校と大学の練習、どちらの方が量は多いですか

南山 大学の方がきついですね(笑)。

――どういったところがきついですか

南山 まず、練習の量と雰囲気ですね。質も違います。

折田 高校は練習時間が短かったのであまり走ることはなかったんですけど、今は何倍も走っているのできついですね(笑)。

――お二人とも九州出身ですが、方言は抜けましたか

折田 僕は抜けてないですね(笑)。鹿児島に誇りを持っているんで(笑)。

――では、好きな鹿児島弁を教えてください

南山 さつま揚げとか言いなよ(笑)。

一同 (笑)。

折田 それ方言じゃなくない?(笑)。おじゃったもんせかな(笑)。挨拶とかいつでも使える言葉です。お疲れ様とかもこれです。

南山 すごいのでてきたな(笑)。

――1年生の寮当番はいかがですか

南山 それは大変です。朝早起きして掃除して食事の当番とかやります。

――同期との仲はいかがですか

二人 いい感じでやっています(笑)。

――お二人はどうですか

南山 中学の時から知り合いなので仲はいいですね。同じ九州なので、九州大会とかで一緒でした。

折田 合宿の宿とかも一緒でした(笑)。

――知り合ったときはお互いどういった印象でしたか

折田 中学の時、初めて出た九州大会で一緒になって、僕は初めてということで緊張していたんですけど、一人うるさいやつがいるなって。走る前にずっとしゃべりかけてきて。それがこいつでした(笑)。

南山 そんなことやってないよ(笑)。覚えてない(笑)。

――やった方は覚えてないんですね(笑)。

折田 いきなり話しかけてくるんで「こいつ慣れてるな」って思っていたらこいつも初めてだったんですよ(笑)。

――南山選手の折田選手に対する印象はいかがでしたか

南山 いや、別に、折田だなっていう感じです(笑)。これが折田だっていう(笑)。

――では、先輩との関係はいかがですか

折田 先輩後輩っていう根本の上下関係ははっきりしていて、その部分はわきまえているんですけど、オフの時とかはワイワイやることもあって。ちゃんと区別ができていると思います。

「今まで考えなかったことを考えられるようになった」(南山)

南山(左)の発言に補足を入れる折田。入学して間もないがお互い馬が合うようだ

――まず、お二人が陸上を始めたきっかけを教えてください

南山 僕は小学校5年生くらいにお兄ちゃんがやっていたので始めました。鬼ごっことかしていて楽しかったですね。

折田 僕は始めたのは小3くらいですね。きっかけはお母さんに連れられて少年団の練習に参加したことです。当初はサッカーと掛け持ちしていたんですけど、サッカーがそんなにうまくなかったので小4にはサッカーは辞めました(笑)。

――なぜ陸上競技の中でも短距離を選んだのでしょうか

南山 陸上競技で一番ラクだから(笑)。一番短いですし。

折田 僕は元々長距離もやっていたんですね。たぶん、小学校とかではみんな全部やるんですけど。長距離もある程度速かったんですけど、ずっと走っているだけなのできつくて。その点短距離は気持ちの部分が大きかったです。中学でどっちかに選べと言われて、他のみんなは結構長距離に行ったんですけど、僕は短距離を選びました。好きだったので。

――高校での競技生活はいかがでしたか

南山 ケガが多くて納得のいく成績は出せなかったですね。

折田 僕はケガをしないのが自分の取り柄だと思っていて高校1年、2年と順調に成長していったんですけど、最後の最後にインターハイでケガをしてしまって。それで高校での競技生活は終わってしまったので納得のいく結果ではなかったですね。

――大学に入るにあたって陸上を辞めるということは考えなかったのですか

南山 なかったですね。

折田 好きでやっているので辞めるという選択はまったくなかったですね。陸上を取ったら何が残るんだろうという感じなので。

――数ある大学の中からワセダを選んだ理由はありますか

折田 僕は鹿児島出身で橋元さん(晃志、平29スポ卒=現富士通)がワセダに来ていたので、漠然とワセダというのは頭にあって、かっこいいなと思っていたんですね。そしたら同じ高校の内之倉さん(由美、スポ3=鹿児島・甲南)という女子の先輩がワセダに進学して。そこから自分も行きたいなって思うようになりました。僕も推薦で行きたいなって思っていたんですけど、ケガをしてしまったので何も成績がなくて。精神的にも落ち込んでいる時に礒先生(繁雄監督、昭58教卒=栃木・大田原)から「(ワセダに)来てくれないか」という話が来て。ただ、「勉強で来てくれ」って言われたのでそこから勉強を始めて10月からセンター試験まではかなり頑張りましたね。

南山 僕は関学(関西学院大学)かワセダで悩んで、兄が関学なんで関学に行こうかなとも思っていたんですけど、高校の顧問の先生が「ワセダに行ったらどうか」って薦めてくれて。それでワセダに行こうって決断しました。

――お二人はお互いワセダに入学すること、目指していることは知っていましたか

南山 僕は競走部が折田に声を掛けていることは知っていました。

折田 僕は受験勉強中に母親に言われてたまたまワセダの競走部のHPを見たんですね。そしたら、推薦合格のところに南山っていう名前があって(笑)。僕はそれまで全然知らなかったので、それ見てなおさらワセダに行きたいってなりましたね。頑張りました。

――高校と大学での練習の違いについて、対応に苦労したことはありましたか

南山  僕は高校の時全然走らなくて練習をあまりしなかったので、大学ではとりあえず寮にこもりました(笑)。疲れで死にそうで(笑)。出歩いたりする元気がないくらいでした。

折田 きょうサイクリングしてたじゃん(取材日はオフ日)。

――話が違いますね(笑)。

南山 先輩と一緒に国立の方まで40キロ走って足がパンパンです(笑)。

折田 オフじゃないじゃん(笑)。

――折田選手は大変なことなどありましたか

折田 僕は高校では100メートル、200メートルをやっていて、今は400メートルを目指しているのでなおさら練習量が多くなりました。高校じゃありえないくらいの量を走ってすごい疲労がたまるんですけど、なんとか自分でケアとかしてやっているっていう感じです。

――なぜ400メートルに切り替えようと思ったのですか

折田 僕は400メートルハードルがしたくて。中学の時はハードルもしていて、下手なんですけどすごい好きでした。400メートルハードルで活躍したいと思って大学で切り替えたんですけど、それなら高校から切り替えればよかったのにと思いますよね。でも、それは高校の先生が「400メートルハードルで活躍するためにはトップスピードが必要になってくるから」ということを言ってくれて、それで最初は100メートルをやりました。それで次の段階として、スピードを保ちつつロングスプリントに転向していくということで。最終的に400メートルハードルということなんですけど、最近は少しスピードが落ちてきていて悩んでいるところです。難しいですね。

――逆に、南山選手は変えようと思わなかったのでしょうか

南山 そうですね。100です。

折田 こいつは100っていう選手なんで(笑)。

――質の部分でもやはり大学に入って変化はありましたか

南山 高校の時は速く走れたら万歳だったんですけど、大学はそうじゃなくて。考えて理論があった上で結果を出せるということが大事で、そういった面では全然違いますね。技術面は礒先生が色々教えて下さって、今まで考えなかったことを考えられるようになったというか。先生のちょっと言った言葉で考えさせられるというか。

折田 高校の先生の方針が礒先生と似ているんですよ。考えさせる指導というか。一言、「こうじゃないか」みたいなことを言われるんですけどそれが深くて。難しいんですけど、そこが面白いところだなと思います。

――礒監督はどういった方ですか

折田 人を見る能力がすごいあるなって感じます。全てを見抜いている感じがして。見てないと思っていたところも意外と見ていて、普通の人にはない力を感じます。

南山 人としても指導者としてもすごいという感じですね。とにかくすべてがすごいです。

――先輩方と練習してどういったことを感じますか。お手本にしている方はいますか

南山 考えながらやっているなと思います。加藤修也さん(スポ4=静岡・浜名)とかは、色々考えていてそれでトップ選手なんですごいなと。必要なところだけやるという効率の良さがすごいです。

折田 僕は40メートルハードルを見据えているので石田さん(裕介主将、千葉・市船橋)がハードルをやるときは盗めるところは盗んで参考にしようと思って絶対に見るようにしています。

「まずは結果です」(南山)

真剣に競技について語る南山

――いよいよ関東インカレが始まりますが、入学後初の大舞台への意気込みを教えてください

折田 僕はまず自分が出ると思っていなかったのでメンバー発表で自分の名前を見つけた時は驚きました。でも、出るだけじゃ嫌なので、ちゃんとベストタイムを出して少しでも上の方にいって、今後につながるようなレースがしたいです。できるだけ上にいきたいというのはとても思いますね。

南山 ベストを出して、決勝に残りたいですね。点数を取らないと結果に残らないので。ワセダに貢献するには点数取るしかないので、代表で出ているという自覚を持ってしっかり集中していきたいです。

折田 出るからには少しでもワセダに貢献したいですね。1年生もチームの一員なので責任もって走りたいです。

――関東インカレのその先に見据えた目標はありますか

南山 自分まだ大学の大会あまり知らないんですよね(笑)。

折田 知れよ(笑)。こいつ選手の名前とかも全然知らないんです、自分大好きなタイプなんで(笑)。ただ、逆に知らないのも変なプレッシャーがなくていいのかなって、こいつを見て感じました。

――では、今後競技面でどういった成長を遂げたいですか

折田 確実に自分のひとつひとつの課題をクリアしていけば、いつの間にか上に行っていると思います。課題は自分でしっかり把握できていると思うので、それをひとつひとつやっていって夏までにはチームの主力として頑張っていきたいです。

――人間的にはどういった成長を遂げたいですか

折田 先輩達と接して一番思うのは、人としての器が自分とは違うなということです。なので、自分の器を少しでも大きくして先輩達に近づきたいです。先輩達は視野も広いし、深く物事を考えて本質を理解していて。ただやるんじゃなくてしっかりと理解して練習などもやっているので、自分はまだ足りない部分もありますけど、少しでも多く考えてひとつひとつやっていきたいなと思います。

南山 卒業する時にワセダに来て仲間たちがいて良かったなって思える4年間にしたいと思いますね。

――ライバル視している選手はいますか

南山 僕は他人の結果はハキーム(サニブラウン)しか見てないです。桐生さん(祥秀、東洋大)とかはすごいなという感じなんですけど、とりあえず大学生の同期には誰にも負けたくないです。

折田 自分はこいつらですね(横にいた同期を指して)。もちろん仲はいいんですけど、競技面ではライバルとしてやっていきたいなと思います。

――では、憧れている選手はいますか

折田 僕は野澤啓佑さん(平26スポ卒=現ミズノ)ですね。オリンピックとか見ていても単純に格好いいなって思って。そういう選手と一緒に練習すると学べることもたくさんありますし。人としても気さくで面白い方なのですごい憧れていますし、目標です。

南山 誰だろう…。

折田 ボルトとか言っとけばいいじゃん(笑)。

南山 憧れとかないな(笑)。

――ちなみに、ボルト選手のすごさは何ですか

南山 速い。速いし、でかいし、筋肉凄いし、モテるし。そういうところが好きです。

――筋トレも練習ではよくやりますか

南山 まだそんなにしてないよね。

折田 がっつりとはまだしてないですけど、自分たちはまだ体もできてなくて高校生の体をしていて。ワセダの先輩方を見たら格好いい体をしているのでやらないといけないなと思っています。

――今、課題としていることはありますか

折田 高校の時にやったケガをまだ引きずっているので筋力不足で、見直しをやっています。スピードのある400メートルの選手が理想だったんですけど、最近それがなくなってきているので、またスピードを求めながら自分の走りを確立させたいなと思いますね。

南山 まずはフォームを改善させたいです。その後の課題は関カレで見つけます。

――今後、ワセダの短距離を引っ張っていきたいという思いはありますか

南山 結果が出なければなんとも言えないですね。まずは結果です。

折田 個人でしっかり結果を出してリレーをどっちも走れるようになりたいですね。4×100メートルリレーとマイルで、どっちも。スピードもあるけど400メートルも走れるっていう選手を目指していきたいです。

――まだ時期尚早な質問かもしれませんが、競技生活は大学までと考えていますか

南山 僕は現段階では終わる気でいます。終わるというか、とりあえず4年間で結果を出さないといけないから終わるという覚悟で今はやっています。

折田 4年間『しか』ないんで。4年間『も』あるではないので、時間がないというのは日々感じながらやっていますね。もし、結果を残してそのままやれるのであればもちろん続けていきたいです、体が元気な限りは。

南山 そうだね。

――ありがとうございました!

(取材・編集 田中一光)

お二人で『W』ポーズをしてもらいました!

◆南山義輝(みなみやま・よしき)(※写真左)

福岡県・小倉東高校出身。スポーツ科学部1年。自己記録:100メートル10秒50、200メートル:21秒78。折田選手の誕生日にアディダスのズボンをプレゼントした南山選手。また中学時代試合で一緒になった折田選手に話しかけるなど、気さくで明るい性格です。そんな南山選手の力強く元気な走りに注目です!

◆折田歩夢(おりた・あゆむ)(※写真右)

鹿児島・甲南高校出身。スポーツ科学部1年。自己記録:200メートル21秒58、400メートル:47秒59。上京しましたが鹿児島弁をあえて抜いていないという折田選手。好きな鹿児島弁は「おじゃったもんせ」。あいさつなどに使える言葉だそうです。ルーツの鹿児島を大切にする折田選手が、東京の地で活躍する日が待ち遠しいです!