入賞者現れず、来季への課題が残る結果に

陸上競技

 東京箱根間往復大学駅伝(箱根)から早2カ月。冷たい雨が時折降る中、ロードシーズンの集大成となる日本学生ハーフマラソン選手権が行われた。ワセダからは22人の選手が出場し、安井雄一(スポ1=千葉・市船橋)や光延誠(スポ1=佐賀・鳥栖工)ら下級生が自己ベストをマーク。その一方、部内トップの三浦雅裕(スポ3=兵庫・西脇工)も19位と入賞を逃し、来季への課題が残るレースとなった。

 今大会は2年に一度のユニバーシアード選考も兼ねており、各大学の主力選手が上位3位を狙ってし烈な争いを繰り広げた。序盤はけん制し合いながらスローペースで5キロを通過。しかし15キロ過ぎ中村信一郎(スポ3=香川・高松工芸)は「完全に足が止まってしまった」と話すように、先頭集団から離される展開に。その後18キロ過ぎには三浦が遅れ始め、部内トップでフィニッシュするも結果は19位。青学大や駒大との差を痛感する試合となった。ハーフマラソンの安定感には定評がある井戸浩貴(商2=兵庫・竜野)はスタート直後に転倒して膝から流血するアクシデントに見舞われるも、なんとか無事ゴール。しかしその結果は満足のゆくものではなく、2月に行われた神奈川マラソン以降のコンディションの崩れが響いてしまった。

部内トップでレースを終えた三浦

 自己ベストを更新した安井は62分台をマークするも、「部内競争ではなく他大と戦わないといけない」と話す。他大の同学年の選手が上位入賞を果たしたことを受け、悔しさをあらわにした。同じく1年生の光延も自己記録を更新。レース後半に集団から大差をつけられてしまった点については「残りの10キロからペース変動についていくことができなかったのがまだ自分の力が足りないところ」と冷静に分析する。だが上尾シティマラソンの反省を生かして自分のペースを刻み、成長を見せつけた。

自己記録を更新した安井

 順位としては各々振るわない結果となったが、部内で3人が62分台という好タイムをたたき出した。ハーフマラソン初出場の4人を含める13人が自己記録を更新したことは来季へのステップアップの弾みとなるであろう。今大会の失敗や反省を克服し、飛躍を遂げた選手たちの姿がトラックシーズンで見られることを期待したい。

(記事 井上莉沙、写真 落合修平、須藤絵莉)

結果

▽ハーフマラソンの部(大学男子)

三浦雅裕(スポ3=兵庫・西脇工)     1時間2分45秒(19位)自己新記録

安井雄一(スポ1=千葉・市船橋)     1時間2分55秒(25位)自己新記録

中村信一郎(スポ3=香川・高松工芸)   1時間2分57秒(26位)

武田凜太郎(スポ2=東京・早実)     1時間3分12秒(29位)自己新記録

井戸浩貴(商2=兵庫・竜野)       1時間3分19秒(33位)

光延誠(スポ1=佐賀・鳥栖工)      1時間3分57秒(54位)自己新記録

佐藤淳(スポ2=愛知・明和)       1時間4分26秒(91位)

藤原滋記(スポ1=兵庫・西脇工)     1時間5分04秒(162位)自己新記録

石田康幸(商1=静岡・浜松日体)     1時間5分04秒(163位)自己新記録

藤岡孝彰(商3=東京・早実)       1時間5分38秒(221位)

前野陽光(スポ3=神奈川・多摩)     1時間5分43秒(231位)自己新記録

浅川倖生(スポ3=兵庫・西脇工)     1時間5分59秒(259位)自己新記録

中村駿介(社3=愛知・岡崎城西)     1時間6分02秒(266位)自己新記録

大島遼太郎(スポ2=茨城・下妻一)    1時間6分29秒(310位)自己新記録

三井泰樹(人3=山形東)         1時間6分30秒(315位)

河合祐哉(スポ1=愛知・時習館)     1時間6分37秒(329位)自己新記録

鳥山賢(教3=静岡・岡山城東)      1時間6分44秒(344位)

箱田幸寛(スポ2=広島・世羅)      1時間6分57秒(364位)

藤澤怜欧(スポ3=神奈川・多摩)     1時間7分36秒(426位)自己新記録

谷口耕一郎(スポ1=福岡大大濠)     1時間8分11秒(467位)

鈴木皐平(教1=愛知・時習館)      1時間8分29秒(496位)自己新記録

柄本勲明(スポ2=早稲田佐賀)      1時間8分36秒(510位)

コメント

中村信一郎(スポ3=香川・高松工芸)

――レースを振り返っていかがですか

第28回ユニバーシアードの代表選考の懸かったレースで、そこで勝ちを取れなかったというのは個人としてもチームとしても力不足だったと思います。

――雨かつ気温が低いというコンディションでしたが走りにくさなどはありましたか

寒いかなというのはありました。ですが、それはみんな一緒なので仕方がないというか、しょうがないです。

――15キロ以降のレース展開はいかがでしたか

先頭集団の前の方で進められていたのですが、15キロから足が完全に止まってしまってそこは本当に自分の力の無さを痛感しました。箱根(東京箱根間往復大学駅伝)が終わってから自分的にも色々ありまして、その中で今回の走りはまだまだいけると思いました。3月には合宿も2回あるので、そこで自分の力をさらに高めてトラックシーズンにつなげていきたいと思います。

井戸浩貴(商2=兵庫・竜野)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

きょうは勝ちにいくレースをしたのですが、結果的に全然勝負にもならなかったので、負けたレースだったというのが正直な感想です。

――今回のレースプランはどのようなものだったのでしょうか

結局出なかったのですが、神野さん(大地、青学大)とか久保田さん(一真、青学大)とか出られる予定だったので、最初から後ろでついて、どこまで粘れるかというのをやる中でどこで勝負を仕掛けるのかというのを考えるレースプランでした。

――途中膝から流血する場面がありましたが、何かアクシデントがあったのですか

スタート50メートルくらいで転倒しちゃって(笑)。3人しか転ばなかったんですけど、そのうちの1人になっちゃいました、残念ながら(笑)。

――その後、レースに影響はありましたか

かなり痛かったんですけど、走ってる分にはギリギリ大丈夫でした(笑)。

――きょうの結果についてどう思われますか

調整の段階でもうベストなコンディションではなかったです。いろいろ神奈川ハーフ(神奈川マラソン)まで調子上げてきて、この1カ月間全部がうまく回ってるわけじゃないのではないかなと。その1カ月の積み重ねがきょうの結果に出てしまったのではないかなと思ってます。

――次の試合のご予定は

次はきっと4月の日体大(日体大長距離競技会)か六大(東京六大学対校大会)のオープンになるのではないかなと思います。次はもうトラックシーズンですね。

――次のレースに向けて意気込みをお願いします

昨年もずっと言っていたのですが、トラックのスピードがないと勝負できないというのは常々言ってきたので、そのトラックのスピードを磨いていくというのも考えて、その第一歩となるようなシーズンになるようにしたいです。

光延誠(スポ1=佐賀・鳥栖工)

――きょうのレースを振り返って

後半の公園に入ってから集団が見えなくなってしまってその後の走りが全く駄目だったので、やっぱり走り込みができていなかったのではないかなと改めて思いました。

――結果としては63分台が出ましたが、このことに関してはどのように捉えられていますか

青学、駒澤、東洋さんといった他大の選手に負けているのでやっぱり結果としては悪いのですけれど、悪い中でもベストが出たことは多少なりにプラスであると思います。

――きょうは事前にはどのようなレースプランを考えられていたのですか

上尾(上尾シティマラソン)のとき最初に少しペースの変動に惑わされてペースをつくることができなかったのですが、今回の立川では10キロまで自分のペースでいこうと考えていたのでそのペース自体はイーブンでいっていました。残りの10キロからそのペース変動についていくことができなかったのがまだ自分の力が足りないというところです。

――最初の10キロを自分のペースで走れたという点は上尾からの成長ということですか

そうですね。自分1人で単独走をしていましたが、イーブンのペースに持っていけたことは自分なりに評価できると思います。

――ことしはユニバーシアードもありますが、世界に関してはどのように考えられていますか

アジアジュニア(選手権)しか出ていないのですけれど、やっぱり世界ジュニアを目標にしていて出られなかったことを今でも結構悔しいという気持ちを持っているので、もう一度世界で戦いたいと思っているのでしっかり狙っていきたいと思います。

――これでロードシーズンも終わりになりますが、今後のトラックシーズンはどのような目標を持って臨まれますか

ロードは不本意な結果で終わってしまったので、ロードが駄目ならしっかりトラックで他大のエースに勝てるように頑張っていきたいなと思います。

安井雄一(スポ1=千葉・市船橋)

――雨の中でのレースとなりましたが、コンディションはいかがでしたか

雨の中のレースは逆に走りやすい気候なので良かったです。

――寒さなどは気になりましたか

後半から一気に気温が下がった感じがしたのですが、そこまで気にはならなかったです。

―途中のレース展開はいかがでしたか

17、8キロくらいまでは先頭集団にいましたが、後半になるにつれて足が動かなくなったという感じです。

――部内2位という好成績についてはどのように思われていますか

部内競争ではなくやはり他大と戦わないといけないということで、他大にたくさん負けてしまったので、誇らしくはないですね。

――特にマークしていた選手はいらっしゃいますか

駒大の工藤(有生)と青学大の田村(和希)がすごく実力があったので負けたくないとは思っていましたが、今回も30秒以上離されてしまったので相当悔しいです。

――駒大の工藤選手が2位入賞という結果でした

強いなというのを改めて感じました。今回3位以内がユニバーシアードということで、工藤もとうとう日本代表になったので、このまま離されてはいけないなと思います。

――今回はユニバーシアードの選考レースでもありましたが、代表入りは狙っていましたか

まだ狙えるほどの力はないと思っていて、また2年後にもあるのでそれを見据えたレースをしようと思いました。

――まもなくトラックシーズンが開幕しますが、意気込みをお願いします

1年前はトラックシーズンでも思うような結果が出せなかったので、ことしは関カレ(関東学生対校選手権)では入賞という結果を出して駅伝シーズンにつなげていこうと思っています。