第2回早大競技会 5月18日 織田幹雄記念陸上競技場
日の入りを迎え、肌寒く感じる中、埼玉・早稲田大学織田幹雄記念陸上競技場で早大競技会が開催された。この日は、1500メートル、5000メートルのレースが行われ、計18名が出走した。1500メートルでは、吉倉ナヤブ直希(社1=東京・早実)が3分44秒81でゴールし、日本選手権の参加標準記録切りを達成。5000メートルでは、日野斗馬(商4=愛媛・松山東)や和田悠都(先理4=東京・早実)が自己ベストを更新したほか、1500メートルと合わせて計7名の選手が自己新を叩き出した。
1500メートルには、吉倉、石塚陽士(教4=東京・早実)、立迫大徳(スポ1=鹿児島城西)の3名が出場した。スタート直後、城西大の選手4名が先頭に立ち集団を形成すると、3人は集団中央でレースを進める。400メートル過ぎに、吉倉、立迫が集団から少し遅れをとった一方で、石塚は徐々にスピードを上げていった。ラスト1周の鐘が鳴ると、石塚はすかさず先頭に躍り出る。離れかけていた吉倉も5名による先頭集団に必死に食らいつき、ラストの直線は石塚と吉倉によるデッドヒートへ。吉倉が石塚に0秒15差の3分44秒81で競り勝ち、自己ベストを更新。日本選手権1500メートルの参加標準記録を切り、吉倉は「率直に嬉しい」と振り返った。また、立迫も渾身のラストスパートをかけ、自己ベストを更新した。
ゴールする吉倉
続いて行われたのは5000メートル。1組目には5名が出場した。工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)が先頭を引っ張り、そのすぐ後ろに増子陽季(人2=栃木・大田原)がつくというかたちでレースは進められた。なかなか全体のペースが上がらない中、残り3周で東洋大の岸本遼太郎が仕掛け、徐々に集団がペースアップ。最後は先頭から大きく離されたものの、積極的な走りを見せた増子が工藤に続く4着でフィニッシュした。
続く2組目には日野斗馬(商4=愛媛・松山東)や宮本優希(人2=智辯学園和歌山 )ら5名が出走。スタートから東洋大の選手2名がハイペースで飛び出した中、石塚が引っ張る集団の前方に全員が位置取る。3000メートルで石塚が外れると、代わって集団先頭に立ったのは宮本。しかし、その後ろで余裕を見せていた日野が宮本の前に出た。「落ち着いて入って、2000、1000(メートル)を切ってから勝負をかけれたらと思っていた」という日野。そのレースプラン通り、徐々にスピードを上げ、東洋大の選手を吸収し、先頭を引っ張る。宮本も懸命についていったが、最後の1周で日野が鋭いスパートで離し、トップでゴール。自己ベストを15秒近く更新し、14分30秒切りを果たした。また、集団前方で粘り続けた宮本と門馬海成(政経3=福島・会津)も自己ベストを更新した。
1着でフィニッシュする日野
3組目には工藤、武田知典(法2=東京・早実)、瀬間元輔(スポ1=群馬・東農大二)が出場した。レース序盤、国学院大の平林清澄が先頭を引っ張り、集団は縦長に。集団は徐々に大きく2つに分かれていき、3人は第1集団でレースを進める。中盤に武田が集団から離れたが、工藤、瀬間は前方でリズムを刻んだ。しかし3400メートル付近で瀬間がこぼれ、その後は我慢の走りに。一方で工藤はこの日、2本目の5000メートルを走り切り、チームトップでゴール。終盤は苦しい走りとなった武田も、最後は力をふり絞り、14分29秒52で自己ベストを更新した。
そして迎えた最終組。早大からは和田、藤本進次郎(教3=大阪・清風)の2名が登場した。レース序盤、先頭を引っ張る複数の留学生がつくるリズムに乗り、藤本は淡々とペースを刻む。中盤まで集団前方でレースを展開した藤本だったが、徐々に表情が曇り始め、3000メートル過ぎには完全に集団からこぼれてしまった。一方で、14分1桁を狙ってレースに臨んだという和田。スタート直後は後方で様子をうかがっていたが、1400メートルを過ぎると、集団中央に抜け出した。その後も第2集団でペースを保っていたものの、集団がバラつき始めると苦しい走りに。それでも、同期や後輩の応援の中で最後まで懸命に走り、14分21秒02の自己新でフィニッシュ。先日行われた日体大記録会での1万メートル自己新に続く、5000メートルでの自己新となり、和田は「安定感が出てきた」と、自身の走りを振り返った。
レースを走る和田
関東学生対校選手権に出場できなかったメンバーが多く出走した本競技会。その中で、多数の選手が自己記録を更新し、選手層の厚さをうかがわせた。トラックシーズンはまだまだ続いていく。勢いそのままに、今後もチーム全体のさらなる底上げを図りたいところだ。
(記事 佐藤結 写真 草間日陽里、會川実佑)
結果
▽男子1500メートル
吉倉ナヤブ直希(社1=東京・早実) 3分44秒81 (4着)自己新
石塚陽士(教4=東京・早実) 3分44秒96 (5着)
立迫大徳(スポ1=鹿児島城西) 3分46秒82 (7着)自己新
山口竣平(スポ1=長野・佐久長聖) DNS
山﨑一吹(スポ2=福島・学法石川) DNS
山口智規(スポ3=福島・学法石川) DNS
岩下和史(スポ2=神奈川・神大附) DNS
間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工) DNS
▽男子5000メートル
▽1組
工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰) 14分44秒44 (3着)
増子陽季(人2=栃木・大田原) 14分51秒30 (4着)
安江悠登(法2=埼玉・西武文理) 15分02秒30 (7着)
辻陽介(スポ1=愛知・岡崎) 15分06秒29 (8着)
鈴木翔瑛(人1=群馬・富岡) 15分15秒93 (13着)
髙尾啓太朗(商2=千葉・佐倉) 15分18秒94 (16着)
川端春叶(スポ2=北海道・北見北斗) 16分02秒57 (24着)
浅川京平(スポ1=東京・早実) DNS
▽2組
日野斗馬(商4=愛媛・松山東) 14分28秒55 (1着)自己新
宮本優希(人2=智辯学園和歌山 ) 14分32秒30 (3着)自己新
小平敦之(政経2=東京・早実) 14分34秒31 (6着)
門馬海成(政経3=福島・会津) 14分35秒60 (8着)自己新
石塚陽士(教4=東京・早実) DNF
山口竣平(スポ1=長野・佐久長聖) DNS
山﨑一吹(スポ2=福島・学法石川) DNS
山口智規(スポ3=福島・学法石川) DNS
間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工) DNS
伊藤幸太郎(スポ3=埼玉・春日部) DNS
▽3組
工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰) 14分10秒79 (5着)
武田知典(法2=東京・早実) 14分29秒52 (10着)自己新
瀬間元輔(スポ1=群馬・東農大二) 14分36秒09 (12着)
▽5組
和田悠都(先理4=東京・早実) 14分21秒02 (13着)自己新
藤本進次郎(教3=大阪・清風) 14分39秒85 (20着)
コメント
日野斗馬(商4=愛媛・松山東)
――今日の目標を教えてください
2週間後に日体大記録会があるのでここに合わせるというよりも、練習の流れでいい走りができたらなと思っていました。タイムの目標は定めずに1着を取れればいいなと考えていました。
――今日の調子はいかがでしたか
練習を積んでいる分、疲労はありました。ですが基本的にはいい状態で迎えられたと思います。
――レースプランはありましたか
(3000メートルを)8分40秒から45秒の間で石塚(陽士、教4=東京・早実)が引っ張ってくれる予定でした。そこは落ち着いて入って、2000メートル、1000メートルを切ってから勝負をかけられたらなと思っていました。
――中盤レースを引っ張る様子が見られましたが、どのような意図がありましたか
(先頭に出るのが)ちょっと早いかなと思ったのですけど、ペースが落ち着いてきたので特に考えずにそのままのリズムでいきました。
――最後の一周は鋭いスパートを見せました
自分はスピードには自信があるので、あそこまでいったら負けられないという思いでいきました。
――自己記録を更新されたことについてはいかがですが
先ほども言ったように練習を積んでいる中での結果だったので、2週間後の日体大記録会でさらに自己ベストを更新したいです。
――どの程度のタイムを目標にされていますか
14分20秒を切るくらいのタイムを出せたらなと思います。
和田悠都(先理4=東京・早実)
――今日の目標は何でしたか
14分1桁を狙っていました。
――先日の日体大記録会での1万メートル自己新に続いて、5000メートルでの自己新となりましたが、それについてはいかがですか
安定感が出てきたと思います。ただ、まだ爆発力が出せていないのでどちらも悔しい結果と捉えています。
――今日のレースの反省点を教えてください
前半の位置取りが悪く、いらないところで力を使ってしまったところです。
――次のレースに向けて、目標をお願いします
14分00秒前後を狙います。
吉倉ナヤブ直希(社1=東京・早実)
――関東学生対校選手権(関カレ)明けから今日にかけて調子はいかがですか
疲労が溜まっていて、最近の中ではあまりいい調子ではありませんでした。
――今日のタイムにおける目標を教えてください
3分45秒を切ることでした。
――走りを振り返っていかがですか
動きがあまり良くなかったですが、位置取りも悪くなく、流れにのって走れました。ラストをあげられなかったのが反省点です。
――ラストのスパートを振り返っていかがですか
もう少し(スピードを)あげられたら良かったなと思います。
――日本選手権標準タイムを切られましたが、その点についてどのようにお考えですかターゲットナンバーで日本選手権に出場することは難しいかもしれませんが、標準記録を切れて率直に嬉しいです。
――今後について意気込みをお願いします
日本選手権に出場できたら入賞したいです。