【連載】王座直前特集『挑戦』 第3回 木村優子副将×清水映里

庭球女子

 第3回に迎えるのは木村優子副将(教4=千葉・秀明八千代)と清水映里(スポ1=埼玉・山村学園)の二人。全日本学生選手権(インカレ)を制した清水はシングルス1として今季の団体戦に臨み、木村は副将として、清水のベンチコーチとしてチームに貢献している。1年生ながらチームを背負うその心境、そして4年生としてエースを見守るその胸中――全日本大学対抗王座決定試合(王座)を前にした二人が、自分のこと、チームのことを語ってくれた。

※この取材は9月24日に行われたものです。

「危機感があったからこそリーグで勝つことができた」(木村)

ベンチコーチとして清水に声をかける木村

――まずはここまでの戦いを振り返っていただきたいと思います。それぞれ今季の個人戦をどう振り返りますか

清水 春関(関東学生トーナメント)はシングルスで思うように結果を残せなくて。一番にインカレ本直を目指しつつも上位にいきたいなという思いでやっていたのですが、初めての大学の試合で学生のプレースタイルに違いに慣れていなくて、あまり自分の思うようにプレーができず、練習環境も変わった中で思ったようには結果を残せませんでした。夏前から強化期間もあったり環境にも慣れてきたり、プレースタイル、自分の調子もだんだんと合ってきて、インカレではシングルスで優勝することを目標にと取材の時から言っていました。ダブルスも春関で優勝できたので、それを自信に変えて頑張ろうという気持ちでやっていたのですが、春関では勝っていてもインカレではまた違う選手と当たったり違うサーフェスだったりで思うようにいかなくて。単複しっかり勝ち抜くということは今まであまりできていないかなと思っています。団体戦も出させていただいた中でも単複で勝てていないという思いです。

木村 新進(関東学生新進選手権)ではダブルスで今まで一番いい結果が出て、そこから波に乗るかなと思ったのですが就職活動もあって春関は思うような結果が出なくて。とりあえずインカレの切符を手にできたのでそれは良かったかなと思います。両立も大変だったのですが就職活動が終わったことで気持ちもすっきりして、インカレではとにかく最後の全国大会だったのでやるだけのことをやろうと思って臨んだ結果として今までで一番いい結果を出せたのかなと。インカレが終わって夏関(関東学生選手権)では本当に学生の大会が最後だったので、勝ち負けよりも自分の悔いの残らない試合、今までで一番楽しい試合ができたらいいなと思って臨んだ結果、シングルスもダブルスも今までで一番いい結果が出たのでそれはすごく良かったなと思います。

――清水選手は度々「大学のプレースタイルに戸惑った」と言っていますが、大学だからこそ身につけられた点はありますか

清水 やはり大学生は粘り強いというのが一番であって、あまり決まらなかったりラリーしても長くなったりしてフットワークが大事になってきたので、入学当初よりは夏のインカレとかでフットワークが強化されたり、ウエートもしっかりトレーニングを積み重ねたので力強さがあったり、先輩方への接し方、コートマナーといった精神的な部分でも少しは成長できたのかなと思います。

――インカレでは本気で優勝だけを見据えていたのか、一戦一戦勝ち進んだ結果優勝できたのか、どちらでしょうか

清水 優勝というのは頭の中にあったのですが、それ以上にまずは一戦一戦ということを目標に戦っていて。シードもついていて自分が負けるわけないとか、こんなところで負けられないとか、自分にプレッシャーをかけてしまって1回戦はすごく硬くなってしまったのですが、「常にチャレンジャーの気持ちでいくことが大切なんだよ」と弥起さん(石井コーチ)に言われてから気持ちもすっきりして、個人戦なのですが先輩方や同期とかがサポートしてくださって、そういう応援の力もありました。先輩方の方が私よりも「勝たなくてはいけない」というプレッシャーがいっぱいあったと思うのですが、(他の早大勢がみんな)負けてしまって私だけになってしまってもプレッシャーを感じることなく、自分のテニスをしっかりやることを目標に一戦一戦臨んでいたら調子もどんどん良くなって気づいたら決勝で、気づいたら・・・という感じでした。

――女子全体としてはインカレで思うように結果は出ませんでしたが、チームとして危機感、不安はありましたか

木村 インカレの時に上級生が早い段階で負けてしまって、そこで土橋さん(登志久、平元教卒=福岡・柳川)に本当に今回はやばいと言われて、私自身も自分の個人戦に集中しすぎていた部分があったかなというのはありましたね。インカレで戦っていた選手が帰ってきてからチームとして戦っていけるように、(インカレから)こっちに戻ってきてノンレギュラーと気を引き締めていて、そこから安定しました。でもやはり筑波大がすごく力を上げてきているので、正直リーグ(関東大学リーグ)も慶大と筑波大に負けるんじゃないかという危機感はみんな持っていて。逆にその危機感があったからこそ今回のリーグではしっかり勝つことができたのではないかなと思います。

――チームとして、団体戦に向けどう雰囲気を上げていきましたか

木村 今回選手として出る可能性がある人が多くて、逆にサポートが少なかったからこそ4年生が結構サポートに入っていて、ボーラーをしていたからこそチーム力がすごくあったかなと感じています。

清水 4年生がボーラーに入るということはもう前代未聞であり得ないことだと思います。1年生なので分からないのですが、下級生の仕事を上級生にしていただくということは本当にあり得ないことだったし、すごくありがたいことで、選手を一番に考えてくださる上級生の気持ちを無駄にできないなという気持ちはすごくありました。だからこそ試合でも出させていただくならば絶対に頑張らなくてはいけないなという思いは強く持っていたので、サポートの1年生も少なかったのですが4年生が引っ張ってくださったからこそ1年生も頑張り続けることができたと思うし、上級生には感謝しています。2年生もフォローしてくださって。チーム力という中では個人戦を終えて危機感はあったのかなと思うのですが、そこからの団結力はリーグの中では関東一だったかなと思います。

――実際にリーグが始まってからのチームの戦いぶりはどう振り返りますか

木村 正直細沼(千紗女子主将、スポ4=東京・富士見丘)がことし全然結果が出ていなくて不安に思っていた部分があったのですが、ミーティングをして腹をくくって、4年でしっかり話し合ってお互い思っていることを言い合ったからこそ、細沼もすっきりしたのか分からないのですが割り切って、「インカレ後もしっかり団体戦を頑張る」と言って、リーグも最後のダブルス以外は全部勝ってくれて。すごく元気よくプレーしてくれたことが他の選手にもいい影響を与えていたのかなと感じます。元気よくやっていけたのがすごく良かったです。

清水 ダブルスはチームの波をつくる大事な試合なので、最後の筑波大戦以外は2-0でシングルスを迎えられていたからこそシングルスでも勢いに乗れていたのかなと思います。

――その中で清水選手はご自身の試合を単複振り返っていかがでしょう

清水 第2戦から出させていただいて、キャプテンの細沼さんと組ませていただいたのですが、出させていただくからにはチームに勝ちを持っていかなくてはいけないなと自分の中でずっと思っていて。ダブルスは細沼さんについていくばかりで少し任せ過ぎてしまったなというのが筑波大戦にはすごくあって、これから王座に向けて戦うにあたってこのままだと危ないなと自分の中で思っています。シングルスは何本か負けてしまって、(インカレで)優勝しているにもかかわらずチームのシングルス1として役目を果たせなかったのは申し訳ない気持ちでいっぱいですし、先輩方が勝利を決めてくださったからこそチームは勝てたのですが、王座で5本になってさらに厳しい戦いが待っている中で、私だけが落としている試合がたくさんあるのは情けないというか、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。今もそうです。

――木村さんはベンチコーチとしてどうご覧になっていましたか

木村 リーグで勝つことも大事だと思うのですが、1年生でシングルス1をやっているという意味ではこれから先が本当に大事になってくるので、ことしだけじゃなくてこの先あと3年間あるわけで。だからこそ自信をなくしてほしくないという思いもあって、一番に体を大事にしてほしいなと思って見ていました。その中で自分ができること、声かけられることをしていきたいなと思っていて。とにかく頑張れって思いながら見ていました(笑)。

――その思いは清水選手にも伝わっていますか

清水 伝わってます。優子さんには本当にいろいろ支えてくださって、ベンチコーチなので私のテニスをずっと見てくださっていて、試合中もずっとそばで応援してくださっていて。不安にさせてしまっているのが申し訳ないんですけど・・・。4年生で他の仕事もたぶんたくさんあると思うのですが、私にLINEをくださったりして、本当に心の支えでもあります。

――リーグを終え、チームとしての課題や収穫はありますか

清水 ダブルスは課題であるなと。私自身筑波大の米原さん(実令)と森崎さん(可南子)に当たって、チャンスがあったにもかかわらず勝ち切れなかったところはストロークの質であったりサーブの確率であったり、まだまだ足りていないところがたくさんあるなと思っています。シングルスでは相手のオーダーを読み違った時があって、慶大、筑波大も「あれっ」というオーダーだったにもかかわらず先輩方はしっかり勝ってきてくださったというところはすごく心強いなと思います。

木村 課題はダブルスだと思っています。でも今回細沼・清水をダブルス2から1に上げて、2を確実に取って1で挑戦しにいった時に、相性的にも悪くはないかなと感じていて。筑波大の森崎・米原はインカレも優勝していて勝てるペアがほとんどいない中で、あそこまで競れたのは収穫だったかなと感じています。直前に対策練習を少し行ったことによって相手を崩せていた部分もあったと思うので、王座まで時間は少ないのですがもう少し分析を強化して対策練習をしたら、ダブルス2-0もできるんじゃないかなと。筑波はシングルスが強い分ダブルスで2-0をつけることが優勝するために必要だと思うので、だからこそダブルスが課題かなと思います。

――清水選手個人の課題、収穫は

清水 ダブルスからシングルスと試合が2つ続く時に、ダブルスで必要なこととシングルスで必要なことが違ったり、サーブが打つ位置が変わったりしてしっかり順応できていなかったのが今の課題ですね。ダブルスはやはり任せきりになってしまうところがあって、前衛は私が狙われてしまうこともあるので、残り少ないですけど私の前の動きを強化したり、ファーストサーブの確率を上げるとかリターンをしっかり返すとか、基本的なところをしっかり詰めたりして王座にいけるようにしたいなと思っています。シングルスでは私が出させていただくにあたって1だというのは決まっているので、相手の分析をしっかり徹底的にできた部分はあったなと思っていて。王座だと本数が少ないのでプレッシャーに感じてしまうのかもしれないのですが、自分は夏で勝っているんだと自信をつけて、先輩方や応援してくださる方を信じて、任せきりにならないように自分が1本取ってくるという思いでいきたいなと思いました。

笑い方までそっくり!?

対談中は二人で顔を見合わせて笑うこともしばしばだった

――ここからは少しくだけた話題にも移りたいと思いますが、まずお二人が初めて会ったのはいつですか

清水 私は(入学前に)知ってました。木村優子さんっていう(名前は)、関東ジュニアとかで。

木村 私も選抜2連覇とか、清水映里ちゃん強いっていう(笑)。名前は知ってました。

清水 交流はなかったんですけど。

木村 で、入学が決まって。

清水 早慶戦(春の早慶対抗試合)の時にベンコが優子さんと決まって、そこから(仲が深まってきた)ですね。

――第一印象としてはいかがでしたか

清水 私は練習とかも見ていて、常に全力ですごく努力家でというのが第一印象で。誰よりもボールを追いかけたり、トレーニングでも抜いたりすることなく一生懸命やっていて、見習うべき先輩だなとは思っていました。一度夜ご飯に連れていってくださってくださった時に・・・もう面白すぎて(爆笑)。笑い過ぎて一歩も足が出なくて、歩けないんですよ(笑)。笑いのツボも合う本当にいい先輩で。

木村 (ツボが)浅いからね。

清水 笑い方もやばくて、そっくりで、夜遅くに駅の近くでゲラッゲラ笑いながら・・・。面白くて頼りになる先輩です。

木村 私は最初に会った時は天使のような笑顔だなと。本当にかわいくないですか(笑)?愛嬌があって、妹にしたいなという感じで。プレーの第一印象は「バコバコだな」みたいな、「どんだけ打つの」っていう(笑)。最初ボールを受けた時に速くて重たすぎてついていけない、やばいこいつみたいな。

清水 そうだったんだ・・・(笑)。

――実際に関わってみていかがでしたか

清水 もうそのままです本当に(笑)。優しいところは優しくて、しっかり言ってくださる時は言ってくださって。私のことをすごく気遣ってくださって、私が言いづらいだろうなと言うことでも聞いてくださったりして。優子さんにだけは相談できるなという、信頼とかもあります。

木村 早慶戦からずっとベンコをしてきて、私が言ったことに対してすごく素直に受け止めて、まずとにかくやってみるという感じで。教えたり伝えたりすることはすごく素直に受け止めてくれる子で、ベンチコーチとしてはすごくやりやすいです。普段はとにかく一緒にいて楽しいです。全然1、4(年生)という感じがしなくて、年の差を感じさせない仲の良さというか。きょうもこれからご飯にいくんですよ。牛カツです。

――なぜ清水さんのベンチコーチにつくことになったのでしょうか

木村 私が去年は大矢(希、スポ3=愛知・名古屋経大高蔵)のベンチコーチだったのですが、大矢はこれから3年、4年と2年間あるので、それなら3年生がベンコをやった方がいいということになって。私は大矢がいない分誰でもつけたのと、副将というのもあって清水になったという感じです。

――ベンチコーチをする上で心掛けていることは

木村 とにかく清水が何を考えているかをプレーを見ながら思い浮かべる、ということを心掛けています。あとは清水的には難しいことを言われるよりシンプルなことを言われた方がいいと思うので、できるだけ伝えやすく簡潔にまとめて話すようには心掛けています。あとは清水のプレーをどうするというよりは相手の弱点であったり弱いところ・・・あ、一緒か(笑)。

木村・清水 (1分ほど爆笑)

木村 相手の弱点であったり、どういうことをすれば崩せるのかという相手の分析をして伝えることによって清水がプレーしやすいように、戦術的なこともできるだけ。分析はしているのですが、試合の中でどれだけそれが使えるかを見極めるという感じですね。

――育成層の副将として大変なことは

木村 育成層からリーグに出る選手を輩出できるようにどういう練習をしていくかということを補佐の廣川(真由、社3=埼玉・浦和学院)と一緒に考えて、練習メニューを組んだり対抗戦を組んだりしたのが一番大変でした。その中でも倉持(美穂、商1=東京・早実)が育成層から選手層として出られたことはプラスに考えたいと思いますし、山田(菜律子、文構1=石川・大聖寺)も私と組んで(夏関で)ベスト4までいって、剱持(梓、社2=東京・早実)・森川(菜花、社2=山口・野田学園)も育成層から関東ベスト4に2回も入れたので、今まで廣川と協力してやってきたことが底上げにつながって良かったかなと思います。

――もう秋学期が始まりますが、清水選手は1年春の学業の成績はいかがでしたか

清水 落とさなかったわけではないです・・・が、やばいレベルが10だとしたら今5くらいです。後期はしっかりフル単を一番に考えた授業を決めたので、あとは行動するのみです。頑張ります!!

木村 息やばいよ(笑)。

清水 もう落とさないです。

――試合前のルーティンはありますか

清水 なるべく時間がある時はAAAの音楽を聞いています。あとは試合中ですが、スポーツドリンクを飲んで、水を飲んで、ウイダーを飲んで、水を飲むっていう。たまに調子が悪いゲームの時は変えたりして、気分転換しています。あとは試合の前日はいつも母がカレーを作ってくれますね。カレーが特別好きなわけじゃないんですけど、体にいいらしくて。辛いのあまり好きじゃないので甘口を作ってくれます。

木村 私はこの夏から親友に試合の前日の夜に電話するっていうルーティンがあって。そうすると調子がいいです。あとは勝った試合のビデオを見て、自分のこのプレーは結構良かったというのを見て次の日に臨むようにしました。それも寝る前に見ていいイメージで次の日に入るという感じでインカレをやったら結構うまくいったので、夏関はインカレの良かった時のビデオを見て次の日に臨むようにしていました。あと、試合で使うタオル、下着、靴下は必ず全部一緒にしています。毎日絶対洗濯して、絶対同じタオルを使いたくて。こだわりあります、たたみ方とかもめっちゃ気にするので。

――1、4年生はお互いどのような学年に見えますか

木村 入ってきた時に、今いる学年では一番似ている学年かなと思いました。とにかくうるさい、騒がしい、元気みたいな感じかな(笑)。

清水 たまにそれが悪い部分でもあったりするので、そこはしっかり切り替えられるようにということは入学してから意識するように同期内で話し合って、騒ぐ時は騒いで、やる時はやるって決めています。4年生はすごく面白い方がたくさんいらっしゃって、心の温かい方もたくさんいらっしゃって、私の大学のイメージは本当に厳しくて体育会っぽい、「これやって!これも!」みたいな感じだったのですが、そんなことは全然なくて。リーグの時からボーラー入ってくださったり、4年生は4年生の仕事がたくさんあるにもかかわらず1年生のことを考えて仕事をしてくださったり、本当に部全体のことを考えてくださっている学年で。役割とかもしっかりしていて、それぞれの方々が自分の持ち場でしっかり役目を果たしている・・・。

木村 すごい褒めるやん(笑)。

清水 私は本当にそう思います。目指したいですね。

木村 でも2、3年生を見る目とはまた違う感じですね、みんなかわいいなというか。私が1年の時は4年生は「おっ大人だな」と思っていたのですが、そんな感じは今してないと思います(笑)。4年生から見た1年生は「あ、かわいいな」っていう感じです。

――ことしの部のスローガンは『挑戦』ですが、挑戦したこと、したいことはありますか

清水 国際大会でポイントをまだ持っていないので、3年生の時にユニバーシアードがあるということを考えると、この冬から2年の前期にかけて国際大会でしっかりポイントを取るというのは自分の中での一つの挑戦でもあるかなと思っています。全日本(三菱全日本選手権)が終わった後からワイルドカードをいただいてチャレンジできる試合もあるので、それに向けてしっかり準備していきたいなと思います。

木村 私は周りからすごくポジティブと言われるのですが、本当はすごくネガティブで、最悪の状況ばっかり考えるんですよ。そうするとうまくいかないことも多くなってくるので、試合も最悪の状況を考え過ぎるのではなくて常にチャレンジャー精神でプレーするという挑戦をしていました。

「王座では1本を持って帰ってくるという自分の役割を絶対に果たしたい」(清水)

リーグでは敗戦もあった清水

――いよいよ王座に向けての質問に移っていきたいと思いますが、まずことしのチームはどのようなチームですか

木村 すごく層が厚い。例年以上にこのリーグ期間で選手として行動する人が多くて、それも底上げの成果だと思います。

清水 危機感があったからこそ全員が頑張ろうという気持ちですね。

――個人戦と団体戦では気持ちの持ちようは違いますか

清水 インカレでも私自身はワセダを背負って戦うという気持ちではあったのですが、団体戦となると全員が全員のために行動していて、選手は一本取ってくる、サポートは取らせるために全力でサポートするという感じで。チーム全員で1ポイント1ポイント戦うということがこんなにも心強いことなんだなと。高校でも団体戦は経験していたのですが、ベンチコーチが入ることはなかったですし、(サポートのために)ボールが打てなくなってしまう人がいるということもなかったので・・・。

――個人戦と団体戦ではどちらの方が好きですか

清水 私は結構団体の方が好きなタイプで、「もうどんどん応援して、みんな見てください」っていう感じで(笑)。

木村 好きそう(笑)。

清水 高校時代もシングルス1だったのですが、高校の1と大学を背負っている1とでは重みが全然違って。1年生だからこそ伸び伸びやらなくてはいけないなと考えていて、でもだからといって先輩方に任せきりになってしまってはいけないなと思っていたので、「何としても」と思っていたのですが、私だけ負けが続いてしまって・・・。でも試合に入ったら1年生とかは関係ないと思っているので、誰がこようと絶対王座では一本取れるように頑張ります。

――王座では筑波大が大きなカベになると思います。清水選手は出場すればシングルスで牛島里咲選手または森崎選手と戦うことになりますが、どのような印象がありますか

清水 森崎さんとは1勝1敗で負けが最後なのですが、自分としてはもし当たったならば絶対にリベンジしたいと思っていますし、強い相手だというのは分かっているのですが、私一人で戦っているわけではなくてチームの皆さんがいるので・・・。牛島さんともインカレでは直接対決はしていないので、そこを考えると勝ってこそ自信にもなるし、勝たなくてはいけない相手だなと思っています。(リーグでは)もっと分析を徹底的にやれたなと思っているので、これから国体とかもあってチームの皆さんと一緒に練習できる期間はちょっと少ないのですが、4年生を中心にリーグで出た課題をしっかり練習していかなくてはいけないなと。牛島さんは大学では勝てていないのですが国際大会ではすごく勝っていて実力のある選手なので、チャレンジャーの気持ちを持ちつつ、この間はあっさりと負けてしまって情けない試合をしてしまったので(●3-6、3-6)、チームに貢献するために頑張らないとなという風に思っています。

――リーグで牛島選手と対戦した際の手応えはいかがでしたか

清水 自分はスピンでえぐっていくプレーなのですが、それだけでは勝てないなと感じていて。速いテンポで相手を崩すという、自分のプレースタイルではないことも相手にとっては嫌なことだったりするので、そこもできるようにならないとこれから先勝てないなと思いました。負けはしたのですが、最後はプレースタイルを変えてやってみたりして、こうすれば可能性はあるのかなという手応えはあったので、王座に向けてそれを突き詰めていくしかないなと思います。

――王座で優勝するためのキーポイントはどこだと考えていますか

木村 ダブルス、特に1。あと(シングルス)3は確実に取らないと、ダブルス1-1になった時に(シングルス)1、2どちらかで取らないといけないので。ダブルス2本取ったとしても3は絶対取らないと1、2両方落とす可能性もあるので・・・。と考えると、ダブルスももちろんキーですけど(シングルス)3もキーになってくるとは思います。

――木村副将は最後の王座になりますが、どのような思いがありますか

木村 四年間やってきて、1年目は9連覇から始まって、気づいたらもう11連覇で。ことしも12連覇できたらいいな・・・というか、する!します。そのために自分のできることを残り2週間ちょっと全力でやるしかないなと思っていて、その中でもチームのために自分にできることはもちろんですが、私たちが王座を終わってから今後またチームが新たにスタートしていくわけで、いいスタートを切るためには12連覇することが大事だと思うので、王座までも大事なのですが、王座後のことも考えて行動できたらいいなと思っています。

――清水選手は王座を見たことがありますか

清水 あります。昨年王座の決勝をダブルスからずっと見ていました、最後までは見られなかったのですが。有明では声出し応援が駄目で、しーんとした中で1ポイント1ポイントやるのですが、静かな中でも応援の方、ボーラーの方が懸ける思いがあるなと感じて。ワセダは他大に比べると団結力が本当にすごいなと思っていて、連覇とか気にしてしまうと思うのですが、4年生のためにも勝ってご卒業していただきたいという思いが一番にあります。

――これから団体戦を戦うにあたりご自身の役割は

木村 映里ちゃんとチームを支える。

清水 優子さんと一緒に頑張る。やっぱりシングルス1を任されているので、1本持って帰ってきてチームのために貢献するというのは第一なので、それが一番大事なので。試合に出るにあたってこれが不安とかここが苦手なんだよなとか、そういうことを言っている暇はもうないので、自分のできることを突き詰めて、もう1秒たりとも無駄に過ごせないなと思っていますし、1年生だからこそ練習の時から声を出して元気に盛り上げていく必要もあるなと思っていて。リーグでは先輩にすごく助けていただいたところがあるので、王座ではしっかり勝って(1本を)持って帰ってくるという自分の役割を絶対果たしたいと思います。

――では最後に、改めて王座への意気込みをお聞かせください

清水 支えてくださる方々が本当にたくさんいて、王座になればOB、OGの方々もたくさんいらっしゃってご父兄の方々もたくさん応援してくださるので、それも全部自分の、チームの力に変えて。本当に厳しい戦い、辛い時間帯はあると思うのですが、4年生の方々のためにも、ここまであっという間だったのですが、戦えるのであればあと3戦しかないので、一本一本ワセダのために戦えるように。最終的には12連覇、アベック優勝して、笑顔で卒部してもらいたいです!

木村 このチームはことししかないので。このチームのために全力を尽くして、結果としてアベック12連覇できたらいいなと思っています。とにかくどんな状況でも笑顔で頑張ります!

――ありがとうございました!

(取材・編集 熊木玲佳)

本当に仲がよく楽しそうな二人の対談でした!

◆木村優子(きむら・ゆうこ)(※写真右)

1995年(平7)6月23日生まれ。千葉・秀明八千代高出身。教育学部4年。今季の主な実績は、関東学生選手権ダブルスベスト4。「何か夏らしいことはしましたか」との質問を受け、助川峰理さん(スポ4=東京・富士見丘)とナイトプールに行ったことを明かしてくれた木村さん。とても盛り上がったそうです、うらましいですね!

◆清水映里(しみず・えり)(※写真左)

1998年(平10)5月28日生まれ。身長160センチ。埼玉・山村学園高出身。スポーツ科学部1年。今季の主な実績は、関東学生トーナメントダブルス優勝、全日本学生選手権シングルス優勝。全日本学生ランキングシングルス4位、ダブルス17位(2017年9月付)。1週間ほど前に、ずっと食べられなかったトマトに挑戦したという清水選手。克服はならなかったそうですが、「また挑戦します!」と意気込んでいました。一つ一つ苦手をつぶしていってほしですね