8月に控えるモスクワ世界選手権(世界選手権)の最終選考となった日本選手権。ワセダは3人の世界選手権A標準(A標準)突破者と、2人の五輪経験者を含む10人を送り込むも、各々あと一歩のもどかしい結果に終わった。
表彰台で厳しい表情を浮かべる大迫
そんな中、会心の出来とは言えないながらも世界選手権をほぼ確実に射止めたのが大迫傑(スポ4=長野・佐久長聖)だ。正式は代表発表は10日午後だが、出場した1万メートルでは日清食品グループ・佐藤悠基に次ぐ2位でゴール。4月下旬に行われたカーディナル国際大会ですでにA標準を切っているため、代表入りの可能性は極めて高い。昨年、佐藤とのつば迫り合いに敗れ、0.38秒で逃した五輪。五輪という舞台は4年後にしか来ない。その悔しさをかみ殺し、昨年の日本選手権が終わった瞬間から、大迫は世界選手権を見据えていた。その世界選手権をほぼ手中に収めたという点では、大迫にとって大きな一歩だ。
しかし、ゴール後声援に答える仕草を見せながらも、その表情は決して晴れ晴れとしたものではなかった。昨年の経験を踏まえてか、ラスト300メートルで先頭に立った大迫。ラスト100メートル勝負には持ち込ませないためにも、佐藤を引き離したいところだったが、思惑通りとはいかない。第4カーブを過ぎると佐藤にあっけなく抜き去られ、完敗を喫した。おそらく大迫が悔しさをにじませたのは、世界選手権出場決定となる優勝を逃したことよりも(※)、佐藤らを押さえてレースに『勝つ』ことが叶わなかった、そして昨年同様最後で佐藤に刺されて敗北したことの方が大きいだろう。米国留学を経て、大迫自身も手応えを感じていただけに、悔しさはひとしおのはずだ。世界で戦うには、さらなるスピードが必要になる。“日本長距離勢は、トラックで世界を相手に戦えない”——。大迫には今後さらなる飛躍を遂げ、そのカベを打ち破ってほしい。
ディーンは納得のいく投てきはできなかった
一方、九鬼巧(スポ3=和歌山北)、ディーン元気(スポ4=兵庫・尼崎)の五輪代表コンビは春先からの不調を引きずり、世界選手権参加標準記録に達せず。また、A標準を切っていた橋元晃志(スポ1=鹿児島・川薩清修館)は、先日行われた関東学生対校選手権で足を痛めた影響から欠場した。同じくA標準を破っていた野澤啓佑(スポ4=山梨・巨摩)は400メートル障害で4位。1・2位の選手がともにA標準を上回るタイムを保持していたため、3位であれば世界選手権の可能性も見えただけに、悔やまれる結果となった。
(記事 深谷汐里、写真 細矢大帆、西脇敦史)
結果
▽男子100メートル
予選
九鬼巧 10秒37(1組4着)
北村拓也(スポ2=広島皆実) 10秒65(2組7着)
決勝
九鬼巧 10秒36(7位)
▽男子200メートル予選
愛敬彰太郎(スポ1=三重・桑名) 21秒50(2組7着)
▽男子5000メートル決勝
山本修平(スポ3=愛知・時習館) 14分22秒15(23位)
▽男子1万メートル決勝
大迫傑 28分25秒84(2位)
▽男子110メートル障害
予選
早川恭平(スポ4=長野吉田) 13秒86(4組3着)
準決勝
早川恭平 13秒92(2組6着)
▽男子400メートル障害
予選
永野佑一(スポ3=福岡・育徳館) 51秒00(2組2着)
野澤啓佑 50秒21(3組1着)
準決勝
永野佑一 50秒93(1組6着)
野澤啓佑 50秒09(2組2着)
決勝
野澤啓佑 49秒86(4位)
▽男子やり投決勝
ディーン元気 78メートル73(2位)