好条件の中、上級生が多数入賞

陸上競技

 東京箱根間往復大学駅伝(箱根)の前哨戦ともいわれる上尾ハーフマラソンが17日、行われた。ワセダからは高田康暉(スポ2=鹿児島実)が部内トップ、学生全体では3位に入った。またケガからの復帰戦となった田口大貴(スポ3=秋田)が7位、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)でアンカーを走った田中鴻佑(法4=京都・洛南)が8位でフィニッシュするなど、上級生が上位に食い込んだ。

始終先頭集団で積極的なレースを展開した高田

 天候に恵まれたレースとなったものの、スローペースでのスタート。そして田中が「10キロで接触してしまった」と語るように、大きな集団が崩れることなくレースは進んでいった。先日行われた全日本でも好走した高田は「先頭についていき最後まで勝負ができたのが良かった」。昨年は先頭から大きく遅れてしまったが、今年は上位でゴールし結果を残した。しかし得意のはずのラストで競り負けてしまい、課題も残るレースであった。

 また今季はケガで思うように練習を積めなかった田口は、今回の大会を箱根に向けて課題を明確にするレースと位置づけ先頭集団でレースを進めた。「自己ベストを更新できたことは自信になった」と語り、復帰してから1か月ほどしか練習が積めていない状態を考えると大きな手ごたえを得られた大会となった。ワセダの主力と言われる存在でありながらケガのため出雲全日本大学選抜駅伝、全日本と走ることができずに悔しい思いをしたが、箱根では今回得られた自信をもとにチームを引っ張る走りを見せてくれるだろう。田口と同タイムでのゴールとなった田中は、途中集団のペースが上がり先頭から離れてしまったものの、後半立て直し自己ベストを更新する走りを見せた。今季は練習でも積極的にチームを引っ張ってきたが、今回の大会でも上位で走り最後の箱根への意気込みを感じさせた。

田中の横で必死にラストスパートを仕掛ける田口

 上級生が10位以内に3人はいるなどの活躍を見せたが、初ハーフとなった1年生は井戸浩貴(商1=兵庫・龍野)が部内4位。全日本で駅伝デビューし区間3位と好走したが、初のハーフを終え、長い距離でも走れることを証明した。武田凜太郎(スポ1=東京・早実)と平和真(スポ1=愛知・豊川工)も後半に先頭集団から遅れてしまったが初ハーフとしてはまずまずの結果であった。

 多くの選手が自己ベストを更新するなど箱根に向けて良い収穫が得られた今回の大会。しかしワセダは選手層の薄さが課題である。今回走った選手だけでは箱根は戦えない。残り1か月半でどれだけチーム全体として力をつけることができるかがカギとなるだろう。

(記事 戸田郁美、写真 目黒広菜、松田萌花)

結果

▽大学生男子ハーフマラソンの部

高田康暉 1時間02分38秒(3位)自己新記録
田口大貴 1時間02分53秒(7位)自己新記録
田中鴻佑 1時間02分53秒(8位)自己新記録
井戸浩貴 1時間02分59秒(17位)自己新記録
武田凜太郎 1時間03分28秒(24位)自己新記録
中村信一郎(スポ2=香川・高松工芸) 1時間03分49秒(35位)自己新記録
平和真 1時間04分01秒(44位)自己新記録
高橋広夢(スポ3=東京・東大付) 1時間04分09秒(50位)自己新記録
山田侑矢(スポ3=三重・伊勢) 1時間04分23秒(66位)自己新記録
臼田稔宏(基理3=長野・佐久長聖) 1時間04分35秒(79位)
三井泰樹(スポ2=山形東) 1時間04分45秒自己新記録
相原将仁(教4=東京・早実) 1時間05分09秒(120位)

徳留駿(法3=埼玉・早大本庄) 1時間05分36秒(154位)自己新記録
関口直人(商4=埼玉・浦和) 1時間09分07秒(337位)

コメント

高田康暉(スポ2=鹿児島実)

――きょうの結果はいかがでしたか

予定では先頭にどこまでついて行けるかというところだったので、最後まで勝負ができたことは良かったと思います。自分の目標からすると合格点なのですが、最後に競る展開になったので、そこは勝ちたかったです。

――ラスト勝負には自信がありましたか

逆に自信があったことで油断してしまって、不意を突かれたというか、そこで経験の差が出たんじゃないかなと思います。

――好タイムが出たことについては

62分30秒にどれだけ近付けるかということが目標だったんですが、スローペースだったからこそこのタイムが出たと思います。タイムに関しては後からついてくるものだと思っていたので、それよりも勝負できたことが一つ自信になりました。

――渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)からの指示は

市田先輩(孝、大東大)が高校の先輩なので、勝負してこいということを言われていました。
勝負できる力はあるんだから思い切って行ってこいと言われたので、失うものもないので捨て身で行って、結果最後まで行けたので良い経験になりました。

――箱根に向けて現在どのような練習をされますか

例年通り集中練習に入りますが、全日本の1区のような展開になったらまだ自分には行く力がないと思うので、意識的には前半から突っ込むレースをできるようにならないといけないと思います。力自体は自信がついたので、前半から高速レースになったときに対応できるような練習をしたいと思います。

――全日本の後の調整は

ことしは出雲と全日本の間が短かったので長い距離の練習ができず、全日本の後は距離を踏む練習をしていたので、全員疲れはあったんじゃないかと思います。

――いまの調子は

出雲の後ぐらいがちょうど調子が良くて、全日本の前あたりから少しずつ落ちてきていたので、きょう走ってみて意外と走れて調整する力がついてきたのではないかと思います。

――今後箱根に向けて強化したい部分は

西池さん(和人、法大)や市田さんはもちろん力のある選手ですが、駆け引きも上手いので、これから主要区間を走るつもりで練習する中で、最初から突っ込む練習と駆け引きで勝てるような力をつけたいです。

田口大貴(スポ3=秋田)

――きょうのレースを振り返って

復帰レースだったので、箱根を見据えて今の自分がどれくらいのレベルで走れるか確認するのが一番重要だったのでした。ここでしっかり最低限走って現段階での課題を明確にして箱根に臨みたいなと思っていたのでよかったと思います。

――具体的なレースプランは

特になかったのですが、集団の流れに入って、そこでうまく対応できればなと思っていました。

――結果は自己ベストの走りでしたが

自己ベストが出るとは思っていなかったのですが、ハーフを走れる手応えはあったのできょうの結果は少しは自信になったかなと思います。でも一番は、復帰レースだったので安心しました。

――ゴール直前では田中鴻佑(法4=京都・洛南)との競り合いも見られましたがやはり勝ちたいという思いがあったのでしょうか

そうですね。あそこまで行ったら、勝っておきたかったので、そこにこだわって最後は頑張れました。

――復帰レースでの部内2位、学生の中では7位という好成績についてはいかがですか

まあタイムは好条件だったのであまり気にしていませんが、順位的には学生の中で7番だったのは、良かったかなとは思います。でも差があっての7位なので、正直満足はしていません。

――ケガとの苦しい戦いもあったと思いますが、いま振り返っていかがですか

まだポイント練習を始めて一ヶ月経ったぐらいなので、正直このハーフは不安もありましたが、変に意識するよりも今ある自分の力をどれくらい出せるかという方向に集中し始めたら楽になった感じがします。ケガをしたことは自分の中ではいい経験になったかなと思います。

――出雲や全日本はどんな心境でレースをご覧になっていましたか

走りたいという気持ちもありましたが、冷静にチームを見れている自分もいたので、ここで自分がチームにうまく戻っていけたら、もっといいチームになるだろうなとは思っていましたし、きょうのレースで手応えもつかめたと思います。

――では箱根に向けて、今後はどんな練習を具体的にしていきたいですか

きょうは最初はスローペースで展開的にラッキーといえばラッキーでしたが、ハイペースになったときに自分がどうだったかと言われたらわからないので、今後は違った展開でも走れるように練習を積んでいきたいと思います。

――最後に、箱根に向けて意気込みをお願いします

出雲、全日本の4位という結果はみんなが悔しいと思っていますが、その中でも距離が長くなるにつれて手応えをつかめているので、僕もそこに入って、チームで盛り上げて、チームの目標の優勝に向かって頑張りたいと思います。

田中鴻佑(法4=京都・洛南)

──きょうのレースを振り返っていかがですか

全日本が終わってから体が疲れていてコンディションが良くなかったので、結果的にこのタイムが出たのは良かったかなと思います。

──レースプランはどのようなものでしたか

最初の10キロ、15キロまでが勝負だと思っていたので、それ以降はたれてもいいから前半だけ勝負しようと思っていました。

──その狙いとは何ですか

正直、若干スローペースだったのでもっと突っ込んで入る予定だったのですが、その分前半は自分である程度レースを動かしながら走れたのでその点は良かったかなと思います。

──前半は駆け引きなどもなさっていたということでしょうか

そうですね。思った以上に遅かったので、もうちょっと(ペースを)上げたいなと思いつつ走っていました。10キロで接触してしまって、そこでリズムが少し崩れたので後半伸びなかったのがもったいなかったなと思っています。

──先頭集団と離れる場面もありましたが、そこからどのようにして8位まで持ち直しましたか

練習をずっと積んできていたので、(足が)止まって動かなくなることはないだろうと思っていました。ただ、レースが動いた時に反応できなかったのはまだまだ力が足りないなと、反省しています。

──今大会での収穫や箱根へ向けての修正点があれば教えてください

全日本である程度狙った通りの走りができて、今回の上尾でも自分の中で合格ラインを出せるだけの走りができたと思います。長い距離なら他大のスピードがある選手たちとも戦えるという自信はついたので、いまのベースは崩さずにこれからやれることを上乗せしていって隙なく1カ月半過ごしていきたいと思います。

井戸浩貴(商1=兵庫・龍野)

――今日のレースを振り返って

前半からとにかく先頭集団についていくというレースプランでした。15キロ過ぎから苦しくなって、少し離れてしまいましたが、そこから自分の粘りの走りができました。ラスト1キロでかなりの選手に抜かれてしまったので、そこが課題です。全体的には良く走れたと思います。

――62分台を記録したタイムに関してはいかがですか

思っていたより良かったです。ただ前には高田さんや田口さんなどいらっしゃるので、ここで満足せずにやっていきたいです。

――目標としていたタイムや順位は

順位は先頭集団にどれだけ付くことができるかということであまり意識はしていませんでした。タイム的には63分半を目標にしていたので、切ることができて良かったです。

――一番きつい場面はどこでしたか

今日は15キロからがすごくキツかったです。まだ6キロもあるのかと思いながら走っていました。最後はスタミナ切れでした。一番キツかったのはラスト1キロですね。

――部内で1年生トップでしたが

これまでトラックなどで負け続けることが多かったので、今年中には勝とうとしていたのが、思っていたよりも早く来てしまいました。その点は素直に嬉しかったです。

――全日本からきょうまでどういった調整をしてきましたか

全日本の前からAチームに合流させてもらって、その後長い距離の距離走や後半にペースを上げていくビルドアップ走などをやっていました。

――今後、集中練習も控えていますが今後に向けて一言お願いします

(集中練習では)長い距離を踏む機会も多くなってくるので、今日のハーフマラソンの疲れが抜けきらないと故障のリスクも出てくると思います。自分の中では長い距離は得意な意識があるので、しっかり全体を通してこなすということを念頭に、ケガなくこの3週間を乗り越えたいと思います。

武田凜太郎(スポ1=東京・早実)

――初ハーフとなりましたが感触はいかがでしたか

やはり長いなという印象です。全日本で初めて10キロ以上の距離を走って、自分の中でものにできなかったので走る前は不安がありました。レースとしてはずっと先頭集団について行ってラスト5キロで先頭が動いたのに反応できませんでした。

――タイムに関してはいかがですか

(1時間)3分半を切るというのが目標だったので、そこは収穫ですが、同じ学年の井戸や他大の1年生に負けてしまいました。チーム内だけでなくこれからは外にも目を向けていかなければいけないと思うので、そこは反省点です。

――好記録が多く出た大会になりましたが、走りやすさなどはありましたか

天気も良かったですし、ペースも全体的に最初は落ち着いていたので集団で走ることができました。そういう面を考えると条件は良かったと思います。

――監督からはどういった指示が出ていましたか

15キロまではその後、ダメになってもいいからついていけという指示でした。残りの5キロのスタミナは集中練習で補えるという考えからだと思います。

――全日本からこの大会を迎えるまでどんな調子でしたか

全日本前からずっと練習してきた疲れがでてきて調子自体はあまり良くなかったのですが、最近は良くなってきました。

――今後は集中練習などがあると思いますが

残りの日にちでできることは限られていますし、これから自分が1分も急に速くなるわけではないので、箱根に向けて一番良い状態を持っていけるように頑張ります。