4日間に渡り開催された日本学生対校選手権(全カレ)が幕を閉じた。ここまで優勝種目は男子4×100メートルリレー(4継)のみにとどまっていたが、野澤啓佑(スポ3=山梨・巨摩)が男子400メートル障害で優勝すると、その野澤がアンカーを務めた最終種目男子4×400メートルリレー(マイル)でも激戦を制し優勝。関東学生対校選手権(関カレ)で1941年(昭16)以来4度目となる4継、マイルのリレー種目二冠を成し遂げた早大が、1939年(昭14)以来となる全カレでのリレー種目二冠を達成した。関カレ、全カレ共にリレー種目二冠を獲得するのは創部史上初の快挙。3日目まで34.5点にとどまっていた男子総合得点は、最終日に38.5点を稼ぎ3位まで順位を押し上げる。また、総合優勝を果たした日大と同率での多種目優勝を果たした。また、女子では女子100メートル障害に出場した紫村仁美(スポ4=福岡・筑紫女学園)が3年ぶり2度目となる優勝を飾った。
ガッツポーズの浦野主将(手前)とアンカー野澤
(記事 菅原理紗子、写真 浜雄介)
★小林が躍進の4位
小林はラストウォークで4位に入った
男子1万メートル競歩決勝には小林快(社2=秋田工業)が出場。自己記録を大幅に更新する42分42秒70をたたき出し、4位入賞を果たした。レースは序盤から動いた。2000メートルを過ぎ、先頭集団に離され第2集団の中でレースを進めていく。「ついていけなかった」と語った小林だが、粘りの歩きで徐々に順位を上げ、一旦は2位まで浮上する。そこからまた順位を落としていくも、給水を取り回復した後、前を行く選手を拾っていき4位でフィニッシュした。今回で競歩を辞める、そう全カレ前から宣言していた小林。今後は自身の夢である箱根駅伝出場に向け長距離に転向する。チーム層が厚いワセダで出場権を獲得するのは容易なことではない。だが自分の夢のため、皆の応援を背中に受け、小林は走り出す。
(記事 目良夕貴、写真 手塚悠)
★野澤が全カレ初タイトル!
強さを見せた野澤
前日行われた400メートル障害準決勝で自身が持つ早稲田記録を更新し、波に乗っていた野澤。この日行われた決勝は、野澤を含め日本選手権入賞者が4人そろうハイレベルな争いとなった。野澤は落ち着いた入りを見せると、200メートル過ぎからぐんぐん加速。後半に強い野澤が逃げ切るかたちで最初にゴールに飛び込んだ。全カレ400メートル障害のタイトル獲得は実に昭和57年以来。3度目の全カレにして初めてチームに得点を献じ喜びを見せたものの、「49秒20、うまくいけば48秒台を狙っていた」とタイムに関してはやや不満を残し、野澤の目指すところの高さがうかがえた。目標とする岸本鷹幸(法大)の不出場についても「一緒に走りたかったという気持ちは結構ある」と表情を曇らせたが、勝てるチャンスを逃さずしっかり優勝を果たしたことでまた一つ成長を遂げたに違いない。今後は来年行われるユニバーシアード、世界選手権に向けてさらなる記録更新を狙う。野澤の成長はまだまだ止まらない。
(記事 菅原理紗子、写真 手塚悠)
★紫村が100メートル障害で3年ぶりの優勝!
有終の美を飾った紫村
早大からは紫村、羽角彩恵(スポ2=北海道・札幌第一)の両選手が出場した女子100メートル障害決勝。紫村はスタートから飛び出し、スムーズな加速で序盤から首位に立つとそのまま1着でフィニッシュ。100メートルではまさかのフライングで失格、200メートルも準決勝で敗退したが、専門種目では1年時以来2度目の全カレ覇者となった。しかし、13秒53のタイムに紫村は「みんなの前でもう一度学生新、最低でも大会新を出したかった」と少し悔しさもにじませた。また、羽角が7着に入ったことに関しては「二人でエンジを並べようと話していた」と後輩の成長に笑顔を隠さなかった。今回、女子全体の成績が振るわず悔しい思いもしたが「(男子の)両リレーが優勝してくれて、本当にワセダで良かった」と最後にワセダへの愛も改めて感じたようだ。これでエンジをまとった女王のストーリーは一幕を下ろすが、卒業後も競技は続行予定。ロンドン五輪代表の木村文子(エディオン)らライバルたちとしのぎを削る。
(記事 浜雄介、写真 目良夕貴)
★竹下、200メートルでも2位入賞
大車輪の活躍を見せた竹下
2日目の男子100メートルに続き、200メートルでも決勝進出を果たした竹下裕希(スポ2=福岡大大濠)。すでに走った本数はリレーを含め6本に上っていたが、竹下は疲れを感じさせなかった。「前半思い切っていくことができなかった」と言いながらも、力強い走りで堂々の2位。早大に貴重な7点を追加した。目標としていた20秒07というタイムには届かず悔しさをにじませた竹下。しかし過酷なスケジュールの中しっかりと一本一本を走り切り結果を残したことで、短距離ブロックのエースとしての地位を確立したと言えるだろう。今後は今回出場していない400メートルに重点を置くという。ワセダのこれからを担うマルチプレイヤー、竹下の挑戦は終わらない。
(記事、写真 手塚悠)
★2位でチームに貢献
2位入賞の土井
男子棒高跳決勝には土井翔太(スポ4=香川・観音寺第一)が出場。この大会に調子をきっちり合わせた土井は、5メートル10、15、20を全て1回目の試技で成功。自己ベストである5メートル22の更新に期待がかかったが、わずかにバーを越えられず。応援する仲間に、観客に、審判員に大きくお辞儀をしてフィールドを後にした。しかし自身最高位の2位に「本当に楽しかった。それだけです」と笑顔を見せ、さらに「良い仲間と巡り合えた」と最後の対校戦を終え仲間への感謝をあらわした。
(記事、写真 大道瞳)
★最初で最後の全カレ
粘りの走りで5位入賞を果たした神内
全カレ最終日終盤、男子3000メートル障害決勝が行われた。早大から出場したのは2名、神内隆年(スポ4=京都・山城)と工藤皓平(スポ3=熊本工)。レース開始直後、工藤はスタートダッシュを決め1.5キロまでリードを保つ。一方、神内は「最初は自分のペースで落ち着いていってから、ついていくつもりでした」と話すように、集団に残り動向をうかがう作戦に出る。中盤、動きが鈍くなってきた工藤は集団に吸収され、徐々に置いていかれるという苦しい展開。ラスト1周を6位で迎えた神内は意地のスパートを見せ、最終ストレートで1人を抜いて5位でゴール。工藤は前半のオーバーペースがたたり、結局9位でフィニッシュ。ダブル入賞を逃す結果となった。大学生活前半はケガで苦しんだ神内。最後の年は関カレ、全カレ共に入賞を果たした。早大が箱根で勝つためには、神内のような戦力も不可欠だ。この先控える駅伝シーズン、最終的には箱根に向けて、どんな活躍を見せてくれるのか。神内、工藤にも注目である。
(記事 井上義之、写真 西脇敦史)
★創部史上初の快挙達成!
野澤が最後の直線で抜け出し先頭でフィニッシュ
今大会最後の種目となった男子4×400メートルリレー(マイル)決勝。早大は本大会2日目に行われた4×100メートルリレー(4継)の優勝に続く、リレー種目二冠達成の期待がかかるレースとなった。スターター牧野武(スポ4=愛知・時習館)が5位で第2走者の竹下にバトンを渡すと、後半からの加速で巻き返しをはかり3位に浮上。第3走者の浦野主将は2番手に位置づけ前をうかがう。後続集団では3チームが転倒する激しい順位争いが見られた。先頭では早大と中京大との先頭争いが繰り広げられたが、ラスト200メートルで浦野主将が一歩リードし、ついにトップでアンカー野澤へバトンリレー。野澤は200メートル地点で再び中京大の追い上げにより、2位へ後退。しかし、後半に強い野澤は失速せず冷静な走りを見せ、最終コーナーからギアチェンジ。最後には後続を突き離し、見事1着でゴールした。早大の強さが見られるレース展開での優勝に、選手たちは強く抱き合って喜び合う。関カレ、全カレ両方でのリレー種目二冠の達成は、創部史上初の快挙であった。「学生1位になったので、やはり日本一を目指したい。早稲田記録もしっかり更新して、来年の後輩たちがそれを抜くぞという思いで頑張ってくれるように、結果を残したい」(浦野主将)というように、学生日本一になったいま、目指すはもちろん日本一。次なる日本選手権リレーと合わせて、早大のマイル三冠に大いに期待したい。
(記事 松田萌花、写真 浜雄介)
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結果
【男子】
▽200メートル
竹下裕希 21秒01(2位)
▽400メートル障害
野澤啓佑 49秒59(1位)
▽3000メートル障害
神内隆年 8分56秒31(5位)
工藤晧平 9分09秒83(9位)
▽4×400メートルリレー
早大(牧野武―竹下―浦野主将―野澤) 3分05秒75(1位)
▽1万メートル競歩
小林快 42分42秒70(4位)
▽棒高跳
土井翔太 5メートル20(2位)
▽円盤投
ディーン元気 42メートル92(22位)
▽男子総合得点
早大 73点(3位)
▽男子トラック得点
早大 66.5点(2位)
【女子】
▽100メートル障害
紫村仁美 13秒53(1位)
羽角彩恵 14秒23(7位)
▽円盤投
佐藤菜央美 41メートル45(12位)
▽女子総合得点
早大 25点(6位)
コメント
浦野晃弘主将(スポ4=広島皆実)
――関カレ、全カレでのリレー種目二冠は創部史上初ですが、いまのお気持ちはいかがですか
正直多種目優勝も同率だったり、総合優勝、トラック優勝を逃したり、後輩たちに何も残せないかなと思ったんですけど、創部史上初の快挙を残すことができたので、良かったです。
――個人としてはどのような気持ちでマイルのレースに臨まれましたか
そうですね、4年間の中で一番楽しい全カレだったので、緊張とかじゃなくてこのチームで走ったら絶対に勝てるとしか思わなくて、とにかく楽しかったです。
――4人それぞれの素晴らしい走りを見せてくれましたが、どのようなレース展開を考えていましたか
バトンをもらったらケースバイケースだなと思ったので、とりあえずどんなことがあってもトップで渡すと考えていて、竹下(裕希、スポ2=福岡大大濠)が後半かなり上がってきて、良いポジションでもらったので、そこからはずっと一番でいこうと思って走りました。
――関カレ以降、何か修正した点は
修正というよりはチームとして夏ぐらいからすごくまとまってきたので、4年生は当然まとまっていたんですけど、3年生は全カレに向けてどんどんまとまってきてくれて、僕たちがいくぞとか言わなくても、いきましょうみたいな雰囲気できてくれました。そういったことがあったので、僕自身も心に余裕が持てましたし、応援とかもかなり支えになりました。
――浦野主将個人として、結果も踏まえて今回の全カレを振り返っていかがですか
個人としては、200メートルも準決勝で敗退してしまったので、自己ベストはあったんですけど、まだまだチームに勢いをつけたいと思っていました。400メートルでもギリギリ通過で、みんなからはそれでも力もらったよって言われましたけども、正直不満はありますが、そういった中で自己ベストなど収穫はあったので、結果的には良い試合だったかなとは思います。
――4年生の活躍が見られた今大会だったと思いますが、部全体としての全カレを振り返ってお願いします
そうですね、ディーン(元気、スポ3=兵庫・市尼崎)、大迫(傑、スポ3=長野・佐久長聖)など上位を狙える選手が優勝を逃したりしてしまったので、もう少し優勝数を増やせれば良かったなあというのが1つです。ただ、応援やサポートの面に関してはこれまでよりも良い動きをしてくれたと思います。
――次に目指すは日本選手権リレーでの優勝だと思いますが、今後の意気込みをお願いします
そうですね。学生1位になったので、やはり日本一を目指したいです。きょうは勝利を狙ったので、今度は優勝に向かって早稲田記録もしっかり更新して、来年の後輩たちがそれを抜くぞという思いで頑張ってくれるように、結果を残したいと思います。
神内隆年(スポ4=京都・山城)
――5位という結果についてはいかがでしたか。
満足はしていません。やはり出るからには優勝したかったです。
――スタート直後、工藤選手(晧平、スポ3=熊本工)が飛び出しましたが
最初は自分のペースで落ち着いていってから、ついていくつもりでしたが、そのままついていけずに自分のペースでいってしまいました。
――最初で最後の全カレとなりましたが
やはり大学陸上生活の中で今回が最初で最後の全カレということになってしまって、優勝したかった気持ちが大きかったのですが、自分の力のなさを感じました。1年目から故障が多かったので、故障なしでやれていればという気持ちです。
――今後の予定について教えていただけますか
合宿を挟み、駅伝シーズンに入っていくつもりです。最終的には、箱根駅伝に向けて頑張っていきたいです。
――駅伝シーズンに向けて強化していくポイントはありますか
体力面です。伸びていると感じていることもあり、ことしはケガなくやれているので、このまま継続して練習していきたいと思っています。
土井翔太(スポ4=香川・観音寺第一)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
本当に楽しかった。それだけです。
――5メートル10から続けて1回目の試技で成功されました
狙ってきた試合なので調子が良いとか悪いとかいうのはなくて、絶対良いのが当たり前で、あとはいつも通りできるかどうかなど気持ちの問題です。最後の全カレ、最終種目、4年生といろんなことを思ってしまうのでとにかく楽しもうと、自分らしくいようと思いました。
――2位という結果はいかがですか
山本(聖途、中京大)に負けることを前提としているわけではないですが、チームのためにも2位、その上で彼と跳び合えたらと思っていました。なので、自己新を出せなかった記録以外は上出来です。
――最後の全カレでした
悔いはないです。男子マイルでも浦野がキャプテンというプレッシャーもあったと思うのですが、彼が1番でバトンを受けて、あとは野澤(啓佑、スポ3=山梨・巨摩)が引き離してくれました。自分も出し切りましたが、チームとしても最後に出し切れたように思えてそれが4年間の集大成だと感じました。
――どんな4年間でしたか
香川県からここに来て、やはり視野が広がりました。またそれ以上に良い仲間と巡り合えたのでできるだけ上位で勝つという目標で今回挑んだのですが、達成できたし、これは4年生の団結があったと思います。みんなの前で4年生に拍手が送られたのですが、それが本当にうれしかったです。
――次の試合は何でしょうか
10月の日本選手権リレーに十種競技で出る予定です。日本のトップレベルの方が出場されるので、まずは早稲田記録を狙っていきたいと思います。
牧野武(スポ4=愛知・時習館)
――マイルで優勝されましたが、いまのお気持ちは
4継と合わせて両リレーで優勝できたのですごくうれしいです。
――今回も第1走を務められましたが、走りの出来はいかがでしたか
もっと良い位置で2走の竹下(裕希、スポ2=福岡大大濠)に渡せたら良かったとは思います。礒先生(繁雄、昭58教卒=栃木・大田原)からは悪くはないけど…と言われました。もう1つ残りの競技生活は短いですが、日本選手権リレーがあるのでそこで良い姿を見せられたらなと思います。
――4継も優勝していたので、さらにプレッシャーのかかったスタートではなかったですか
プレッシャーは慣れずに毎回感じてしまうのですが、決勝になると優勝するぞという気持ちが1番大きくなって、それ以外のことはあまり意識せずに比較的落ち着いていけました。
――早稲田記録に迫る好記録でしたが、チームの状態は良かったのですか
野澤(啓祐、スポ3=山梨・巨摩)が優勝して、竹下が4継で優勝、100メートルと200メートルでも決勝に残って、浦野キャプテンも点を取ってくれて。そういうワセダ全体の流れの中で、4継も優勝して絶対勝ってやるという流れができたので、その波に乗れたのかなという感じです。
――先ほどもおっしゃられていましたが、次のレースは日本選手権リレーですか
リレーはそうなのですが、個人では早慶対抗戦です。引退試合はおそらく日本選手権リレーだと思います。
蔭山愛(教4=神奈川・相洋)
――最後の全カレを終えて、いまの率直な感想はいかがですか
終わったんだなあと感じています。
――今大会3種目に出場しましたが、調子はいかがでしたか
長くなるなとはずっと思っていましたが、最後の方は疲れが出てしまいました。一番好きな種目である200メートルで準決勝敗退してしまい、悔いが残る結果でした。
――昨年優勝している種目で準決勝敗退してしまった点についてはどうでしょうか
自分の力不足と、もう少し前半からしっかりいければよかったのですが。スピードをおさえてしまったのが敗因だと思います。
――100メートル、400メートルでは共に4位で表彰台まであと一歩でした
詰めが甘い、の一言ですね。特に400メートルに関してはもっと前半からいくしかないと思って走って4位という結果だったので、悔いはないです。しかし、しっかり順位をとれなかったことが自分の実力のなさかなと思います。
――今後はどのようなご予定ですか
まだ国体が残っているので、400メートルと4×100メートルリレーに出場する予定です。
紫村仁美(スポ4=福岡・筑紫女学園)
――100メートル障害優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは
うれしいんですけど、タイムが伴ってこなかったのでちょっと悔しいです。
――学生新、大会新記録を狙っていらっしゃったのでしょうか
そうですね、もう一度みんなの前で学生新を出したくて、最低でも大会新と思っていたので悔しいです。
――3年ぶり2度目の優勝ということですが、3年前と比べて今回の優勝はまた違ったものでしょうか
1年生の時はなにも考えずにただ走って、Wを付けて走ったくらいにしか思っていなかったんですけど、やっぱり4年になって最後のエンジですし、Wの重みの感じ方や気持ちの持ち様も変わった中での優勝だったのでよろこびはとても大きかったです。
――一方で100メートル、200メートルでは厳しい結果となりました
まさか100メートルは一発で失格になると思ってなくて、その時は気持ち的に落ちてしまったんですが、落ちたままでは200(メートル)にも(100メートル)ハードルにもつながらないですし、みんなから声をかけてもらって、そこで恩返ししたいと思って切り替えて200とハードルにつなげました。
――レース日程はとても負担の大きいものだったのではないでしょうか
次のことを考えるというよりはその一本一本をしっかり走ろうと考えたので、終わってみればあっけなく終わったという気もするんですけど、走ってるときは一生懸命やっていただけです。
――4年生、最後の全カレでしたがいかがですか
自分の優勝ももちろんうれしいんですけど、(男子の)両リレーが優勝して、最後のマイルはとても感動させてもらえましたし、本当にワセダで良かったなあと思いました。
――女子全体の成績に関してはいかがですか
もっと(対校得点を)取れたはずなんですけど、取りこぼしもたくさんあって最後の全カレですが悔しいです。
――最後の100メートル障害決勝では羽角選手(彩恵、スポ2=北海道・札幌第一)も一緒に走られました
昨年からずっと全カレでは二人でエンジを並べようと話していたので、それが実現できてすごくうれしかったです。
――今後の予定は
早慶戦(早慶対抗戦)に100メートルで出場する予定です。あとは実業団学生対抗に出場できるのであればそれが大学最後のレースになると思います。
――その後の進路は決まっていますか
陸上は続けようと思っています。その練習環境、場所を探している、考えているところです。
ディーン元気(スポ3=兵庫・市尼崎)
――オリンピックに出てみていかがでしたか
すごく楽しかったというのが一番です。あとは僕の陸上の競技人生も長いですけど、その中での一つの大きな目標は終わったので、次の目標を明確に決めてそれに向かっていくための出発点になりました。
――成長したことや刺激を受けたことはありましたか
もっと強くなりたいと思いました。表彰台に絶対に乗りたいというのが明確になってきましたし、不可能ではない世界だなと感じました。それに向けてもっと努力していかなきゃいけないなと感じる大会になりました。あとまあ、やり投げが好きになりましたね。
――ジュニアの世界大会との違いは
いやもう全然違いますよ。世界のトップというトップが集結する大会なのでレベルも違います。世界の最高峰だなというのを感じられて楽しかったです。ただ、自分は試合に参加していないなというのは感じました。
――勝負させてもらえなかったということですか
勝負させてもらえないではないですが、自分からもっと攻めていけたかなというのがあります。結果も大事ですけど、楽しめたら良いなという気持ちでいったので。ただ次はしっかり勝負をしにいきたいなという気持ちになりました。
――そのためにはどんなことが大事ですか
やはりピーキングが一番大事だと思います。どれだけ強くてもピーキングができなければ駄目ですから。もちろん体をもっと大きくしなければいけないですが、その時点で持っている力をどれだけ発揮できるのかが大事だと思います。試合前の1ヶ月でどれだけ正確に自分のベストまで持っていけるかが、勝負の境目かなと思います。
――ご自身の中で変化した部分はありますか
僕の中では何も変わっていません。もっと上を目指すという純粋な気持ちでやっていて、やりを遠くに飛ばしたいというだけです。
――今後の目標を教えてください
冬を計画的に過ごして来年ベストを出せば、日本記録も遠い目標ではないと思うので、しっかり狙っていきたいと思います。来年は狙った試合で記録を出せるようなアベレージの高さが欲しいです。
野澤啓佑(スポ3=山梨・巨摩)
――400メートル障害での全カレ初タイトルおめでとうございます。率直なお気持ちはいかがですか
ありがとうございます。うれしいんですけど、タイムを狙っていたので若干悔しい面もあります。コンディションや全カレまでの体調を考えたらよくできたかなとは思います。
――狙っていたタイムというのは
ユニバ―シアードの派遣標準記録は49秒80なので既に突破していて、世界選手権は今回選考外ではあるのですが、早く突破するに越したことはないので、きょうも49秒20やうまくいけば48秒台を狙っていました。
――400メートル障害での全カレ優勝は昭和57年以来です
今回で全カレは3回目なんですけど、去年おととしは全カレに出ても決勝に残れなかったので、今回得点でチームに貢献できたことは本当にうれしく思いますし、周りの方々や友達や仲間が応援してくれたり見に来てくれたり、そういった周りのサポートが大きいなと感じました。
――疲れがたまっているとおっしゃっていましたが
そうですね。本当にちょうど予選の日の朝、起きたらなんかすっきりしていて自分でも本当にびっくりしました。まさかこんなにぴったり合うのかな、と。本当に休んでいて良かったと思いました。休めというのは礒監督(繁雄、昭58教卒=栃木・大田原)からも言われていて、「しっかり休んでおいた方がいい。走る必要はない」と言われたんですよ。その言葉をしっかり信じて休めたのが良かったと思います。
――予選からタイムを狙っていらっしゃったのでしょうか
調子は良かったんですけど、走れるかどうかはわからなかったので予選は狙ってはいなかったです。すごく緊張とか不安があったんですけど、走ってみたらタイムが出て。最初は50秒台が出たらいいかなと思っていたんですけど、それ以上にタイムが出たので、そこからは不安も緊張もなく次の日に自信持って走ることができました。
――準決勝では早稲田記録でもある自己記録を更新されました。あのときの感覚はいかがでしたか
予選の走りから準決勝も同じようにいけば大丈夫かなと思っていました。準決勝の前にマイル予選も走っていたので。そのマイルの疲労とまではいかないですけど、若干足に違和感があって、そこまで記録を狙うというよりはしっかり着順で決勝に進めるようにレースを組もうかなと思って走りました。その中で自己ベストが出たのは良かったと思います。
――今回は意識して狙わなくても記録がついてきたという印象なのでしょうか
そうですね。心の底では記録出すぞという思いがあるので狙ってないとは言えないですけど、記録を一番の目標に置いてという意識は準決勝のときにはなかったですね。
――決勝には日本選手権入賞者が4人そろいましたが、岸本鷹幸選手(法大)、中村明彦選手(中京大)は不出場、安部孝駿選手(中京大)は予選敗退となりました
目標にしていた岸本選手が出なかったことは一緒に戦えないという面では納得できないではないですけど、やはり一緒に走りたかったという気持ちは結構あります。でもその中で優勝のチャンスが来たということで勝てるときに勝つことの重要性を今回知ることができたかなと思います。
――日本選手権で味わった悔しさを少しは晴らすことができましたか
そうですね。予選、準決勝とトップで通過して決勝でも1位で、今回敗北という面はなかったので、自分でも良かったなと思います。
――マイルでは予選と決勝でメンバーを変更されましたが
ワセダとしては、走るメンバーは4人なんですけど、4人以外にもまだまだ誰が走ってもいいようにという準備はしているので、その中で今回はその4人で組んだということです。このチームでもタイムは狙えるぞという言葉かけをしていて、予選はしっかり1着で通過して決勝で良いレーンもらうぞという話をしていました。実際に1着でゴールしたので、このチームで走れて良かったなと思いますね。
――決勝では3走の浦野主将からトップでバトンを受けました。あのときのお気持ちはいかがでしたか
これは優勝できるという感じでした。トップでもらったからにはトップで帰ってくるというのがモットーというか信念としてあるので、しっかりその役割を果たせたのが良かったです。
――バックストレートで一度中京大に抜かれましたが、あの場面は落ち着いていらっしゃったのでしょうか
スピードの面では僕は勝負できない、と言ったら駄目なんですけど、そこまでスピードに対応できる選手ではないので、抜かれても抜かれた選手にしっかりついていって、最後の直線でしっかり巻き返せばいいやというレースパターンをずっと組んでいるので、そのあたりは不安もなく自信を持って走れました。
――関カレ、全カレ共にリレー種目二冠というのは創部史上初の快挙です
僕もそれさっき知りました。ワセダの歴史は長いので、そこに名を残せたじゃないですけど、ここで切り開けたなという思いがありますね。やはり切り開いたからには次から継続、どう勝ちにこだわって来年につなげていくかに重点を置いて今後やっていきたいなと思います。
――日本選手権リレーとの三冠がいよいよ現実味を帯びてきました
他のチームも悔しい思いとかしていますし、日本選手権に懸けてくる思いはどこのチームも一番強いかなと思うので、僕たちも学生王者になったからにはそこでしっかり勝てるようなトレーニングを積んで、優勝しか考えずに挑んでいきたいです。
――4継の優勝はモチベーションに影響を与えましたか
テンション上がりましたね。4継が優勝したらマイルも優勝するぞという思いが一番に出てきました。
――今回は3年生が思うような結果を残せなかったかと思いますが
ベストを尽くした結果でこうなっているんですけど、みんなで表彰台に上りたいなという思いもありました。でもまだ3年なので来年がありますし、そこでしっかり悔しさを晴らせたらいいのかなと思います。
――今後に向けた抱負をお願いします
来年のユニバーシアードと世界選手権に重点を置いて、どう出場枠を勝ち取るかにこだわってやっていきたいと思います。
小林快(社2=秋田工業)
――昨年の全カレから躍進しての4位入賞でしたが、振り返っていかがですか
今回で競歩を辞めようと決めていたので、絶対入賞したいと思っていました。ランキングも下の方なので、とにかくやれるところまでやりたいと思って試合に臨みました。入賞できたことはただただうれしかったです。トレーナーさんなどいろんな方から支えていただいていたからこそ入賞できたと思っています。いままで支えて下さった方に感謝したいです。
――自己ベストを更新されました
この暑い中で自己ベスト出せたことはうれしかったです。自分の中で最後と決めていたレースで入賞を飾れたことも大きかったです。高校からやってきた中でも一番早いタイムでした。
――調子はいかがでしたか
長距離と競歩は練習が違って、これから走りに転向すると決めていたので、実はあまり練習をしていませんでした。それほど調子が良いというわけではなかったのですが、大学の中では一番良かったと思います。
――長距離に転向してからの目標は何でしょうか
競歩でお世話になった方々にはもう伝えていました。「箱根駅伝期待している」という言葉を頂いたので、その期待に応えられるように頑張りたいです。
――具体的な種目を挙げるとすればいかがですか
5000メートル、1万メートルももちろん早くなりたいと思っていますし、選手としてやれればと思っています。最悪、箱根専用というか、箱根以外では使えないと言われても箱根は走りたいと思っています。
――レース序盤、小林選手は第2集団につけました
(先頭集団に)ついていけなかったです。
――給水後に再びペースアップされました
正直、2番まで上がって見せ場を作ったのでいいかなと思ったんですけど、後ろから来て負けたくないなと思ってペースを上げました。
竹下裕希(スポ2=福岡大大濠)
――100メートル2位という結果についてはいかがですか
調子が良かったので優勝を狙っていました。80メートルぐらいまでは良かったのですが、そこで勝ちを意識してしまって残り20メートルをしっかり走ることができなかったので、そこがこれからの課題ですね。
――最後に競りましたがそのときはどうでしたか
優勝した飯塚さん(翔太、中大)に並ばれたときも硬くなってしまいました。
――200メートルも2位入賞でした
前半思い切っていくことができなくて、後半は100メートルと同じように硬くなってしまったんですが、もっと前半で前にいけていたらまた違った展開になっていたのかなと思います。
――タイムに関してはいかがですか
全然でした。自己ベストタイなのですが、その周辺の記録は何度も出しているので。今回は優勝ラインになるかなという20秒70を目標にしていました。
――これから400メートルの練習はされますか
はい。来週の早関対抗戦は100メートルと400メートルに出場します。秋は長い距離も走りながら練習していこうと思います。国体も100メートルと400メートルに出場するので、その2つを両立できるようにやっていきたいと思います。
――4×100メートルリレーはどんな気持ちで臨みましたか
チームで優勝するぞという気持ちでした。優勝できてうれしいです。
――トップでバトンを渡されましたが、ご自分の走りはいかがでしたか
出てから加速してスピードに乗っていって、三原(浩幸、スポ2=千葉東)にしっかり渡すことを考えて走りました。前半逃げ切り型だったので、トップで渡せるようにしようと思っていました。
――優勝したときのお気持ちは
うれしいという気持ちだけですね。チームの雰囲気も本当に良くて、チーム全員で勝てて、全員で喜び合えました。うれしかったです。
――4×400メートルリレーのスタート前の気持ちは
4継と同様に、優勝するんだという気持ちでした。
――疲れはありませんでしたか
学生トレーナーの方々がケアをしてくれたので、全力で試合に臨めました。
――優勝の瞬間はいかがでしたか
最後野澤さん(啓佑、スポ3=山梨・巨摩)が残り30メートルで抜いてくれて、本当に盛り上がる展開の中で1位でフィニッシュしたときは、野澤さんのところに駆けつけていって。本当にうれしかったですね。
――全カレ全体を通していかがでしたか
自分自身の走りもそうですが、チーム全体の方向性もわかってきたかなと思います。一人一人が考えて、これから練習していきたいです。
三原浩幸(スポ2=千葉東)
――優勝した4×100メートルリレーを振り返っていかがですか
正直層が厚いので、僕が走らなくても誰でも勝てたと思います。その中で僕が走らせていただけたのは本当にありがたいと思いますし、うれしいです。
――メンバーに選出された理由をご自身ではどのようにお考えですか
1年のころから走らせていただいていたので、そういう実績を買って選んでいただいたのかなという感じです。
――200メートルのレースはいかがでしたか
個人の方は全然走れませんでした。2月くらいに右のハムストリングスを肉離れしてしまって以来、走りがガタガタになってしまって、ずっと引きずっているという感じです。ケガをしてから一度もちゃんとしたレースを走っていなくて、今回が2年になって初めてちゃんと走る200メートルだったのですが、試合の感覚というのを忘れてしまっていて、自分のレースが全然できませんでした。
――夏はしっかり練習されていたのでしょうか
練習はできていたのですが、試合に出られる程ではなかったので、ぶっつけ本番でいこうと思っていました。そのぶっつけ本番が失敗に終わってしまったという感じですね。
――今後のご予定を教えてください
明後日からここ(国立競技場)でまた関東新人選手権があるので、そこで100メートルに出場します。その後に日本選手権リレーですね。関カレ、全カレとリレーで勝っているので、マイルチームと一緒に日本選手権リレーも勝って、三冠を達成したいなと思っています。
――その後のオフシーズンでの課題は
走る量を増やすということですね。練習があまり好きではないので、妥協してしまう面がいままであったのですが、そこを改善していきたいです。ただ走る量を増やすだけではいけないと思うので、ちゃんと練習内容も考えてやっていけたらいいなと思います。