伝統の一戦に勝利し、4連勝で最終戦へ/女子慶大戦

庭球女子

 関東大学リーグ(リーグ)第4戦は早慶戦となった。今回で101回目を数える伝統の一戦。ここまで3連勝の早大に対し、慶大は1勝2敗ともう後がない状態であり、前回対戦時よりも気持ちを高めて向かってきた。しかし、早大はダブルスで2-0とリードを奪うと、シングルス下位陣で順当に勝利を決める。最後は慶大にも意地を見せられたが、終わってみれば春と同じく合計スコア5-2で勝利。リーグ4連勝で単独首位を維持して最終戦に臨むこととなった。

勝利の瞬間、ハイタッチする清水(右)・下地組

 明大戦、亜大戦共にダブルスでリードを奪えなかった早大。ダブルスは5月の早慶対抗試合でも苦しめられたが、この日はついにダブルス2-0を達成。大矢希女子主将(スポ4=愛知・名経大高蔵)は試合後、「自分に勝ってくれて、素直にうれしかった」と顔をほころばせた。「自分に勝った」と評されたのはダブルス2の清水映里(スポ2=埼玉・山村学園)・下地奈緒(社2=沖縄尚学)組。ここ2戦共にファーストセットを難なく奪いながらも、中盤以降相手に流れを奪われ逆転負けを喫する嫌な負け方が続いていた。この日もセカンドセットで追いつかれる同じ展開に。しかし、「ファーストから苦しい場面を乗り切って取って、セカンドも取られはしたんですけど2-5から挽回はできて、これまでとは違うなと思っていた。清水を信じて、応援と一体となってプレーできれば大丈夫」(下地)とこの日はファイナルセットでも主導権を渡さなかった。このセットも先にブレークを許したが、清水が後ろでラリーをつなげ、下地が前で相手を揺さぶるかたちがハマり出すとポイントを量産。2-3から4ゲームを連取し、勝利を手にした。ついに暗いトンネルを抜け出した2年生ペアが、自信を深めて最終戦に臨む。ダブルス1は4戦連続で相手を圧倒し、ストレート勝ち。第1戦以来のダブルス2-0でシングルスにつなげた。

田中李は強気なプレーで勝利を決定づけた

 ダブルスの勢いそのままに、早大はシングルス下位陣でしっかりと勝利を決めた。大矢がロースコアで相手を圧倒しシングルス1勝目を届けると、シングルス5の田中李佳(スポ1=兵庫・相生学院)はタイブレークまでもつれたセカンドセットを強気で取り切り、ストレート勝ち。リーグ3戦連続出場となったルーキーが、起用に応える活躍でチームの勝利を引き寄せた。大河真由(スポ3=千葉・秀明八千代)は同学年対決に敗れ、清水は慶大エース押野紗穂(4年)に圧倒されるなど終盤は慶大も意地を見せたが、この日最後の試合、シングルス2では上唯希副将(スポ4=兵庫・園田学園)が奮闘した。相手はルーキーながら先月の関東学生選手権を制した末野聡子(1年)。試合は序盤からブレーク合戦になったが、ファーストセットは勝負所で粘り強さを発揮し6-4で奪う。セカンドセットは逆に勝負所でミスが続き4-6で奪われるが、切り替えて臨んだファイナルセットでは先に2度のブレークに成功しそのまま突き放した。上の試合が行われていた6番コートは、先日明大戦でインカレのリベンジを果たせず敗戦をした時と同じコート。悔しさが詰まったこのコートで、今度は4年生の意地を見せチームに白星を持ち帰った。「4年生がああいったプレーをしてくれたというのはチームにとってもよかった」(大矢)。最終戦でも、経験豊富な4年生が単複共に重要な役割を果たしてくれるだろう。

 宿敵を下してリーグ4連勝。最終戦で対戦するのは2年連続で全日本大学対抗王座決定試合(王座)でも顔を合わせている筑波大だ。早大の最大のライバルとも言えるチームだが、今季はすでに亜大に敗戦を喫しており王座出場には最終戦での勝利が必須と、まさに背水の陣で臨んでくるだろう。関東学生トーナメント、全日本学生選手権で単複タイトルを独占しているように、スター軍団の筑波大。試合は今年も接戦続きとなることが予想される。「次もチーム一丸となって7-0目指して頑張る」(大矢)。リーグ全勝優勝のためにも、目指すは7-0。リーグを通して磨き上げてきたチームを武器に、自分たちの手で王座出場をつかみ取ることはできるか。

(記事、写真 松澤勇人)

結果

○早大5-2慶大



ダブルス1
〇大矢希女子主将・上唯希副将6-2、6-2押野紗穂・西田奈生
ダブルス2
〇清水映里・下地奈緒7-6(5)、4-6、6-3末野聡子・平田歩


シングルス1
●清水映里3-6、1-6、押野紗穂
シングルス2
〇上唯希副将6-4、4-6、6-2末野聡子
シングルス3
●大河真由6(2)7、6-0、2-6向井マリア
シングルス4
〇大矢希女子主将6-2、6-2平田歩
シングルス5
○田中李佳6-3、7-6(5)西田奈生

コメント

大矢希女子主将(スポ4=愛知・名経大高蔵)

――早慶戦にはどのような意気込みで臨みましたか

早慶戦だからという意識はせずにいこうとは思ってたんですけど、やっぱり相手が慶應だと燃えるというか、4年目で早慶戦には思い入れもあるので絶対に負けたくないと思ってました。前日のミーティングでも勝ちたい、負けたくないという言葉を発していたので、やっぱりみんな意識していたのかなとは思います。

――ダブルスの試合はきょうも快勝でしたが、振り返って

春の早慶戦ではファイナルまでいってしまった相手だったので、ファースト取っても気を引き締めないと巻き返してくるというのも分かっていましたし、逆にそれが教訓になったというか、それを分かっていたので私たちも無駄なミスを減らしてしっかり頑張れたかなと思います。

――ダブルス2-0にできたのが大きかったでしょうか

そうですね、素直にうれしかったです。ここ2戦清水と下地のペアがファイナルで負けてしまっていたので、ここで勝ってほしいなという思いは強くて、相手に勝つというよりは自分に勝ってほしいと思っていました。二人ともすごく真面目で、負けが続くと精神的に思いつめてしまうこともあると思うので、ここで二人を出して勝ってほしいという思いはみんな強かったと思いますし、自分たちに勝ってくれて本当によかったと思います。

――シングルスの試合を振り返っていかがですか

相手は攻めてくるタイプだとは分かっていて、亜細亜の中沢さんと対戦した時みたいになるとは予想していたので、その時と同じように、相手のミスを誘うという自分のできることはしっかりできたかなと思います。

――他の試合を見ていていかがでしたか

田中はセカンドのタイブレークで劣勢の中から強気なプレーで逆転勝ちして、相手より勝つぞという思いが強かったなと。1年生ながら気持ちの強い選手だと改めて実感しました。大河はスコア自体はファイナル2-6だったんですけどスコア以上に競った試合だったと思うので、次は勝ってくれることを期待していますし、次こそはという思いで臨んでほしいと思います。清水は負けてしまいましたが、私たちのエースは清水だという誇りを持っているので、次も思い切ってプレーしてほしいです。上は明治戦で今日と同じコートで斉藤さんに負けて本人も落ち込んでいるところもあったと思うんですけど、きょうはファイトして自分のテニスを貫いて勝ち切ってくれたと思いますし、4年生がああいったプレーをしてくれたというのはチームにとってもよかったと思います。

――次戦の相手は筑波大ですが、カギとなるポイントはどこだと考えていますか

ダブルスですね。インカレ優勝ペアがいて、そこを取ることも大事ですし、ダブルス2-0にできるかどうかも大きなカギとなってくると思います。

――次戦への意気込みをお願いします

全勝で王座に行きたいので、次もチーム一丸となって7-0目指して頑張ります!

下地奈緒(社2=沖縄尚学)

――早慶戦初出場となりましたが、どんな意気込みで臨みましたか

前回前々回と立て続けに自分たちが負けてしまっていたので、初めての早慶戦勝つぞという気持ちよりはリーグ戦の内の1試合と考えて、2勝目挙げて2-0でシングルスにつなげようと考えて臨んでいました。

――きょうもファーストセットは取って、セカンドセットは取られました。ファイナルセットを迎えるにあたってはどんな心境でしたか

ずっとここまで負けた試合は、ファーストは相手のミスであっさり取って、その後は大事なところで強気になれず負けてしまうっていうパターンが多かったんですけど、今回はファーストから苦しい場面を乗り切って取って、セカンドも取られはしたんですけど2-5から挽回はできて、これまでとは違うなと感じていました。しっかりラケットも振れていたので、清水を信じて、応援と一体となってプレーできれば大丈夫だと信じてやっていました。

――下地さんは前でポイントを決める場面も多かったですが、プレーに関してペア間で話し合っていたことなどはありましたか

清水が後ろでしっかりラリーして私が前で動いてストレートを止める、ポーチに出るっていうのが私たちのポイントパターンなので、そういう形に持っていこうとは話していました。私がサーブの時に清水にストレートアタックがきて取られてるポイントが多かったので、その時は清水を下げて私が前に上がるっていう形にしようって最初からやることを決められたのがよかったかなと思います。

――最終戦への意気込みをお願いします

まだ出させていただけるか分からないのですが、もし出させていただけるならきょう勝てたことを自信にして、これまでとは違ったプレーができると思うので、筑波戦でもダブルス2-0にできるようにい。インカレ優勝ペアもいますしD1もきつい戦いになると思うので、D2からも元気出してコートは別ですが一緒に頑張っていきたいです。思い切り楽しんでプレーしたいと思います!