桜の花も見ごろを終え、暖かな風を感じられるようになったきょう、早稲田大学競技会が行われた。3000メートル障害では今井開智(スポ4=神奈川・桐光学園)が9分00秒41で自己新記録を更新し、「今後の試合に対しても追い風となる」と関東学生対校選手権(関カレ)をはじめとするトラックシーズンにつながる走りを見せた。自己新記録更新の勢いはこれだけにとどまらず、1万メートルでは太田智樹(スポ1=静岡・浜松日体)ら3人が自己記録のカベを打ち破った。
「前半はペース走でそこからどれだけ上げられるか」(藤原滋記、スポ3=兵庫・西脇工)と語る通り、1万メートルのレース前半は一定のペースを保つ流れとなった。スタートとともに先頭に立ったのは浅川倖生(スポ4=兵庫・西脇工)。1キロ2分58秒のペースで集団を率いたが3000メートル過ぎ地点で河合祐哉(スポ3=愛知・時習館)が集団から離れ、井戸浩貴(商4=兵庫・竜野)と光延誠(スポ3=佐賀・鳥栖工)が交代で先頭に出てペースメーカーとしてレースを引っ張った。6000メートル過ぎまでは最初とほぼ変わらないタイムでペースを維持するレース運びとなる。7000メートル地点で箱田幸寛(スポ4=広島・世羅)、8000メートル手前で石田康幸(商3=静岡・浜松日体)が集団から外れ、「最後のところで落ちてしまったのはすごく申し訳ない」(箱田)。「練習の成果は出ていない」(石田康)と、自身の弱さを見つめた。
藤原は後半から一気にペースアップした
8000メートル過ぎで太田が一気にペースを上げてトップに立ち、後続を突き放す。1キロ2分53秒とスパートをかけ、藤原がそれに続いた。ラスト1000メートル地点で藤原が太田に追いつこうと粘りを見せるが及ばず、太田が29分27秒92のタイムで1着でゴールした。「1人になったときにどれくらい走れるかというのが駅伝とかにもつながってくる」と今季のトラックシーズンだけではなく先を見据えている太田。ルーキーの今後に期待が寄せられる。
期待の新星太田は1着でフィニッシュ
関カレを来月に控えて迎えた早稲田大学競技会。それぞれの選手が関カレを軸にした目標を据えて臨んだ。その舞台で飛躍した姿を見せられるように、選手たちは今大会の結果をバネにして走り続けていく。
(記事 茂呂紗英香、写真 鎌田理沙、佐藤亜利紗)
結果
※男子1万メートルのみ掲載
▽男子1万メートル
太田智樹(スポ1=静岡・浜松日体) 29分27秒92(1着)自己新記録
藤原滋記(スポ3=兵庫・西脇工) 29分29秒59(2着)
石田康幸(商3=静岡・浜松日体) 29分54秒77(3着)自己新記録
箱田幸寛(スポ4=広島・世羅) 30分16秒61(4着)自己新記録
柄本勲明(スポ4=早稲田佐賀) 30分27秒51(5着)
河合祐哉(スポ3=愛知・時習館) 31分09秒94(6着)
西田稜(政経2=東京・早大学院) 31分11秒34(7着)
浅川倖生(スポ4=兵庫・西脇工) DNF
井戸浩貴(商4=兵庫・竜野) DNF
光延誠(スポ3=佐賀・鳥栖工) DNF
佐藤淳(スポ4=愛知・明和) DNS
鈴木洋平(スポ4=愛媛・新居浜西) DNS
平和真(スポ4=愛知・豊川工) DNS
武田凜太郎(スポ4=東京・早実) DNS
谷口耕一郎(スポ3=福岡大大濠) DNS
安井雄一(スポ3=千葉・市船橋) DNS
小澤直人(スポ2=滋賀・草津東) DNS
車田颯(スポ2=福島・学法石川) DNS
清水歓太(スポ2=群馬・中央中教校) DNS
永山博基(スポ2=鹿児島実) DNS
新迫志希(スポ1=広島・世羅) DNS
関連記事
柄本、藤原らが自己ベスト更新/第3回早稲田大学競技会(3/30)
コメント
今井開智(スポ4=神奈川・桐光学園)
――きょうの結果を振り返って
きょうの記録会では関カレ(関東学生対校選手権)のA標準記録である9分08秒を切ることを第一目標にしていたので、今回9分00秒でその記録を上回ることができたのは大きな収穫かなと思います。また、結果的になのですが全カレ(日本学生対校選手権)のB標準を切ることができたのは自分にとって大きな自信になりましたし、今後の試合に対しても追い風になるのかなと思います。
――先日の東京六大学対校大会では記録で負けてしまった大木皓太選手(スポ1=千葉・成田)に勝利しての1着でしたが
今回はペースメーカーもあってかなり余裕を持って2000メートルまでいくことができたので、若干自分の力というよりはペースメーカーのおかげかなというところもありますが、力のある選手に記録会とはいえ先着することができたのは良かったです。後輩である大木に背中で見せることができたと思いますし、自分にも自信になったと思います。
――今回のレースで得た収穫はありますか
大学に入って2回目の3000メートル障害だったのですが、一週間で14秒タイムを縮めることができたのは大きな収穫でしたし、一つ一つの試合で経験が蓄積されていると思うので、この経験をどのように関カレに生かせるかが今後の課題だと思います。
――次の大会の予定とそれに向けての意気込みをお願いします
まだ具体的には決まっていないのですが、とりあえず月末の平成国際大学の記録会に出場予定です。目標としては今回切れなかった9分00秒を切って8分台を出すということと、全カレのA標準が8分55秒なので、大木と岡田(望、商2=東京・国学院久我山)と僕の3人全員が全カレに出場できるように自分が記録を出して2人を引っ張っていきたいと思います。
箱田幸寛(スポ4=広島・世羅)
――序盤から先頭に食らいついていましたが、タイムを見て率直にいかがでしたか
もっと粘れてたら29分台とか29分50秒とかそれくらいを狙いにいけたので、その点すごくもったいなかったレースになったかなと。
――今回のレースの位置付けは
今回は狙っていたレースだったので、そこでしっかり関カレのB標準の29分50秒というのをBチームとして自分が切ることでチームに勢いをつけていくということが目的だったのですけど、そこができなかったのが一番悪かったかなと思います。
――青梅マラソンでは、ラスト5キロのペース配分が課題とおっしゃっていました。その点に関して今回はいかがでしたか
今回は7000(メートル)以降が青梅のようにペースアップできなかったというのがあるので、残り3000(メートル)、とくに7000から9000(メートル)の2000(メートル)が落ちてしまったので、そこを今後の練習等々でしっかり工夫して自分で考えやっていかないと、強くなれないなと思います。
――冬場の練習で得たものを今回どう生かせましたか
距離に関してはしっかり走るということをしていて。ハーフ(マラソン)も自分なりに、結果は良くなかったのですが、何となく走る感じやレースの感じなどをつかめましたし、今回の10000(メートル)では、途中7000(メートル)までできつくなる時とかもあったのですけど、そこで耐えることはできたので。そういう点は成長した点かなと。
――平和真選手(スポ4=愛知・豊川工)からも大きな声をかけられていました。応援などの影響などは
自分たち最上級生4年生がしっかり走っていくことでチームが盛り上がるということが4年生の中で取り組んでいることなので、そういう点では、自分があれだけいい走りをしていたのを最後のところで落ちてしまったのはすごく申し訳ないですし。自分が上がらないとチームもBチームから盛り上げていくことはできないかなと。
――次戦はどのレースになりますか
次は関カレのハーフ(マラソン)を目指して、そちらのほうで練習を積むかたちで。そこの最後の一枠というのをしっかり勝ち取って、関カレで優勝できるように、井戸(浩貴、商4=兵庫・竜野)とか淳(佐藤、スポ4=愛知・明和)とか強い選手がいるので、その選手たちの力を借りながらこれから練習していきたいと思います。
石田康幸(商3=静岡・浜松日体)
――今回の記録会はどのような位置付けでしたか
10日前の早稲田大学競技会の3000メートルは、ずっと調子が悪かったので欠場したので、今回は後半2000メートルを苦しむという意味でこのレースに出て、2週間後の日体大での記録会につながるレースという位置付けでした。
――1万メートルのレースプランをお願いします
8000メートルまで集団でペース走で行って、ラスト2000メートルでフリーというかたちで上げていくレースプランでした。けれど8000メートル手前できつくなって(先頭と)離れてしまったので、プラン通りにいかなかったです。
――ラスト2000メートルの時点で、ゴールまでどのように走り切ると考えていましたか
ラスト3週までちゃんと力をためて、ラスト先頭で勝負したいと考えていたのですが、そこまで力をためることができなくて、今回のようなレースになってしまいました。
――冬の鍛錬期での練習が生かせた部分はありますか
冬の鍛錬期で、ラスト勝負できて後半スパートを磨くということをやっていたのですが、そのスパートまでできなかったので、練習の成果は出ていないなと思いました。
――いまのところ走りの調子はいかがですか
いまのところ6~7割くらいの出来なので、しっかり次の2週間後の日体大の記録会で9割に持っていって、関カレの選手に選ばれて、そこで力を出せるように頑張りたいです。
――今シーズンの目標は
まだエンジを着て勝負できていないので、ちゃんとエンジを着てそこで結果を残すというのが目標です。
藤原滋記(スポ3=兵庫・西脇工)
――きょうのレースを振り返っていかがですか
きょうは前半はペース走でそこからどれだけ上げられるかという、試合というより練習というかたちだったのですが自分の中では29、30分というのを目安にして走って、それをクリアできたので合格点はあげられるかなと思います。
――レースプランはありましたか
前半は楽に入って後半でギアチェンジをし、これからの勝負をイメージしてやっていくというような走りを考えていました。
――今大会の位置付けはどのようなものですか
今月末に日体大で記録会があって、1カ月後に関カレがあるのでその2戦をしっかり戦うためのいま時点での状態の確認というような位置付けで走りました
――では次回のレースは日体大での記録会ということですか
はい、そうですね。きょうのレースは1つの追い込みというかたちだったので残り2週間で感覚を研ぎ澄ませて、日体大でしっかり走って記録を狙いにいくというようなかたちです。
――いまの調子はいかがですか
10日前に3000メートルを走って、今回1万メートルを走って自分で設定したラインではしっかりと走れたので調子はすごく良いというふうに思っています。
――関カレでの目標をお願いします
まずは1万メートルで狙っているのでそれをしっかりと勝ち取るということと、ことしは上級生になるので結果としてチームに貢献できたらいいなと思っています。
太田智樹(スポ1=静岡・浜松日体)
――1万メートル優勝おめでとうございます。きょうのレースの位置付けはどのようなものでしたか
きょうはそんなに調整せず練習の一つの流れとしての試合だったので、前半特に余裕持って引っ張ってもらって、ラスト自分の力がどこまでかというのを試すようなレースでした。
――レース展開について詳しくお聞かせください
前半は余裕を持って集団の流れについていってラストはフリーで良かったのでそこでどれだけ上げられるかというのが自分の中で思っていて、前半余裕を持てていたのは良かったのですが、ラスト少し固くなってしまった部分があるのでしっかりと改善していきたいです。
――上級生のペースメイクはいかがでしたか
すごくコンディションも良くて、先輩たちがうまく引っ張ってくださったのですごく楽に走れて。後半も、思うようには上がらなかったんですけど、上げることはできたので良かったですが、これが1人になったときにどれくらい走れるかというのが駅伝とかにもつながってくると思うので、そういったところもしっかり今後は考えていきたいです。
――先ほど、終盤固くなってしまったとお話がありましたが、具体的にはどのような状態だったのでしょうか
うまく自分の中で余裕が持てなくなって力みすぎて腕が振れなくなってきて脚が前に出てこないというのが、きょうも前回の3000メートルでもあったのでそこはしっかりと改善して2週間後大事な試合があるのでそこで改善させたいと思います。
――大事な試合というのはなんという大会でしょうか
アシックスチャレンジです。
――それはアジアジュニアの選考レースでしょうか
アジアジュニアと世界ジュニアですね。両方を兼ねています。
――次戦での目標タイムや意気込みを教えてください
次の大会はこういった記録会とかでペースメーカーがいる訳ではないのでしっかり勝負にこだわってジュニア世代との勝負なのですがシニア世代もいるのでシニア世代ともしっかり勝負していきたいなと思っています。
――それでは、きょうのタイムについてはご自身ではいかがですか
自分の中で走る前から関カレのA標準29分30秒は切りたいと思っていたので、そこはしっかり切れたので良かったと思います。