林が悲願の単複二冠を達成!

庭球女子

 個人戦での大学日本一を決める全日本学生選手権(インカレ)も、ついに最終日を迎えた。シングルスには林恵里奈女子主将(スポ4=福井・仁愛女)と細沼千紗(スポ3=東京・富士見丘)の2人が登場。白熱したワセダ対決は、林が最上級生としての貫禄を見せ、ストレート勝ちを収める。続くダブルスも今大会第1シードの林・上唯希(スポ2=兵庫・園田学園)組が安定した実力を発揮し、優勝。林は悲願の単複二冠を達成し、最後のインカレを最高のかたちで締めくくった。

 インカレ決勝という大舞台で実現した同士打ち。第1セットは両者の強い気迫が感じられるような長いラリーが続き、白熱した展開となる。しかし動きの硬くなってしまった細沼にミスが目立ち、林が第1ゲームをブレーク。「自分から攻めていくことを意識してやった」(林)と語ったように、要所を押さえ主導権を握り、3ゲームを連取した。第4ゲームは4度のジュースの末にブレークされるも、直後にブレークバック。そのまま勢いに乗った林がこのセットを6-2で制す。続く第2セット、カギとなったのは1-1で迎えた細沼のサービスゲーム。「苦しい時間帯だった」(林)という言葉のとおり、ミスが続き0-40とリードされる。しかし「一瞬隙をつくってしまった」という細沼を、見逃さなかった。コースをついた的確なショットで攻め、逆転でこのゲームを奪う。ここで再びスイッチが入ったのか、ポイント後の「カモン!」の声が一段と大きくなった林。流れをつかみ、ここから5ゲームを連取する。このセットも6-2で奪い、タイトルを獲得した。

シングルス女王に輝いた林

  シングルスから約3時間後に行われたダブルス決勝は、林にとって今大会10試合目となった。相手は米原実令・森崎可南子組(ともに筑波大)。今大会第3シードの強敵とは、昨年12月に行われた全日本学生室内選手権でも接戦を繰り広げている。拮抗(きっこう)した実力のとおり、第1セットは両者がサービスゲームをキープし合う。そんな中、ワンチャンスをものにし、第3ゲームでブレークした林・上組がこのセットを6-4で先取。2セット目は第1ゲームからブレークし、波に乗る。林がコースをついたショットを打てば、甘くなったリターンを上がボレーで決めるなど「お互いのいいところを引き出せた」(林)というプレーで確実にポイントを重ねる。終盤は林の力強いサーブで相手を寄せ付けず、圧巻の試合運びでゲームカウント6-2。林は単複での二冠、上は昨年に続きダブルスでの連覇を果たした。

林(左)・上組はインカレインドアに引き続き、インカレでもタイトルを獲得した

 これまで3年間のインカレでは、単複共に思うような結果が出せず苦しんできた林。女子主将として臨んだことしは、大会前から単複二冠の目標を何度も口にしてきた。それだけに、今大会は有終の美を飾り、笑顔の絶えない様子が印象的だった。しかし、その目はすでに次を見据えている。今月の27日から始まる関東大学リーグ(リーグ)や、リーグを勝ち進んだ大学が出揃う全日本大学対抗王座決定試合はいずれも団体戦。「自分一人ではない」と林が言うように、「(らいねんのインカレでは)二冠も夢じゃない」と語る上や、「誰にも負けたくない」と話す細沼など、強い選手がワセダには揃っている。目指すは、団体戦での頂点。インカレを経てさらに強くなった早大勢の活躍に期待したい。

(記事 吉田優、写真 佐藤亜利紗)

結果

▽女子

シングルス決勝

○林恵里奈6-2、6-2細沼千紗

ダブルス決勝

○林・上6-4、6-2米原実令・森崎可南子(ともに筑波大)

チャンピオンスピーチ

林(※写真左) まずはじめに、この大会を運営してくださいました学連の皆さま、スポンサーの方々、ありがとうございました。そして連日朝早くから夜遅くまでいてくださったコーチ陣の皆さま、大学の皆さん、ありがとうございました。このタイトルが本当に欲しくてこの1年間頑張ってきたので、タイトルを取ることができて本当にうれしいです。1週間後にリーグ(関東大学リーグ)があるので、切り替えて頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

林(※ダブルス表彰時) こうやって2回スピーチをすることができて、とてもうれしいです。単複共に苦しい試合もありましたが、ダブルスは上(唯希、スポ2=兵庫・園田学園)とのペアで力を合わせて優勝することができましたし、シングルスにおいても応援の力を借りて優勝することができたと思います。周りの方々に支えられているということを忘れずに、これからも頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

上(※写真右) まずはじめに、今大会を開催してくださった学連の皆さま、会場を提供してくださった岐阜メモリアルセンター様、ありがとうございました。毎日応援に駆け付けてくれたOB・OGの皆さま、コーチの方々、ありがとうございました。去年は勢いだけで優勝することができてチャンピオンスピーチをしましたが、ことしは恵里奈さん(林女子主将、スポ4=福井・仁愛女)と一緒にやってきて優勝することができて良かったです。らいねんもここでスピーチができるように、そして恵里奈さんや細沼さんのようにシングルスでも活躍ができるように頑張ります。ありがとうございました。

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コメント

林恵里奈女子主将(スポ4=福井・仁愛女)

――単複優勝、本当におめでとうございます。いまの率直な気持ちをお聞かせください

この大会で単複優勝することを目標に1年間練習してきたので、取ることができて素直にうれしいです。

――シングルスからお聞きします。細沼千紗選手(スポ3=東京・富士見丘)との同校対決となりましたが、どのような対策を立てて臨みましたか

細沼は後輩なのでチャレンジャーとして挑んでくるのが分かっていたので、こちらは引かずに自分から攻めていくことを意識してやっていきました。

――きのうの試合後にはこれまでは劣勢から巻き返す展開が多かったとおっしゃっていましたが、きょうは序盤から攻めている印象を受けました

お互い緊張している中、リードするのと劣勢から挽回するのとではやはり挽回する方が大変ですし、実際に今大会も大変でした。できるなら最初からギアを上げてやっていかないと暑い中やるのは大変ですし、体力面でも勝負していかないといけないと思ったので出だしが重要なんだなと改めて感じました。

――セカンドセットは3ゲーム目に0-40からブレークし、そこから一気に突き放しました

ファーストは細沼も結構緊張していて、普段しないようなミスが出て助かった面がありました。でも細沼はセカンドから絶対挽回してくるだろうと思っていて。案の定攻めてきたので苦しい時間帯もあり、0-40の場面もそうでした。その時は焦っていた面もあったんですけど、冷静に相手と勝負すれば確実にポイントは取れるというのを意識して一本ずつやったおかげでゲームが取れたのかなと思います。

――ダブルスについてお聞きします。きのうより2人での声掛けが多かった印象でしたが、試合前に2人で話したことはありますか

優勝に向けて気合が入っていたというのはあると思うんですけど、相手のペアもすごく強いですし、ノンプレッシャーで自分たちに当たってくると思ったので、引かずに2人で力を合わせてやっていこうと話しました。

――試合を振り返って良かった点はありますか

お互いの良さを引き出せていたなと思います。相手もきっと緊張していて簡単なミスで助かった面もあるんですけど、勝負所でしっかり勝負できたのでメリハリのある試合ができました。

――過去3年間のインカレは苦しい試合が続いていましたが、最後のインカレはどうでしたか

ことしも変わらずすごく苦しい試合がいっぱいありました(笑)ただ今までの3年間だったら諦めていたところをもう一踏ん張りできるようになったので、こういう結果につながったのかなと思います。

――最後にリーグ(関東大学リーグ)への意気込みをお願いします

リーグ戦はチーム全員で戦うので、自分一人ではないというのを意識したいです。去年は慶大に負けて2位通過で王座(全日本大学対抗王座決定試合)に出場しているので、ことしはまずリーグでリベンジして1位通過で王座に臨みたいと思います。

細沼千紗(スポ3=東京・富士見丘)

――きょうの決勝戦にはどのような意気込みで臨みましたか

優勝したい気持ちはすごくあったのですが、若干決勝まで来られて満足していた部分もあるのかなと思います。プレーもすごく硬くなってしまって、決勝を全然楽しめてなかったですね。

――きょうの試合を全体的に振り返っていかがでしたか

始め出だしが全然良くなくて硬くなってしまって、林さん(恵里奈女子主将、スポ4=福井・仁愛女)がすごくいいプレーをしてきたので余計にどうすればいいんだろうって考えすぎて硬くなってしまいました。第1セットでトイレットブレークを取ってからのびのびできたのですが、林さんがいつも以上にボールが深くて、私が(コートの)中に入っていけなかったので、自分のプレーをすることができずに終わってしまったなという感じです。

――第1セットを具体的に振り返っていかがですか

始めの0-3までは本当に硬くて何もできない状態だったのですが、もうちょっといろいろやっていこうと考え始めたら少しずつ体が緊張から解けていって。でもやはり林さんのプレーがよかったので、いいプレーはできなかったですね。

――第2セットでは40-0までいったサービスゲームをブレークされる場面もありましたね

40-0だからといって油断したわけではないのですが、そこで(ゲームが)取れるかなと思って一瞬隙をつくってしまったんですよ、心の中で。それを林さんが突いてきた感じでした。

――3年生でのインカレ(全日本学生選手権)を振り返っていかがですか

インカレ前は優勝をねらって来たのですが、大会期間中はまさかここまで来られるとは思っていなかったので、実際。2位はうれしいのですが、決勝を終えたらやはり悔いが残ってしまって。やはり優勝をしないと駄目だなと改めて思いました。優勝というよりも、誰にも負けたくないという気持ちです。

――ダブルスを振り返ってみていかがでしょうか

ダブルスの1試合目は簡単に勝てたのですが、(立大ペアとの2試合目は)私がシングルスで結構競ってしまったので、だんだん疲れてしまってすごく大矢(希、スポ2=愛知・名経大高蔵)に迷惑をかけてしまいました。日没順延で次の日になったので切り替えていけたのですが、やはり私が全然引っ張っていけなかったので、大矢にはすごく申し訳ないなと感じます。

――インカレでは単複ともに2位が最高戦績ですね。少し早いのですが、らいねんはどのようなインカレにしたいですか

2年生はダブルス決勝、3年生ではシングルス決勝を経験しているので、もう硬くなることはないかなと思います。らいねんは決勝の舞台に来たら、4年生の意地も出して絶対優勝したいです。やはり目標は単複優勝ですね。

――もうすぐ関東大学リーグが始まりますが、インカレを終えて次の戦いへの意気込みをお聞かせください

今後の団体戦では私と林さんが確実に取ればシングルスで2-0、ダブルスでは組むことがないと思うので(単複合わせて)4-0になります。ちゃんと一生懸命頑張って、私たちで勝負を決めるくらいの気持ちでいきたいです。

上唯希(スポ2=兵庫・園田学園)

――優勝おめでとうございます!今の率直なお気持ちをお聞かせください

二連覇することを目標に岐阜にやってきたので、それが現実になってうれしいです。

――相手のペアの印象はいかがでしたか

今までに3回対戦していて、林さん(恵里奈女子主将、スポ4=福井・仁愛女)と組んでからも一度対戦していました。インカレインドア(全日本学生室内選手権)の時は先にマッチポイントを握られてしまって、結果的に勝つことはできたのですが、あまり相性が良くないなと感じていて。最初から自分たちが勝つんだという強い気持ちを持って試合に臨めていたので、勝ったのかなと思います。

――決勝戦を振り返って

相手の選手が私たちよりも緊張していた分、先にブレークできて、自分たちのサービスをキープできたことが勝因だったのかなと思います。

――上選手にとっては大会二連覇、林選手にとっては単複での二冠がかかった一戦でした。緊張やプレッシャーはありましたか

春関(関東学生トーナメント)の時はベスト8で負けてしまった時に、林さんが疲れているから自分がどうにかしなきゃと逆に空回りしてしまって。今回は変な意識はせずに思い切って戦うことだけを意識してできたので、自分たちのプレーができたのではないかなと思います。

――今大会全体を振り返って

シングルスは準々決勝で4時間半試合をして負けてしまって、自分の体力のなさを痛感しました。らいねんに向けてもっと体力をつけて、しっかり準備すれば、林さんのように二冠することも夢じゃないのかなと思います。この大会に向けてしっかりやっていきたいです。

――来週からはリーグ(関東大学リーグ)も始まります。どのような戦い方をしていきたいですか

試合前からリーグを意識して戦うことを言われていて、今回のインカレでは応援と一体となって戦うことができました。良いイメージを持ったまま、ワセダが一丸となって戦って、王座(全日本大学対抗王座決定試合)への切符を手にしたいと思います。