年度初めの対校戦、6連覇逃す

陸上競技

開会式にて選手宣誓をする早川主将

 懸念された雨こそ免れたものの、最大で7メートル近くの風が吹き荒れた7日。冬季の走込みを経て、多くの選手が今年度初の実戦レースを踏んだ。6連覇がかかった総合得点争いでは法大に敗れるも、個々の成績は新入生の走りや4年生の意地が光る結果に。また昨年度は、関東学生対校選手権(関カレ)、日本学生対校選手権(全カレ)、日本選手権リレーの3大会で、リレー種目のグランドスラムを達成したワセダだが、今年もリレーは好発進。昨年度は東京六大学対校大会でのリレー種目制覇は叶わなかったが、今年は主力を欠きながらも二冠を果たし幸先の良いスタートを切った。これから関東学生対校選手権までの1か月半、チームワセダとして彼らがいかに完成度を高めていくのかに注目だ。

(記事 深谷汐里、写真 石丸諒)

★圧巻の投てきで好スタート!

80メートルを超す投てきを軽々と見せたディーン

 ディーン元気(スポ4=兵庫・市尼崎)が今シーズンの開幕戦に挑み、吹き荒れる強風をものともせず圧巻の投てきを披露した。強い向かい風が吹き、好記録は望めないコンディションであるかに思われた今大会。そんな中、ディーンの放った2投目は大きな弧を描き、80メートルラインを超える。他の選手とは異なる長い滞空時間、きれいな放物線に会場がどよめいた。結果は80メートル15センチの大会新記録で優勝。フィールド競技のMVPを獲得し、貫禄を見せつけた。昨年、世界の舞台を経験し大きく飛躍したディーン。決して記録を狙いに行った大会ではなくとも安定して80メートル台を投げられるようになったのは、成長の証だ。大学やり投げ界をリードしてきたディーンもついに最終学年。大学4年間の集大成として、貪欲に理想の投てきを追い求めていく。常に進化を続けるディーンからことしも目が離せない。

(記事 中澤佑輔、写真 目良夕貴)

★男子4継、接戦を制し優勝!

4走の永沼は慶大・山縣の猛追を見事交わし切った

 男子4×100メートルリレーに出場したのは北村拓也(スポ2=広島皆実)、林風汰(スポ4=三重・宇治山田商)、橋元晃志(スポ1=鹿児島・川藤清修館)、永沼賢治(スポ2=大分舞鶴)。それぞれバトンをスムーズにつなげ、勝負の行方は4走永沼へ託される。法政大、慶應大との三つ巴となり3校ほとんど差がつかない。最後は永沼が僅差で競り勝ち1着でゴールへ飛び込んだ。短距離のエース、九鬼巧(スポ3=和歌山北)を欠き、林は走幅跳からあまり時間をおかずに出場となるなど完璧な状態ではない中での勝利。関カレの4継に向けて、昨年に続く2連覇に期待が持てる内容となった。後は全員がベストな状態へ近づいていくのが待たれるばかりだ。

(記事 松岡文、写真 松田萌花)

★吉田が2連覇達成!

冷静にレースを進める吉田(手前)と池山

 800メートルでは吉田貴洋(スポ2=和歌山・田辺)がラストスパートで競り勝ち、昨年度に引き続き2連覇を成し遂げた。序盤、強風下ということもあってか集団から誰ひとり抜け出さず、1周目がおよそ60秒とスローな展開になった。その後残り300メートル程になると他大の選手が次々と仕掛け、集団がバラけ始める。その集団の半ばに位置取り、チャンスを伺っていた吉田は他大選手の仕掛けにも冷静に反応し、持ち前のスプリントを活かしてラスト100メートルで逆転。そのままゴールに駆け込んだ。吉田のクレバーな走りが光った試合だった。同種目に出場した池山謙太(スポ2=新潟・長岡大手)も4位入賞と2年生コンビがダブル入賞を果たした。今季は昨年度よりパワーアップしたワセダの中距離陣が見られるに違いない。

(記事、写真 西脇敦史)

★早川主将、ルーキー・竹吉ともに入賞

持前の後半の伸びで2位に躍り出た早川

 男子110mH決勝には早川恭平主将(スポ4=長野吉田)と竹吉大記(スポ1=千葉・市立船橋)が出場した。スタートから一人飛び出した矢澤航(法大)のあとを追い、後半型の早川主将は徐々に加速していく。最後のハードルを飛び越えたところで佐々木洸(明大)を完全に振り切ると、矢澤に続く2位でフィニッシュ。14秒28とシーズン頭にしてはまずまずのタイムをマークした。一方、今大会が大学デビュー戦となった竹吉は後半伸び悩み、14秒74の6位で終える。早川主将にとっては最後、竹吉にとっては初めてのシーズンがついに始まった。両者ともにこれから、更なる活躍を見せてくれるはずだ。

(記事 加藤万理子、写真 川嶋悠里)

★昨年に続き優勝逃す

最後の試技ではなんとか意地を見せた林

 大学生活最後の1年は悔しい幕開けとなった。昨年の本大会は他大の4年生のカベに阻まれ3位。ことし、林が見据えているのは優勝だけのはずだった。まず、2本目の試技で7メートル05と7メートルラインを越えるなど悪くはない跳躍を見せる。しかしそこからが予想外だった。慶大の小室慧が自己ベストを22センチも更新する7メートル61の好記録を叩き出す。一方の林は3回目以降リズムを崩し、思うように踏み切ることが出来ない。最終6回目の跳躍にはなんとか修正し形にするも記録は7メートル28に留まり、2位が決定した。シーズンの立ち上がりとしては悪くない数字だが、勝負強さという面では関カレまでになんとか勘とリズムを取り戻したいところ。昨年惜しくも逆転を許した関カレで、頂に立つことはできるのか。

(記事 深谷汐里、写真 手塚悠)

★野澤、僅差で優勝

得意のラストスパートでラスト100メートルを一気に駆け抜けた野澤

 400メートルに登場した野澤啓佑(スポ4=山梨・巨摩)と永野佑一(スポ3=福岡・育徳館)はそれぞれ危なげなく、予選を1位で通過。決勝は野澤と法大・猪口悠太の一騎打ちとなった。野澤は落ち着いた入りから徐々にペースを上げ、ひとつひとつ確実に順位を上げていく。最後の100メートルで得意のスパートをかけるも、目の前の猪口がなかなか捕らえられない。最後の最後に野澤が追いつき、ほぼ同時にゴールへ飛び込んだ。どちらが勝ったのか――。法大が歓声を上げる中、静まり返る早大の応援席。しかし、1着で名前を呼ばれたのは野澤だった。その差は0.01秒。早大の静寂は大歓声へと変わった。一方の永野は予選からの波に乗り切ることはできず、6位フィニッシュ。学生ラストイヤーである野澤がシーズン初戦で勝負強さを存分に発揮したレースとなった。

(記事 川嶋悠里、写真 石丸諒)

★ダブル入賞も不安の残る内容

1度も先頭に出ることはなかった山本(右)、平

 トラックの花形種目、対校男子5000メートルには山本修平(スポ3=愛知・時習館)と期待のルーキー平和真(スポ1=愛知・豊川工)が出場。レースが動いたのは3キロ過ぎ、それまでのスローペースから関口頌悟(法大)が一気にスピードを上げ後方を引き離す。意表を突くロングスパートに後方にいた二人はこれに反応できなかった。その後、山本は3位で粘るも、終盤にはじわじわと差を広げられていく。残り100mでは明大の選手にも交わされ、結局14分35秒27の4位、平は14分37秒91の6位でフィニッシュ。前半のスローペースにも山本は多少苦しげな顔を見せるなど、スピード不足が見受けられた。来月の関カレに向けて大きな課題が見つかったようだ。

(記事 井上義之、写真 加藤万理子)

★3年ぶりの優勝!新チーム好発進

新入生を交えての勝利に安堵と喜びを表すメンバー(左から永野、野澤、愛敬、木村)

 大会の最後に行われた4×400メートルリレー(マイル)。ワセダは昨季と大きく異なったメンバーでレースに臨んだ。その中で、新チームに勢いを呼び込んだのは1走を務めたルーキーの愛敬彰太郎(スポ1=三重・桑名)だった。前半から突っ込んだ走りをするも、後半に失速することなく走り抜きバトンを繋ぐ。アンカーの野澤がいったん明大にかわされはしたものの愛敬の作った流れを途切れさせることなくレースを進め、見事優勝を飾った。関カレ、全カレ、日本選手権リレーでの3冠を成し遂げたきょねん唯一つ勝つことができなかったのがこの大会。3年ぶりの優勝と幸先良いスタートを切ったワセダのマイルはことしも連勝街道をひた走る。

(記事 石丸諒、写真 目良夕貴)

◆結果

※対校種目入賞者のみ掲載

▽100メートル

北村拓也 10秒84(3位)

橋元晃志 10秒85(4位)

▽400メートル

野澤啓佑 47秒24(1位)

永野佑一 48秒23(6位)

▽800メートル

吉田貴洋 1分56秒40(1位)

池山謙太 1分57秒05(4位)

▽1500メートル

高田康暉(スポ2=鹿児島実) 3分59秒89(5位)

浅川倖生(スポ1=兵庫・西脇工) 4分05秒52(8位)

▽5000メートル

山本修平 14分35秒27(4位)

平 和真 14分37秒91(6位)

▽110メートル障害

早川恭平 14秒28(2位)

竹吉大記 14秒74(6位)

▽3000メートル障害

相原将仁(教4=東京・早実) 9分36秒79(4位)

鈴木洋平(スポ1=愛媛・新居浜西) 9分42秒16(6位)

▽走幅跳

林風汰 7メートル28(2位) ※追い風参考記録(+3.1)

▽三段跳び

渡辺翔大(スポ4=静岡・沼津東) 13メートル81(5位)

▽砲丸投

石井祐人(早大大学院1=埼玉・武蔵越生) 10メートル10(8位)

▽やり投

ディーン元気 80メートル15(1位)大会新記録

釼持優太(スポ2=神奈川・小田原) 55メートル41(3位)

▽4×100メートルリレー

早大(北村―林―橋元―永沼) 40秒15(1位)

▽4×400メートルリレー

早大(愛敬―永野―木村―野澤) 3分10秒42(1位)

▽対校得点

1位 法政大学 118.5点

2位 早稲田大学 108点

3位 慶應大学 91点