4年生の2人が自己ベスト更新

陸上競技

 長距離のトラック種目で思うような結果が残せなかった関東学生対校選手権から2週間。今大会はBチームの選手を中心に全日本大学駅伝対校選手権(全日本)の予選会に向けてチームを勢いづけるべくそれぞれが好記録を目指した。9組に登場した前野陽光(スポ4=神奈川・多摩)がまず自己ベストを更新すると、10組でも藤岡孝彰(商4=東京・早実)が記録を更新。これまで駅伝の出場経験がない4年生が好調さをアピールした。

 9組でレースを引っ張ったのは清水歓太(スポ1=群馬・中央中教校)。想定していたレースではなかったものの2000メートル過ぎまで先頭に立ち集団をけん引。目標のタイムには届かなかったが、積極的な走りは大きな経験となったはずだ。一方、集団の中で落ち着いたレースを見せたのは前野。4000メートルまでは予定通りのペースで進み、タイムを確認すると徐々に前に出る。「ラストで競り負けてしまったところが悔しかった」と満点のレースではなかったものの14分24秒09で自己ベストを更新した。

落ち着いた走りを見せた前野

 10組に出場した藤岡は集団の真ん中でレースを進める。大きな集団となり途中走りにくさも感じたというが、焦ることなく集団の中でうまくレースを運ぶ。その後3000メートルを過ぎたあたりから集団が分かれ始めるが、離れることなく前に付きスパートの機会をうかがった。ラスト400メートルでペースが上がると必死に前を追い、5着でフィニッシュ。4月の平成国際大学長距離競技会で出した自己ベストをさらに更新し、14分23秒25を叩き出した。

冷静な走りで自己記録を更新した藤岡

 上級生の主力に故障が目立ちチームとしては不安の残る中、その思いを消し去るような快走を見せた前野と藤岡。今回の結果に関してそれぞれ高く評価したが、「1万メートルで納得のいくタイムが出せていない」(藤岡)とすでに3週間後の全日本大学駅伝対校選手権の予選会を見据えている。大学三大駅伝で戦うためには、まずこの予選を突破しなくてはならない。チーム一丸となって前半シーズンの大きな山場を戦い抜けるか。

(記事 戸田郁美、写真 須藤絵莉、菅真衣子)

★約1年3カ月ぶりのレースで、鈴木洋が復活!

復帰戦で自己ベストを出し、ガッツポーズを見せた鈴木洋

 2014年3月に行われた日本学生ハーフマラソン選手権に出場して以来、レースから遠のいていた鈴木洋平(スポ3=愛媛・新居浜西)。ケガからの復帰戦として、世田谷競技会の男子3000メートルに出場した。外国人選手や前田悠貴OB(平25スポ卒=現Honda)を中心に高速レースが展開される。2000メートル過ぎには少し集団から離れるも、必死に食らいつき8位でフィニッシュ。約15カ月ぶりのレースで自己ベストをたたき出し、ガッツポーズを見せた。ずっと練習もできず陸上を離れていて、何度もくじけたこともあったという鈴木洋。「お世話になった皆さんに感謝の気持ちとして、結果で表せたのは嬉しかった」と笑顔で喜びを語った。しかし自己記録を更新したからといって、満足しているわけではない。「自己ベストを出したからといって、まだ自分は駅伝に絡めない立場だと思うので、次はタイムを求めたい」。これまで支えてくれた人々への感謝を込め、さらなる飛躍を求め走り続ける。

(記事 八木瑛莉佳、写真 須藤絵莉)

結果

▽男子3000メートル

山内敬仁(先理1=熊本)       9分11秒49(4組14着) 自己新記録

西田稜(政経1=東京・早大学院)   8分43秒97(5組1着) 自己新記録

井上翔太(スポ1=愛知・千種)    9分11秒19(5組12着) 自己新記録

前田悠貴OB             8分14秒28(6組2着)

鈴木洋平(スポ3=愛媛・新居浜西)  8分24秒80(6組8着) 自己新記録

▽男子5000メートル

箱田幸寛(スポ3=広島・世羅)    14分39秒39(8組5着)

大島遼太郎(スポ3=茨城・下妻一)  14分41秒99(8組12着)

河合祐哉(スポ2=愛知・時習館)   14分45秒27(8組15着)

川村裕幹(基理3=和歌山・桐蔭)   14分49秒91(8組17着)

柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀)    14分54秒76(8組19着)

鈴木皐平(教2=愛知・時習館)    15分31秒11(8組34着)

前野陽光(スポ4=神奈川・多摩)   14分24秒09(9組3着) 自己新記録

清水歓太(スポ1=群馬・中央中教校) 14分42秒42(9組15着)

今井開智(スポ3=神奈川・桐光学園) 14分53秒42(9組21着)

藤岡孝彰(商4=東京・早実)     14分23秒25(10組5着) 自己新記録

中村駿介(社4=愛知・岡崎城西)   14分28秒99(11組26着)

▽女子3000メートル

堀明日香(スポ2=広島・世羅)    10分04秒91(1組1着)

コメント

藤岡孝彰(商4=東京・早実)

――自己ベスト更新おめでとうございます

ありがとうございます。

――今回のタイムについてはいかがですか

今回は調整をしないでレースに出て、その中で大幅に自己ベストを更新できたので、力がついてきているのを実感し、自信になりました。

――レースプランについてはどのように考えていましたか

コーチ(駒野亮太長距離コーチ、平20教卒=東京・早実)から3000(メートル)まではゆとりを持っていって、そこからペースを上げろと言われていたので、その通りにレースを展開できたのでそれも良かったと思います。

――途中集団の内側に入り、走りにくそうに見えましたが

走りにくいというのはあったのですが、その中で落ち着いて走ることができたので良かったです。

――課題は見つかりましたか

1万メートルで納得のいくタイムが出せていなく、長い距離に自信がないです。次の全日本(全日本大学駅伝対校選手権)の予選が1万メートルなので、これから距離にも適応できるように、頑張っていきたいです。

――全日本予選に向けて意気込みをお願いします

必ずチーム一丸となって1位で余裕のタイムで通過できるように頑張っていきたいです。

前野陽光(スポ4=神奈川・多摩)

――自己ベストおめでとうございます

ありがとうございます。

――今回の結果は満足されていますか

8、9割ほど満足しています。

――残り1割のマイナス点とは

ラストで競り負けたところが悔しかったです。

――どのようなレース展開を予想されていましたか

ペースは実際のレース通りと予想していましたし、4000メートルを11分35秒ほどで通過しようと思っていて、本当にぴったりそのタイムで通過したので、ちょうど良かったかなと思っています。ただラストもう少し動けば良かったかなという感じです。

――来月には全日本予選も控えていますが、チーム状況はいかがですか

Bチームの最上級生で、特に今回走った3人は元気があり、Aチームに対しても刺激を与えられているかなと思っています。それでAチームも特に上級生に元気があって、ケガ人もいますが緊張感を持って練習できていると思います。

――全日本予選に向けて意気込みはありますか

ラスト一年なので自分も走る気満々でいます。とにかくチームに貢献したいですね。一着取って少しでもチームに流れを与えられたら良いなと思っています。

――今後改善していきたい点などはありますか

今回の5000メートルを走って思ったのですが、具体的にスピードがまだ他の速い選手に比べて、足りていないかなと思いました。そこを改善して(全日本)予選に向けて良い準備ができていければなと思っています。

――今季の目標をお願いします

とにかくもうラストなので箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝)ひとつだけです。

鈴木洋平(スポ3=愛媛・新居浜西)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

本当に久しぶりのレースだったので、行けるところまで前について、楽しもうと思っていました。そうしたら自己新記録が出てしまったという感じです。

――復帰戦で見事自己ベストを更新されました

自分のベスト(タイム)を忘れるくらい休んでしまっていました。(今回自己ベストを更新したことは)まぐれかなとも思っているのですが、自己ベストを出したからといって自分は駅伝にもまだ絡めない立場だと思います。自己ベストに関係なく、次のレースはタイムを求めて頑張っていきたいです。

――ケガで1年以上レースに出られない日々が続きましたが

ずっと練習もできず陸上を離れていて、何回もくじけたこともありました。ですがいろんな人が支えてくれたり、同期だったり先輩方が声を掛けてくださって、何とか帰って来ることができました。皆さんがいないと、自分はもう一度この場に帰って来ることはできなかったと思いますし、お世話になった皆さんに感謝の気持ちとして、結果で表せたのは嬉しかったです。

――今季の目標をお願いします

まだ復帰して間もないので、夏まではゆっくりやらせてもらって、出雲駅伝から駅伝メンバーに絡めるように頑張っていきたいです。

――次のレース予定はありますか

次の具体的な出場レースはまだ決まっていませんが、夏前に5000メートルを1本走って、14分10から20(秒)くらいを目安にして、やっていきたいと思います。

清水歓太(スポ1=群馬・中央中教校)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

タイムは全然駄目だったのですが、最初自分で引っ張って、いままでよりは良い感じに走ることができました。タイム的にはマイナスですけど、個人的にはプラスのところもあったかなと思います。

――きょうのレースプランは

最初(集団の前に)出るつもりはなくて、中盤くらいで様子を見てしっかり勝負どころでスパートを仕掛けるつもりでした。でも(前に)出てしまって、そこからちょっとプランが崩れてしまったので、そこは良くなかったかなと思います。

――目標タイムはどれくらいでしたか

14分20(秒)を目標にしていたのですが、途中粘れなかったので、なかなか(達成することが)できなかったです。

――先ほどプラスの点もあったとおっしゃっていましたが、具体的にはどのような部分でしょうか

レースプランとは違ったのですが、最初に思い切って引っ張って、2000(メートル)までですけど、それなりに良いペースでいけたのでそこはプラスだったかなと思います。

――次のレースのご予定は

まだ言われてないです。全日本予選の練習に合流できれば出場できるというかたちなのですが、まだ発表されていないので、いまのところ未定です。

――今後の目標と意気込みをお願いします

まだ調子が上がり切っていないので、夏を経てしっかり体をつくって、駅伝でAチームを脅かすことができるように、そして(駅伝に)出場できるように頑張りたいと思います。