武田が復活をアピールする激走

陸上競技

 鍛錬の夏を経て、その成果を確認するべく早大長距離記録会が5日行われた。一週間後に控えた出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲)のエントリーメンバーを除く大勢の選手が出場。2組に分かれて行われた今記録会では、武田凜太郎(スポ2=東京・早実)が約9カ月ぶりに出走し、3着までが4秒差という混戦を制した。また武田と同じくケガに苦しんだ藤岡孝彰(スポ3=東京・早実)などの快走も伺え、駅伝シーズンに向け収穫のあるレースとなった。

一時は大きく前に出た石田。後方は左から武田、藤岡

 競技開始時刻が変更された上に終始雨の降りしきる恵まれないコンディションの中、1組目がスタートを切った。この組では中盤、1年生の河合祐哉(スポ1=愛知・時習館)が独走態勢を築きそのままトップでゴールするなど下級生の成長が見れた。次いで2組目には、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)以来ケガに悩まされてきた武田が登場。序盤から臆することなく前を行く上級生に食らいつく走りを見せる。「行けるところまではついて行きたい」と語った通り、3200メートル以降のペースアップにも遅れることなく対応。4400メートルを通過し先頭集団が絞られていく中、トップに出るタイミングを伺いつつレースを進める。ラストの直線では武田、石田康幸(商1=静岡・浜松日体)、藤岡の3人が激しく競り合うも武田が14分28秒8の1着でフィニッシュ。ゴール後多くの仲間に祝福された武田は、「『おかえり』と言ってもらえて嬉しかった」と笑みを浮かべた。

 久しぶりのレースで「練習とは違い厳しい面も感じた」(武田)というが、コンディションの悪い中で目標タイムをクリアし、及第点の走りができたと納得の走りができたようだ。「ケガが長引き本当に競技を辞めようと思った時期があった」武田だが、今レースで見せた圧巻の走りは駅伝シーズンを目前に控えたチームにとって起爆剤となるに違いない。一方、武田と僅か2秒差でゴールした石田は上位でゴールしたものの、「ラスト1周が課題」と悔しさをにじませた。14分32秒5の3着でゴールとなった藤岡は「今の調子では最低限の走りができたと思うが、駅伝メンバーに絡むには力不足」と自身の現状を冷静に見つめる。今シーズンはケガに悩まされたが「日々のケアをして再発しないように気をつけた」と駅伝シーズンへは気合十分だ。

武田は1着でゴールしガッツポーズを見せた

 ケガで苦しんできた選手たちが飛躍を遂げた今回の記録会。夏合宿を経験し大きく成長した石田ら新戦力も加わり、目前に控えた駅伝シーズンに向けて良い兆しが見えただろう。箱根制覇という大きな目標に向けて、いよいよ始動する。

(記事 菅真衣子、写真 三井田雄一、中澤佑輔)

結果

▽男子5000メートル

1組

河合祐哉(スポ1=愛知・時習館)   14分56秒43(1着)

福井創一(スポ3=大阪・北野)    15分01秒53(2着)

藤澤怜欧(スポ3=神奈川・多摩)   15分08秒27(3着)

川村裕幹(基理2=和歌山・桐蔭)   15分33秒27(6着)

徳留駿(法4=埼玉・早大本庄)    15分44秒58(8着)

鈴木皐平(教1=愛知・時習館)    15分44秒60(9着)

▽2組

武田凜太郎(スポ2=東京・早実)   14分28秒8(1着)

石田康幸(商1=静岡・浜松日体)   14分30秒2(2着)

藤岡孝彰(スポ3=東京・早実)    14分32秒5(3着)

岡田健志(スポ4=奈良)       14分33秒2(4着)

藤原滋記(スポ1=兵庫・西脇工)   14分35秒3(5着)

大島遼太郎(スポ2=茨城・下妻第一) 14分35秒7(6着)自己新記録

今井開智(スポ2=神奈川・桐光学園) 14分40秒0(8着)自己新記録

臼田稔宏(基理4=長野・佐久長聖)  14分47秒1(9着)

箱田幸寛(スポ2=広島・世羅)    14分49秒6(10着)

高橋広夢(スポ4=東京・東大付)   14分53秒5(11着)

三井泰樹(人3=山県東)       15分04秒5(14着)

柄本勲明(スポ2=早稲田佐賀)    15分06秒0(16着)

山田侑矢(スポ4=三重・伊勢)    15分07秒1(17着)

コメント

藤岡孝彰(スポ3=東京・早実)

――きょうのレースプランはどのように考えていましたか

ここしばらく不調が続いていてあまり走れていなかったので、積極的にというよりは後ろで力をためてラストで勝負しようと思っていました。

――3位という結果についてはいかがですか

今の調子では最低限の走りができたと思いますが、まだまだ駅伝メンバーに絡むには力が足りないのでこれから東京箱根間往復大学駅伝(箱根)まで2カ月ちょっとしかないですけどできる限りのことはしていきたいです。

――きょうは3次合宿に参加した選手よりも先行しました。そのことについてはいかがですか

3次合宿にいけなくて悔しい思いをしたので、ここでその悔しい思いをバネに頑張れたので良かったです。

――きょうのレースではどのような点が良かったですか

落ち着いてレースを運ぶことができたのは良かったと思います。

――今シーズンはケガもありましたがここまでどのように調整してきましたか

ケガが多かったのですが、日々のケアをしっかりして再発しないように気をつけてきました。

――これからの駅伝シーズンに向けて意気込みをお願いします

今年は3年生ということで、今年結果を出さないと4年生になっても使ってもらえないと思うので、最後の年というつもりで1日1日を大切に、最後まであきらめずにやっていきたいです。

武田凜太郎(スポ2=東京・早実)

――久しぶりのレースでしたがいかがでしたか

単純にレースが走れるようになって嬉しいという気持ちがありましたし、練習とすごく違うなという厳しい面も感じました。

――今日のレース結果についてはどのように捉えていますか

コンディションの悪い中で自分が目標としていたタイムはクリアできたので、合格点かなという風には思います。

――レース後に先輩方から声を掛けられていましたが

「おかえり」と言っていただいてすごい嬉しかったですし、周りにすごく恵まれているなと感じました。

――早い段階で前に出られましたが、レースプランなどはありましたか

付いて行くところまで付いて行って、ラスト行ければトップ取りたいなと思っていました。

――ケガをして以降、夏合宿なども挟みましたがこれまでどのように調整されてきましたか

本格的に走り始めたのがちょうど2カ月くらい前だったので、あまり調整はせずに走り込みの中できょうしっかり合わせようと思っていました。

――怪我中はどのような練習をされていましたか

全く走れなかったので、補強や水泳をしたりエアロバイクで汗を流したりしました。

――ケガが長引いていましたが、焦りなどはありましたか

焦りというか本当に辞めたいと思った時期もあったので、正直焦りというよりは自分を見失うというか、希望が持てない時期もありました。

――主要大会では下級生の活躍が目立ちましたが、どのような気持ちでご覧になっていましたか

自分があの舞台に立っていたらどうなんだろうということや、自分は今を何しているんだろうなということをポジティブな面でも、ネガティブな面でも色々と考えながら見ていました。

――駅伝シーズンに向けて意気込みをお願いします

やっとスタートラインに立てたと思うので、ここから出遅れた分、しっかり取り戻してチームの勝利に貢献できたら良いなと思います。

石田康幸(商1=静岡・浜松日体)

――きょうの走りを振り返って

天候が天候でタイムが望めないのは分かっていたので、しっかり集団の先頭でいってラスト上がって走り切れるようにということを考えて走ったのと、また2週間後に出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲)を走ったメンバーと1万メートルがあるので、それに向けてしっかりいい形で体を動かして練習が出来るように考えて走りました。

――事前にどのようなレースプランを計画し走られたのでしょうか

気候が良ければしっかりタイムを狙って積極的に前で行こうと思ったのですが、気候もそんなに良くなかったのでしっかりその中で走れるようにと思って。特にレースプランとかははっきりとは立てていないんですけど、ラスト1000(メートル)、ラスト1周できちんと切り替えて走れるようにということを考えて走っていきました。

――思い通りに走ることは出来ましたか

1000から前に出るのは行けたんですけど、ラスト1周の最後の直線で思ったよりも動かず抜かれてしまったので、ラスト1周に関してはまだまだ課題が残るレースとなりました。

――夏の合宿はどのような課題を持って臨まれ、それに対しての手応えなどはいかがですか

夏はとにかく高校3年生から1年生に上がったのがことしで、まだ走りこみの量が足りないのでとにかく走りこんで足の筋力を付けて、先輩方に食らいついていくということを考えて練習してきました。

――特につらいことなどはありましたか

最後の岩手合宿ではA、Bチームの区切りなく全員同じ練習でやってきたので、やはり13分台、28分台を持っている先輩方と練習したことでペースも今まで以上に速く、岩手の合宿が1番きつかったなと思いますね。

――そこで学んだことは多かったですか

それまでBでやっていたので練習出来ていたんですが、やっぱりAの人たちとやると全く歯が立たず、練習が出来ず自分の力のなさというのが実感出来て、もっと頑張ってやろうとそういったきっかけにはなりました。

――出雲ではエントリーメンバーに入りましたがそのことはどう捉えていますか

入ったと言っても高田康暉(スポ3=鹿児島実)さん、平和真(スポ2=愛知・豊川工)さん、凜太郎さんが故障明けでメンバー争いが出来ずその中で入ったので、自分の中では運よく入ったというかまだ自分の力で勝ち取れたとは思っていないので、やっぱりここからは入ったことをいいきっかけにまた全日本、箱根では走るメンバー争いに絡んでいければいいかなと思います。

――光延誠(スポ1=佐賀・鳥栖工)選手など同級生の活躍はどうご覧になっていますか

特に入った時からスポ推の3人を意識してやってきて安井(雄一、スポ1=千葉・市船橋)、光延、藤原(滋記、スポ1=兵庫・西脇工)と高校時代の実績のない僕と比べて力のある選手なので、やはりそういう活躍を受けて自分も早く追いつきたい、追いついて勝ちたいという気持ちがやっぱり今はありますね。

――今後の駅伝シーズンに向け目標や抱負を聞かせてください

1年目から走れないということはないと思うので、しっかり自分がもっと力を付けて上の人たちにいい刺激を与えて、メンバー争いに少しでも絡んでいってチームの目標としている優勝に少しでも貢献出来たらいいなと思っています。