清水が同士打ちを制し、全国タイトル2冠を達成!

庭球女子

 冬の寒さを吹き飛ばすほどの熱い戦いが繰り広げられてきた全日本学生室内選手権(インカレインドア)。最終日の女子シングルス決勝は、上唯希副将(スポ3=兵庫・園田学園)と清水映里(スポ1=埼玉・山村学園)の早大対決となった。3時間を超える大接戦の末、勝利を挙げたのは清水。8月の全日本学生選手権(インカレ)に続き、全国タイトル2冠の快挙を成し遂げた

 これまで部内戦も含めて一度も対戦経験がなかったという上と清水。そんな好カードが、インカレインドア決勝の舞台で実現した。試合は序盤から互いに譲らぬシーソーゲームとなる。清水が力強いフォアハンドで攻め立てると、上はそれに緩急をつけた多彩なショットで対応するなど、一進一退の攻防が続いた。均衡状態のまま突入したタイブレークでは清水がストロークで押し切り、2-2から5連続ポイント。ファーストセットは清水の手に渡った。続くセカンドセットではいきなり清水が2ゲームを連取。そのまま勢いに乗るかと思われたが、「勝ち急いだことが裏目に出た」(清水)とここから上も粘りを見せ、長いデュースが続いたゲームを連続で奪い、流れを引き戻した。その後キープキープで迎えた第10ゲームでは上がこの日意識していたというフォアハンドのストレートが効果的に決まり、ブレークに成功。栄冠の行方はファイナルセットに持ち越された。

粘り強く応戦した上

 すでに試合時間は2時間を超えており、二人の動きにも疲労の色が見え始めたが、ファイナルセットでも意地と意地とがぶつかり合う激しいラリー戦が繰り広げられる。そんな手に汗握る接戦を制したのは、清水だった。「新しい気持ちで臨むことができた」と振り返るように、次第に本来のプレーを取り戻した清水は、強烈なストロークで攻め立てて隙あらば前に詰めて決めるという攻撃的なテニスでポイントを積み重ねていく。第7ゲームでこのセット2度目のブレークに成功し4-3とすると、その後は落ち着いてサービスゲームに集中。最後は上の決死の猛攻を退け、3時間を超える激闘を勝利で終えた。インカレチャンピオンとして周囲からの期待の声も大きかった中でのインカレインドアだったが、そのプレッシャーをものともせず、再び頂点に立ったスーパールーキー。1年生ながら全国タイトル2冠の偉業を成し遂げ、試合後は、「素直にうれしい気持ちでいっぱい」と顔をほころばせた。一方、第1シードとして臨みながらも2年連続の2位となった上は、「悔しい気持ちが大きい」と涙をのんだが、「自分にかかるプレッシャーに少しは打ち勝てるようになったのかな」と収穫も口にした。

清水のフォアハンドは終始相手を苦しめた

 夏のインカレでは思うような結果が出なかった女子部だったが、今大会では軒並み上位に進出した。単複での2冠は女子部としては7年ぶりの快挙だ。今シーズン最終戦を、最高のかたちで締めくくることができたといえるだろう。新たに主将に就任した大矢希女子主将(スポ3=愛知・名古屋経大高蔵)は、来たるシーズンに向け、「選手層から育成層まで全員でレベルアップしていきたい」と意気込んだ。冬を越え、また一回り強くなった早大の姿に期待したい。

(記事 松澤勇人、写真 松澤勇人、吉田優)

賞状とトロフィーを手に笑顔を見せる清水

チャンピオンスピーチ

清水 まずはじめに今大会を開催するにあたり、全日本学生テニス連盟のみなさま、ありがとうございました。また、審判に入ってくださった方々、ありがとうございました。日頃からご指導してくださる土橋監督(登志久、平元教卒=福岡・柳川)をはじめ、嶋崎さん(徹夫監督代行、平元商卒=神奈川・桐蔭学園)、弥起さん(石井コーチ)、庭球部のみなさま、いつもありがとうございます。それから心強いサポートをしてくださるOB、OGのみなさまにも感謝しています。ありがとうございました。個人的にはインカレ(全日本学生選手権)に続いて2冠を達成することができて、とてもうれしいです。来年度はさらにレベルの高い試合にもチャレンジして、よりレベルアップできるように頑張りたいと思います。本日まで本当にありがとうございました。

結果

▽女子シングルス決勝

〇清水映里7-6(2)、4-6、6-4上唯希

最終成績

▽女子シングルス

優勝

清水映里

2位

上唯希

2回戦敗退

大河真由

1回戦敗退

大矢希

▽女子ダブルス

優勝

上・大矢

ベスト4

清水・下地

1回戦敗退

剱持・森川

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コメント

上唯希副将(スポ3=兵庫・薗田学園)

――2位という結果については率直にどう感じていますか

2年連続ということもあって、悔しい気持ちが大きいですね。

――清水映里選手(スポ1=埼玉・山村学園)とは公式戦では初対戦となりました。振り返っていかがですか

清水の方がボールも重くてショットに威力がある中で、自分のコンディションが万全ではなく腰に不安もあった状態でここまで僅差までいけたというのは自信にしていいと思うんですけど、ショットの精度の部分で、ストレートに打った球が少しダウンザラインに切れてしまうなどもったいないミスが続いてしまうことも多くて、課題を挙げればきりがないんですけど、勝負所で清水の方がいいボールを入れてきたというのが結果につながったのかなと思います。特にファイナルの3-4で私から40-0の場面で、ブレークチャンスが3本あったにもかかわらず、そこから清水がギアを上げて強気に全部(ショットを)入れてきて、そこで(ゲームが)取れていれば試合の流れは変わっていたと思うんですけど、まあそこは私よりも清水の方が上手だったということですね。

――きょうの試合においてなにか特別に意識していたことはありますか

きのうクロスで勝負し過ぎてストレートで攻めれていなかったというのがあって、清水と打ち合っても私には有利にならないので、ストレートで攻めていこうと思っていました。意識していたまではいいんですけど、肝心のストレートが再度に切れてしまう場面や、あのショットが入っていればという場面も多くあったので、そこはまだまだだなと思います。

――長い試合となりましたが、疲労もあったのでしょうか

インカレインドア(全日本学生室内選手権)に入る前から腰に違和感があって、満足のいく練習ができていなくて不安を抱えながらの試合になったのですが、コートに立てばそれも言い訳にしかならないので、正直キツい場面もあったんですけど、それを覚悟して戦い抜けるフィジカルを最後のインカレまでにつけていかないといけないなと改めて感じました。

――今大会で年内の学生大会は全て終了しましたが、今シーズンを振り返っていかがですか

良くも悪くも春関(関東学生トーナメント)からインカレインドアまで全部第1シードだったんですよ。大学に入ってからシングルスで第1シードになったことなんてなかったですし、自分はたまたまポイントが高かっただけで第1シードの実力でないことは分かっていたのですが、その重圧を自分自身が勝手に感じていました。そのせいで(シーズン)前半は良い結果が出せなかったかったんですけど、インカレ(全日本学生選手権)が終わって夏関(関東学生選手権)くらいからは成長した場面もあって、今大会では優勝はできなかったですけど決勝まで進むことができたので良かったと思っています。自分にかかるプレッシャーに少しは打ち勝てるようになったのかな、と。きょねんまでは正直プレッシャーはあんまりなかったので、今年度の最初に比べればプレッシャーの中でも戦い抜ける自信はついてきたのかなと思います。

――最後に、来シーズンに向けての意気込みをお願いします

個人としては、最近ダブルスはタイトルを獲れているんですけどシングルスでは獲れていないので、この1年でシングルスでも全国タイトルを獲るというのが目標です。チームとしては王座優勝というのが最大の目標なので、最上級生として、副将としても引っ張っていきたいと思いますし、ワセダのいいところは先輩後輩、男女関係なく仲がいいことなので、それを最大限に生かして、みんなで言いたいことを言い合っていいチームにしていければいいなと思います。

清水映里(スポ1=埼玉・山村学園)

――優勝おめでとうございます!今の率直なお気持ちをお聞かせください

ありがとうございます!もう素直にうれしい気持ちでいっぱいです。

――今大会はどんな目標で臨んでましたか

インカレでは単複共にしっかり勝つということができなかったので、ダブルスは予選からだったんですけど、両方勝っていきたいなということと、シングルスは2冠獲りたいなと思っていました。

――今大会のダブルスについては振り返っていかがでしょうか

すごく自信になった大会でした。下地(奈緒、社1=沖縄尚学)と組むのは初めてで、最初は全然相性が合わなくて大丈夫かなと思ったのですが、予選からというのが逆にプラスになって、だんだん試合中も楽しくできるようになって、雰囲気もよくなっていったと思います。

――シングルスはインカレチャンピオンとして臨みました。プレッシャーは感じましたか

周りからの期待は少しは感じていたんですけど、シードも第3シードでしたし、いつもと変わらずチャレンジャーの気持ちでいければいいかなと思っていました。

――決勝までの勝ち上がりはどのように振り返りますか

一番ヤマ場だったのが筑波大の森崎さん(可南子、3年)との試合だったので、そこを勝ち切れたのはすごく自信になりましたし、いいイメージを持って決勝に臨めたと思います。

――きょうの相手は公式戦では初対戦となった上選手でした。どのような意気込みで臨みましたか

部内戦でも試合をしたことがなかったのですごく楽しみにしていました。上さんと決勝で対戦できたというのはすごくうれしかったですし、そこで勝てたのはすごくうれしかったです。

――試合は終始シーソーゲームとなりました。試合全体を振り返っていかがですか

集中力を保つことは難しかったんですけど、セカンドセットも立ち上がりいい感じで入れたので、いけるかなと思ってしまって、そこで勝ち急いだことが裏目に出て、上さんを復活させてしまったと思います。それでもファイナルでは切り替えて新しい気持ちでできたのは良かったです。

――勝敗を分けたポイントはどこだったでしょうか

ファイナルの2-3からブレークして3-3にできたのがすごく大きくて、そこからは自分のサービスゲームに集中しようと思っていけたので、あそこは大きかったですね。

――最後に、来シーズンへの意気込みをお願いします

さらに追われる立場になると思うんですけど、そういうのは関係なしに、自分のプレーをもっとレベルアップさせて、学生大会に限らずもっとレベルの高い国際大会でも勝っていける選手になりたいなと思います。