日本インカレ入賞者が多数出場するも、連戦の疲労が垣間見えるレースに

陸上競技

Yogibo Athletics Challenge Cup 2024 9月28・29日 新潟・デンカビッグスワンスタジアム

 熱戦を繰り広げた日本学生対校選手権(日本インカレ)から1週間。新潟の地でグランプリシリーズの1戦となるアスレチックスチャレンジカップが開催された。早大からは日本インカレ出場者を多数含む12名の選手が出場。有力なシニアの選手が集う中、早大の日本インカレ入賞者達を中心に健闘を見せるものの、抜けきれない疲労の中で少々苦戦を強いられたようだった。

 1日目に行われたのは男女400メートルのタイムレース決勝。女子400メートルCTBr決勝には、1組目に山本真菜(スポ2=三重・伊勢)が出場した。スタート直後から勢いよく飛び出した山本。ラストのコーナーでトップに浮上するも、最後の直線で伸びを見せることができず組2着、全体12位で終えた。そして、男子400メートルCTBr決勝1組目には権田浬(スポ1=千葉・佐倉)、2組目には森田陽樹(創理2=埼玉・早大本庄)がそれぞれ出場。権田は序盤、冷静な走りでレースを進めたものの、得意とする後半で前の選手を捉えきれず組3着でフィニッシュした。一方森田は、日本インカレ時と同様、前半から積極的な走りを見せる。しかし最終コーナーを控え、トップを争うもラストの直線で失速。組5着、全体で11位だった。

カーブを走る森田

 2日目には、男女400メートル障害CTBr決勝が行われた。男子には、先週行われた日本インカレでタイトルを獲得するなど、今絶好調の渕上翔太(スポ1=東福岡)が出場。そんな渕上は今大会を「48秒50という(世界陸上の)標準記録突破する」という位置付けで臨んだ。しかしながら、レースが始まると前半からスピードを上げることができず。筑波大の選手に先頭を譲り、組2着、全体8位でゴールした。一方、女子には1組目に内藤香乃(スポ2=兵庫・北摂三田)、3組目に大川寿美香(スポ3=東京・三田国際学園)が出場。内藤は、序盤から自身の走りを崩さずにトップを守り切り組1着、全体10位に入った。大川は、「57秒台の自己新記録」を狙っていたという。前半から流れに乗るも、課題であった「力感」に今大会でも改善の余地を感じたようだった。後半に速度を落とし組5着、全体7位でフィニッシュした。

ハードルを越える渕上

 女子100メートルCTBr予選には鷺麻耶子(スポ4=東京・八王子東)が出場。好調なスタートを切ったものの、終盤に粘り切ることができず組6着で決勝進出を逃した。男子100メートルCTBr予選には、1組に井上直紀(スポ3=群馬・高崎)、2組に関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟)が登場。井上は、10秒40のタイムにより着順で決勝に駒を進める。一方地元・新潟県出身の関口は、ハイレベルな戦いの中決勝への切符を逃し、B決勝への出場となった。同日最終種目として行われた男子100メートル決勝。B決勝に登場した関口は、スタート直前、同組の2選手が不正スタートになるなどアクシデントに見舞われる。しかし終始落ち着きを見せた関口は、好調な滑り出しを遂げるもギアを上げきることができず組4着に。レース後、悔しい表情を浮かべた。CTBr決勝には井上が出場。疲労があった中で、決勝では「身体のキレ」を意識したという。しかし、本レースでは珍しくスタートから出遅れるかたちに。後半絞り切ることができず、7着で終えた。

フィニッシュする井上

 その他にも男子400メートルには石原慎也(法3=京都・洛南)が、男女800メートルには水嶋優斗(スポ2=東京・高輪)、新田望(スポ3=神奈川・法政二)がそれぞれ出場した。出場した多くの選手にとって、個人種目で今シーズン最後のエンジとなった今大会。締めくくりとしては少々物足りない結果となったが、冬季練習での課題克服に向け、より一層気が引き締まった試合になったであろう。次戦は110代目のチームとして戦う最後の日本選手権リレー。まずはその場で、出場する選手全員が早大らしい走りをしてくれることに期待したい。

(記事 草間日陽里、写真 草間日陽里、會川実佑)

男子結果

▽100メートル

CTBr予選(3組2着+2)

井上直紀(スポ3=群馬・高崎)  10秒40(1組2着)(ー1・4) 決勝進出

関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟)  10秒50(2組〇着)(ー0・5)B決勝進出

CTBr決勝(ー1・0)

井上直紀(スポ3=群馬・高崎)  10秒56(7着)

B決勝(ー0・2)

関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟)  10秒58(4着)

▽400メートル

CTBrタイムレース決勝

権田浬(スポ1=千葉・佐倉)  47秒04(1組3着、全体16位)

森田陽樹(創理2=埼玉・早大本庄)  46秒59(2組5着、全体11位)

タイムレース決勝

石原慎也(法3=京都・洛南)  49秒02(3組8着、全体26位)

▽800メートル

タイムレース決勝

水嶋優斗(スポ2=東京・高輪)  1分52秒39(2組2着、全体4位)

▽400メートル障害

CTBrタイムレース決勝

渕上翔太(スポ1=東福岡)  49秒91(1組2着、全体8位)

女子結果

▽100メートル

CTBr予選

鷺麻耶子(スポ4=東京・八王子東)  12秒07(2組6着)(-1・0)

▽400メートル

CTBrタイムレース決勝

山本真菜(スポ2=三重・伊勢)  56秒29(1組2着、全体12位)

▽800メートル

タイムレース決勝

新田望(スポ3=神奈川・法政二)  2分17秒20(7着)

▽400メートル障害

CTBrタイムレース決勝

内藤香乃(スポ2=兵庫・北摂三田) 59秒53(1組1着、全体10位)

大川寿美香(スポ3=東京・三田国際学園)  59秒42(3組5着、全体7位)

コメント

井上直紀(スポ3=群馬・高崎)

――日本学生対校選手権(日本インカレ)から1週間後の大会にはなりますが、コンディションの面はいかがでしたか

全カレではしっかり走れていたので、同じことをできればいいなと思っていました。調子は良かったです。

――今大会の位置づけをお聞かせください

グランプリシリーズのコンチネンタルツアーブロンズの大会でもあるので、来年の世界陸上を見据えたうえでのポイントという位置づけで出ました。

――予選を振り返って反省点等あったらお聞かせください

予選はスタートからの流れは良かったのですが、疲労があって後半走れなくて。中盤の流れが課題ではあったのでそこが改善されたのは良かったのですが、やはり疲労が抜けきれないなというのは予選と決勝を通じて感じていました。

――予選から決勝にかけて意識した点を教えてください

身体のキレですかね。疲れを抜くというよりは、動けていない身体をどうやって動かすかというところを意識しました。

――決勝のレースを具体的に振り返っていかがですか

スタートから上手く出られなくて、追いかける立場にはなりました。その立場になってしまったら、結構身体が動かなくて。後半追いかけるところも、身体を使ってしまいケガにつながる恐れもあったので、少しフロートしてしまいました。総じて疲労があったなと思いますが、試合を積んでいく体力も必要なのでそこは課題だなと思います。

――今シーズン残りの100メートルの試合をお聞かせください

国体(特別国民体育大会)に出ます。(国体には)昨年選んでもらったのですが、体調不良で出ることが叶わなくて。群馬県で高校まで陸上をやってきてお世話になってきているので、恩返しという意味でも今年出てしっかり活躍できたらなという気持ちはありました。そこで走って今シーズンをしっかり終えたいと思います。

――次戦に控える日本選手権リレーではどのような走りがしたいですか

日本選手権リレーは3冠がかかっていて。本当にそこ(3冠)だけだと思います。しっかり獲れるように個人としてもチームとしても合わせていきたいと思います。

大川寿美香(スポ3=東京・三田国際学園) 

――今大会の目標をお聞かせください

目標としては57秒台の自己新記録を狙っていて、全カレ(日本学生対校選手権)で出た課題を試合でしっかり修正できるようにという位置づけで取り組みました。

――日本インカレから1週間後の今大会でしたが、この期間どのような練習をされていましたか

まずはしっかり疲労を抜いてここにコンディションを合わせるというのもそうなのですが、自分の課題であった後半の動きのイメトレ(イメージトレーニング)をしました。そして上手くつなげられるように前半は同じラップタイムでも力感を少なくして、アプローチ練習を行っていました。

――本日のコンディションはいかがでしたか

少し疲労が残っている中での試合だったのですが、400メートル障害は今シーズンラストレースだったので、強い気持ちはありました。

――本日のレースを振り返っていかがですか

前半は悪くはなかったのですが、元々の課題である同じスピード感でも、力感をもっと少なくして後半につなげるという点があまりできなかったので、そこは修正していきたいです。あとはラストが失速してしまったので、冬季練習は400メートルをトータルで考えられるような練習メニューをコーチ陣と決めていきたいなと思っています。

――次戦の日本選手権リレーについて意気込みをお願いします

チームで戦う最後の試合となるので、そこで有終の美を飾れるように、ハードルとフラットはまた別の走りになるのですが、前半から攻めたレースができればいいなと思っています。

渕上翔太(スポ1=東福岡)

――今大会の目標や位置づけを教えてください

前回、先週の日本インカレ(日本学生対校選手権)をふまえて、東京世界陸上というところが見えてきたので、今大会はまず48秒50という標準記録を突破する位置づけでした。

――日本インカレ後に修正した点などはありましたか

大元はできていたので、自分的に納得いかなかったコーナーの部分の走りを改善しようとしました。それについての練習は積めませんでしたが、イメージとしてはそこを変えようかなと思いました。

――本日のコンディションはいかがでしたか

コンディションとしては自分も良くて、競技場のコンディションとしても良かったと思います。

――レースプランはどのように考えていましたか

組の中で自分の持ちタイムが1番だったので、前半でしっかり出て、後半でさらに引き離すというプランでした。

――本日の結果をふりかえっていかがですか

もちろん世界陸上の標準を狙っていましたから、それに全く届かなかったというところがまず悪かった点だなと思います。それ以外では、先週日本インカレで学生1位になったにも関わらず、同じ組の大学生にも負けて、他の方にも負けて、結果的に(全体)8番で全く歯がたたなかったところが自分の中で一番良くなかったところでした。

――400メートル障害の残りの試合で、東京世界陸上の標準を切るという目標に変わりはないですか

変わりはなくて、最後は田島記念というグランプリがあるので、そこで(標準を)切れるようにしっかりまた練習を積んでいきたいと思います。

――最後に、来週の日本選手権リレーに向けて目標や意気込みをお願いします

日本インカレでは2位という結果で、2〜4走の森田さん(陽樹、創理2=埼玉・早大本庄)、僕、権田(浬、スポ1=千葉・佐倉)は、やはり眞々田さん(洸大、スポ4=千葉・成田)を勝たせたいという思いがあっての2位だったので、とても悔しい思いをしました。悔しい思いをしたのは眞々田さんも同じですが、(勝たせたいという)気持ちがあるので、しっかり日本選手権で勝って、最後にいいかたちで終われるようにしたいです。