史上初の六冠!新たな伝統つくる

陸上競技

 『リレーのワセダ』の強さを証明するときがやってきた。関東学生対校選手権(関カレ)、日本学生対校選手権(全カレ)と今季ここまでリレー種目四冠を達成している早大は、10月26〜28日に行われた日本選手権リレーで前人未到の六冠に挑んだ。

アンカー三原は指で三冠を示しながらゴールした

 先陣を切ったのは4×100メートルリレー(4継)。予選では3走・梶将徳(スポ4=福島・白河旭)とアンカー三原浩幸(スポ2=千葉東)のバトンパスにミスが見られたものの、全体1位のタイムで順調に決勝へと駒を進めた。スターター九鬼巧(スポ2=和歌山北)がトップでバトンをつなぐと、2走を務めた竹下裕希(スポ2=福岡大大濠)が伸びやかな走りでリードを広げる。最後は城西大に差を詰められたものの、首位の座をきっちり守りきり1着でフィニッシュ。3年ぶりとなる三冠を成し遂げた。「この1年間梶さんに引っ張ってもらった」(三原)と後輩からの信頼も厚い短距離ブロック長・梶は今レースで陸上競技生活にピリオドを打つ。1人でチームをけん引してきた4年生のため「絶対に優勝して最高のかたちで終わりたい」(竹下)という言葉通り、梶のラストレースを優勝で飾った。

 4×400メートルリレー(マイル)でもWのユニホームが先頭でトラックを駆け抜けた。予選はやや出遅れたものの、浦野晃弘主将(スポ4=広島皆実)の好走もあり組1着で予選を通過する。六冠に王手をかけ挑んだ決勝。牧野武(スポ4=愛知・時習館)がまずまずの位置でバトンリレー。その一方で、中京大が1校だけ抜け出す展開に。2走・竹下は最後の直線で順位を押し上げ、2〜4位までが肩を並べる激しいつばぜり合いとなった。混戦の中でバトンを受け取った浦野主将が予選に続く激走を見せると、ついに先頭を行く中京大を射程圏内にとらえる。アンカー野澤啓佑(スポ3=山梨・巨摩)は冷静だった。前半はリラックスして走ることを心がけ、120メートルあたりから一度下がる「賭け」に出る。しかし、前を走る他大の選手に前進を阻まれるような位置に追い込まれ、野澤の頭に不安がよぎった。それでも六冠がかかったレースで負けるわけにはいかない。「全部外から抜いてやろう」(野澤)という強い気持ちを胸に、ラスト15メートルでトップに立つと、5校がひしめく大接戦を制した。

強く抱き合って喜びを噛みしめるマイルメンバー

 関カレ、全カレ、日本選手権リレーの全てで4継、マイルの二冠を達成したのは史上初の快挙。「(リレーで)勝つということはチームの団結力がしっかりできている」(野澤)と語るように、いままでどの大学も成し遂げることができなかった『グランドスラム』の栄光は、チーム全員の力でつかみ取ったものに違いない。短距離勢は今大会で代替わりとなる。礒繁雄監督(昭58教卒=栃木・大田原)が「今度は断トツ1位のチームをつくる」とさらなる期待を寄せる来季がいまから楽しみだ。

(記事 菅原理紗子、写真 西脇敦史、野宮瑞希)

結果

▽▽男子4×100メートルリレー

予選 早大(九鬼—竹下—梶—三原) 39秒76(1組1着)

決勝 早大(九鬼—竹下—梶—三原) 39秒53(1位)

▽男子4×400メートルリレー

予選 早大(牧野—永野佑一—浦野—野澤) 3分11秒35(1組1着)

決勝 早大(牧野—竹下—浦野—野澤) 3分07秒08(1位)

コメント

礒繁雄監督(昭58教卒=栃木・大田原)

——史上初の六冠達成おめでとうございます

よく頑張ったし、特にマイルはことし大学間で実力が拮抗してたから、その中で全部獲れたというのは彼らの努力やレース展開が良かったんだと思います。

——今季はワセダのリレーの強さが光りました

それはこだわってるし、リレーがワセダの歴史ですので。去年は総合優勝できたので、ことしはチーム力というよりも個々が強くなろう、とやってきました。ただしリレーは別。その分リレーをチームの力にしようということですね。

——どのように今大会のオーダーを決定されたのでしょうか

予選の走りを見てだいたい他のチームもわかるので、その中で今回は、特にマイルは先頭についていって野澤(啓佑、スポ3=山梨・巨摩)で勝負ということで決めました。

——多くの選手が応援に来ていて、チームの団結力を感じました

そうですね、ただそれは僕の感じるところではなくて彼らがつくったものなので。だからこちらの方針としてリレーがチームの力だというのが彼らの中にも浸透したのかもしれないし、自然発生かもしれないし、それはわからないですね。

——来年は追われる立場になると思いますが、いかがでしょうか

それは関係ないです、4継はこれから。マイルは今度1年生2人が走れるかという感じかな。マイルはある程度チームが成熟してるからもう1回つくり直すけど、4継は走り始まったから今度は断トツ1位のチームをつくる。だからそれぞれの方向性が違います。あときょうの記録は良くないから、もっと記録を上げないといけないです。それはやはりワセダにとっても重要なことだし、学生スポーツを引っ張る意味でも記録を伸ばすことは日本の陸上にプラスになりますから。

浦野晃弘主将(スポ4=広島皆実)

——きょうのレースを振り返っていかがですか

自分個人の走りとしてはもう1つ上のステージで走りたかったのですが、結果チームとして勝ったのはすごくうれしかったですね。

——今大会に向けてチームの雰囲気はいかがでしたか

そうですね。やはり関カレも全カレも勝って三冠がかかるプレッシャーの中で、口には出さないなりに結構緊張感があったのですが、その中でもここに何をしに来るのかという話を僕から集めてしました。エントリーしたから走りに来たのではなくて、やはり勝負をしにくる、勝ちにいくということを4継、マイルメンバー共に話した後で、チャンピオンとしてではなくて、記録の挑戦という意味でチャレンジャーとして、チーム一丸となって今大会を迎えました。

——タイムに関してはいかがですか

この天候とか悪条件があって、本当は大会記録等を狙っていたのですが、うまくはいかなかったです。ただ、その中でも強いワセダを見せられたかなと思います。

——調子はいかがでしたか

今シーズン調子がずっと悪い中でまたちょっと落ち気味だったので、自分自身不安だったのですが、チーム全体の中で自分がどれだけ走れるかという自分の役割を持って走ることで、調子良い悪い関係なく自分の仕事をしようと思いました。

——これが大学生活最後のレースになりますか

そうですね、競走部所属として走らせていただくのは最後になります。一応大学院に進学予定なのでまたその競走部の部員になりますが、また一つ変わったかたちで競走部と関わっていくので、一応大学としては最後ですね。

——後輩へのメッセージをお願いします

これで完全に代替わりもして、いろいろ初めてのことばかりで難しいとは思うんですけど、その中でも自分を見失わず、しっかりのびのびとワセダを見せていってほしいなと思います。

梶将徳(スポ4=福島・白河旭)

——きのう、きょうとレースを振り返っていかがですか

4年生が僕1人で、個人としても引退なのでここで勝ちたいという気持ちはありました。歴史的にみてもワセダはこの大会で過去に10連覇していて、そういった意味でも優勝したいと思っていました。自分に関してはまだもう少し走れたかなとは思いますが、優勝できたことに関しては良かったと思います。

——全カレのときうまくいかなかったとおっしゃっていたバトンパスはいかがでしたか

予選も3走と4走のところで危なかったのですが、無難に何事もなく渡せたので良かったかなと思います。

——これで関カレ、全カレと合わせて4継で三冠を達成しました

やはり年間通して勝てたということは来年にもつながると思いますし、マイルで今回勝てば6つ勝ったことになるので良かったです。

——優勝タイムの39秒53についてはいかがでしょうか

タイムはもう少し出たかなと思います。せっかく良い競技場だったので。

——今回は全カレのときと走順が変わりましたが、どのような理由だったのでしょうか

僕の推測ですが、北村(拓也、スポ1=広島皆実)がずっと連戦で疲れていたのもありますし、来年入ってくる新入生のことも考えて礒先生がこういうオーダーを組んだのではないかと思います。

——梶選手のレースはこれで最後になるのでしょうか

はい、そうなります。

——短距離ブロック長として今季を振り返ってみていかがですか

関カレの頃は僕自身は全く走れなくて、競技面では九鬼(巧、スポ2=和歌山北)もいるので引っ張っていくことはできませんでしたが、全カレの頃からようやく少しずつみんなを引っ張っていけたのかなと思います。しかし下の学年は引っ張らなくても自分から進んで取り組んでいくやつらばかりなので、僕がというよりはみんなで一緒にやってこれたのではないかと思います。

——これから次の代はどんなブロックになっていってほしいですか

ワセダと言えば短距離、短距離と言えばワセダというものがあるので、今回リレーも勝ちましたし、来季は個人の力というものがより重要なテーマになってくると思います。そこで、個人として日本や世界で入賞していくことはもちろん、伝統としている2つのリレーでも勝っていってほしいです。

牧野武(スポ4=愛知・時習館)

——関カレ、全カレ、日本選手権リレーの全てでリレー種目二冠を達成されました、いまのお気持ちはいかがですか

全てで優勝できたのはうれしいですし、自分自身きょうが陸上選手として最後のレースだったので、本当に一番良いかたちで締めくくることができたなと思います。

——最後まで接戦のレースでしたが、振り返って一言お願いします

個人としては悔いが残っていて、もっと良い位置でバトンを渡さなければならなかったと思います。

——理想のかたちはどのようなものでしたか

1走はやはり前半は遅くても後半から上げて良い位置でバトンを渡すのが仕事なんですけど、それができず少し悔しいです。

——ご自身の調子はいかがでしたか

悪くはなかったです。練習もしっかり積めていましたし、調整もできていました。雨が心配でしたけど、大丈夫だったので良かったです。走りもいまの状態としては、出し切れたとまでは言いませんが、ある程度は出せたのかなと思います。

——昨日の予選を終えてきょうのレースはどのような気持ちで臨まれましたか

昨日の予選は内側外側もいなくて1人で走ってそれでタイムが悪かったので、いろいろ考えたり怖かったりしたんですけど、それでも僕を使ってくださいましたし、メンバーと一緒に優勝するということを信じて臨みました。

——引退レースとなりましたが、4年間の競技生活を振り返っていかがですか

1、2年の頃は辛いことがいっぱいあったんですけど、辞めずに4年間続けることができて良かったです。3、4年では競技者としていままでよりも上のレベルにいくことができましたし、特にことし1年はリレーのメンバーに入れて本当に良かったです。

——リレーの優勝は仲間の存在があったからこそだと思います。いまメンバーに伝えたい思いはありますか

本当に感謝しかないです。お互い信頼し合える良いメンバーに恵まれたと思います。

——同級生、下級生、OBの方々などたくさんの方が応援してくれていたと思いますが、期待に応えられましたか

OBの方々からは握手しながら「遅いよ」などと言われましたが(苦笑)、本当にお忙しい中、ここまで応援に来てくださったことは競技者として幸せなことだと思いますし、感謝しています。

野澤啓佑(スポ3=山梨・巨摩)

——史上初の六冠達成です、お気持ちはいかがですか

本当にうれしいです。うれしいというかもう最高です。きのう4継メンバーが優勝して流れをつくってくれたので、マイルメンバーもモチベーションが上がりました。逆にプレッシャーもあったんですけど、そのプレッシャーにしっかり打ち勝てたのかなと思います。

——決勝は大混戦となりましたが、走順を待っているときはどのようなお気持ちだったのでしょうか

1、2走で中京大がぽーんと抜け出したので、これはどうかなという思いもあったんですけど、浦野さんが2番手で(逆転が)不可能ではない位置まで詰めてくれたので、自信を持ってバトンを受け取れました。バトンをもらうときも浦野さんが「いけよ!」という顔で渡してくださって自信をもらったので、200メートルまでに追いついてそこからだなという思いはありました。1〜3走で流れをつくってくれたと思います。

——200メートル過ぎから他大の猛追に遭い、一時は4番手まで後退しました

あそこは出たかったので、レースの組み立てのミスですね。ポケットされてしまうと直線出てから勝負というときに抜けられないので、絶対にやってはいけないんですけど、自分のミスというかあそこで出られなかったのは今回の反省点です。1つの賭けじゃないですけど、1回120メートルあたりで下がりました。自分の中では少しやばいかなという気持ちもあったのですが、六冠がかかっていたのでその気持ちに負けず最後まで走ることができました。反省しなければならない点もありますが、本当に良かったと思います。

——ラスト約15メートルからの大逆転でしたね

はい、全部外から抜いてやろうと思っていました。前半もリラックスして走れたので、後半はいけるかなと。ブロックされたことでちょっと不安はあったんですけど、ラスト勝負に関しては自信を持っていつも通り走れたかなと思います。

——タイムを意識するというより、やはり勝負に徹したレースだったということでしょうか

そうですね。記録も狙いたかったんですけど、やはり勝つことが大前提でした。勝たなきゃ記録が出ても、意味がなくはないですけど全然違うので。このメンバーで走るのはこれが最後なんですけど、記録に関してはまた来年、春シーズンから新しいメンバーでしっかり更新していきたいと思いますし、今度は東京六大学対校大会でもしっかり勝って八冠を狙っていきたいと思います。

——レース前、礒監督からはどのような言葉をかけていただいたのですか

中大、中京大が前に出る展開になることは最初からわかっていたんですけど、実際にその展開になりました。レースパターンは何種類かあるのですが、自分の中でしっかり整理をして、バトンをもらうときにどういうレースを組み立てればいいのかを考えることができたので良かったです。先生の言葉が一番大きいんですけど、「落ち着いて自分のレースができれば大丈夫だ、野澤のレースをしっかりやってこい」と言ってもらえてすごく自信になりました。自分の走りをしっかりできたのが本当に良かったと思います。

——前日に優勝を果たした4継メンバーからは何か言葉をかけてもらいましたか

4継が優勝してから「任せたぞ」とみんなに言われました(笑)。4継のレースを応援しながら見てたんですけど、自分のマイルより緊張しちゃって(笑)、この興奮はやばいぞという感じでした。そんな中で優勝してくれてモチベーションががっと上がって緊張もふっとんで、もうあとはいくしかないなという気持ちになりました。

——4年生を始め、たくさんの選手が応援に来てくださっていました

こうやって応援に来てくださるということもうれしいですし、やはりチームで戦っているという気持ちが常にあるので、本当にみんなに感謝したいです。声援はしっかり心に響いていて、それが少なからずラストの力につながったと思います。

——ことしはチームの団結力が非常に強い印象を受けるのですが

リレーというのはチームの代表で出るんですけど、やはりチーム全体で戦っているとうところがあるので、そこで勝つということはチームの団結力がしっかりできているんだなと感じました。なおかつ4年生にとっては最後の大会となるので、絶対勝ちたいという気持ちをみんなが持っていて、最後に良いかたちで引退されることになって良かったです。牧野さんはこれが最後で、浦野さんは院に進んで陸上は続けられるんですけど、このチームで戦うのは本当に最後だったので、良い思いをさせてもらったなという感じです。感謝の気持ちをこれで表せたかなと思っています。

——早大は来年は他大学から追われる立場になります

浦野さん牧野さんが抜けるというのは本当に大きいのですが、やはりそこは次につなげていかなきゃいけないですね。メンバーとしては1年生の木村(賢太、スポ1=大分・杵築)、佐藤(拓也、スポ1=埼玉・越谷西)もいるので、ことしの冬季みんなでしっかり練習を積んで、来年の春から爆発できるようにトレーニングをしていきたいと思います。

九鬼巧(スポ2=和歌山北)

——きょうのレースを振り返っていかがですか

日本選手権リレーを優勝で締めくくって六冠したいなと思っていました。まずは4継ということで、4継が優勝できればマイルも良い流れで走ってもらえるんじゃないかなと思ったので、本当に優勝しか狙っていなかったです。

——ご自身の走りに関してはいかがでしたか

オリンピックから帰ってきて秋のシーズンは思うようにいかないまま過ごしていて、シーズンを通しての疲れもあったんですけど、その中でうまくまとめられて、チームとしては良い方向で走れたのかなと思います。

——今大会では九鬼選手が1走を務められましたが

僕が1走というオーダーでも夏からずっと練習はしていたので、たまたま2走のオーダーが続いていただけで、そこに動揺とかはなかったです。今回の走順といい三大大会は、僕はずっと入ってたんですけど、メンバーがころころ代わっていて、一番良かった点としてはチームのほとんどのメンバーが大会に出場したという点ですね。関カレのときは3年生が引っ張ってくれて、全カレは若いチームで優勝できて、今回は梶さんが入って4年生が引っ張ってくれて優勝できました。去年の日本選手権リレーが終わってから来年は絶対にチームで勝負しようということを話してきていたので、目標を達成できたんじゃないかなと思います。

——やはり梶選手がここまでチームをまとめてきてくださったのでしょうか

そうですね。4年生は梶さん1人だったんですけど、ずっと声を出してくださったりまとめてくださっていましたし、走りの面でも支えてもらっていたので、やりやすかったです。

——以前『リレーのワセダ』を復活させたいとおっしゃっていましたが、これで復活させることができたのではないでしょうか

今回で三冠を達成できたのですが、過去には日本選手権リレーで10連覇していますし、復活というにはここからがまた大切なので、僕が在籍する2年間はずっと優勝できたらなと思っています。

——礒先生からはどのような指示をもらっていましたか

かたちとしてはやはり僕と竹下(裕希、スポ2=福岡大大濠)でリードを保った中で梶さんがキープをして、あとは三原(浩幸、スポ2=千葉東)が逃げるという先行逃げ切りのパターンを今回は1、2走で築けということでした。僕もベストコンディションじゃなかった部分もありましたし、タイムも悪かったんですけど、優勝できて良かったです。

——三冠がかかった今大会、緊張やプレッシャーはありましたか

三冠がかかっていた中で、ライバル校である城西大や中大なんかもうちを目標にやってこられていたと思うんですけど、うちとしてはまだ個人としては中大の方が強いと思っていますし、他を意識するのではなく、自分たちの優勝だけを狙っていこうという話し合いはしていました。

——ついにマイルを合わせた六冠も見えてきました

グランドスラムを達成できれば史上初だと思うので、あとは託すのみで、見守っていたいと思います。

——4年生の先輩方が応援しに来てくださっていましたが

そうなんです。練習時間を割いて来てくださったので、本当に力になって、気持ち良く走れました。

——来季は世界選手権やユニバーシアードも控えています

この冬が勝負だと思っているので、ここ2〜3週間はお休みして、また冬季練習を頑張っていきたいと思います。

竹下裕希(スポ2=福岡大大濠)

——六冠達成おめでとうございます。竹下選手は全ての決勝レースに出場されていますが、お気持ちはいかがでしょうか

ありがとうございます。六冠は本当に自分の力だけではなく、全ての試合で僕を起用してくださった礒監督やチームのサポートしてくれたメンバーの力があったからこそ達成できたと思います。チームで勝てたと思うので本当にうれしいです。

——4継のレースを振り返っていかがですか

チームの雰囲気も良く、シーズン最後の4継ということで、優勝することを目標としてしっかり練習を積めていたので良かったです。

——関カレや全カレと異なる2走でしたが、違いなどはありましたか

あまり2走3走という走順を意識しないで、自分の与えられた走順を走ることに集中しました。

——リードを大きく広げる走りとなりましたが、ご自身の調子は良かったのでしょうか

関カレ、全カレと良い流れできていたので、その流れを日本選手権リレーにつなげられたと思います。

——次にマイルについてお伺いします。以前の取材の際に、去年この大会で負けたことがとても悔しかったとおっしゃっていましたが、今回優勝されていかがですか

この大会は毎年4年生が引退する大会で、去年は4年生と一緒に走る最後の機会だったのに優勝できなかったので、今回は絶対に優勝して最高のかたちで終わりたいと思っていました。優勝できて良かったです。

——レースでは中京大が大きく先行しましたが、焦りなどはありましたか

正直、焦りました。もっと前半をうまく詰めて、後半勝負できれば良かったのですが、前半うまいかたちで(中京大に)つけませんでした。もう少し、前半詰めてラストで勝負したかったです。

——今シーズンのレースはこれで最後でしょうか

はい、最後です。

——今シーズンを振り返っていかがですか

安定した1年でした。タイムは伸びて去年より成長した部分はありましたが、タイムも思った以上に出てなくて、これではトップと戦っていくことができないので、さらにレベルアップして来シーズンに臨みたいです。

——来シーズンの具体的な目標はありますか

来シーズンは、チームとしては今シーズン六冠したのでそれを継続して勝ち続けること、個人としてはトップを獲りたいと思います。

三原浩幸(スポ2=千葉東)

——きょうのレースを振り返っていかがですか

先程礒先生(繁雄、昭58教卒=栃木・大田原)からも少し急ぎ過ぎだという風に言われたのですが、気持ちが前に出てしまって自分の走りができていなかったなと思います。足が空回りしてしまいました。

——バトンパスはいかがでしたか

予選のときに僕と梶さん(将徳、スポ4=福島・白河旭)のところでミスがあったのですが、決勝ではアップのときにその点を修正できたのでうまくバトンがつなげました。

——気持ちが焦ってしまった要因というのは何なのでしょうか

逃げ切るというのが僕の役割ですし、それがワセダのレースパターンなので、「逃げるぞ、逃げるぞ」と気負って空回りしてしまったのかなと思います。

——最後の失速してしまった原因は何でしょうか

全カレでも0.1秒も差がありませんでしたし、リレーは予選から全力で走っていました。足が空回ってしまって最後伸びなかったということに尽きます。

——練習面からの不安はありましたか

今季は思ったより練習できていなかったので、練習不足というのは一因としてあると思います。

——先日の早慶対抗戦では100メートルでベストを更新されました

早慶戦の2日前まで部活の当番をしていて、毎朝4時半に起きて22時に寝るという良い生活リズムを送っていました。それが良くてベストが出せたのだと思います。

——普段の生活リズムはどのようなものなのでしょうか

僕の場合は結構夜更かしをしてしまって、朝寝てしまうことが多いので反省しています。そこも来年に向けて改善していかなければいけないと思います。

——夜更かしの原因は何ですか

やはり朝寝てしまうことだと思います。朝練習が5時半にあって、その後にご飯を食べるのですが、1限がないとどうしても寝てしまいます。それで夜なかなか眠くならなくて、やりたいことも多いので夜更かししてしまいます。今後直していきたいですね。22時までに寝るとまではいかなくとも、24時までには寝られるようにしたいです。生活リズムが守れれば来年はもっと良い結果が残せると思います。

——不調だった夏前からの変化はどこにあるのでしょうか

ことしの2月に大きな肉離れをして、そこから歯車が完全に狂ってしまっていました。試合に合わせなくてはいけないと完治していない状況で走ってしまって、それでまたケガをして、また試合に合わせて走って…という繰り返しでした。ようやく全カレが終わったあたりからちゃんとした状態で走れるようになってきました。ケガとの付き合い方というのが大切だなと思います。ケガさえなければ、(200メートルで)20秒台を出せる感覚は自分の中にあります。

——全カレ後は200メートルには出場されていませんが

練習をちゃんと積めていないので、200メートルという距離に不安があります。100メートルであればなんとかなるのですが、距離が長くなると走れないなと思って出場を控えていました。

——今後も200メートルを軸になさっていくのですか

はい、もちろんです。その他には200メートルのための400メートルといいますか、マイルもあるので、400メートルもやっていきたいと思っています。牧野さん(武、スポ4=愛知・時習館)や浦野さん(晃弘、スポ4=広島皆実)が抜けた穴を埋められるようになれたらいいなと思います。マイルを走れるくらいの400メートルの走力があれば、やはり200メートルにも生きてくると思いますし、頑張りたいですね。

——全カレに引き続き4走での出場でしたが、来季はいかがですか

来年の新入生が強い選手ばかりなので、まずはメンバーに入ることを目標に頑張りたいです。誰がリレーメンバーに確定しているというのがこのチームは本当にないので、メンバー争いが来年は一層激しくなると思います。今回の4継のアンカーも、僕以外が走っても恐らく全然問題なかったと思います。その中で先生に選んでいただいているので、引き続き来年も選んでいただけるように頑張ります。

——梶選手はきょうで引退になります

この1年間梶さんに引っ張ってもらって、梶さんのお陰で関カレ、全カレと勝ってこられました。全カレの決勝では一緒に走ることができなかったのですが、今回こうして決勝まで一緒に走って、梶さんのラストレースを優勝で飾れたことは本当に良かったと思います。

——来季の目標を教えてください

礒先生にお前は20秒60が出るぞと言っていただいたので、世界選手権のB標準、A標準を切れるように頑張りたいと思います。