例年ワセダが練習の一環として参加する3000メートルの記録会。ことしも大勢が出場し、激しい部内争いが展開された。多くの選手が自己新記録をマークし、夏合宿前最後の記録会として充実した内容になった。3000メートルと合わせて1500メートルにも出場した高田康暉(スポ2=鹿児島実)も3分46秒台の好記録を出すなど、全体を通して春のスピード強化の成果が感じられた。
3000メートルの11組では駅伝経験のない若い選手が主に出場した。ワセダ勢は先頭集団でレースを展開していく。ラスト1周の鐘が鳴るとスパートの掛け合いが始まった。息を荒げて互いにスピードを絞り出す。残り300メートル付近で藤岡孝彰(商2=東京・早実)が他を圧倒する走りで独走フィニッシュ。春からベストの更新を続ける藤岡はここでも調子の良さをアピールした。
レースを引っ張る柳と田口
次の最終12組では今季ワセダの主力を担う選手が多数出場。「集団を引っ張って、他のワセダの選手を良いタイムでゴールさせることができた」(柳利幸、教2=埼玉・早大本庄)と言うように柳が積極的に先頭に食らいつきながらレースが進む。2000メートルあたりから先頭集団は柳、田口大貴(スポ3=秋田)、山本修平(スポ3=愛知・時習館)、武田凜太郎(スポ1=東京・早実)の4名に絞られた。最後は田口がキレのある走りで全体のトップタイムでゴール。タイムも本人が設定していたものより上回る好タイムだった。
これを最後に長距離ブロックは合宿を通じての強化体制に入っていく。「少しずつ勢いが出てきている」(田口)、「良いムードになってきている」(山本)とチーム状況の上向きを感じている主力たち。武田ら上級生に引けを取らない新入生も入ってきたワセダ。この夏の過ごし方によって秋からの勝負が決まる。すべては箱根で優勝するために――。これから1秒たりとも油断できない夏が始まる。
(記事 西脇敦史、写真 石丸諒)
結果
▽1500メートル
高田康暉 3分46秒63 自己新記録
▽3000メートル
11組
藤岡孝彰 8分16秒60(1着)自己新記録
中村信一郎(スポ2=香川・高松工芸) 8分18秒48(3着)自己新記録
徳留 駿(法3=埼玉・早大本庄) 8分18秒67(6着)自己新記録
臼田稔宏(基理3=長野・佐久長聖) 8分19秒52(8着)自己新記録自己新記録
井戸浩貴(商1=兵庫・龍野) 8分20秒32(9着)自己新記録自己新記録
高橋広夢(スポ3=東京・東大付) 8分22秒87(10着)自己新記録
田中鴻佑(法4=京都・洛南) 8分24秒02(11着)自己新記録
三井泰樹(人科2=山形東) 8分25秒46(12着)自己新記録
山田侑矢(スポ3=三重・伊勢) 8分26秒35(14着)自己新記録
鈴木洋平(スポ1=愛媛・新居浜西) 8分27秒61(15着)自己新記録
藤澤怜欧(スポ2=神奈川・多摩) 8分39秒88(20着)
12組
田口大貴 8分08秒54(1着)自己新記録
武田凜太郎 8分09秒58(2着)自己新記録
山本修平 8分11秒13(3着)自己新記録
柳 利幸 8分12秒28(4着)自己新記録
自己新記録
三浦雅裕(スポ2=兵庫・西脇工) 8分17秒96(6着)自己新記録
相原将仁(教4=東京・早実) 8分46秒47(18着)
志方文典(スポ4=兵庫・西脇工) 8分48秒06(19着)
コメント
田口大貴(スポ3=秋田)
――本日のレースの目的は
きょうは3000メートルなので、スピードの練習という位置づけです。今までスピード練習を中心にしてきたので、その成果が3000メートルに出るかということが本日のポイントでした。
――ご自身の感触として成果は感じられましたか
きょうは思っていた以上に走れたというのが正直な感想です。ホクレン(ホクレン・ディスタンスチャレンジ2013・第4戦北見大会)が終わってから調子が上がってこないなと思っていたのですが、きょうはばっちり走れたので練習の成果が出たのかなと思います。
――ではタイムについて不満はなかったということですか
そうですね。目標が8分ひとケタだったので、そこをクリアできたのは良かったです。
――春のトラックシーズンを振り返っていかがですか
記録の面では合格点かなと思います。ただ、試合の面で言うと大事な所で走れていなくて、関東インカレ(関東学生対校選手権)でも点数を取れなかったので…。求められているところで走れていませんでした。
――ではトラックシーズンに点数をつけると何点くらいですか
40点ぐらいですかね。記録が出たからといって満足はしてはいけないですし、あくまで勝負することが陸上競技なので。それができていないので点数は低いです。
――夏合宿の個人のテーマを教えてください
走りこむことも大事ですが、ことしはそれ以外のところからアプローチしていこうと思っています。具体的には、僕は身体ができていないので、その改善だったりなどです。
――いまのチーム状況をどのように感じていますか
少しずつ勢いは出てきているのかなと思います。関東インカレで大迫さん(傑、スポ4=長野・佐久長聖)以外点数を取れなくて、そこでみんなが危機感を持ってから、短い期間ですけど修正が出来つつあるのではないかという感じですね。
――秋のシーズンの目標はありますか
秋はすぐに出雲駅伝があって、一番大きな目標は箱根駅伝の総合優勝なのですが、それに向けて試合をひとつひとつ大切にしていって、目標を果たせるように頑張りたいと思います。
山本修平(スポ3=愛知・時習館)
――3000メートルという距離でしたが、どういう気持ちで臨みましたか
インカレや駅伝の5キロ10キロ、または20キロにどう生かせるかということを考えて走ることができました。でも最後上がりきらなかったのでまだまだかなと思います。
――部内3位という結果でしたが、走り終えた感想はいかがですか
本調子とは程遠い調子だったんですけどだいぶつかめてきているかなとは思います。
――調子が悪いというのはどのような点で感じていますか
春シーズン試合が多くて、出てしまった自分も悪かったのですが、箱根からずっと負荷がある中で試合に出すぎたというか、いまになってすごい疲労がきていました。そういった中で調子が崩れていたんですけどそれは言い訳になりませんし、だいぶ立て直せてきているかなとは思います。
――チームとしてこの大会で得た収穫はありましたか
みんないま調子が良くて全体としてはいいムードに上がってきているので油断せずにこのまま力を合わせていけば駅伝シーズンも狙えると思っています。
――夏の期間はどのように練習される予定ですか
練習を積みつつ調子も上げていかなければというふうに、ことしは課題が増えると思いますが上手くやっていきたいなと思います。