新体制で迎える駅伝シーズンへ向け始動

陸上競技

 出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)まで一週間となり、いよいよ開幕を迎える駅伝シーズン。早稲田大学長距離記録会には、出雲のエントリーメンバーを除く選手を中心に5000メートルと1万メートルに分かれレースに挑んだ。男子5000メートルでは河合祐哉(スポ2=愛知・時習館)が自己ベストを更新。男子1万メートルでは永山博基(スポ1=鹿児島実)がトップでゴールした。

 まず行われた男子5000メートルでは三井泰樹(人4=山形東)が先頭を引っ張る。最初の1000メートルは3分を切るペースで入り、その後も安定したペースでレースを作った。2500メートルを過ぎたところで集団は徐々に絞られ、三井を含む5選手が先頭集団を形成。レースが動いたのは残り2周となったところであった。序盤から集団の中でレースを進めていた河合が一気にペースを上げる。三井、柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀)の2人も必死に食らいつこうとしたが、河合のペースアップについていくことができない。ラスト一周は70秒を切るペースで走り切った河合は14分34秒91と自己ベストを更新した。しかし「タイムに関しては少し満足できない」と目指していた記録には及ばなかったようだ。

自己ベストをマークした河合

 続いて行われた男子1万メートルでは序盤、箱田幸寛(スポ3=広島・世羅)がレースを引っ張る。しかしなかなかペースは上がらず3000メートルを過ぎたところで永山が前に出た。その後集団は永山、中村駿介(社4=愛知・岡崎城西)、石田康幸(商2=静岡・浜松日体)の3人となり交代で先頭を引っ張る展開に。8000メートル過ぎまで3人で先頭争いを繰り広げたが、ラスト4周で永山がスパートをかけると後続は徐々に離れた。そのまま永山が1着でゴールし、2着には自己ベストを更新した石田康が入る。3月に行われた日本学生ハーフマラソン選手権以来のレースとなった石田康は「復帰できてほっとしている」と安心した半面、ラストの切り替えができず課題も残るレースとなった。

積極的なレースを展開した永山と、自己記録を更新した石田康(左)

 今大会では両レースで下級生がトップを取り、上級生にとっては悔しい結果となったであろう。しかし相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)のもと初めて迎える駅伝シーズンは目前に迫っている。新体制で挑む開幕戦では総合力で5年ぶりの栄冠を手にしたい。

(記事 戸田郁美、写真 菅真衣子、須藤絵莉)

結果

▽男子5000メートル1組

河合祐哉(スポ2=愛知・時習館)   14分34秒91(1着) 自己新記録

三井泰樹(人4=山形東)       14分43秒12(2着)

柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀)    14分45秒20(3着)

岡田望(商1=東京・国学院久我山)  14分49秒99(4着)

西田稜(政経1=東京・早大学院)   15分01秒06(5着) 自己新記録

中山智裕(スポ2=長野・佐久長聖)  15分01秒35(6着)

川村裕幹(基理3=和歌山・桐蔭)   15分15秒96(7着)

井上翔太(スポ1=愛知・千種)    15分51秒60(10着)

山内敬仁(先理1=熊本)       16分03秒82(11着) 自己新記録

谷口耕一郎(スポ2=福岡大大濠)   DNS

小澤直人(スポ1=滋賀・草津東)   DNS

▽男子1万メートル1組

永山博基(スポ1=鹿児島実)     29分41秒31(1着)

石田康幸(商2=静岡・浜松日体)   29分47秒94(2着) 自己新記録

中村駿介(社4=愛知・岡崎城西)   29分53秒78(3着)

今井開智(スポ3=神奈川・桐光学園) 30分16秒25(4着) 自己新記録

清水歓太(スポ1=群馬・中央中教校) 30分24秒15(5着) 自己新記録

前野陽光(スポ4=神奈川・多摩)   30分39秒88(6着)

箱田幸寛(スポ3=広島・世羅)    31分18秒74(7着)

コメント

石田康幸(商2=静岡・浜松日体)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

きょうは合宿明け1週間後ということで、少し疲労もある中でした。出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)が来週あって、メンバーから外れた僕たちはその悔しさと、選ばれたメンバーに刺激を与えられるような走りをするということを目標にしていたのですが、ちょっと納得のいかない走りになってしまいました。

――具体的なレースプランはどのようなものを考えていましたか

1周70〜71秒のペースで楽に8000(メートル)までいって、ラストをしっかり切り替えるというレースが目標だったのですが、それが全くできていなかったので、課題の残るレースとなりました。

――日本学生ハーフマラソン選手権以来のレースとなり自己ベストも更新されましたが、現在のご自身の調子はいかがですか

春から3カ月くらいケガをしていて、7カ月ぶりのレースとなりました。1万(メートルのレースに出場すること)も2回目で結構不安もあったのですが、最低限のタイムは出せたので、復帰できてほっとはしています。

――後半は永山博基選手(スポ1=鹿児島実)と中村駿介選手(社4=愛知・岡崎城西)と三人でのレースとなりました

1年生の永山に長い間引っ張ってもらっていて、やっぱり上級生の自分が前に出ずに後半2キロも粘れなかったので、そこは反省して次に生かしたいと思います。

――夏合宿ではどのような練習をされていたのですか

2次合宿まで自分は最初Cチームから上がっていって、2次合宿からはBチームに上がって練習を積んで、最後の岩手ではAチームで過ごしました。最後の合宿となった岩手では実戦の練習が多い中で、Aチームの人たちの最後のスピードというところにまだついていく力がないことが分かったので、これからレースが続く中でうまく調整というか、レースをやっていく中で力をつけていくようにやっていきたいと思います。

――ご自身がこのチームで練習している中で、調子が良いと感じる選手はいらっしゃいますか

最後の合宿では武田凜太郎さん(スポ3=東京・早実)や佐藤淳さん(スポ3=愛知・明和)がすごくチームを引っ張って良い走りをしていて、特に同級生の安井(雄一、スポ2=千葉・市船橋)と藤原(滋記、スポ2=兵庫・西脇工)も夏を越えてすごく力をつけて、やっぱり自分がどんどん差をつけられてしまっているという状況なので、調子良い選手の動きというものを見て参考にして、しっかりやっていきたいと思います。

――これから始まる駅伝シーズンに向けて意気込みをお願いします

去年は全部走れていませんし、特に箱根(東京箱根間往復大学駅伝)ではメンバーからも外れてしまったので、ことしは必ず箱根の10人に入るという強い気持ちを持って臨みたいと思います。

河合祐哉(スポ2=愛知・時習館)

――レースプランはどのように考えていましたか

天候も良かったので、自己ベストを出せるようについていって、自信のあるラストでしっかりあげられるようにと思っていました。ラスト1000メートルを切ってから勝負だと思って走りました。

――ラスト2周で前に出ましたが、予定通りでしたか

ラスト1000メートルを切って自分のタイミングで(ペースを)上げていけたらと思っていたので予定通りでした。

――自己ベストを更新しましたが、目標のタイム通りでしたか

出来ればもう5秒から10秒速くいきたいと思っていたので、タイムに関しては少し満足できないです。最低でも自己ベストだと思って臨んだのですが、タイムに関してはもう少しいきたかったです。

――早大対関学大対校大会(早関戦)では暑い中でのレースでしたが、振り返っていかがでしたか

早関戦は勝つことが大事で、相手は自分よりも自己ベストが上の人たちでした。自分の自信のあるラストでしっかり勝負し、とにかく勝つことだけを考えていました。タイムに関してはきょう出すことができればと思っていました。

――夏合宿で成長できた点はありますか

8月から1次、2次、3次と3回やってきましたが、どの合宿もAチームで練習することができませんでした。自分の中で1次、2次と少しずつうまく練習ができていると感じました。それがある程度今回の結果に表れたのではないかと思います。

――1年目の合宿と比べていかがでしたか

高校時代の練習量が少なかったので、走ってついていくのが精一杯という感じでしたが、今回は計画的に距離やスピード面を強化できたので良かったと思います。また練習の中でも余裕があるところで前に出たり引っ張ったりすることができるようになりました。

――駅伝シーズンに向けて意気込みをお願いします

自分の今の実力ではメンバーに入ることがタイム的に厳しいですが、再来週もレースがありその後も続くので、一つ一つのレースで自己ベストを出したり、上のチームに挑んでいくという気持ちを強く持って、最終的にはことし箱根のメンバーに絡めるような走りをしていきたいと思います。

永山博基(スポ1=鹿児島実)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

きょうのレースは60点くらいかなというレースでした。合宿明けでその成果を出したかったのですけれど、今の自分の力はこれくらいなのかと把握できたのでそこはよかったと思います。

――事前にどのようなレースプランを考えられていたのですか

29分20秒前後というタイムを設定していて、そのくらいのペースで行こうと思っていました。(1周)70秒で中盤までは行けたのですが、やはり後半はきつくなったところを考えるとまだまだ力が足りないのかなと思います。

――3000から4000メートルにかけて自らペースを上げられましたが、この点は意図した通りという感じだったのでしょうか

そういう訳ではなくて、少しペースが遅かった中で最低でも70(秒)くらいではずっと行きたいと思っていたので自分から出ました。

――一方で先ほどご自身からもあったように6000メートル過ぎでタイムが落ち込んでしまいましたが、この点に関してはどのように考えられていますか

合宿の途中でいろいろとあり、8割ぐらいの仕上がりでしたがきょうのレースに出ることとなりました。やはり70秒くらいで押して行けるくらいにはなっていかないといけないなと思います。

――駅伝を視野に夏合宿に臨まれたと思いますが、大学での初の夏合宿は振り返られていかがでしたか

夏は結構充実していたのですけれど、できた反面夏で満足してはいけないなと思い、その成果をこの後の出雲、全日本(大学駅伝対校選手権)で結果として表せるようにしたいなと思います。

――きょう走る中で何か夏の成果を感じられたところはありましたか

いまの段階ではまだまだなのですけれど、これから仕上がっていくと思うのでこれからですかね。

――永山選手から見て現在チームで調子が良いなと思う選手はどなたかいらっしゃいますか

武田さんや佐藤さんはそうだと思います。

――最後に駅伝シーズンへの抱負や目標をお願いします

1年目ということでずっと目標にしてきた三大駅伝なので緊張もあるのですけれど、それ以上に楽しみが大きいので出場できるように頑張って、三冠を目標にしているのでチームに貢献できる走りというか、とにかく頑張りたいと思います。