いよいよトラックシーズンへ。準備も本格始動!

陸上競技

 早大競走部長距離ブロックの2017年トラックシーズンが、ホームグラウンドから始まった。非常に強い北風が吹きつける中開催された早稲田大学競技会。選手たちは練習の一環という位置づけで、3000メートルと1500メートルの2種目に臨んだ。その目的や目標は、各々照準を合わせるレースによって異なるが、この記録会はエンジのWにシーズン到来を告げる合図となる。新年度に向けた一歩目をきょう、踏み出した。

 3000メートルには12名が参加。トラックシーズンでの活躍が大いに期待される永山博基(スポ3=鹿児島実)や新迫志希(スポ2=広島・世羅)らの主力選手の他、4月から早大競走部の仲間入りを果たす新入生もレースに臨んだ。スタート直後から集団は縦に長く伸びる。ペースメーカーを務めた谷口耕一郎(スポ4=福岡大大濠)を先頭に永山、新迫、石田康幸(商4=静岡・浜松日体)の4名が先頭集団を形成し、1000メートルを2分42秒で通過した。1500メートルでペースメーカーが離脱してからもそのまま3人で先頭を走り、ラスト1周は壮絶なスパート合戦となる。石田康、永山がラスト200メートルで先に一度ギアを上げると、今度は新迫が最後の直線でスパート。しかし永山のスピードは最後まで落ちることはなかった。両者を振り切ると、8分25秒52のトップでゴール。4着には第2集団から一人抜け出した河合祐哉(スポ4=愛知・時習館)が入った。内容に悔しさは残ったようだが、「ラスト1000メートルで、自分でペースを上げることができた」と今レースで得た収穫を口にした。

終盤のスパートが光った永山

 1500メートルには3000メートルに出場した選手の中から7名が参加。長距離ブロックの選手たちにとってはなかなか走る機会のない距離だが、けん制し合うことなく積極的なレースが展開された。石田康、谷口、河合の新4年生が3人で先頭を引っ張り、800メートルを2分9秒で通過。900メートルを過ぎたあたりで河合が前に飛び出すと、ラスト1周まで単独でトップを走った。しかし石田康が残り200メートルでスパートをかけ、河合をかわして1着でフィニッシュ。「Aチームは自分だけで、絶対に負けられないという思いがあった」(石田康)と主力選手としての意地を体現した。

強風の中でも力走を見せた石田康

 強風の影響もあってかタイムこそ振るわなかったものの、今回の記録会はこれから本格化するトラックシーズンに向けてスピード感覚をつかみ、自身の状態を確認する意味で、選手たちにとって非常に有意義な機会となったようだ。1週間後には新年度が始まり、各選手に求められる役割もこれまでとは変わってくる。「4年生の抜けた穴を今度は自分が埋められるように」(新迫)、「高め合っていきたい」(永山)。それぞれ新たな決意を胸に抱き、幕を開けたトラックシーズン。これから半年間、タータンの上でどんな物語が紡がれていくのだろうか。春はもう近い。

(記事 太田萌枝、写真 本田京太郎、喜柳純平)

※学年は新学年のものです。

結果

▽一般男子3000メートル

永山博基(スポ3=鹿児島実)    8分25秒52(1着)
新迫志希(スポ2=広島・世羅)   8分26秒00(2着)
石田康幸(商4=静岡・浜松日体)  8分26秒75(3着)自己新記録
河合祐哉(スポ4=愛知・時習館)  8分37秒28(4着)
三上多聞(商2=東京・早実)     8分38秒02(5着)自己新記録
岡田望(商3=東京・国学院久我山) 8分39秒03(6着)
清水歓太(スポ3=群馬・中央中教校)8分53秒20(7着)
伊澤優人(社2=千葉・東海大浦安) 9分03秒55(8着)
平子凜太郎(創理2=福島・磐城)   9分06秒21(9着)
石川諒(スポ1=香川・観音寺第一) 9分07秒74(10着)
金賀駿(人科1=福島・磐城)    9分34秒18(11着)




▽一般男子1500メートル

石田康幸(商4=静岡・浜松日体)   4分02秒56(1着)自己新記録
河合祐哉(スポ4=愛知・時習館)   4分03秒06(2着)
谷口耕一郎(スポ4=福岡大大濠)   4分06秒14(3着)
三上多聞(商2=東京・早実)     4分07秒68(4着)
岡田望(商3=東京・国学院久我山)  4分09秒74(5着)
平子凜太郎(創理2=福島・磐城)   4分15秒51(6着)自己新記録
伊澤優人(社2=千葉・東海大浦安)  4分16秒51(7着)
清水歓太(スポ3=群馬・中央中教校) DNS
永山博基(スポ3=鹿児島実)     DNS
新迫志希(スポ2=広島・世羅)    DNS

コメント

石田康幸(商4=静岡・浜松日体)

――きょうのレースの目標、目的を教えてください

きょうの目標は3000が8分20秒、1500が4分切れればいいかなと思っていました。目的としてはトラックシーズンで5000、1万を走る上で、一度速いスピードを体に入れる意味でしっかり記録会で出そうと思っていました。

――きょうはかなり風も強く吹いていましたが影響はありましたか

多少ありました。風が強くて3000は終盤以降ペースが上がらなくて。かと言って前に出たら風に押し戻されるとも思ったので。コンディション的にも5秒くらいは影響があったのかなと思います。

――レースを振り返ってご自身の走りはいかがでしたか

3000メートルは最初速い入りでも対応できて、ラスト1、2周までそれなりに力を貯められたのですがやっぱり永山(博基、スポ3=鹿児島実)や新迫(志希、スポ2=広島・世羅)といった5000のスピードであったりトラックの力がある人とのラスト勝負になると、きょうみたいに負けてしまうというのがあったので、3000に関してはラスト1周が課題になりました。1500に関しては、間の時間が短くて少し動きが鈍くなってしまったのかなというのはあったのですが、まぁまぁかなという出来でした。

――タイムに関してはどのように考えていますか

(1500メートルは)3000やった感じだともう少しいきたかったのですが、初めてだったのでこんなもんかなっていう感じですね。

――どちらのレースもラストスパートが印象的でしたが、意識はされていましたか

1500はAチームが自分だけで、絶対に負けられないという思いがあったのでちゃんとスパートをかけられました。3000のスパートは、かけるにはかけられましたが全然歯が立たなくて。関東インカレ(関東学生対校選手権)で入賞するためには絶対ラストが強くないといけないと思うので、そこを改善していきたいと思います。

――日本学生ハーフマラソン選手権が終わってからきょうまで、何を意識してどのような練習をされてきましたか

いつものジョグの中に4回か5回くらい100メートルほどのダッシュを入れ込んで、動きの切り替えとかスピードへの対応というのを自分の中で意識してやってきました。

――いよいよトラックシーズンが始まりますが、具体的な目標は

4月に5000と1万に出て、関東インカレという流れなのでしっかり5000で自己ベスト、1万メートルは28分台に近づけるようなタイムを出して、関東インカレで表彰台、もしくは入賞というのを目指してやっていきたいと思います。

――新入生も練習に加わるようになったと思いますが、刺激になる部分はありますか

そうですね。(早稲田)実業から上がってきた宍倉(健浩、スポ1=東京・早実)は14分04秒(54)という速いタイムを持っていますし、他にも強い選手がいるので。まだそんなに一緒に練習はしていませんが、4年生と1年生なのでその辺はしっかり4年生としての姿を見せられたらいいなと思っています。

――次のレースの予定とそこに向けての意気込みをお願いします

次はたぶん六大学(東京六大学対校大会)のオープンの5000メートルになると思います。明大の対校戦に出ない主力の選手も出ると思うので、そこに負けないようにタイムを求めてやっていきたいと思います。

河合祐哉(スポ4=愛知・時習館)

――今日のレースを振り返って

風が強かったり、合宿の後ということを考えても、内容的にもう少しいきたかったので悔しさの方が大きいですね。

――今大会の位置付けは

自分は今後の関東インカレなどハーフ等の距離で勝負したいと思っているので、ハーフに向けた5000、1万という位置付けでした。そのための準備という感じでスピードの確認と現状のどのくらいスピードが出るのか、2分50秒前後のペースで走ると体がどう反応するか、そういったところを見ることができれば良いかなと思って走りました。

――タイム、結果についてはどのように感じていますか

3000でいうと2分50秒のベースで1000まで余裕を持っていって、ラスト1000メートルで上げて8分30を切るレースをしたかったですが、最初の速いペースに脚が固まってしまって思ったように走れませんでした。しかし、ラスト1000で自分でペースを上げ ることが出来たので一つ収穫はあったかなと思います。1500に関しては谷口耕一郎(スポ4=福岡大付属大濠)と一緒で同級生が2人いたんですけど、その2人につけるところまでしっかりチャレンジしてっていう気持ちでいたんですけど、勝つチャンスがあった中で石田康幸(商4=静岡・浜松日体)に抜かれたのは残念です。ただ途中先頭出ることも出来てチャレンジ出来たっていうのはよかったと思います。どんなレースでも競ったら負けないことは自分やチームのテーマでもあるのでしっかり勝ちきれる練習をしないといけないなと思います。

――次のレースに向けて

次は1ヶ月後の日体大の記録会なんですけど、そこでしっかり走るっていうのが関東インカレ(関東学生対校選手権)出場のために必要となります。今日スピードを出すって部分で課題があったので、そこを1ヶ月かけてスピードを磨くなりして速いペースにも対応できるよう練習して14分10を切るようなレースができればと思います。

三上多聞(商1=東京・早実)

――今日のレースの目標を教えてください

 (3000メートルで)4分30秒を切ることと1500メートルで4分を切ることでした。風の影響や途中で牽制をしてしまったりところがあったんですけど自分の出せる力を出せたなというところです。

――レースの内容はいかがでしたか

 今回はあくまで練習の一環ということで出たんですけど、強風があったりと悪条件ではありましたがその中でもしっかりとキツイところで粘るという自分の持ち味を発揮できたのでよかったです。

――レース序盤から前の方で走られていましたが、そちらはいかがですか

 今回は練習の一環ということで恐れずにいって後半は潰れてもいいという覚悟でいって。突っ込んで積極的にという覚悟でいきました。

――コンディションはいかがでしたか?

先週まで9泊10日の鴨川合宿にいっていて、走り込んでいたので昨日まで疲労が溜まっていたので正直スピードが出せるか不安だったんですけどいざ3000メートルや1500メートル走ってみると思ったより足が動いてスピードが出せてよかったです。

――今後の目標をお願いします

春シーズンは1万メートルで30分を切ることができていないので切ることと、5000メートルは高校時代のベストの14分41秒のままなので最低でも30秒を切る、できれば20秒前後を目指したいと思います。

永山博基(スポ3=鹿児島実)

――きょうは練習の一環としての記録会でしたが、目標は

来週金栗(金栗記念中長距離選抜選手権)があって、その刺激ではないですが、目安としては8分15秒前後で走りたいと思っていました。でも風もあって、あまり良くありませんでした。でも悲観的に捉えすぎず、1週間後と兵庫(兵庫リレーカーニバル)がメインなので、しっかり意識したいと思います。

――最近の調子はいかがでしょうか

ケガなくできているので、しっかりピーキングできたら問題ないのかなと思います。

――きょうは3000メートルを1本走られましたが、振り返ってみていかがでしょうか

風が強くて後半全く動かなかったので、内容は良くなかったのですが、現状は分かったので良かったのかなと思います。

――現状とは

あと1週間の調整方法が見えたと思います。合宿の疲労もありますし、休みも必要なのかなと思います。

――レース中、新迫選手(スポ2=広島・世羅)と走られていたと思いますが、意識したりは

狙っているところも別ですので、特に意識はしないです。レース中はさすがに負けられないと思っていました。新迫と僕でトラックメインのチームなので、お互い狙っている種目や大会は別なのですが、2人で高め合っていきたいと思います。

――では、来週の金栗記念に向けての意気込みは

初戦ですので、タイムとしては13分50秒は切りたいと思います。とてもレベルの高い組みに入れて下さったので、前で戦えるようにしたいです。1番のメインは23日の兵庫ですので、そこで勝てるように、しっかり準備したいと思います。

新迫志希(スポ2=広島・世羅)

――レースを振り返って

箱根(東京箱根間往復大学駅伝)を終えて、ずっと調子が悪くて、練習もあまり積めていませんでした。そんな中でケガや体調不良もあり、今回は状態がそんなに良くない中でのレースでした。結果、ぼちぼち、調子も戻ってきているという手応えもありました。

――本日のタイムに関しては

タイムに関してはあまり気にしていませんでした。風が強い中で、調子のいい永山さん(博基、スポ3=鹿児島実)にどこまでついていけるかというところを意識して走っていました。最後、離されるかたちにはなりましたが、内容は良かったと思っています。

――レースのプランについては

1500メートルまではペースメーカーについて、そこからは先頭に離されないようにと心掛けました。ラストスパートで最後に一度切り替えても、離されてしまったので、そこをもう少し粘りたかったですね。

――現段階で、照準を合わせている大会は

金栗記念陸上(金栗記念中長距離選抜選手権)に合わせていたのですが、その大会は感覚を確かめるためのレースになると思います。まだ調子が上向きではないですし、タイムの狙える組に入ることができなかったからです。まだ未定ですが、今の段階では織田記念(織田幹雄記念国際大会)に照準を合わせています。

――狙っているタイムはありますか

ことしは自分の中でも勝負の年だと思っています。日本選手権に出場することもそうですし、昨年、そんなにいいタイムを出せなかった分、タイムを追い求めていきたいです。ですが、タイムばかり気にしてしまうと、うまくいかないこともあるので、自分と向き合いながら、前に進んでいきたいと思います。まずは、日本選手権の参加標準記録を切るところまでは行きたいですね。

――目標としているタイムを教えてください

日本選手権5000メートルの参加標準記録を目指しているので、13分41秒00です。5000メートルだけは誰にも負けたくないですね。それは早大に限らず、他大のどの選手にも。

――ユニバーシアードに出場したいという意思はありますか

ことし出場できなくても、4年生の時にまたチャンスがあるので、そこに向けて準備ができればいいと思っています。ことし、出場したいですけど、出れたらいいな、くらいに思っています。

――今シーズンの展望は

日本選手権出場を目標にその中で、織田記念で戦えたらいいなと思っています。やっぱり、持ちタイムを向上させないことには出場できない大会もあったりするので、今シーズンはタイムを狙っていきたいと思っています。

――新入生たちが入寮し、共に練習をしていると思います。新迫選手が注目している新入生はどなたですか

スポーツ推薦で入学する吉田匠(洛南)と渕田拓臣(桂)ですかね。全国クラスの大会に出場して、強い環境で育ってきた選手なので、練習や私生活での意識が他の選手よりも高いです。

――2年目のシーズンに向けて意気込みを教えてください

昨年は4年生の方々が多くのものを残してくれました。そんな先輩の姿から、自分自身も個人の成績をもっと向上させないといけないと感じました。ひとつひとつ確実にこなして、4年生の抜けた穴を、今度は自分が埋められるように、ぼちぼち頑張っていきたいと思います。