第103回関東学生対校選手権1・2日目 5月9・10日 東京・国立競技場
第103回関東学生対校選手権1・2日目 5月9・10日 東京・国立競技場
各種目で激戦が続く関東学生対校選手権(関東インカレ)。前半2日間では、女子400メートルで出場3選手全員が決勝進出をはたす『三枚残し』を達成すると、男子1500メートル、女子1万メートル競歩ではトリプル入賞を果たした。さらに男子4×100メートルリレー(4継)では悲願となる、12年ぶりの王座奪還。2日目が終了した時点で対校得点は男女共に総合3位、トラック総合では1位と早大の勢いが止まらない。残すはあと2日間、国立をエンジ色に染め上げろ。
(記事、写真 飯田諒)
★男女共に優勝には届かず(男女100メートル)
2着でゴールした井上
男子100メートルには千田杜真寿(スポ4=茨城キリスト教学園)、井上直紀(スポ3=群馬・高崎)、関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟)の3人が出場。井上が2位、関口が3位と二人が表彰台に上ったが、優勝とはならなかった。女子は鷺麻耶子(スポ4=東京・八王子東)、山越理子(人3=東京・富士)、中村真由(政経4=東京・早実)の3人が出場。鷺が決勝に進出したものの5位に終わった。
男子100メートルには千田、井上、関口の3人が出場。予選は井上、関口が手堅い走りを見せるも、千田はスタートからスピードに乗りきれず。5組4着で惜しくも予選で姿を消すこととなった。準決勝では井上が1組3着、関口が2組1着に入り、両選手とも着順で決勝に駒を進めた。迎えた決勝。優勝を狙ってレースに臨んだ井上だったが、スタートで出遅れ、6番手付近につける展開となってしまう。しかし、終盤に猛烈な追い上げを見せ、ラスト20メートルで関口を含む4選手を一気にかわし、2位でゴール。昨年に続く2位に、「(走りの)質で負けていたので、(トップとは)大きな差があった」と悔しさをにじませた。一方、スタートで好反応を見せた関口は50メートル手前まで優勝した守祐陽(大東大)と競り合う展開を見せる。しかし60メートル付近で「歩幅が合わず」(関口)減速してしまい、一時は4番手まで順位を落としてしまう。それでも終盤は立て直し、井上に次ぐ3位でゴール。関口は「不安定なレース展開になったが、最低限のことはやり切った」と振り返った。
女子100メートルには鷺、山越、中村が出場。予選で山越、中村が敗退したものの、鷺が準決勝に進出。準決勝では激しい競り合いの中4着となるがタイムで拾われて決勝に進出した。決勝ではスタートで大きく出遅れる厳しい展開となった鷺。終盤で女子主将の意地を見せる追い上げをかけるも、5位でフィニッシュした。
男女共に優勝には届かなかった100メートル。目標としていた優勝を逃した悔しさは当然大きいはずだ。この悔しさを糧に今後の日本学生個人選手権(学生個人)、そして日本学生対校選手権(全カレ)での雪辱を期待したい。
(記事 植村皓大、写真 會川実佑)
★全カレ王者眞々田、豊田兼(慶大)の前に散る(男子400メートル)
レースを走る眞々田
男子400メートルには昨年の日本学生対校選手権(全カレ)を制した眞々田洸大(スポ4=千葉・成田)と、寺澤大地(スポ3=京都・洛南)、石原慎也(法3=京都・洛南)が出場。予選では寺澤が終盤にペースを落とし2組6着、石原も3組6着で予選敗退となった。そんな中眞々田は、予選で落ち着いた走りを見せると、準決勝でも後半にペースを上げる得意のレース展開に持ちこみ1組1着でゴール。46秒58で決勝に駒を進めた。一方、準決勝2組では400メートル障害と110メートル障害を主戦場とし、パリ五輪出場も視野に入れる豊田兼(慶大)が、45秒57の学生歴代10位のタイムをマーク。決勝に臨む眞々田にもプレッシャーがかかることになった。
全カレ400メートル王者か、それとも400メートル障害王者か。豊田との直接対決となった400メートル決勝は序盤から激しいレース展開となった。スタート直後から豊田が先頭に立つと、後半のペースアップを得意とする眞々田も序盤からハイペースを刻み積極的にレースを進める。しかし徐々に差を広げられると、ラスト100メートルを過ぎたあたりで大きくペースダウン。苦悶(くもん)の表情で走りきるも順位を落とし5位でフィニッシュ。タイムも47秒04と準決勝から大きく落とす悔しい結果となってしまった。
自己ベストで上回る相手に対し果敢(かかん)に攻めたものの、優勝を勝ち取ることはできなかった眞々田。しかし関東インカレはまだ終わっていない。最終日に控えるマイルリレーでは、400メートルでの無念を晴らす快走を見せることができるか。
(記事、写真 植村皓大 )
★早大勢がトリプル入賞! 岩下、立迫は自己ベストを更新(男子1500メートル)
4着でゴールした岩下
男子1500メートルには岩下和史(スポ2=神奈川・神大附)、立迫大徳(スポ1=鹿児島城西)、吉倉ナヤブ直希(社1=東京・早実)が登場。早大からは若い選手が多く出場した激戦ひしめくこの種目では、3人全員が決勝に進出し、見事トリプル入賞を果たした。
予選1組には立迫と吉倉が出場。東京六大学対校(六大学)で、この種目優勝を果たした1年生の吉倉は、序盤から先頭でレースを引っ張る積極的な走りを見せ1着で決勝進出を決める。吉倉と同じくルーキーの立迫も、12人が3分50秒を切る大接戦の中3着で予選を突破した。2組には岩下が登場。後方からのスタートであったが、800メートル付近で一気にギアをあげる。ロングスパートをかけ最終的には4着での決勝進出となった。
そして翌日、迎えた決勝。吉倉と立迫は予選と同じく序盤から攻めの姿勢で集団の前方へ。岩下は集団の後方に位置付け様子をうかがう。800メートルの通過を告げたアナウンスが聞こえると同時に、岩下はスピードを上げ11番手から7人をかわし4番手におどり出る。そのまま1周62秒のハイペースを維持し、4位でゴール。フィニッシュタイムは3分46秒80で、日本学生対校選手権(全カレ)のA標準記録を突破した。立迫は一時最後方まで後退したが、ラスト一周の鐘が鳴るとともにギアチェンジ。ルーキーらしからぬ堂々とした走りを見せ自己ベストを更新し、5位でのフィニッシュとなった。吉倉はバランスを崩した他大の選手に巻き込まれ、集団の外側に弾き出されるなどのハプニングもあったものの、7位と見事入賞した。
3選手とも、惜しくも表彰台には及ばなかったが、下級生3人のトリプル入賞は今後に向けた大きな足がかりとなったであろう。若い選手が早大のセンゴのこれからを引っ張っていく。
(記事、写真 會川実佑)
★伊藤大が果敢に攻めるも11位 3選手とも入賞に届かず(男子1万メートル)
積極的な走りを見せる伊藤大
初日に行われた男子1万メートルには、伊藤大志駅伝主将(スポ4=長野・佐久長聖)、間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工)と昨年同種目で入賞を果たした工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)の3選手が出場した。トラック優勝に向けて、伊藤大志が集団を引っ張る積極的な走りを見せるも、後半はペースが上がらず11位。工藤、間瀬田もそれぞれ13位、27位と悔しさが残る結果となった。
3人の留学生などトップレベルの学生ランナーが集った今レース。スタート直後は、留学生ランナーが集団の後方に留まり、伊藤大が大集団を率いる展開となった。最初の1000メートルを伊藤大を先頭に、2分50秒で通過すると、今度は前回王者のジェームス・ムトゥク(山学大)ら外国人ランナーが先頭に立った。伊藤大も、負けじとその真後ろに食らいついて離されない。しかし、1000メートル2分40秒台を刻むペースに徐々に遅れを取り、4000メートル手前から先頭との差が開いていった。チームのために得点獲得へ、その後は4位集団でなんとか先頭を追う伊藤大だったが、5000メートルを過ぎてその集団からも脱落。単独走を強いられ、必死に追走するもペースは上がらず、入賞争いから大きく引き離されるかたちとなってしまった。後半は終始苦しい走りとなり、28分45秒23の11着でフィニッシュ。工藤、間瀬田も序盤から入賞争いに加わることができないまま、2桁着順となった。
昨年は同種目で2人が入賞し、今年も大量得点の期待が高まったが、入賞者なしと厳しい結果に終わった。しかし6月の全日本大学駅伝対校選手権予選会や、来たる駅伝シーズンでは駅伝主将の伊藤大をはじめ、この3選手の活躍が不可欠である。今回の舞台を糧に、次こそはチームに勢いをもたらす快走を期待したい。
(記事 廣野一眞、写真 會川実佑)
★優勝を狙った西がまさかの6位に(男子110メートル障害)
ハードルを越える西
男子110メートル障害(トッパー)に出場したのは昨年の日本学生対校選手権(全カレ)で3位に入った西と、先週の静岡国際で400メートル障害の自己記録を更新し、今季好調を維持する盛岡優喜(スポ3=千葉・八千代松陰)の2人。大量得点が期待された種目だったが、入賞は西の6位のみに終わった。
まず、予選2組に登場した盛岡。余裕を持って通過すると思われたが、5台目のハードルを越えた際にフォームが崩れると、6台目のハードルを越えることできずに転倒。懸命にゴールしたものの、転倒の際にまさかの失格に終わった。一方の西は予選、準決勝ともに13秒台をマークし危なげなく決勝へ進出。昨年優勝を果たした池田海主将(スポ4=愛媛・松山北)に続く、早大勢二連覇に向けて期待が高まった。「調子は良かった」という西。初の戴冠は十分射程圏内のはずだった。しかし決勝は予期せぬ結果となる。スタートから勢いよく飛び出したものの、歩数が合わせられない。2台目から4台目でうまく跳ぶことができずに、一気に先頭から離されることに。後半は持ち直したが、6位でフィニッシュすることとなった。
予想外の結果に終わってしまったトッパー。対校戦では何が起きるかわからない。まさにその通りの関東インカレになってしまった。同じようなレースを繰り返さないために、全日本学生対校選手権(全カレ)に向けて、己の走りをより一層磨き上げるだろう。この経験が早稲田のトッパーをさらに強くする。
(記事 飯田諒、写真 會川実佑)
★攻めのバトンで12年ぶりの優勝!(男子4×100メートルリレー)
2012年以来の優勝を狙った男子4×100メートルリレー(4継)。今大会は予選、決勝ともに同じオーダーで挑んだ。予選は39秒13のタイムで着順によって決勝進出。決勝は攻めのバトンが功を奏した早大は、悲願となる12年ぶりの優勝を果たした。
オーダーは予選、決勝ともに1走から髙須楓翔(スポ2=千葉・成田)、千田杜真寿(スポ4=茨城キリスト教学園)、関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟)、井上直紀(スポ3=群馬・高崎)の順。予選を、中大に次ぐ組2着で危なげなく通過すると、決勝は1走の髙須の安定感かつ勢いのあるスタートから始まった。混戦の中、髙須の腕を目一杯伸ばしたバトンパスで2走の千田につなぐ。千田もすぐさまトップスピードに乗り、先頭で3走の関口へ。100メートルの準決勝で自己ベストを更新し決勝でも3位入賞を果たした関口もタイミング良く飛び出し、バトンを受け取った。関口は100メートルでの勢いそのままの走りで後続を引き離し、勝負はアンカーの井上へ。同じく100メートルで2位の井上がホームストレートを圧巻のスピードとストライドで駆け抜けると、右腕を突き上げ先頭でゴール。39秒06のタイムで12年ぶりに王座を奪還し、笑顔が弾けた。予選はミスが出にくい安全なバトンをした一方で、決勝ではタイムを伸ばすための攻めのバトンがはまり優勝につながった。「(そこまで意識していなかった3ー4走以外は)練習よりもいいバトンパスができていた」(井上)と振り返るように、選手たちも今回のバトンパスには手ごたえを感じている。先月の東京六大学対校(六大学)に続く優勝で勢いにのる男子4継。頂点を知った『リレーの早稲田』の戦士たちは、この波に乗ってこれから先の日本学生対校選手権(全カレ)、日本選手権リレーでも栄冠を掴み取りに行く。
(記事 谷田光太郎、写真 草間日陽里)
★優勝ならずも、3人が決勝に進出!(女子400メートル)
レースを走る清水奈
女子400メートルには清水奈々子(文構3=北海道・札幌南)、千葉史織(スポ1=宮城・仙台一)、山本真菜(スポ2=三重・伊勢)が出場。予選は3人とも各組2着で準決勝に進出。準決勝では1組で山本が終始安定したペースでレースを進め、2着で決勝進出。2組では清水奈が三つ巴の先頭争いを繰り広げ3着に入る。千葉は序盤、前方の3人からは遅れを取るも終盤に差を詰めて4着でゴール。山本と清水奈が着順で、千葉もタイムで拾われ3人全員が決勝に進出することとなった。
迎えた決勝。大外の9レーンに入った清水は序盤から上位でレースを進め、300メートル付近まではフロレスアリエ(日体大)、飯田景子(中大)との激しい先頭争いを展開する。しかし、最終コーナー過ぎで二人がペースを上げる。清水は先行する二人には届かなかったものの、懸命な走りで後続を寄せ付けず3位でゴール。序盤から後方でのレースを余儀なくされた千葉は終盤に順位を上げ4位、山本は6位でフィニッシュした。
惜しくも優勝とはならなかったが、出場3選手が決勝に進出する『3枚残し』を達成し、層の厚さを見せつけた女子400メートル勢。山本や千葉ら下級生の活躍は今後への大きな収穫となるだろう。最終日のマイルリレーに向けて、期待は高まるばかりだ。
(記事 植村皓大 写真 草間日陽里)
★ルーキー林が2年ぶりの自己新で準優勝!(女子100メートル障害)
表彰台で笑顔を見せる林美
高校時代、同種目絶対女王の林美希(スポ1=愛知・中京大中京)に加えて、イベル聖羅(商1=京都橘)、野村美月(スポ1=栃木・石橋)といった、期待のルーキートリオがエントリーされた女子100メートル障害。イベルと野村は予選で姿を消したものの、ルーキー林美が決勝で13秒40の自己新をマークし、見事準優勝を果たした。
エンジデビューとなったイベルと野村は惜しくも予選敗退に終わった一方で、林美は順当に予選を突破した。翌日行われた準決勝も、持ち前のスタートダッシュを見せると、最後は髙橋亜珠(筑波大)に先頭を譲ったものの2着でゴール。着順での決勝進出を果たした。迎えた決勝、好調の林美に立ちはだかったのはまたしても髙橋亜珠だった。スタートから8台目までは3人以上が横並びの大接戦でレースが展開。しかし9台目を越え、一歩前に出た髙橋亜珠に林美はついていけず2着となった。
「まだ100メートルを走り切れていない」(林美)。そんな中で早大歴代2位となる2年ぶりの自己新、そして準優勝を果たすとは末恐ろしいルーキーだ。早大に入学してまだ1カ月。林美を含めた新人トリオがどのような成長曲線を描くのか。1年目の関東インカレは、彼女たちが紡ぐ物語のまだ序章に過ぎない。
(記事 飯田諒、写真 草間日陽里)
★早大競歩新時代開幕! 藤田、中島、広瀬がそろって入賞(女子1万メートル競歩)
健闘を称え合う3人
女子1万メートル競歩には、藤田真美加(スポ3=千葉・成田)、広瀬夏希(社2=東京・富士)、中島橙子(スポ1=群馬・前橋女)の3名が出場した。藤田、広瀬は昨年の同大会と同様の入賞圏内入り、昨年のインターハイ5000メートル競歩7位の実績を持つ中島も、期待の新人として活躍が見込まれた今大会。藤田、中島、広瀬の順で5、6、8位のトリプル入賞を飾るとともに、藤田は約1分、中島は約2分半自己記録を更新し早稲田歴代2、3位に入るなど、早大競歩に新風を巻き起こした。
スタート直後、神大や順大の選手が飛び出す展開となった今レース。藤田、中島は落ち着いた様子で第2集団を形成し、広瀬は第3集団についた。3000メートルを手前に同じ集団の順大の選手と差を広げられた藤田と中島だったが、中島が藤田の背中につくようにして終盤まで並走。残り2周あたりから、徐々にスパートをかけた藤田は順大の選手と競り合い、惜しくも一歩先を譲ったものの、48分30秒89のタイムで5位入賞。中島は藤田のスパートに着いていくことができなかったが懸命にフィニッシュし6位に入ると、広瀬も8位入賞を飾り、チームに合計8点を持ち帰る活躍ぶりを見せた。
レース後、選手たちは手を取りながらお互いの健闘を深く称え合った。関東学生対校選手権(関カレ)競歩にて3枠フル出場に加え、全員入賞により入賞圏内をエンジで染めるなど、ここ数年では見られない充実の戦力で戦い抜いた3選手。早稲田記録更新を狙う藤田を筆頭とする、早大競歩陣の新たな時代が幕を開けた。
(記事、写真 草間日陽里)
★バトンミス響き悔しい結果に(女子4×100メートルリレー)
バトンパスをする3走の中村と4走の清水奈
昨年の日本学生対校選手権(全カレ)で4位に入った女子4×100メートルリレー(4継)。優勝を狙っていた今大会。予選はタイム順によって決勝進出。決勝も予選と同じオーダーで挑むも、バトンミスが響き8位に終わった。
1走から鷺麻耶子(スポ4=東京・八王子東)、山越理子(人3=東京・富士)、中村真由(政経4=東京・早実)、清水奈々子(文構3=北海道・札幌南)のオーダーで予選、決勝と出場した。予選では青学大、中大という強豪校に次ぐ3位でタイム順による決勝進出。決勝は同じ日に行われた100メートルで5位入賞した1走の鷺が手堅いスタートを決めて2走の山越につないだ。続く山越が勢いよく加速し追い上げるも、バトンパスの際気持ちが前に向かいすぎていたか3走の中村が速めに飛び出してしまい、他のチームに遅れをとってしまう。遅れを取り返そうと一心不乱に差を詰めようとする中村。2時間前に行われた400メートルで3位入賞した4走の清水がバトンを受け取り懸命に前を追いかけるも及ばず46秒56のタイムで8位に終わった。
1つのバトンパスが命取りとなり、悔しい結果に終わった今回の関東学生対校選手権(関カレ)。今回の4継の結果に満足している選手はいないだろう。去年の全カレで早稲田記録を更新した女子4継。今年は更なる記録更新を狙っていたはずだ。このまま終わるわけにはいかない。今年の全カレでのリベンジに期待だ。
(記事 谷田光太郎、写真 植村皓大)
★内藤が「自分でもびっくり」の3位に輝いた!(女子走幅跳)
表彰台で笑顔を見せる内藤
女子走幅跳に出場したのは、内藤香乃(スポ2=兵庫・北摂三田)、長谷川沙良(商1=広島・舟入)の2人。長谷川は19位に終わったが、内藤は自己新を記録し3位に輝いた。
この1週間で体重管理に重点を置いたという内藤。その努力の成果は、一回目の試技から表れた。記録はこれまでの自己ベストを更新する、5メートル93。さらに2回目の試技では追い風を味方につけ、5メートル97を叩き出した。それ以降も安定した跳躍を見せた内藤。4位の選手に記録こそ並ばれたものの、その日のセカンドベストで上回り、「自分でもびっくり」(内藤)の3位で、表彰台入りを果たした。内藤は翌日行われた女子400メートル障害にも出場。しかし、「レースを見据えた練習ができず」(内藤)、惜しくも予選敗退に終わった。そんな内藤が志すのは、この大会で出場した400メートル障害と走幅跳に加えて、100メートル障害の3種目を極めること。三刀流を目指す、異色な19歳の挑戦に目が離せない。
(記事 飯田諒、写真 草間日陽里)
結果
▽男子
▽100メートル
予選(6組2着+4)
井上直紀(スポ3=群馬・高崎) 10秒43(1組1着)(+0・2)準決勝進出
関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟) 10秒46(3組3着)(+0・0)準決勝進出
千田杜真寿(スポ4=茨城キリスト教学園) 10秒58(5組4着)(+0・6)
準決勝(2組3着+2)
井上直紀(スポ3=群馬・高崎) 10秒42(1組3着)(+0・0)決勝進出
関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟) 10秒36(2組1着)(+1・6)決勝進出
決勝(+0・2)
井上直紀(スポ3=群馬・高崎) 10秒44(2着)
関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟) 10秒46(3着)
▽400メートル
予選(5組2着+6)
寺澤大地(スポ3=京都・洛南) 48秒72(2組6着)
石原慎也(法3=京都・洛南) 49秒06(3組6着)
眞々田洸大(スポ4=千葉・成田) 47秒01(4組1着)準決勝進出
準決勝(2組3着+2)
眞々田洸大(スポ4=千葉・成田) 46秒58(1組1着)決勝進出
決勝
眞々田洸大(スポ4=千葉・成田) 47秒04(5着)
▽1500メートル
予選(2組5着+2)
吉倉ナヤブ直希(社1=東京・早実) 3分48秒89(1組1着)決勝進出
立迫大徳(スポ1=鹿児島城西) 3分49秒08(1組3着)決勝進出
岩下和史(スポ2=神奈川・神大附) 3分50秒66(2組4着)決勝進出
決勝
岩下和史(スポ2=神奈川・神大附) 3分46秒80(4着)自己新
立迫大徳(スポ1=鹿児島城西) 3分47秒34(5着)自己新
吉倉ナヤブ直希(社1=東京・早実) 3分48秒11(7着)
▽10000メートル
決勝
伊藤大志駅伝主将(スポ4=長野・佐久長聖) 28分45秒23(11着)
工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰) 28分53秒41(13着)
間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工) 29分28秒56(27着)
▽110メートル障害
予選(4組3着+4)
池田海主将(スポ4=愛媛・松山北) DNS
盛岡優喜(スポ3=千葉・八千代松陰) DQ
西徹朗(スポ3=愛知・名古屋) 13秒70(3組1着)(+1・4)準決勝進出
準決勝(2組3着+2)
西徹朗(スポ3=愛知・名古屋) 13秒90(1組2着)(-0・6)決勝進出
決勝(-0・9)
西徹朗(スポ3=愛知・名古屋) 14秒21(6着)
▽4×100メートル
予選(2組3着+2)
早大(高須ー千田ー関口ー井上) 39秒13(2組2着)決勝進出
決勝
早大(高須ー千田ー関口ー井上) 39秒06(1着)
▽棒高跳
決勝
佐々木秀晟(スポ1=香川・高松一) NM
▽女子
▽100メートル
予選(5組2着+6)
鷺麻耶子(スポ4=東京・八王子東) 12秒00(1組2着)(+0・6) 準決勝進出
山越理子(人3=東京・富士) 12秒28(2組4着)(+0・5)
中村真由(政経4=東京・早実) 12秒32(3組5着)(-0・3)
準決勝(2組3着+2)
鷺麻耶子(スポ4=東京・八王子東) 12秒08(2組4着)(-0・4) 決勝進出
決勝(+0・5)
鷺麻耶子(スポ4=東京・八王子東) 12秒03(5着)
▽400メートル
予選(4組3着+4)
清水奈々子(文構3=北海道・札幌南) 56秒98(2組2着) 準決勝進出
千葉史織(スポ1=宮城・仙台一) 57秒11(3組2着) 準決勝進出
山本真菜(スポ2=三重・伊勢) 56秒79(4組2着) 準決勝進出
準決勝(2組3着+2)
山本真菜(スポ2=三重・伊勢) 56秒21(1組2着) 決勝進出
清水奈々子(文構3=北海道・札幌南) 55秒38(2組3着) 決勝進出
千葉史織(スポ1=宮城・仙台一) 55秒77(2組4着) 自己新 決勝進出
決勝
清水奈々子(文構3=北海道・札幌南) 55秒60(3着)
千葉史織(スポ1=宮城・仙台一) 55秒82(4着)
山本真菜(スポ2=三重・伊勢) 55秒97(6着)
▽1500メートル
予選(3組3着+3)
始関千華(政経1=北海道・札幌南) 4分31秒97(1組6着) 自己新
武田亜子(スポ1=静岡・日大三島) DNS
▽100メートル障害
予選(5組2着+6)
林美希(スポ1=愛知・中京大中京) 13秒86(1組1着)(-0・2) 準決勝進出
野村美月(スポ1=栃木・石橋) 14秒61(3組5着)(+1・0)
イベル聖羅(商1=京都橘) 14秒43(4組4着)(+0・6)
準決勝(2組3着+2)
林美希(スポ1=愛知・中京大中京) 13秒56(2組2着)(-0・1) 決勝進出
決勝(+0・5)
林美希(スポ1=愛知・中京大中京) 13秒40(2着)自己新
▽10000メートル競歩
決勝
藤田真美加(スポ3=千葉・成田) 48分30秒89(5着)自己新
中島橙子(スポ1=群馬・前橋女) 48分41秒05(6着)自己新
広瀬夏希(社2=東京・富士) 49分24秒72(8着)
▽4×100メートルリレー
予選(3組2着+2)
早大(鷺ー山越ー中村ー清水奈) 46秒14(3組3着) 決勝進出
決勝
早大(鷺ー山越ー中村ー清水奈) 46秒56(8着)
▽走高跳
決勝
矢野夏希(スポ2=愛知・時習館) 1メートル67(7位)
林美希(スポ1=愛知・中京大中京) DNS
▽走幅跳
決勝
内藤香乃(スポ2=兵庫・北摂三田) 5メートル97(3位) (+1・7)自己新
林美希(スポ1=愛知・中京大中京) 5メートル16(19位) (+0・1)
コメント
井上直紀(スポ3=群馬・高崎)
―― 今日のコンディションはいかがでしたか
昨日の予選からあまりいい状態ではありませんでした。ただ、対校戦なので自分の状態の良し悪しを言っている場合ではありませんでした。4継(4×100メートルリレー)も100メートルも優勝を目指していたので体の調子が悪いからといってそれを変えるつもりはなく、優勝だけを狙っていました。
―― 100メートルでは2位という結果になりましたが、レースを振り返っていかがですか
去年に引き続き今年も2番でしたが、去年の2番と今年の2番は全く意味が違うと思っています。去年は勝負できた上での2番でしたが、今年は戦う以前に走りの質の段階で負けていたので、大きな差があったと感じました。
―― 100メートルのレースで意識していたことはありますか
今シーズン3試合目であまり走れてはいなかったので、予選や準決勝で良くなかった部分を修正して決勝に臨みました。
―― 4×100メートルリレーでは優勝となりましたが、レースを振り返っていかがですか
自分ははもう何もすることなくフィニッシュした感じでした。走る前から3走までの流れで勝つイメージではあったので、それを体現してくれたメンバーにも感謝しています。
―― バトンパスで意識していたことありますか
他の区間は練習よりもいいバトンパスができていました。自分と関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟)のところは自分がもらって気持ちよく走れればいいと思っていたので、バトンパスについてはあまり意識していませんでしたが、いい流れのバトンだったと思います。
―― 12年ぶりの4×100メートルリレー優勝となりました。この点についてはいかがですか
個人としては、去年の関東学生対校選手権(関カレ)を1走で走らせてもらいましたが不甲斐ない走りをしてしまいました。また、チームトップの自己ベストを持っているにも関わらず、日本選手権では走ることもできませんでした。早稲田を引っ張りたい気持ちがあるにも関わらずリレーで貢献できない状態でした。その分今年はいつもお世話になっている千田杜真寿(スポ4=茨城キリスト教学園)さんや、一緒に練習している関口、髙須楓翔(スポ2=千葉・成田)と一緒に優勝したい気持ちが強かったので、優勝できて良かったです。
―― 今回のレースで出た課題と、今後のレースへの意気込みをお願いします
動きの質を改善していかなければと思っています。次の日本選手権が自分が1番目標にしている試合なので、日本選手権に向けてしっかり走りたいです。来年の東京世界陸上も目指しているので、日本選手権でしっかり走って、ポイントをとって東京世界陸上に出られるように頑張りたいと思います。
西徹朗(スポ3=愛知・名古屋)
――今日の結果を振り返っていかがですか
負けたことは変わらないので、それ以上でもそれ以下でもないです。もしこうだったらとかを言うつもりは一切なくて、6位という結果があるだけだと思います。
――決勝では歩数が合わなかったのでしょうか
思った以上にスピードが乗ってしまいました。そこの動きに自分が対応できなくて、それが重なった結果大崩れしてしまったのかなと思います。
――改めて今日のレースの目標は何位でしたか
優勝でした。
――調子は良かったのでしょうか
良かったです。やりたい動きもある程度できていたのかなと思います。
――池田海主将(スポ4=愛媛・松山北)は欠場、盛岡優喜(スポ3=千葉・八千代松陰)選手は予選で失格となりましたが、1人になったことでのプレッシャーはありましたか
レースでは2人いようが3人いようが変わりませんが、アップは寂しかったです。
――レース前何か言葉をかけてもらいましたか
いつも通りのことをやれば勝てるという話はしました。
――次戦の意気込みをお願いします
布勢スプリントを予定しています。シニアのトップ選手も出てきて、タイムも出やすいレースです。トップの選手と戦って勝てるように、その結果タイムもついてくればいいなと思います。
藤田真美加(スポ3=千葉・成田)
――今日のレースで意識していたことを教えてください
やはり競歩は3人いて、得点源だったのでいければ表彰台、最低でも入賞するということを意識していました。直前に体調不良があったのでとにかくできるベストを尽くそうと思っていました。
――今年は女子競歩に早大から3人出場し、戦力がそろっているように伺えますが、最上級生としてそのあたりで意識していたことはありますか
やはり3人いるということで、1番上としては後輩に負けられないという意地もあるので、引っ張りながらも自分の歩きができるように集中していました。
――具体的な目標がありましたら教えてください
タイムはそこまで設定していませんでした。やはり順位が関カレ(関東学生対校選手権)では大事になってくるので、目標を3位にしておいて、いけるところまでつくという感じで入賞を最低限目指していました。
――序盤から神大や順大の選手が飛び出していましたが、どのように見られていましたか
神奈川大学の方と、順天堂大学の方は世界を経験している方達でそこの2人は抜けていると分かっていたので、そこに着くよりもその次で行けるところまで行こうと考えていました。
――終盤まで中島橙子選手(スポ1=群馬・前橋女)がピタリと付かれていましたが、そのあたりはいかがでしたか
話し合っていたというわけでもなく、中島が付いてという感じでした。自分が引っ張ると言うよりも、自分の歩きに集中して、結果的にずっと一緒だったという形です。
――終盤で順大の選手と競り合っていましたが、振り返っていかがですか
正直予想していなかったです。(順大の選手が)来て競り合いになりましたが、最後に一発アウトになってしまうこともあるので、負けてしまったのは悔しいのですがフォームと自分のスパート力を意識していました。特にスパート力に関しては、相手が一つ上だったなと思っています。
――自己ベストを更新されたことについてはいかがですか
かなり直前まで体調を崩していたので、本当にどうなることかと思っていたのですが、自己ベストということで、基礎の地力は上がってきていると思います。ここから練習を積んで、もっと上を目指さなければいけないなと思います。
――最後に、今後の目標を教えてください
日本インカレ(日本学生対校選手権)でもう少し力をつけて、最低入賞、できれば表彰台に上りたいですし、早稲田記録更新というところも目指していきたいです。
関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟)
――100メートルの予選での走りはいかがでしたか
予選ではピッチを刻みすぎてしまいました。準決勝ではそこを修正しゆとりを持たせてリラックスした走りをすることを意識しました。
――3位となった決勝での走りはいかがでしたか
準決勝でいい走りをすることができたのでそれを再現することを意識して臨みましたが、60メートル付近で足が合わなかったときに他の選手に前に出られてしまいました。そのあとの40メートルは修正して追い上げに成功しましたが不安定なレース展開になってしまいました。目標としていた優勝には届かなかったので満足はしていませんが、メダルを取ることはできたので最低限のことはやり切ったと感じています。
――今回の男子4×100メートルリレー(4継)はチームとしてどのようなことを目標にして臨まれましたか
チームとしては全ての対校戦で優勝するということを目標としています。先月の六大学対校陸上での優勝からいい流れが来ており、また個々の調子も凄く良かったのでこの関カレ(関東学生対校選手権)で12年ぶりに優勝をすることがよかったです。
――予選から決勝で変えたことはありますか
予選ではバトンパスの距離を短くするなどミスが出にくいようにしていましたが、決勝では優勝するためにバトンパスの時のリードを広げるという攻めのバトンをチームとして行いました。
――4継の決勝での走りはいかがでしたか
100メートルから調子がよかったのでアップも確認程度で大丈夫でした。4継の決勝もカーブの有無といった違いはありますが100メートルのときと同じようにゆとりのあるリラックスした走りをすることが出来ました。
――優勝されていかがですか
12年ぶりの優勝ということでこれまでの先輩方の勝ってほしいという思いを背負いながら走ったので先輩方に良い報告ができると思います。僕としても今回の優勝で名前を刻むことができたので結果で先輩方に恩返しをして、次は自分たちのチームで歴史を作り上げていきたいです。
――最後に今後の目標をお願いします。
100メートルはまだ日本選手権の標準記録を切れていないのでまずはそこを目指していきたいと思っています。シーズン終了までには10秒1台を目指して頑張りたいと思います。リレーでは全カレ(日本学生対校選手権)と日本選手権での優勝を目指していきたいです。六大学と今回の関カレと合わせて4つの大会で優勝することができれば個人としても良い経験になると思いますし、それを後輩たちに伝えていければ良い歴史を作っていけるのではないかと思います。
内藤香乃(スポ2=兵庫・北摂三田)
――走幅跳の結果を振り返っていかがですか
ランキングが結構下位の方で挑んで、まさか自己ベストを出して3位に入れるとは思っていなかったので、自分でもびっくりしています。点数にしっかり貢献できて嬉しいです。
――自身の予想より結果が上回ったことについて、要因はどのようにお考えですか
ここ1週間で、体重管理を頑張りました。しっかり動けるように体を絞って、だんだん走れるようになってきて跳べたのだと思っています。
――400メートル障害にも出場するということで、2種目間で体重管理が難しかったと思われますが、どちらに重点を置かれましたか
今回は走幅跳に集中して、練習などもやっていました。
――走幅跳の目標を教えてください
6メートル跳ぶということを目標としていたのですが、ギリギリ届かなかったため、そこが達成できなくて悔しいです。
――400メートル障害では惜しくも予選敗退となりましたが、その点はどのようにお考えですか
あまりレースを見据えた練習などができていなかったので、今後の全カレ(日本学生対校選手権)に向けて頑張っていきたいです。
――今後は400メートル障害と走幅跳のどちらに重点を置いていく予定でしょうか
どちらも極めたいです。100メートル障害も含めて3種目頑張りたいです。
――最後に、3種目について今後の意気込みをお願いします
走幅跳は日本選手権標準を切るというのが一番の目標です。400メートル障害は、全カレでしっかり決勝に残りたいです。100メートル障害は、自己ベストを更新できるように頑張っていきたいと思います。
林美希(スポ1=愛知・中京大中京)
――今日の結果を振り返っていかがですか
昨日の予選から準決勝で上げてきて、決勝でさらに上げて2年ぶりに自己ベストを更新できたのですごく良かったです。
――2位という結果で終わった悔しさより、自己新を出した嬉しさの方が強いということでしょうか
そうですね。走る前に相手の選手が速いことは分かっていました、そこを意識するのではなくて、自分に集中することに重点を置きました。負けたのは悔しい部分もあるのですけど、自己新を出せたのが良かったです。
――レースを重ねるごとに修正したことはありますか
予選では、動きにスピード感が足りなくて、踏み切りのアクセントが足りなかったです。また抜き足のところで間延びしてしまいました。そういったことを意識して準決勝、決勝を走りました。
――以前、ライバルと仰っていた片山心菜選手(青学大)と準決勝、決勝では同じレースを走りました
常に隣にいた存在と別れて、また一緒に走るのはすごく楽しかったです。懐かしい感じもありました。
――改めて決勝のレース展開を振り返っていかがですか
スタートの1歩目で少し浮いてしまいました。普段だとそこから崩れてしまうのですが、集中して最後まで走り切れたので、全体的に良い感じでレースを進められました。
――9台目付近で1位の選手に離されました。そこはご自身が課題として挙げていた後半の弱さなのでしょうか
はい。まだ走り切れていないのでしっかり100メートルを最後まで走り切れるように練習したいと思います。
――最後にこれからの意気込みをお願いします
自己ベストを更新できたので、それくらいのタイムをアベレージで出せるようにしたいです。