第100回早慶対抗競技会 7月6日 神奈川・慶大日吉陸上競技場
昨年と同様に雷雨で競技の一時中断もあった中、慶大日吉陸上競技場にて男子第100回・女子第3回早慶対抗競技会(早慶戦)が開催された。男子は36ー21、女子は28ー10と、どちらも昨年より点差を広げての2年連続アベック優勝。さらに男子4×200メートルリレーでは日本記録を更新、また大会MVPとして、男子は早大の眞々田洸大(スポ4=千葉・成田)、女子は矢野夏希(スポ2=愛知・時習館)の2人が選ばれた。「今シーズンで感じたことのない暑さと湿気」(関口)の影響で厳しかった状況でも、全カレ(日本学生対校選手権)に向けて弾みのつく大会となった。
表彰式で笑顔を見せる池田海主将(スポ4=愛媛・松山北)(写真右)と鷺麻耶子(スポ4=東京・八王子東)(写真左)
記念すべき第100回大会となった男子早慶戦。会場の熱気が高まる中で始まったトラック種目では、早大各選手が躍動。100メートルで関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟)、髙須楓翔(スポ2=千葉・成田)、井上直紀(スポ3=群馬・高崎)が上位3位を独占し流れを作ると、400メートルでは眞々田が1着、権田浬(スポ1=千葉・佐倉)が2着につけ、続く1500メートルでは早大がワン・ツー ・スリー。400メートル1位の眞々田は「取り組みとしては間違っていない自信があった。ピースが揃えば45秒台に入れると思っていた」と、その言葉通り自己記録の45秒99をマークし、大会MVPにも選ばれた。1500メートルでは立迫大徳(スポ1=鹿児島城西)がハイペースでのレースを制し、自己ベストとなる3分45秒67でフィニッシュ。収穫の多い試合となった。
レースを走る眞々田
やり投では自己ベストを更新した梅澤祥吾(スポ3=神奈川・金沢)が1位、鶴澤元基(スポ3=東京・富士森)が2位に着けた他、棒高跳の佐々木秀晟(スポ1=香川・高松一)が1位。例年、男子フィールドは慶大との差を痛感する結果となっているものの、今大会では健闘し点差を最小限に抑え、男子優勝に貢献した。
跳躍を成功させた佐々木秀
最も会場を盛り上げたのは大会の最終種目、4×200メートルリレー。「日本記録更新を視野に入れていた」(関口)というこの種目では、1走から順に関口、髙須、島田開伸(スポ4=静岡・浜松湖東)、千田杜真寿(スポ4=茨城キリスト教学園)の4人で臨んだ。レースは、1走の関口から慶大を寄せ付けずにそのまま独走でゴール。早大が2年前に出した日本記録を0秒2上回る、1分21秒24のタイムを叩き出し、日本記録の更新を果たした。レース後には、「来年も新しいメンバーでさらなる記録更新を狙っていきたい」(関口)と、前向きな展望を語った。
日本記録を樹立し喜ぶ千田
一方の女子早慶戦では200メートル、100メートル障害、走高跳、走幅跳で早大がワン・ツー。200メートル1着の中村真由(政経4=東京・早実)は向かい風の中24秒55をマークし、直近2か月で3回目の自己ベスト更新、今シーズンの好調ぶりをアピールした。また、昨年ケガに苦しんだ矢野夏希(スポ2=愛知・時習館)は走高跳にて、「跳べる自信がかなりあった。冷静に自分の助走をすることだけを考えていた」と、自己記録を6センチ上回る1メートル76センチを3回目で成功させ、大会MVPを獲得。走幅跳でも内藤香乃(スポ2=兵庫・北摂三田)が6メートル00センチで自己ベストとなる跳躍を見せた。
跳躍を成功させた矢野
トラック種目とフィールド種目、男女ともに自己ベストを更新した選手が多かった今大会は、早大競走部の士気を高める良い機会になったのではないだろうか。しかし「全カレで勝負して1メートル80センチを跳びたい」(矢野)、「ようやく思い切ってスタートできる」(眞々田)と、現状に満足せずさらなる結果を求めている選手たち。来たる全カレで彼らがより一層成長した姿を披露してくれるはずだ。
(記事 髙杉菜々子、写真 加藤正昭氏提供、會川実佑、飯田諒、指出華歩、草間日陽里)
対抗結果
男子
総合得点
早大 36ー21 慶大
▽100メートル(+0・1)
関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟) 10秒33(1着)
髙須楓翔(スポ2=千葉・成田) 10秒36(2着)自己新
井上直紀(スポ3=群馬・高崎) 10秒40(3着)
▽400メートル
眞々田洸大(スポ4=千葉・成田) 45秒99(1着)自己新
権田浬(スポ1=千葉・佐倉) 47秒09(2着)
石原慎也(法3=京都・洛南) 48秒08(5着)
▽1500メートル
立迫大徳(スポ1=鹿児島城西) 3分45秒61(1着)自己新
岩下和史(スポ2=神奈川・神大附) 3分45秒84(2着)
間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工) 3分46秒70(3着)
▽110メートル障害(−0・8)
西徹朗(スポ3=愛知・名古屋) 13秒94(1着)
瀬能斗亜(スポ1=千葉・春日部共栄) 14秒96(3着)
池田海主将(スポ4=愛媛・松山北) DNS
▽4×200メートルリレー
早大(関口ー髙須ー島田ー千田) 1分21秒24(1着) 日本新記録
▽走高跳
佐々木悠人(人2=岩手・一関一) 1メートル75(4位) 自己新
▽棒高跳
佐々木秀晟(スポ1=香川・高松一) 4メートル40(1位)
▽走幅跳(+0・5)
佐々木悠人(人2=岩手・一関一) 7メートル03(2位)
▽円盤投
鶴澤元基(スポ3=東京・富士森) 33メートル23(2位) 自己新
鹿毛丈(スポ1=高知追手前) 25メートル70(5位) 自己新
守屋浩睦(人1=大阪・寝屋川) 23メートル61(6位) 自己新
▽やり投
梅澤祥吾(スポ3=神奈川・金沢) 67メートル12(1位)自己新
鶴澤元基(スポ3=東京・富士森) 61メートル37(2位)
守屋浩睦(人1=大阪・寝屋川) 49メートル47(5位)
女子
総合得点
早大 28ー10 慶大
▽200メートル(−0・7)
中村真由(政経4=東京・早実) 24秒55(1着) 自己新
清水奈々子(文構3=北海道・札幌南) 24秒83(2着)
▽800メートル
武田亜子(スポ1=静岡・日大三島) 2分13秒09(2着)
新田望(スポ3=神奈川・法政二) 2分18秒04(4着)
▽100メートル障害(+0・0)
林美希(スポ1=愛知・中京大中京) 13秒75(1着)
木村加乃(院1=愛知・至学館大) 14秒03(2着)
▽4×100メートルリレー
早大(林ー山越ー中村ー上島) 46秒27(1着)
▽走高跳
矢野夏希(スポ2=愛知・時習館) 1メートル76(1位)自己新
内藤香乃(スポ2=兵庫・北摂三田) 1メートル55(2位)
▽走幅跳
中尾心春(スポ2=兵庫・長田) 5メートル35(2位)(+0・8)
▽やり投
鈴木真帆(スポ2=茨城・水戸一) 39メートル98(2位) 自己新
木村加乃(院1=愛知・至学館大) 32メートル43(3位) 自己新
オープン結果
男子
▽100メートル
瀬能斗亜(スポ1=千葉・春日部共栄) 10秒76(4組1着)(−1・1)自己新
大竹春樹(商4=東京・早実) 10秒59(7組1着)(−0・1)
由井響(スポ2=山梨・都留) 10秒59(7組1着)(−0・1)
鶴巻陽太(スポ1=新潟・三条) 10秒75(7組3着)(−0・1)
水野琉之介(スポ1=北海道・立命館慶祥) 10秒82(7組4着)(−0・1)
平野智也(文構4=京都・洛南) 10秒91(7組5着)(−0・1)
西徹朗(スポ3=愛知・名古屋) DNS
千田杜真寿(スポ4=茨城キリスト教学園) DNS
▽200メートル(+1・5)
寺澤大地(スポ3=京都・洛南) 21秒20(3組1着)
鶴巻陽太(スポ1=新潟・三条) 21秒46(3組2着)
水野琉之介(スポ1=北海道・立命館慶祥) 21秒69(3組3着)
間渕秀康(政経2=京都・洛南) 21秒72(3組4着)
佐藤カルタ(スポ4=神奈川・厚木) DNS
髙須楓翔(スポ2=千葉・成田) DNS
▽400メートル
森田陽樹(創理2=埼玉・早大本庄) 47秒01(2組1着) 自己新
佐藤カルタ(スポ4=神奈川・厚木) 48秒33(2組2着) 自己新
清水友彬(スポ3=三重・伊勢) 48秒36(2組3着) 自己新
鹿毛丈(スポ1=高知追手前) 49秒08(2組4着)
安心院大渡(スポ1=大分舞鶴) DNS
盛岡優喜(スポ3=千葉・八千代松陰) DNS
▽1500メートル
水嶋優斗(スポ2=東京・高輪) 3分5896(3組1着)自己新
▽400メートル障害
平田和(スポ2=鹿児島・松陽) 50秒81(1着)自己新
権田浬(スポ1=千葉・佐倉) 52秒82(2着)
金本昌樹(スポ4=東京・日大桜丘) 53秒65(3着)
盛岡優喜(スポ3=千葉・八千代松陰) DNS
▽4×200メートルリレー
早大B(由井ー鶴巻ー瀬能ー間渕) 1分24秒91(3着)
早大Ⅽ(大竹ー平野ー佐藤ー筒井) 1分26秒62(4着)
女子
▽100メートル(-2・9)
山越理子(人3=東京・富士) 12秒18(2組1着)
上島周子(スポ2=東京・富士 ) 12秒27(2組2着)
中村真由(政経4=東京・早実) DNS
▽200メートル(+0・2)
山越理子(人3=東京・富士) 24秒42(1着)
上島周子(スポ2=東京・富士 ) 24秒94(2着)
▽400メートル
大川寿美香(スポ3=東京・三田国際学園) 56秒88(1着)
正木紗(スポ1=岡山朝日) 58秒13(2着)
山本真菜(スポ2=三重・伊勢) DNS
清水奈々子(文構3=北海道・札幌南) DNS
▽800メートル
始関千華(政経1=北海道・札幌南) 2分17秒46(2組1着) 自己新
生田桃子(人4=愛知・時習館) 2分32秒99(3組4着)
▽100メートル障害(+0・0)
イベル聖羅(商1=京都橘) 14秒34(3着)
大川寿美香(スポ3=東京・三田国際学園) 14秒40(4着)
野村美月(スポ1=栃木・石橋) 14秒64(5着)
後藤紗衣(スポ4=福岡・西南学院) 16秒55(6着)
▽400メートル障害
内藤香乃(スポ2=兵庫・北摂三田) 59秒57(1着)
▽棒高跳
宮崎瑛子(商3=静岡・浜松市立) 3メートル20(1位)
▽三段跳
伊藤凜(スポ3=福岡・明善) DNS
コメント
眞々田洸大(スポ4=千葉・成田)
――本日の目標を教えてください
対抗戦なので優勝はもちろん、個人としては日本選手権では調子の良い中で悔しいレースをしてしまったので、その修正となるレース作りをすることが目標でした。
――本日のコンディションはいかがでしたか
先週も1本しか走っていなかったので身体的な疲労はありませんでした。精神的には先週からぽっかり心に穴があいた状態でしたが、自分に負けたまま終わるのも嫌だったので、やるべきことをやる、これをテーマとしてレースに挑みました。
――日本選手権から今日までの練習では、どのようなことを意識していましたか
調子が良いことは自分でわかっていたので、あとは自分の走りのピントを合わせるだけでした。45秒台を出すための調整をしていました。
――レースプランはどのように考えていましたか
プランは春先から変わりません。特に日本選手権の課題としては200メートル通過後の250~300で失敗してしまったので、今回はより250メートル通過時を意識的にスピード維持する区間として重点を置きました。350メートルまでは「練習の再現」として、残り50メートルは動きを崩さないように走りました。
――レース前の感覚では、どのくらいのタイムが出ると考えていましたか
正直、直前になって気温も雨も風も雷も条件的には良くなかったので、不安な気持ちはありました。監督とも相談し日本選手権からウォーミングアップを見直し、取り組みとしては間違っていない自信がありました。それぞれピースが揃えば45(秒台に)入れると思っていたので、気負いすぎず狙いにいけた、という感じです。
――久しぶりの自己ベスト更新、そして45秒台に突入しましたが今の気持ちを率直に教えてください
1週間前にこのタイムで走りたかったので、速報を聞いた時は嬉しい半面、合わせたい試合に合わせられなかった自分の弱さも痛感したのが事実です。しかし自分だけでなく、早稲田の400メートルの底上げやチームとしての強さを示したかった思いはありました。決して目標を達成したわけではないですが、ようやく思い切ってスタートできるなと充実感に溢れた思いです。
――また、副将として、チームの結果について振り返りをお願いします
まず400メートルメンバーに関しては、今日4人の自己新記録が出ました。佐藤カルタ(スポ4=神奈川・厚木)が今期好調なことで士気は高まってきていますが、まだまだマイルを考えるとチームとして足りていないです。そこはもっと厳しくやっていかなければと思います。チームに対しては、男女共に主将が欠場となってしまった中で応援・競技共にまた新しい勢いは生み出せたと思います。しかし、私たちの目指すところは日本インカレ(日本学生対校選手権)での勝負なので夏の強化合宿等を経て、さらに勢いづけていきたいと思います。
――最後に、本日のご自身の走りを振り返って、感想を教えてください
ここからがスタートであり、私自身が「早稲田の400」を体現していけるよう、一丸となって取り組んでいきたいと思います。
関口裕太(スポ2=新潟・東京学館新潟)
――今日のコンディションはいかがでしたか
今シーズンで感じたことのない暑さと湿気で、気持ちと身体が乗ってこないコンディションだったので少し辛かったです。
――学生個人選手権以降の練習で意識していたことはありますか
10秒1台を連発するために必要な加速局面の部分を何度も練習で満足いくまで走り、量を落として質を高めた練習を意識して取り組んでいました。
――100メートルではどのようなレースプランを持っていましたか
暑さで集中力がもたなかったので、100メートル全部を意識したレースプランではなく、前半の50メートルから抜け出し後半は自分のリズムで走るといったシンプルなレースプランで臨みました。
――ご自身の走りを振り返っていかがでしたか
はじめの30メートルでパッと前に先行でき、50メートルまでも自分のレース展開をすることができました。自分のやりたい動きやレース展開を守れたので比較的良い走りをしていたのではと感じています。
――タイムの面ではどのような感触でしたか
タイムの面では、10秒2代前半を出したかったのですが、初めて経験するコンディションでレース前もドタバタする場面がありました。集中力が高まらない中で10秒3台でまとめられたのは少し良い評価をしてもいいと思っています。
――4×200メートルリレー(8継)についてお尋ねします。レース前に、一緒に走る3人の選手とはどのようなことを話していましたか
とにかくバトンつなげよう。それだけを話していました。
――関口選手は1走でしたが、そこには理由がありましたか
おそらく、200メートルキッチリは走れないタイプなので、1走の約180メートルまでしっかり走れということで任されたと思います。
――もともと早稲田が持っている日本記録を上回ることを狙っていましたか
元日本記録保持者の方の走順ごとのタイムを見て、1人がこれくらいで走れば日本新記録は狙えるよね、という話をして記録更新を視野に入れていました。
――実際に日本記録を更新されましたが、タイムを振り返っていかがですか
タイム的には来年も更新を狙えそうなタイムなので、新しいメンバーでさらなる記録更新を狙っていきたいです。
――8継でのご自身の走りはいかがでしたか
前半しっかり走って後半は耐える。それだけを考えて走っていたのでその通りにいきました。結果的にタイムは良かったのでこのレースプランが良い方向に働いたのかなと感じています。
――夏の練習で意識したいことや、今後の大会での目標を教えてください
夏の練習ではフィジカルや基礎体力のベースアップを意識して行い、猛暑の中でもしっかりとパフォーマンスを発揮できる体づくりを狙って取り組んでいこうと思います。今後の大会では、自分に残されている試合をひたすらこなして自己記録更新をしていこうと思います。
矢野夏希(スポ2=愛知・時習館)
――女子最優秀選手に選ばれました。率直な気持ちを教えてください
自己ベストを6センチ大幅に更新することができましたが、まさか自分が女子最優秀選手に選ばれるとは思っていなかったため驚きを隠せないです。
――本日の目標はありましたか
特に記録的な目標は決めていなかったです。今シーズンは試合で1メートル70を何度も跳ぶことができていたので、最低限70を跳んで、あわよくば73、76を跳ぶことができたら良いなと思っていました。あとは純粋に高跳びを楽しもうと思っていました。
――当時自己新記録となる、1メートル73を一回で成功されました。さらなる記録更新に手応えはあったのでしょうか
70を跳んだ時に自分が思っている以上に楽に跳ぶことができて、76はぜったい跳べるとコーチに言われていたので、跳べる自信がかなりありました。
――1メートル76には、3回目の跳躍で成功されました。これまでの跳躍と何か変えたことはありますか
何か特別なことをしていたわけではありませんが、高さが上がるにつれて助走が崩れてしまう癖があったので、冷静に自分の助走をすることだけを考えていました。
――自己記録を更新されたことに対するお気持ちを教えてください
純粋に嬉しいです。昨シーズンはケガに苦しんで思うような結果を残すことができず、正直なところ高跳びが楽しいと思ったことがなかったです。今シーズンは、昨シーズンと比較して高跳びについて考えることが多くなり、それが結果に結びついてきているのもあって、とても充実しています。
――今季好調の要因をどのように捉えていますか
外部指導者の方と関わる機会が増え、技術的な面で自分の足りない部分を補えたことです。加えて、身体のケアについても気を遣えるようになったため練習を長期離脱するほど大きなケガも減ってきていることも要因だと考えています。
――今後の意気込みを教えてください
全日本インカレ(日本学生対校選手権)で勝負をすることです。記録的な目標は、1メートル80を跳びたいです。