長い冬も終わり、いよいよ待ちに待った春を迎えつつある3月6日。ことしもロードシーズンを締めくくるべく東京箱根間往復大学駅伝(箱根)でメンバー入りを果たした石田康幸(商2=静岡・浜松日体)や柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀)、5キロ以上のレースが2年ぶりと話す鈴木洋平(スポ3=愛媛・新居浜西)らワセダの選手12名が日本学生ハーフマラソン選手権(立川ハーフ)に出場した。序盤は冷静に先頭集団についていき様子をうかがうも、後半のペースアップに対応することができず、試合後に多くの選手が悔しさをにじませ、これからのトラックシーズンに向けて課題が残るレースとなった。
「誰一人として先頭集団で勝負できていないのは、今後の駅伝シーズンでも大きく出そうだと思います」(今井開智 スポ3=神奈川・桐光学園)、「全体的に上を目指せる選手が揃っていたのに前でレースを進めることができていなかった」(柄本)。上級生である二人がこう振り返るように、今大会はワセダ全体として良いとは言い難い内容に終わった。序盤の1キロ3分前後のペースにはほとんどの選手が対応し、約50人の大人数で形成される集団で10キロを約30分で通過。しかし、約15キロ地点から先頭集団が仕掛け、ペースを上げるとずるずると後退していく。「自分の実力不足が原因」(鈴木洋)、「全くついていくことができませんでした」(石田)と、誰一人として先頭に食らいつくことができずにそのままフィニッシュ。また、気温の変動が著しく、今井には軽い脱水症状、石田や車田颯(スポ1=福島・学法石川)にはレース途中で脚がつるというアクシデントがあったという。
車田は部内1位とは言え精彩を欠いた
「何か変えなければならない」。こう話したのは今レース出場者で唯一ことしの箱根に出走した光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工)。10キロまでは自分の走りができたと話しながらも、後半に失速しAチーム選手としてチームをけん引する走りはできなかった。またこれが初のハーフマラソンとなる車田は学内1位という結果も「学内トップという成績や順位では全く満足していないです。むしろ(タイムが64分を超えたことに対して)情けないくらいです」と、自身の走りを冷静に分析。大学在学中のマラソン挑戦という目標があるという車田だが、まずはハーフで納得のいく結果を残すことが必要になってくるだろう。
箱根メンバーでありながら苦しい走りとなってしまった光延
レース後に多くの選手が悔しさをあらわにし、課題の残るレースとなった。しかし、これでロードシーズンは終わりを迎え、ここからはトラックシーズンに突入する。まずは、きょう出た課題を春の鴨川合宿で克服することができるか。春以降にさらなる成長を遂げたい姿に期待したい。
(記事 本田京太郎、写真 朝賀祐菜、小川由梨香)
結果
▽ハーフマラソンの部(大学男子)
車田颯(スポ1=福島・学法石川) 1時間4分02秒(23位)自己新記録
石田康幸(商2=静岡・浜松日体) 1時間4分37秒(50位)
柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀) 1時間4分42秒(54位)
今井開智(スポ3=神奈川・桐光学園) 1時間4分50秒(67位)
光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工) 1時間5分27秒(104位)
箱田幸寛(スポ3=広島・世羅) 1時間5分39秒(116位)自己新記録
浅川倖生(スポ3=兵庫・西脇工) 1時間5分49秒(137位)自己新記録
河合祐哉(スポ2=愛知・時習館) 1時間6分40秒(223位)
谷口耕一郎(スポ2=福岡大大濠) 1時間6分53秒(254位)自己新記録
鈴木洋平(スポ3=愛媛・新居浜西) 1時間8分12秒(389位)
清水歓太(スポ1=群馬・中央中教校)1時間8分20秒(399位)
西田稜(政経1=東京・早大学院) 1時間8分57秒(469位)自己新記録
中山智裕(スポ2=長野・佐久長聖) DNS
藤原滋記(スポ2=兵庫・西脇工) DNS
岡田望(商1=東京・国学院久我山) DNS
小澤直人(スポ1=滋賀・草津東) DNS
コメント
今井開智(スポ3=神奈川・桐光学園)
――本日のレースを自己評価していかがですか
10キロぐらいで足が止まってしまって、先頭があまり速くないにも関わらずそこに追いつけなくてそこが自分の弱さだなと思いましたし、そこが課題かなと痛感しました。
――今回のレースの収穫はいかがですか
直前まであまり調子も上がってこなくて大丈夫かなと思ったのですが、10キロまではハイペースで行けたのは収穫かなと思います。でも15キロ地点での大幅な足踏みは今後の課題だと思います。
――本日かなり気温に変動がありましたが、暑さなどはいかがでしたか
気温が上がり、僕自身軽く脱水症状のようになって、意識がなくなりかけてくらくらしてしまいました。
――これからのトラックシーズンへの意気込みをお願いします
今回大した結果が出せなかった分、トラックシーズンでは他大の選手だったり自分たちのチームの選手だったりとも渡り合えるような結果を残していきたいと思います。
――今回のレースのワセダ全体の結果を上級生の立場から見ていかがですか
誰一人として先頭集団で勝負できていないのは、今後の駅伝シーズンでも大きく出そうだと思います。まだまだ力不足かなとも思いますし、それを改善するのが合宿であったりトラックシーズンのトレーニングなのかなと思いました。
柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀)
――今回のレースはどのような意気込みで挑まれましたか
目標は63分30秒で設定していて、最初から積極的にレースを運びつつ後半、1キロのラップを3分02秒から03秒でおしていこうと考えてレースに挑みました。
――唐津10マイルロードレースでは後半でペースが落ちてしまったと振り返っていましたが今回はいかかでしたか
今回も落ちてしまいました。
――今回のレースはスローペースで始まりましたが、いかがでしたか
今大会はトップレベルの選手はあまり出場していなかったので3分前後のペースでレースは進むだろうと予想できていたので、そこは冷静に対応できたと思います。
――自身のレース展開はいかかでしたか
15キロまでは先頭集団の少し後ろで進められていたので唐津からは、だいぶ力的に改善できたかと思うのですけれど、やっぱり15キロでちょっと頑張りすぎた分でラスト5キロがだいぶ落ちてしまったので、そこがこれからの課題になるかと思います。
――逆に収穫があれば教えてください
きつさはあったのですけれど15キロまでフォームを崩すことなく走れていたので、余裕を持って走れていたと振り返れているので、きつくなったところでブレーキをかけずにそのままのペースで維持できればタイムも出せるのではないかと思っています。
――上級生として今回のレースのワセダ全体の結果をどう捉えていますか
力のある選手たちはマラソンや実業団の合宿に参加しているので、ここにいる選手の全員がAチームではないのですけれど、ちょっともう少し期待はしていたかと思います。全体的に上を目指せる選手がそろっていたのに前でレースを進めることができていなかったので、そこは惜しいところです。
――最後にこれからの目標を教えてください
僕自身は関カレ(関東学生対校選手権)でハーフを走りたいと思っていますし、トラックでも自己ベストのタイムが1年生の時のものばかりで、毎年トラックシーズンで調子を崩すことが多いので今回はラストのシーズンでもあるからこそ、しっかり調整してトラックのタイムも更新していきたいと思います。
鈴木洋平(スポ3=愛媛・新居浜西)
――きょうのレースを振り返って
久しぶりに長い距離を走ったということで練習不足が出てしまいましたね。とにかく長かったですね。
――レースプランなどはありましたか
先頭集団につけるとこまでついていこうという感じでした。後半に余裕があれば前に出ていこうと思っていたんですけど、つける距離が予想以上に短かったですね。
――レース展開については
今回のレースは想定していたよりも遅いペースで始まったんですけど、自分の実力不足が原因でそれについていくことはできませんでした。全体的に苦しい展開のレースになってしまいました。
――どれくらいの記録を目指してレースに臨みましたか
うまくはまって63分前半くらいの予定でした。自分の中では63分前半か途中で止まってしまうかだと思っていて、結果的には止まってしまいました。これも良い経験になったと思います。
――見えた課題は
2月から練習を再開したので1カ月しか練習を積めず迎えたレースでした。それでも15キロあたりまでは先頭についていけると思っていたんですけど実際8キロまでしかつくことはできませんでした。練習を継続することの重要性を改めて痛感しましたね。
――逆に収穫はありましたか
とりあえず21キロという距離をしっかり完走できたのでそこは収穫かなと思いますね。
――ことしの東京箱根間往復大学駅伝(箱根)ではメンバー入りがかないませんでした。悔しさや特別な思いなどはありましたか
ことしこそはと思って臨んだ1年間でした。夏合宿後に少しケガをしてしまって、その時は落ち込んだんですけど、箱根に近づくにつれて状態が上がってきて、チャンスがあるかもしれないというところまで来ていました。12月の日本体育大学長距離記録会5000(メートル)に出て自己ベストを更新しましたし。でも、メンバーに入ることができず、もどかしい気持ちというか、自分に対して歯がゆい気持ちが大きかった1年でした。
――最上級生になっていくにあたり、どのような走りをしていきたいですか
今までは先輩の背中を追うだけだったので、後輩が背中を追うような走りをしていきたいですね。
――次のレース予定は
まだ決まってないんですけど、次はトラックレースになると思います。きょうよりは短い距離になってくると思うのでしっかり対応できるように春合宿でしっかりと練習を積んでいこうと思っています。
――脚への不安はまだありますか
やはり脚にはまだ不安があります。それをしっかり克服していって万全の状態で、とりあえずスタートラインに立つことが僕にとって一番の課題だと思っているので次のレースも万全の状態で臨めるようにやっていきたいですね。
――春合宿に向けて、またトラックシーズンに向けての意気込みを教えてください
春合宿に向けてはきょう痛感した距離への耐性の無さというものをみんなよりポイント練習を増やすなどして補っていきたいです。これは合宿中だけのことではなく駅伝に向けてシーズン通して取り組んでいきたいです。トラックレースについては箱根の距離を最終的な目標に掲げて、5000メートル、1万メートル、ハーフマラソンと段階を経て伸ばしていければいいなと思うのと、ハーフマラソンで結果を残すために5000メートル、1万メートルで、それぞれ13分台、28分台は出したいなと思っています。
石田康幸(商2=静岡・浜松日体)
――きょうのレースを振り返って
きょうのレースは全体的にペースが上がっていない中で15キロくらいまでは先頭についていくことができていました。でも、後半に脚が少しつってしまって、そこでペースを上げることができなかったのが本当に悔しいです。
――レースプランなどはありましたか
神奈川マラソンからのこの1カ月ですごく良い練習ができていて、自分の中でもすごく自信があったので先頭についていって上位争いをするというのが今回の目標でした。しかし、結果は全くついていくことができませんでした。
――レース展開については
最初の10キロくらいまでは3分を切ってくるくらいのそんな早くないペースでした。公園に入ってくる13キロ地点くらいから先頭の方は徐々にペースが上がっていって、それについて行かず、自分のペースでいったところがきょうのレースでの重要なポイントだったと思います。
――スローペースな展開については
スローペースで余力を持てて走れているときは得意なんですけど、自分は前半からはやめのペースで攻めていって後半はそれを守っていくっていう方が得意なので、今回は少しやりづらく、あまり良くないレース展開だったと思います。
――見えた課題は
具体的にはまだ分かりません。今回練習がしっかりできていただけにこのレースの結果。自分の中でちゃんと分析できていないのでこの後帰って、ちゃんと考え、これからの合宿で出た課題を克服し、トラックシーズンへ備えたいと思います。
――次レース予定は
まだ決まってはいないのですが3月の終わりか、4月の頭に出場すると思います。その一発目のレースからしっかりと身体を動かしていけるようにこの鴨川合宿でしっかりやっていきたいと思います。
――トラックシーズンに向けての意気込みを
トラックでは5000(メートル)も1万(メートル)も結果を残せていないですし、5000は高校時代のベストのままです。なので、5000は13分台に近いタイム、1万は29分10秒前後には最低でも持っていけるようにしたいですね。
光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工)
――きょうのレースを振り返っていかがですか
きょうのレースは平さん(和真、スポ3=愛知・豊川工)や(武田)凜太郎さん(スポ3=東京・早実)のような主力が走らない大会で、その分Aチームの私たちがこの大会でBチームの選手を勢いづける走りをすることが目的の試合でした。でも、それができなかったということが一番悔しいところです。/p>
――この大会の位置づけは
抜けた4年生の穴を立川ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)でどれだけ下級生が埋められるかというのが重要になった試合で、その穴を埋めるのはまだできていないと感じました。
――今回どのようなことを意識して、レースに臨みましたか
他大もあまり主力が出ていない状態で、先頭集団でレースを進め、上位でゴールするのを目標にしていました。
――うまくいった点や、うまくいかなかった点はありましたか
最初の10キロまではいつも通りレースを進めることができましたが、それ以降足が止まる状態で、自分が思っていたようなレースができませんでした。何か変えなければならないということを改めて感じて、他の選手と一緒のことをやっていても追いつかないので、その倍やっていかなければならないと思いました。
――今季の目標をお願いします
ことしのロードレースはあまり結果を残すことができなかったので、自分が得意なトラックシーズンから勢いをつけて3年生のロードシーズンにいきたいです。
車田颯(スポ1=福島・学法石川)
――きょうのレースを終えての感想を聞かせてください
初めてのハーフマラソンということで63分前半を目標にしていたのですが、人数がすごく多くて仕方がなかったのですがスタートで出遅れすぎてしまったかなという印象でした。また後半に落ちてきた選手を拾っていくという自分のスタイルは体現できたのですが、前回走ったレースが16キロ、10マイルのロードレースだったのでそこ以降が未知の世界で1番の課題となっていたので、そこで足がつってしまって思うように抜かすところを抜かせなかったり逆に抜かし返されてしまったりしたところが非常にもったいないレースだなと思いました。
――きょうのレースは全体としてスローペースな印象でしたが、その点はどのように感じられましたか
今回のレースは他大も主力の選手をあまり出してきていなかったので、タイムは63分を目標にとは言いましたが、そこよりも勝ち切ることを意識してレースを進めたいと思ったのでそこを実践できなかったのは残念です。
――先ほどスタートで出遅れてしまったとおっしゃっていましたが、レース中にトップの選手に仕掛けにいったりはしましたか
中間点を過ぎて公園内のコースに入ってきたところで先頭集団と一番差を詰められたのですが、そこから公園内のアップダウンで少し自分のペースを乱してしまいうまく詰められませんでした。あとは前半出遅れてしまったところに対して20キロ、21キロという長い距離でみんなのペースが落ちる中でいかに焦らず自分がペースを維持できるかというのは今後のハーフマラソンでもっとペースが上がって高みを目指すような試合のときでも生きると思うので、そこだけはしっかりまとめようと意識で、特に10キロ前後は落ちてくる人は落ちてくるのでそこでしっかり抜かしにいくのではなくて落ちてきた人を拾っていく意識をもってどれだけ走れるかを大事にしました。
――きょうは部内1位の成績を収められましたが、その点についてはどのようにお考えですか
今回のレースは各大学主力を配置してくる試合ではなく、学生全体でトップをいくくらいでないと満足できないレースということはスタートする前から分かっていたので、学内トップという成績や順位では全く満足していないです。むしろ情けないくらいです。数字にしても64分を超えてしまった時点で高評価できる点はまずないので、そういうところはもっと自分に厳しくやっていきたいです。
――きょうは他のワセダの選手も力を出し切れなかった印象ですが、ワセダ全体の結果はどのように捉えていますか
確かに出し切れなかったところがあるのは事実ですしそこは僕としても残念なのですが、全体的に結果が良くないにしろ一番良かった僕でも良くなくて、悪かった人はとことん良くない展開になってしまっているので、全体的に悪いレースだったなりにもそれぞれが結果を出すというのは最低限必要なのではないかと思いました。
――改めて初めてのハーフマラソンを経験されての課題は何か見つかりましたか
僕は早大競走部で練習をさせていただいてもうすぐ1年になるのですが、そのうち前半の半年間はほとんど走れていない状況が続いてしまっていて、後半の半年間の練習を経て本日ここまで至っているわけですが、やはり人の半分しか練習や試合を経験していない分自分には経験がまだまだ足りないので、これから訪れるチャンスをものにしていけるようにやっていくのがこれからの課題です。今後ハーフマラソンにとどまらず大学在学中にマラソンを経験したいと思っているので早くハーフでまとまった結果を出せるようにしたいと思います。
――ご自身の走りについての課題は何か見つかりましたか
ペースを落とさずに長い距離を走るのが自分の強みだと思っているので、今回はスローペースから自分のペースを維持するかたちになりましたが、これからトラックシーズンに入ってスピードの速い練習が続いていくと思うので速いペースをどれだけ保てるかという練習を積極的に取り入れていけたらいいと思っています。
――今後の目標や意気込みを聞かせてください
これで1年目のロードシーズンが終わるということでこれからトラックに移行していかなければならないのですが、ロードシーズンを走り切って疲れはあると思いますが長い距離で勝負するのにできるだけ早く鍛錬に入れるようにまずはしっかり休んで、またケガをして練習をできなくなったり試合に出るチャンスを失ったりすることがないようにしっかり自分のケアに努めていきたいです。