雨が降り肌寒い天候のもと、ことしも日本学生個人選手権が開幕。21日に第一日目を迎えた。ワセダからは、故障明けの橋元晃志(スポ1=鹿児島・川薩清修館)を含む6名が出場。関東学生対校選手権大会(関カレ)では思うような結果が出せずに苦しんだ短距離陣だが、各々調子が安定してきたようだ。
★入賞するも納得いかず
悪条件の中でも入賞した上原
自己ベストを更新し、笑顔を見せた関カレからはや1カ月。雨という悪条件のなか行われた棒高跳に上原あずさ(教2=埼玉・不動岡)が出場した。この日狙ったのは表彰台、そして3メートル80という記録。この二つをクリアするために気概十分で臨んだ上原だが、最初の試技を失敗してしまう。原因は「助走の力み」、課題を明確にした上原は細かい調整を加えながら次々とクリアし、迎えたのは3メートル70。リラックスした状態で走り出した2本目、成功したかと思われたがバーは体に当たりマットの上へ。残り1回、2本目の跳躍をイメージし、「リラックス、リラックス」と自分に言い聞かせる。しかし最後まで力みが出てしまいこの日の試技は終了となった。8位入賞と安定した記録を出したものの、満足はしていない。何度も口にした『力み』という言葉、明確な課題をどのように克服するか。真のボウルターになるため、上原の挑戦は続く。
(記事、写真 目良夕貴)
★橋元が復帰!200メートルに出場
まずまずのタイムを出した橋元
関カレの200メートル決勝で肉離れをした橋元が復帰レースとして男子200メートル予選に出場した。5月に世界選手権のA標準記録を突破していた橋元。本来ならば2週間前の日本選手権で世界選手権の切符を争っていたはずだった。しかし、関カレのケガにより日本選手権は回避。目指す先を世界選手権ではなく学生の世界大会ユニバーシアードに切り替えた。今回はその調整という位置づけだった。レースはスタートで上手く加速すると、いつものようにカーブの出口で先頭に立ちそのまま1着でフィニッシュ。疲労を考えこの日は予選レースで終了し、準決勝は棄権という形をとった。「本調子ではなかった」とカーブの走りの感覚や後半の動きに課題が残ったが、復帰レースとしてはまずまずの結果だった。日本学生の代表として出場するユニバーシアードで目標の表彰台に上がるため橋元は慎重に調整を進める。
(記事、写真 石丸諒)
結果
▽男子200メートル
予選
木村賢太(スポ2=大分・杵築) 21秒34(1組1着)
愛敬彰太郎(スポ1=三重・桑名) 21秒70(2組3着)
竹下裕希(スポ3=福岡大大濠) 21秒49(3組2着)
橋元晃志 21秒33(4組1着)
準決勝
木村賢太 21秒16(1組1着)
竹下裕希 21秒10(2組2着)
愛敬彰太郎 22秒19(2組8着)
橋元晃志 DNS
▽男子110メートル障害
予選
早川恭平(スポ4=長野吉田) 14秒15(2組1着)
準決勝
早川恭平 13秒95(1組1着)
▽女子棒高跳び
上原あずさ 3メートル60(8位)
コメント
上原あずさ(教2=埼玉・不動岡)
――8位という結果についていかがでしたか
表彰台も狙っていましたし、目標としていた記録を飛べなかったのですごく悔しいです。
――目標としていた記録というのは
最低でも3m80は飛びたいと思っていました。しかし今回3m60ということで目標にマイナス20センチ、ベストにマイナス15センチであまり良くなかったなと思います。
――調子のほうはいかがでしたか
大会前の練習ではそこまで悪くはありませんでした。毎回試合の日の練習というのは自分の中で調子が良くないのですが、きょうは調子が悪い中でも良かった方なので、いけるのではないかと思っていました。しかし雨も降っていましたし、精神的にもちょっと負けてしまった部分があったのではないかと思います。
――3m50のときにポールを変えましたが意図はなんだったのでしょうか
3m40のときに使っていたポールだと曲がりすぎてしまって高さが出ないと思ったので、少し硬めのポールを使って高さを出したいなと思い変えました。
――変えた結果は
変えなかったら飛べていなかったと思います。3m60にバーが上がったときに同じポールで持つ高さを調節してやろうと思っていたので、3m50で変えて良かったなと思っています。
――3m60の一回目が横に逸れてしまいました
あの時は助走で力んでしまいました。最後の駆け上がりや飛び上がる瞬間がマッチしなくて、跳躍に奥行きがなくて曲がってしまったと思います。自分でも、もしかしたら変なところに落ちるんじゃないかと思ってひやっとしました(笑)。
――タイミングが合わなかったということですか
はい、そうですね。でも一番は助走の力みかなと思っています。
――飛べた時の心境を教えてください
とりあえず一安心でした。3m70も同じ調子で飛ぼうと思いました。
――3m70は惜しくも飛べませんでした
1本目で踏み切れなかったのですが、力んでしまって。でも、2本目は自分の中でいい跳躍ができたので3本目も同じようにやろうと思っていたのですが、3本目もやはり助走で力んでしまって、ずれちゃって、ダメでしたね。2本目と同じようにやりたかったのですが、最後の1本とか、3本目とかいろんなことを考えていると力んでしまいました。
――3本目、飛ぶ前にリラックスと言っているのが聞こえました
やはり、自分で思っているだけだとうまく動かないことがあります。言葉に発して自分が耳から聞くようにすれば、思っているだけよりも動くのでよく口に出して言っています。でもそんなに大きな声だとは思ってませんでした(笑)。試合中はいつもリラックスとか力まないとかぶつぶつ言っています。
――次の試合の予定は
来週の29日に埼玉県選手権に出ます。そこで前期のシーズンは終わりだと思います。
――そこでの意気込みを教えてください
きょう飛べなかった80を飛んで、選手権へ出場する資格を取りたいと思います。
橋元晃志(スポ1=鹿児島・川薩清修館)
――レースを1本走られましたが、足の状態はいかがですか
久しぶりに走ったので疲労感がスピードを上げていないわりにはあります。ただ、しっかり走りきれたのは大きな収穫でした。
――具体的にどういったケガだったのですか
軽い肉離れです。全治3週間くらいでした。
――日本選手権を回避されたのはやはりケガの影響ですか
そうですね、ケガが治りきっていませんでした。出場してもおそらく予選落ちしていたと思います。それならばユニバーシアードの代表に決まっていたので、そこに向けて調整していこうという話を監督、コーチともしていたので回避しました。
――きょうのレースの位置づけは
ケガしてから、ユニバーシアードまでの間に1本くらいは出ておきたいなと思っていたので、レースの感覚を確かめるというのを一番大事にして出場しました。
――1本だけというのは足の状態を考えてですか
ユニバーシアードが2週間後なのでここで3本走って疲労を貯めないようにするために1本だけの出場にしました。
――1着でしたが、レースの内容はいかがでしたか
練習再開してまだ2週間弱だったので、体力や筋力が落ちているというのはありました。力を使いすぎてしまって自分の動きがまだできていないので、本調子ではなかったです。ただ、課題も見つかったのでそういった意味では良いレースでした
――見つかった課題とは
自分の得意なカーブの走り方の感覚がまだ合っていなくて上手く走れませんでした。それとケガする前から課題だった後半の走りが、ケガをしたことで大きな欠点になってしまいました。
――静岡国際大会でつかんだという感覚はいかがでしたか
イメージとしては頭の中に残っています。ただ、イメージがある分まだ動きが体に合ってこないです。ユニバーシアードまでにはイメージにしっかり自分の走りを持っていきたいです。
――ユニバーシアードでの目標を教えてください
表彰台、3位を目指します。