先々週に引き続き本体育大学長距離競技会が行われた。1万メートルには8名が出場。来月の関東学生対校選手権(関カレ)へと弾みをつけたい早大勢だったが、チーム全体として記録が伸び悩み、物足りない結果に終わった。
試合前に集中する選手たち
1万メートル最終組には田口大貴(スポ4=秋田)、中村信一郎(スポ3=香川・高松工芸)、三浦雅裕(スポ3=兵庫・西脇工)、井戸浩貴(商2=兵庫・龍野)、光延誠(スポ1=佐賀・鳥栖工)の5名が登場。レースは序盤からゆったりとしたペースで進み、好記録を出すには厳しい展開となる。大きな集団の中で様子を伺っていた井戸は、7000メートル過ぎに仕掛け、前に出た。その後、再び集団に吸収される場面もあったが、粘りを見せて4位でフィニッシュ。チーム内トップで、29分11秒04の自己新記録をマークした。先々週に続き、確かな強さを示した井戸。しかしスローペースの影響もあってか、目標の28分台には手が届かず、「ペースを上げ切れなかった」(井戸)と悔しさをかみしめた。
田口は、万全とは言えない調子の中で、チーム内2位とそつなくまとめた。終始集団の中で影をひそめていたが、ラストスパートで一気に9位に浮上。29分17秒08という結果に対しては「最低限のラインはクリアできた」(田口)とまずまずの手応え。これから関カレに向けて徐々に調子を上げていく。
一時は集団の先頭に出た井戸
井戸と田口が安定した力を見せた1万メートル。しかし、三浦や中村はレース終盤に大幅な遅れをとるなど、本来の力を発揮できずに終わった選手も多い。「勝負どころで対応できていない」(井戸)。チーム全体の課題が浮き彫りとなった。これから関カレまで限られた練習の中で試行錯誤を重ね、いかに殻を破れるかが飛躍のカギとなりそうだ。
(記事 加藤万理子、写真 井上義之、中澤佑輔)
★中距離に注目!伊澤、自己新ならず
集団を引っ張った伊澤
先々週、大量エントリーとなった中距離からは、今回3名が出場。主力の一人、伊澤賢人(スポ3=栃木)は800メートルの最終組に挑んだ。序盤からややけん制気味のレースとなった最終組。しびれを切らした伊澤は200メートルで先頭に立ち集団を引っ張っていく。しかし、レースをけん引するのは、スパート勝負を得意とする伊澤にとっては慣れない展開。力みが生じ、惜しくも自己記録更新とはならなかった。それでも、同13組に出場した廣出和樹(教2=愛知・豊丘)、1500メートルに出場した亀田卓志(基理4=栃木)は自己新記録をマーク。主力を目指す選手の奮闘は、ワセダ中距離陣のさらなる活性化につながるだろう。
結果
▽男子800メートル
廣出和樹(教2=愛知・豊丘)1分54秒27(13組4着) 自己新記録
伊澤賢人(スポ3=栃木) 1分51秒11(16組5着)
▽男子1500メートル
亀田卓志(基理4=栃木) 3分53秒67(11組9着)自己新記録
男子一万メートル
佐藤淳(スポ2=愛知・明和) 29分41秒08(5組8着)
藤原滋記(スポ1=兵庫・西脇工) 29分45秒57(5組10着)自己新記録
臼田稔宏(基理4=長野・佐久長聖) 30分09秒62(5組18着)
井戸浩貴(商2=兵庫・龍野) 29分11秒04(6組4着)自己新記録
田口大貴(スポ4=秋田) 29分17秒08(6組8着)
光延誠(スポ1=佐賀・鳥栖工) 29分37秒39(6組18着)自己新記録
三浦雅裕(スポ3=兵庫・西脇工) 29分47秒61(6組21着)
中村信一郎(スポ3=香川・高松工芸)29分59秒65(6組22着)
コメント
田口大貴(スポ4=秋田)
――きょうのレースを振り返っていかがですか
まだ完璧に、トッラクシーズンで記録を狙うための状態というわけではないので、その中でどれだけ走れるかということをテーマにきょうは走りました。僕の中の最低限のラインでは入ることができたので、順調に戻ってきているのかなという感じです。
――最低限のラインというのはタイムのことですか
はい。29分20秒以内では走っておきたかったので、最低限のラインはクリアできたかなと思います。後はレース感覚を取り戻すということも考えながらきょうはやっていたので、タイム的に見れば全然なのですが、僕の中では順調に状態が上がってきているなという印象です。
――ペースはいかがでしたか
思ったより遅かったですね。最終組に入ったので、もう少し速いペースで入りたかったと思ったんですけど、それでも体は正直で、あのペースで結構いっぱいいっぱいなところもあったので、まだ状態が戻っていないのかなという感じはあります。
――どの辺りで動こうとかは考えていましたか
7000(メートル)から8000くらいで、本当は8000で前に出たかったんですけど、その時点で余裕がありませんでした。集団が動いたら自分も動くというイメージを持って走りました。
――悪い中では良く走れていたという感じですか
はい。悪い中で動いたほうかなと思います。特別合わせたわけではなく、その流れの中でやっていたので。だからといってこれで満足をしていたらそれはそれで終わりなので。そう言った意味ではなくて、これからに向けてひとつずつステップアップしていける状態なのではないかなと思います。
――次の試合を教えてください
多分、記録会はなく関東学生対校選手権(関カレ)になると思います。こうやって順調に来ている分、関カレではベストパフォーマンスでできる自信もありますし、そうしなければいけないという責任もあります。何の種目に出るかわかりませんが、4年生ですし、関カレでは1点でも多く、表彰台を目指して頑張りたいなと思います。
伊澤賢人(スポ3=栃木)
――先々週に引き続いてのレースでしたがいかがでしたか
レースが始まってオープンになった時に誰かの後ろに付いて楽に走ろうと思っていたんですけど、誰も出なくてしょうがなく自分で引っ張ることになりました。でも前に出たものの普段から人の後ろに付いて練習してたりとか自分は完全に後ろに付くタイプだと思っているので、引っ張ることに違和感というか抵抗がありました。その点で余計なところに力を使ってしまって思うように走れなかったですね。
――前回は早大の選手3名が同組で競うレースでしたが、きょうは組の中で一人でした
自分的には同じ仲間が一緒に走っていると、もちろん勝つ気ではいるんですけど、変に意識するところがあるので、きょうは一人だったという意味では先々週よりは気持ち的には楽に走れました。
――後半の伸びが課題とのことでしたが、きょうはいかがでしたか
残り250メートルぐらいで後ろから一気に4人ぐらい抜かれて、引っ張っていて前に人が一人もいない状態からいきなり後ろから来られると、もちろんそこに付いて上げていけるのが一番いいんですけど、自分は先頭を引っ張るレースに慣れていないので前に出られたことでちょっと体がびっくりしたというか、うまく後ろに付くことができずにそのままだらだらと後ろで走ってしまいました。やっぱり自分でレースを作れるようになるのが一番なのでその点は今後意識してやらなきゃいけないなと思いました。
――タイムについてはどう捉えていますか
今シーズンに入ってから記録会には3つ出て、だんだんタイムは上がってきてはいるんですけど、冬季練習の段階ではきょうのタイムを最初の関東学連春季オープン競技会で出せると思っていました。最初でつまずいてしまったんですけど、やっとタイム的には上がってきたかなという印象があります。
――では、きょうのタイムは肯定的に捉えているということですね
昨シーズンはラストの伸びが使えて、今シーズンは駄目だったんですけど、きょうの試合では今シーズンの中では一番切れがあったので収穫かなとは思っています。まだまだ伸びは足りないですけど、ラストだけに頼っていると大きなレースでは勝てないのでレース展開から楽に走ってラストにつなげるという走り方をしたいです。
――きょうのように前半から前に行ける展開を身に付けたいということですか
結果的に引っ張るかたちになったので、レースの中間部分は反省がありますけど、その中でもラストの部分はまあ良かったかなという感じですね。
――次に出場予定の大会は決まっていますか
本当はきょうの結果が良かったら出ない予定でしたけど、駄目だったので来週の日体大長距離競技会(日体大記録会)に出ます。
――来週はどんなレースをしたいですか
散々(1分)50秒を切るという目標を口にしていてそれが達成できていないという現状があるので、1週間で何を変えれるかはわからないですけど、もう一度自分を見つめ直したいです。ベストが(1分)50秒99なので最低限の目標としてベストを出すというつもりで、さらに栃木県記録が(1分)50秒85なのでそれを切れたらいいなと思います。
井戸浩貴(商2=兵庫・龍野)
——きょうのレースを振り返っていかがでしたか
きょうは28分台を目標にしていました。でも結果としては、足りなかったというのが一番です。レース内容もいろいろとあったんですけど、結局は足りなかったという一言です。
——今回のレースはどういった位置付けだったのでしょうか
先週の本体育大学長距離競技会と含めて、コンディションが良い中で走る記録会というわけで、28分台、13分台をそれぞれ狙いました。
——レース展開としてはいかがでしたか
序盤がスローで変化がなかったので、ある意味走りやすいレースではあったんですけど、28分台には足りないという感じで入ってしまいました。残り3000メートルから自分で仕掛けたんですけど、ペースを上げ切れずに、結局吸収されて残り2周でまくられるという展開になってしまったので、仕掛けたなら仕掛けたでもっていけるほどの力がまずは欲しいなというのがレース全体の感想です。
——レース序盤は前に出ようとはしませんでしたか
きょうはあくまでも社会人の方も居ましたので、その力を借りて後半どのように粘るかというのがレースの課題だと思っていたので、最初からは無理せず出ようとは思っていませんでした。
——後半の粘りに関してはいかがでしたか
3000メートルから引っ張った後にタイムは上げ切れずというところでしたが、吸収されても粘りというか、しっかり前の集団にはつけて、最後の勝負どころまでは持っていけたのでそれは良かったと思います。
——改めてきょう見つかった課題や収穫を教えてください
きょうも一瞬、自分で積極的にレースを進めようとはしたんですけどできなかったというのがあります。まだまだ練習でも引っ張ってもらうことが多いので、自分でレースをつくるという展開が全く想定も実践もできていないというところで、そういうところに自分がまだまだ強くなれるところでもあり、課題だと思っています。なので、それをこれから克服していこうと思っていますね。
——次に出場されるのは関カレになりますか
まだ種目は決まっていないんですけど、出られるならば、そこに合わせるという形です。
——これから関カレに向けてどういったところを詰めていきたいですか
きょうも監督やコーチ陣から言われたんですけど、やはり勝負どころで対応できていないというのが僕も含めてチーム全体の感想ですので、変化走とかそういった練習がまた入ってくると思うので、そこでレースの勝負どころを意識した練習と、それを課題として克服できるようにこれから意識していきたいと思っています。