栄冠へ向け始動!(関カレ1、2日目)

陸上競技

 ことしも関東学生対校選手権(関カレ)が開幕した。例年とは異なる4日間連続での開催で、選手たちは非常に過密なスケジュールを戦い抜かなければならない。今季はトラック優勝、多種目優勝を掲げている早大。ルーキー古谷拓夢(スポ1=神奈川・相洋)が早速表彰台へ上るなど、対校得点を着実に積み重ねている。前半2日間を終えた段階での男子トラック部門は2位で21点を獲得。後半戦では現在6点差で首位を走る日大を追い抜くことができるか、注目が集まる。

★上原、2年ぶりの表彰台!

表彰式で笑顔を見せた上原

 女子棒高跳びには上原あずさ(教4=埼玉・不動岡)が出場。今大会出場者の中ではトップの記録を持っており、優勝を目指し挑んだ。3メートル30から試技を始め、焦ることなく二回目でクリアーする。その後一回で跳べない状態が続いたものの確実に成功させバーの高さは3メートル70に。5名が残り跳ぶことができれば表彰台に大きく近づく勝負どころであった。これまで以上に集中力を高め助走に入り、見事に一発で成功。仲間に向かって何度もガッツポーズで笑顔を見せた。次の高さの3メートル75は一度失敗したあとパスを選択。バーは3メートル80に上がり、残された2回のチャンスに優勝の望みを託した。しかし力みが見られ、2回とも失敗。優勝は逃したものの最後の関カレで2年ぶりに表彰台に上り、笑顔を見せた。

 今季は初の日本グランプリシリーズである織田幹雄記念国際大会を経験するなど、着実に成長している姿を見せてきた。跳躍ブロックを盛り上げるべく、さらなる高みを目指す。

(記事、写真 戸田郁美)

★対校戦デビューで7位入賞

初の関カレで入賞した仲野春

 女子走幅跳決勝には仲野春花(スポ1=福岡・中村学園女子)と、内之倉由美(スポ1=鹿児島・甲南)のダブルルーキーが登場。初の対校戦となった仲野春であったが、緊張を感じさせない和やかな表情で試技に挑む。1回目の跳躍を難なく成功させると、続く2回目では5メートル87をマークし、ベスト8に名を連ねる。その後の跳躍ではファウルを連発してしまい記録を伸ばすことはできなかったが、7位入賞という華々しいデビューを飾った。一方、先月の兵庫リレーカーニバルで一足先にエンジを身にまとった内之倉は、前戦の不調から脱却するべく今大会に臨んだ。1回目の跳躍ではミスをしてしまうも、その後は落ち着いた跳躍を披露し、着実に記録を伸ばしていく。だが惜しくも上位に残ることはできず、5メートル78の10位で競技終了となった。6メートル16の自己記録を持つ内之倉にとって、今回の結果は決して満足のいくものではないはずだ。仲野春と内之倉は昨年の高校総体で共に入賞を果たした実力者。かつてライバルであった両者は、今後チームメイトとして互いに刺激し合っていくことになる。彼女たちの活躍で、早大女子部員の存在をさらに知らしめてほしい。

(記事、写真 菅真衣子)

★力不足を痛感

後半、苦しみながらも追い上げた安井

 日が沈み競技場内の照明が灯り始めたころ、男子1万メートルが行われた。早大から出場したのは安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)、中村信一郎(スポ4=香川・高松工芸)の二人。日中高かった気温もいくらか引き、コンディションは良好であった。しかしそれとは対照的に、選手達には厳しい結果が突きつけられる。中村信は4000メートルまで先頭集団につき、冷静にレース運びをしているかに見えたが、日大のキトニーらが作るペースに対応できず後退。8000メートルを過ぎた時点で周回遅れとなり、23位で無念のフィニッシュとなった。安井はスタートから後方でレースを進め、1つずつ順位を上げようとするも前を追いきることができない。差は開く一方で、持ち味の積極的な走りを見ることはなかった。辛くも30分を切ったが結果は15位。両者共に昨年度は大学三大駅伝を経験し、早大の主力となるべき選手たちである。残るトラックシーズン、そしてその先にある駅伝を見据えた時、この内容では他校と競り合うに不十分だ。険しい表情で顔をうつむかせた2人だったが、この悔しさを糧として、一歩ずつ前進していかなくてはならない。

(記事 平野紘揮、写真 杉田陵也)

★入賞逃すも、自己ベスト更新!

大舞台で自己記録を更新した根岸

 男子走幅跳決勝には対校戦初となった根岸勇太(スポ1=千葉・成田)が出場。1回目の跳躍では6メートル67をマークするも、強風に見舞われ参考記録に。続く2回目では7メートル8と記録を大きく伸ばした。ベスト8に残るためにはさらなる好記録が求められる。迎えた3回目は助走からスピードに乗り、思い切った跳躍を披露。7メートル42とまたもや前回の記録を上回り、自己ベストも塗り替える。しかし大会新記録が出るなど非常にハイレベルな戦いが繰り広げられた今大会。入賞にあと一歩及ばず、13位とまずまずの結果に終わった。だが終始冷静な跳躍でミスをすることなく競技を終えた根岸。関カレという大舞台で自己記録を更新したことは、良い収穫となったはずだ。大会初日に行われた女子の同種目でもルーキーが躍動するなど、新戦力が加わり盛り上がりをみせている跳躍ブロック。より一層フィールド勢が成長していくためにも、彼の存在は欠かせないであろう。今大会での経験を糧に、次戦では記録とともに表彰台も狙いたい。

(記事、写真 菅真衣子)

★古谷、ルーキーながら3位!

自己記録に迫るタイムで表彰台に上った古谷

 男子110メートル障害に出場したのは竹吉大記(スポ3=千葉・市船橋)、野本周成(スポ2=愛媛・八幡浜)、古谷拓夢(スポ1=神奈川・相洋)の3人。準決勝では竹吉、野本があと一歩のところで決勝を逃し、唯一決勝に残ったのは古谷。高校総体チャンピオンとしてその力を遺憾なく発揮した。スタートの合図で勢いよく飛び出すと序盤はトップ争いを繰り広げる。恐れを知らないルーキーが初の関カレで健闘するが、上級生も簡単には勝たせてはくれない。昨年、日本選手権を制した増野元太(国際武道大)が後半に加速すると頭一つ抜け出す。古谷は優勝こそ逃したものの、堂々の3位入賞。タイムも自己ベストに迫る13秒87であった。

 先日の静岡国際大会から好調をキープし臨んだ今大会。また一つ大きな経験を積み、ハードル界の新星はこれからどのような夢を見せてくれるのだろうか。

(記事 戸田郁美、写真 菅真衣子)

★好調保つ木村が初の決勝で4位入賞!

関カレでは初となる400メートル決勝で4位となった木村

 男子400メートルでは木村賢太(スポ4=大分・杵築)が実力を発揮した。準決勝で46秒34の好タイムで自己ベストを更新。大きな弾みをつけて、関カレの400メートルで自身初となる決勝の舞台へ駒を進めた。緊張の立ち上がりではスタートが思うように決まらず、レースの流れを引き寄せることができない。浮上のきっかけがつかめないままにレースは中盤を過ぎるも、木村はここから一気にギアを上げる。コーナーを利用し瞬く間に順位を上げると、一時は表彰台圏内に。ゴール前の大混戦で惜しくも再び順位を落としたが、堂々の4位でフィニッシュラインを越えた。

わずかにトップ3には届かなかった。しかしルーキーイヤーの昨年優勝に輝いた加藤修也(スポ2=静岡・浜名)を欠く中で、4年生の意地を見せて対校得点を獲得。自らの好調さを見せ付けるとともに、このあと出場が予定される男子200メートルへ確かな手応えをつかんだ。

(記事 三井田雄一、写真 戸田郁美)

★橋元、100メートルで関カレ初のメダル獲得

関カレで初めてメダルを獲得した橋元

 この男の勢いは誰にも止められない。男子100メートルには今季好成績を残している橋元晃志(スポ3=鹿児島・川薩清修館)が出場。その好調ぶりはこの日も続く。予選でいきなり10秒29の自己ベストをマークし、全体トップのタイムで準決勝へ駒を進めた。準決勝ではスタートこそ出遅れたものの、後半で一気に加速する。隣のレーンを走るケンブリッジ飛鳥(日大)に0.02秒差に迫る10秒34の好走を見せ2位でフィニッシュ。着順で決勝進出を決めた。迎えた決勝は今種目で最も注目を集めていた桐生祥秀(東洋大)の欠場により、実力が拮抗(きっこう)したレースとなった。まずまずのスタートを切ると全選手が横一線に並ぶ大混戦に。ほとんど差がつかないまま全員がゴールへとなだれ込んだ。ラストでケンブリッジと長田拓也(法大)に惜しくも交わされるも、10秒38を記録し3位入賞を果たす。シーズンが開幕してから快進撃を続ける橋元。早大のエースが、自身初となる関カレの100メートルでついに表彰台に上った。

(記事 藤川友実子、写真 三井田雄一)

★健闘及ばず、5位に終わる

予選タイムを上回ったものの、5位に終わった早大

 4×100メートルリレー(4継)を走っていた昨季の最上級生が抜け、新体制で挑んだ今大会。予選では全体2位のタイムとなる39秒11をマークする。「まだまだ伸びしろがあると感じた」北村拓也(スポ4=広島皆実)が語った通り、手応えをつかむことができた。メンバーチェンジを経て、ついに迎えた決勝。1走・北村、2走・永沼賢治(スポ4=大分舞鶴)の最上級生コンビで流れをつくろうと必死で前を追いかける。しかし各校の実力者たちが集う関カレ。徐々に他校のエースらと差が広がってしまう。後続が粘りの走りを見せるも、健闘及ばず5位でフィニッシュ。永沼は「最低限の仕事はしたかなと思うのと同時に、5番というのはすごく悔しい」と今回の結果に無念さをにじませた。昨シーズンは関カレ、日本学生選手権、日本選手権リレーで無冠に終わった4継。その雪辱を果たし『リレーの早大』を復活させるべく、残る大会で頂点を狙いにいく。

(記事 八木瑛莉佳、写真 藤川友実子)

結果

1日目

▽男子100メートル予選

橋元晃志 10秒29(+0.4)(1組1着) 自己新記録

北村拓也 10秒62(+0.5)(2組4着)

永沼賢治 10秒64(+0.9)(4組5着)

▽男子400メートル予選

木村賢太 47秒51(2組2着)

愛敬彰太郎(スポ3=三重・桑名) 47秒35(3組4着)

佐藤拓也(スポ4=埼玉・越谷西) 47秒55(5組4着)

▽男子1500メートル予選

廣出和樹(教3=愛知・豊丘)    4分00秒85(1組11着)

小澤直人(スポ1=滋賀・草津東)  3分53秒76(2組6着)

池山謙太(スポ3=新潟・長岡大手) 3分51秒97(3組8着)

▽男子1万メートル決勝

中村信一郎 29分11秒29(8位)

安井雄一  29分39秒01(15位)

▽男子110メートル障害予選

竹吉大記 14秒50(+1.2)(2組3着)

野本周成 14秒33(+0.1)(3組2着)

古谷拓夢 13秒93(+2.1)(4組1着)

▽男子4×100メートルリレー予選

早大(北村-永沼-橋元-徳山) 39秒11(1組2着)

▽男子やり投決勝

剱持優太(スポ4=神奈川・小田原) 62メートル84(19位)

▽男子3部100メートル決勝(+0.4)

竹井尚也(平26スポ卒=現東大大学院)10秒72(2位)

欠畑岳(早大大学院1=岩手・盛岡一) 10秒73(4位)

▽女子棒高跳決勝

上原あずさ 3メートル70(2位)

▽女子走幅跳決勝

仲野春花  5メートル87(+0.7)(7位)

内之倉由美 5メートル78(+0.7)(10位)

2日目

▽男子100メートル

準決勝

橋元晃志 10秒34(+0.8)(1組2着)

決勝

橋元晃志 10秒38(+1.0)(3位)

▽男子400メートル

準決勝

佐藤拓也 47秒79(1組8着)

木村賢太 46秒34(2組4着) 自己新記録

決勝

木村賢太 46秒72(4位)

▽男子110メートル障害

準決勝

古谷拓夢 14秒02(-0.2)(1組1着)

野本周成 14秒36(-0.2)(1組5着)

竹吉大記 14秒30(+1.2)(2組5着)

決勝

古谷拓夢 13秒87(+1.0)(3位)

▽男子3000メートル障害予選

岡田望(商1=東京・国学院久我山) 9分08秒25(1組6着)

鳥山賢(教4=岡山城東)      9分32秒66(1組15着)

三浦雅裕(スポ4=兵庫・西脇工)  9分21秒89(2組10着)

▽男子4×100メートルリレー決勝

早大(北村-永沼-竹吉-徳山) 39秒60(5位)

▽男子走幅跳決勝

根岸勇太(スポ1=千葉・成田) 7メートル42(+1.8)(13位) 自己新記録

▽男子1部対校トラック得点(15日終了時点)

1位 日大    27点

2位 早大    21点

3位 中大、法大 20点

▽男子1部対校得点(15日終了時点)

1位 日大    79点

2位 順大、中大 30点

8位 早大    21点

▽女子1部対校得点(15日終了時点)

1位 中大   44点

2位 国士舘大 43点

3位 大東大  39点

14位 早大   9点

コメント

北村拓也(スポ4=広島皆実)

――男子4×100メートルリレー(4継)予選を振り返っていかがでしたか

六大学(東京六大学対校大会)の時に個人種目の100メートルでケガをしてしまって、その悔しさもあったのでリベンジしようとこれまでやってきました。1走というのは流れをつくる上で一番大事なところだと思うので、しっかり良い流れで2走に渡そうということを考えてやってきました。

――組2着、予選出場チームの中で2位というタイムでした

全体を通して各区間良い部分もあれば悪い部分もあったのですが、その中でも39秒11というのは僕らの中の今までで一番良いタイムでした。その中で課題があるということを考えると、まだ伸びしろがあるということを感じられるレースでした。

――その課題なども踏まえて、決勝に臨むにあたりリレーメンバーで話し合われたことはありますか

1走と2走が4年生でつなぐということで、立場として僕らが引っ張っていくということについては話しました。

――メンバー変更もありましたが、決勝レースを振り返っていかがでしたか

普段は橋元(晃志、スポ3=鹿児島・川薩清修館)に頼りがちになっていたところがあったので、橋元が抜けた状態で急きょ決まったメンバーでどれだけ関カレ(関東学生対校選手権)で戦えるのかということが大きく僕の中で考えなければいけないことでした。未知数の中でのレースだったのですが、やれることはやれたのかなと思います。

――初日に行われた男子100メートルについてはいかがでしたか

最後の関カレということで、また短距離ブロック長として第一に結果で他の部員を引っ張っていかなければならないという立場の中で、自分のレースができなかったというふがいなさということはとても感じました。

――今季の目標をお願いします

個人としましては日本選手権が次に控えています。日本選手権では一つずつ上のラウンドに行けるように、また大学最後の年なので自己ベスト、10秒3以上は出さないと上に進めないと思うのでしっかり出していきたいです。リレーに関しても先輩方が抜けたので、その穴を埋めるのではなく、一人一人の色を生かしつつ早大記録、日本学生記録の更新を目標にやっていきます。

永沼賢治(スポ4=大分舞鶴)

――4継決勝を振り返っていかがでしたか

橋元が抜けたという中で僕と北村の4年生2人がどれだけ4継メンバーを引っ張ることができるかという中でのレースだったと思います。結果的にバトンが最後までつながったことに関してはチームとしてというか、4継メンバーとして最低限の仕事はしたかなと思うのと同時に、5番というのはすごく悔しい結果だと思います。その背景には1走、2走でもっと良い位置で持っていくことができないと3走の竹吉(大記、スポ3=千葉・市船橋)に負担を掛けてしまうので、やはりもっと自分たちが走力の面でもチームの柱となれるようにやっていかないといけないなというように感じました。

――先月の六大学以降どのような練習、取り組みをされてきたのでしょうか

六大学も対校戦でそれを軽視していたわけではないですけれど、やはり春のシーズンの中で1番大きな大会である関カレに向けては個人種目もそうですし、リレーも万全の状態で臨むということは僕自身で考えていたことであるので、ある程度万全の調整はやってきたつもりです。

――チーム全体としてはどのような話をされて関カレに臨まれているのでしょうか

チームとしてトラックのチームなのでトラック優勝、多種目優勝というのをチームでは目標に掲げてきていて、それにあたってケガ人もいてベストの布陣ではなくどの種目でもベストのメンバーで3人組めたといったことがない中でも、今いるメンバーでしっかり少しずつ点を重ねていこうというように、チームではそういった方向でやってきました。

――100メートルにも出場されましたが、こちらの方はいかがでしたか

正直良い結果ではなかったというのは事実で、100メートルの結果を踏まえてリレーではという思いがいっそうあっただけに、5位というのは悔しいですね。

――2日目のきょうを終えてここまでの早大全体の状態や結果に関してはどのように思われていますか

僕が大量得点を取れているわけではないですし、リレーも上位入賞というわけにはいかなかったのであまりチームのことについて言うのもどうかとは思うのですが、正直ワセダとしても苦しい戦いといいますか、もっと入賞であったり上位入賞が欲しかった種目でできていないという部分はあるので、あと2日間チーム一丸となってメンバーをサポートしていきたいなと思います。

――次のレースとなる日本学生個人選手権に向けての目標や意気込みをお願いします

やはりリレーで勝とうと思えば走力も必要だと思いますし、自分自身がまだ100メートルで予選落ちということがあるので、もっとそこに向けて今度は自分が個人の全国大会としてそこでしっかり決勝に残るなり、自己ベストを出すなりきちんと結果を残して秋シーズンを迎えられるようにやっていきたいと思います。