手応え十分の自己新ラッシュ

陸上競技

 先日ついに幕を開けた2015年のトラックシーズン。この日行われた平成国際大学長距離競技会で、多くの長距離ブロックのメンバーが冬季の鍛錬の成果を試した。早大から8名の大量出走となった9組では、落ち着いた走りを披露した藤岡孝彰(商4=東京・早実)が自己記録を更新。最終組では大学初レースとなった永山博基(スポ1=鹿児島実)も、自己ベストを記録する好走で鮮烈な大学デビューを果たした。

 多くの早大ランナーがしのぎを削った男子5000メートル9組。序盤から積極的なレースを展開したのは箱田幸寛(スポ3=広島・世羅)であった。スタート直後から先頭集団の一角に食い入ると、中盤までは見事にレースをけん引。4000メートル手前からは疲れも見え始めたが、粘りを見せて好タイムを記録した。一方で「序盤は落ち着いて入ろう思っていた」と話した通りレースプランを忠実に守った藤岡は、3000メートルを過ぎてギアを上げる。ラストスパートに破れ目標の1位こそ逃したが、故障後の必死の走り込みを見事に結果へとつなげた。

自己記録を更新した藤岡

 実力者が集った最終12組は、先頭を行く外国人選手を安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)と武田凜太郎(スポ3=東京・早実)が2人で追いかけレースが進んでいく。しかし3000メートルを越え安井が遅れ始めると、武田も徐々に速いペースの中で思うような走りができなくなってしまう。苦しむ2人を尻目にここから調子を上げたのは、期待のルーキー永山だ。初めて『W』のユニフォームを身にまとい挑んだレースでは、終始攻めの姿勢を貫いた。2人の先輩を軽快にかわすと、その後も積極的な走りで前方の走者に食らいつく。実戦デビューの緊張にもかかわらず、走りやすい気候にも後押しされいきなりの自己新記録。新戦力の台頭が期待されるチームで、早くも存在感を示した。

ルーキーながら堂々とした走りを見せた永山

 いよいよ本格的に始まるトラックシーズン。例年と異なり全日本大学駅伝対校選手権の予選会も控える今季は、いつも以上に厳しい日々が続くことになるはずだ。多くの選手の自己記録更新に、好調な滑り出しを果たした新入生。今回の大会は巻き返しを誓う新体制の順調な船出を予感させる。まずは5月の関東学生対校選手権を目標に、早大競走部が軽やかにスタートを切った。

(記事 三井田雄一、写真 八木瑛莉佳、藤川友実子)

結果

▽男子1500メートル

廣出和樹(教3=愛知・豊丘)     4分00秒80(11組5着)自己新記録

池山謙太(スポ4=新潟・長岡大手)  3分52秒01(12組5着)

小澤直人(スポ1=滋賀・草津東)   3分54秒26(12組10着)

▽男子5000メートル

鈴木皐平(教2=愛知・時習館)    15分55秒20(8組39着)

藤岡孝彰(商4=東京・早実)     14分29秒25(9組4着)自己新記録

箱田幸寛(スポ3=広島・世羅)    14分35秒28(9組6着)

大島遼太郎(スポ3=茨城・下妻一)  14分38秒89(9組10着)

前野陽光(スポ4=神奈川・多摩)   14分38秒97(9組11着)自己新記録

河合祐哉(教2=愛知・時習館)    14分41秒47(9組14着)自己新記録

浅川倖生(スポ3=兵庫・西脇工)   14分44秒16(9組17着)

藤原滋記(スポ2=兵庫・西脇工)   14分49秒88(9組23着)

三井泰樹(人4=山形東)       14分56秒36(9組28着)

永山博基(スポ1=鹿児島実)     14分10秒06(12組3着)自己新記録

武田凜太郎(スポ3=東京・早実)   14分12秒86(12組6着)

安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)   14分15秒19(12組8着)

中村駿介(社4=愛知・岡崎城西)   14分29秒49(12組23着)

清水歓太(スポ1=群馬・中央中教校) 14分34秒02(12組26着)

柄本勲明(スポ3=早稲田佐賀)    15分01秒41(12組37着)

コメント

藤岡孝彰(商4=東京・早実)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

シーズン初戦ということで勢いをつけるため手堅く、(自己)ベストを出していこうと思っていました。序盤は落ち着いて入ろうという作戦通りに進んで、無事ベストを出せたので良かったです。

――レースプランとして、具体的に何メートル地点で前に出るなどということは決められていたのでしょうか

何メートルというのは具体的には決めていませんでした。ですが残り2000メートルではしっかりペースを上げて、気持ち良く終わろうということは意識していました。

――今回のレースを自己評価すると、100点満点中何点ですか

80点ですね。残りの20点については、監督(相楽豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)から1位を狙うよう言われていましたが、1位を狙える位置にもかかわらずラストスパートで負けて1位にはなれなかったことがマイナスした要因です。

――冬の間はどのようなトレーニングをされましたか

2月までケガをしていたのでそのケガのブランクを振り払うために、2月、3月と誰よりも距離を踏もうと意識して走っていました。

――次回のレース予定と、意気込みを教えてください

次は2週間後に1万メートルのレースに出ます。今まで1万メートルでは納得のいく走りをできたことがないので、まずは30分を切る走りをして、自信につなげたいと思います。

武田凜太郎(スポ3=東京・早実)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

最初から速いペースになることはわかっていたので、前で勝負しようと思っていたのですが、中盤から良くない走りというか、自分の悪いところが出たのかなと思います。

――具体的に悪かった部分とはどのような部分でしょうか

やはり速いペースになったときに、どうしても力んでしまうところがあります。その部分は練習で慣れていくしかないと思うので、課題にしてやっていきたいと思います。

――次のレースの予定は

日体大(日本体育大学長距離競技会)の1万メートルに出場する予定です。距離も伸びるので、しっかりと走り込むことも忘れずにやっていきたいなと思います。

箱田幸寛(スポ3=広島・世羅)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

100点満点で言うと80から90点くらいかなと思います。

――マイナス点はどのような点にありますか

14分30秒を切って自己ベストを更新するということが目標だったので、そこが達成できなかったのが大きな減点です。

――序盤から上位に位置づけていましたが、レースプランなどはありましたか

積極的に前に付いていって余裕があれば出られるときに出るというように考えていたのですが、最初からそこまで余裕というわけではなかったので前に付いていって我慢しようという感じでした。

――部内2位、全体6位という上位の順位でしたがどのように捉えていますか

今回出た中で6位というのは、最終組は最初から突っ込んで入っていましたし、最終組の選手たちの方が自分より力は絶対に上なので順位に関してはそんなに気にしてはいないのですが、藤岡さん(孝彰、商4=東京・早実)が前に行ったとき、そこについていけず離れてしまったのが悔しいです。

――冬季練習ではどのようなことをされましたか

1月はそこまで気にしてはいなかったのですが、2月からしっかり距離を踏むことに取り組んでいて、その成果が今回のレースでも後半の方のペースアップにつながったかなと思っています。

――今季初レースとなりましたが、調子などはいかがですか

冬季練習から上がってきていたので良かった方だと思います。

――トラックシーズンの目標をお願いします

今年は自己ベストを更新することを第一として、他大の選手と戦っていける力をつけることを目標としています。

永山博基(スポ1=鹿児島実)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

まずは自己ベストを出すことができたのでそこは良かったかなと思います。

――事前にどのようなレースプランを考えられていたのでしょうか

初レースということだったのですけど、レベルの高い組に入れてもらえたので、攻めの走りをしようと思っていました。

――3000メートル過ぎに先輩2人を抜いて前に出られましたが

速いペースで突っ込んだのでこの勢いでまた攻めていこうと思いながら走りました。

――ワセダでの初レースでしたが、緊張はありませんでしたか

白のユニホームではありましたが緊張もあって、初めて袖を通してやはり重みというのは感じました。

――レースの前に先輩から声をかけられたりしましたか

それは特になかったです。

――同級生の清水歓太選手(スポ1=群馬・中央中教校)たちとは初レースを前に何かお話されたりしましたか

走りなどについてではなく、緊張をほぐす程度にいろいろな会話をしました。

――次のレースは

次のレースは未定です。

――今回の収穫や課題を含めて次戦への抱負をお願いします

自己ベストは出せたのですけど、まだまだタイムも高いレベルで通用するには足りていないのでもっと練習を積んでこれからもっと強くなりたいと思います。