昨秋の関東大学リーグ（リーグ）の慶大戦において、３３連覇の栄光が途絶えた。優勝杯を奪還すべく、リベンジに燃えた今回の早慶対抗試合（早慶戦）。まずは初日のダブルスで２勝を挙げる。２日目のシングルスでは相手の追い上げを交わし、伝統の一戦を５－２で締めくくった。
ダブルス１に登場したのは、林恵里奈女子主将（スポ４＝福井・仁愛女）・上唯希（スポ２＝兵庫・園田学園）組。対するはともにシングルスで上位に名を連ねる村瀬早香・押野紗穂（ともに慶大）組だ。ファーストセットはたがいにブレークしあうスタートとなる。２－２となって迎えた第５ゲームでは、振られても食らいつき、粘りを見せた。度重なるジュースの末、このゲームを獲得。ここから波に乗った林・上組は６－２でファーストセットをものにした。続くセカンドセットは、「攻めるという気持ちはあったが、焦りがミスにつながっていて３－５まで離されてしまった」（林）と３－５で相手にリードを許してしまう。だが、「最後は自分たちから積極的にいけた」（林）と強気な攻めを展開した林・上組。冷静に、序盤の出遅れを取り戻し、チームに大きな１勝をもたらした。一方、先日の春関で初タイトルを手にした細沼千紗（スポ３＝東京・富士見丘）・大矢希（スポ２＝愛知・名古屋経大高蔵）組は５ゲームを連取し、流れを引き寄せる。相追い上げられる場面もあったものの、息のあったプレーを見せ、６－４、６－２のストレートで白星を挙げた。
笑顔を見せる林（右）・上組
ダブルスで２－０とし、慶大からリードを奪った早大。勢いそのままに、２日目のシングルスへと臨んだ。シングルス６で出場した金井は長時間にわたる激闘を演じる。序盤から速いストロークでのラリー戦が繰り広げられた。力強いストロークとドロップショットをうまく使い分けるも、「とても球が低くて、振られても鋭角なクロスで返してきて、とてもやりにくい」（金井）と粘り強くコースを突いてくる相手に苦戦を強いられる。１セット目を４－６で落とし、迎えたセカンドセット。５ゲーム目でブレークすると、そこから勢いに乗り、このセットをものにする。ファイナルセットは強気な攻めで巻き返したものの、一歩及ばず。チームに勝ち星をもたらすことはできなかった。一方、シングルス３の上にとっては、昨年の借りを返す大きな一戦となった。「ジュニアのころから結構対戦しているが、今まで勝ったことがなく、苦手意識もあった」という慶大の江代純菜を相手に、ストレートでの勝利。昨秋のダブルスでの悔しい思いを晴らし、シングルス１、２を前に大きな白星をもたらした。悲願の優勝まであと一勝と迫る中、時を同じくしてシングルス２に林、シングルス１に細沼がそれぞれコートに入った。食らいついてくる相手に苦戦を強いられながらも、勝負強さを見せた両者。優勝を決定づけたのは、女子主将としてチームを率いる林だった。「自分が早く勝ちを決めて、細沼に安心してプレーさせたい」（林）という一心で、サウスポー相手に攻めのテニスを貫いた。その後、細沼はファイナルセットまでもつれる接戦を制し、チームに５勝目を与える。「自信を持ってプレーできたので、練習の成果が出た」と、激戦でも冷静にプレーした細沼。早大のシングルス１として負けられない戦いで、仲間の声援にこたえる活躍を見せた。
ガッツポーズで喜びを表現した細沼
昨春は４勝３敗、昨秋は２勝５敗とスコアでも慶大に苦杯をなめてきた。今回は５勝２敗と結果で慶大を上回った早大。ダブルスで全勝となったことはもちろん、上位のシングルスで勝ち切れたことは、秋のリーグや全日本大学対抗王座決定試合につながる経験となったに違いない。しかし、「シングルス４、５の出だしが悪かった。先に流れが慶大のほうにいってしまっていたので、そこが反省点でもあり課題」とチームを率いる立場として、今回の一戦を冷静に振り返った林。「地道にコツコツとやるということが、テーマとなってくる」（土橋登志久監督、平元教卒＝福岡・柳川）との指揮官の言葉通り、団体戦が本格化するシーズンに向け、早大らしい戦い方がより一層求められてくるに違いない。チームが一体となり、日本一を目指す戦いはこれからも続いていく。
（記事 佐藤亜利紗、写真 佐藤亜利紗、三田侑実）
結果
○早大５―２慶大
ダブルス１
○林恵里奈・上唯希６－２、７－５村瀬早香・押野紗穂（ともに慶大）
ダブルス２
○細沼千紗・大矢希６－４、６－２安形玲耶・向井マリア（ともに慶大）
シングルス１
○細沼６－２、１－６、６－３村瀬
シングルス２
○林６－２、６－２安形
シングルス３
○上６－４、６－２江代純菜（慶大）
シングルス４
●辻恵子０－６、２－６押野
シングルス５
●金井綾香４－６、６－２、５－７向井
※通算成績＝５６勝４０敗
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コメント
※１日目終了時
林恵里奈女子主将（スポ４＝福井・仁愛女）
――きょうの試合を振り返って
出だしでお互いサービスゲームをキープできず、２－２までいきました。そこから３－２にして、自分のサービスゲームでキープして、６－２までいけて、ファーストセットは良かったと思います。相手も強い選手ですし、セカンドセットは引かずに積極的にプレーしてきました。そこにちょっと引いてしまった部分もあったのですが、最後は自分たちから積極的にいけたので、２セットで終われたのかなと思います。
――ジュースが続き、１ゲームが長い展開となりました
こちらも相手も勝ちたいという気持ちがありますし、その気持ちがより強い方がゲームを取れているのかなと終始感じました。
――相手はシングルスでも活躍されている選手でしたが、ダブルスの印象はいかがですか
そのペアで来るとは思っていませんでした。ペアが慣れていないかなという感じではありましたが、お互いの良さを引き出しているなと。多分、押野さん（紗穂、慶大）が後ろで、村瀬さん（早香、慶大）が前というパターンで、それは一番嫌でした。そのゲームのときに、いかに自分たちがいいプレーができるかというのが勝負になってきていて、そこの対策がうまくできていたのかなと思います。
――セカンドセットは３－５から７－５に逆転しましたが、どのような気持ちで臨まれていましたか
３－５で相手のサーブをブレークして、４－５で自分のサーブでキープして、という感じでした。攻めるという気持ちはありましたが、焦りがミスにつながっていて３－５まで離されてしまっていました。そこは相手とコートの中で勝負するということを二人で声をかけてやっていけました。それが、５－５まで追いつけて、７－５にできた勝因なのかなと思います。
――チームとしてもダブルスで勝ち星を２つ取るという結果ですが
この勢いをあすのシングルスにつなげて、シングルス４と５で決めるくらいの気持ちでやっていきたいですね。慶大もここから巻き返してくると思いますし、きょう２－０にできたからといって勝ったわけではないので。もう一回気を引き締めて、あすのシングルスに臨みたいなと思います。
※２日目終了時
林恵里奈女子主将（スポ４＝福井・仁愛女）
――きょうのシングルスの試合を振り返って
きのう隼さん（渡辺ヘッドコーチ、平１９スポ卒＝静岡・庵原）と話して、自分のポジションにどんな相手が来たとしても勝たなければいけないということは分かっていました。しっかり役割を果たせたので良かったかなと思います。ゲーム的には６－２、６－２だったのですが、内容的には競っていました。その中でも自分から積極的に仕掛けることができたので、結果的に６－２、６－２で勝つことができたのかなと思います。
――相手の選手の印象はいかがでしたか
左利き特有の試合の展開の仕方がポイントのパターンなのかなと思っていました。その中でも左利きと思わずに、右利き同様のプレーがしっかりできていたので、勝てました。すごくやりづらいなというのを一番感じましたね。
――ジュースになる場面も多かったですが
なかなか相手のサーブをブレークするのができず、ファーストセットは最初のほうで簡単に相手のサービスゲームを落としていました。慣れるというか、ポイントを取るのに必死だったのかなと思います。
――林選手の試合でチームの勝利が決まりましたが、意識はされていましたか
隣で細沼（千紗、スポ３＝東京・富士見丘）がやっていて、セカンドセットを取られていて。５－４まで行ったときに、自分が早く勝ちを決めて、細沼に安心してプレーさせたいなと感じていました。焦る必要もなかったのですが、なるべく早く勝ちを決めることは結構意識していましたね。
――チームとしては５勝２敗という結果となりましたが、どのように受け止めていますか
シングルス４、５を取られてしまいましたが、試合の流れ的には先にシングルス３のほうが勝ちを決めてくれました。なので２－２などで並ぶことなく、自分の試合が迎えられていたので、こういった積極的なプレーができていたのかもしれません。もし２－２のイーブンで自分に回ってきていたら、もうちょっと緊張もしていたと思いますし、ガチガチになっていたのかなと思います。早慶戦（早慶対抗試合）はシングルスとダブルスが２日に分かれていて、きょうはシングルス４、５の出だしが悪かったです。先に流れが慶大のほうにいってしまっていたので、そこが反省点でもあり課題かなと思います。リーグ（関東大学リーグ）や王座（全日本大学対抗王座決定試合）に向けて、しっかり克服していきたいです。
――ことしの慶大の印象はいかがですか
ガッツのある選手が多くて、どんなにリードしていようが、こっちがマッチポイントを握ってようが、どの選手も最後まで諦めないプレーをしているなと思いました。
――インカレまでに強化していきたい点はありますか
実際インカレは屋外で、かつ夏に行われるということで、技術面だけではなく体力面でも勝負していかないといけないと思うので、決勝を勝ち抜けるくらいの体力をまずつけるということです。それと、自分の得意なネットプレーを生かせるように、もっと前に上がれる展開を増やしていくということです。
――インカレに向けての意気込みをお願いします
ラストなので単複優勝を狙っているのですけども、一戦一戦目の前の相手を倒すことだけに集中して、頑張っていきたいと思います。
金井綾香（社３＝東京・早実）
――シングルス５の出場となりましたが、どのような気持ちで臨みましたか
初日ダブルス２−０で終えて、ワセダの方が有利だったと思うのですけど、きのうのミーティングで、みんなでシングルス５本を取りに行こうという話になって。きのうの結果は関係なく、きょうも絶対勝とうという気持ちで臨みました。
――試合でラリーが続いていましたが相手の印象はいかがでしたか
とても球が低くて、振られても鋭角なクロスで返してきて、とてもやりにくいなと思っていました。長いラリーでも、相手も結構体力があってそれもやりにくかったです。
――セカンドでとってファイナルで１−４から４−４に追い上げていたと思うのですが、ご自身のプレーを振り返ってみていかがですか
セカンドセット結構いい流れで取れて、ファイナルセットもプレー自体は変えずに行ったのですけど、回り込んだストレートのフォアがちょっとだけアウトだったりして。１−４になってしまったのは事実なのですが、内容的にはそんなに離されているイメージはなかったです。ちょっとしたミスが敗因かなと思います。
――そのときの気持ちの面はいかがでしたか
緊張はするってわかっていたので、本当に１ポイント１ポイントとって、やり抜くだけだったのですけど、最後マッチポイントきてフォアが取れなくて、そういうところで自分の弱さが出てしまったかなと思います。
――慶大に５−２に勝ちました。今のお気持ちは
チームとして勝てたことは本当に嬉しいと思います。でもやはり、去年の秋のリーグ戦でも負けてしまって、ことしも負けてしまっているので、もし秋の早慶戦（早慶対抗試合）に出させていただけるならば、次こそ絶対に勝ちに行きたいなと思います。
――インカレに向けて意気込みをお願いします
今回の試合でも課題はたくさん見つかったと思うので、負けたことに対して落ち込むのではなく課題を克服して、今の自分よりもっと良くなってインカレではもっと強くなりたいと思います。
細沼千紗（スポ３＝東京・富士見丘）
――慶大に勝ちましたが、いまの率直なお気持ちは
シングルス４、５がすごく競っていて、２−２になってシングルス１と２が勝負だなと控えているときから思っていました。その二本がしっかり勝負できたので良かったです。
――きのうダブルスで２勝していましたが、きょうのシングルスにはどのような気持ちで臨みましたか
シングルス２とほぼ同時に入って、まだ二人とも（勝利が）かかっていたのでもうやるしかないなという気持ちでした。相手も３年生で、お互いやるしかないなという。気持ちの面では絶対負けないようにしようと思いました。
――緊張はされましたか
きょうは全くしなくて（笑）。普段は結構緊張する方なのですが、それが良かったのかなと思います。
――相手の印象は
ジュニアのころから試合をやっていたので、お互いがお互いを知っていて。結構仲も良いので、やりにくい部分もありました。やっぱりうまくなっているなと思いました。
――ご自身のプレーを振り返ってみていかがでしたか
きょうは結構積極的にできたので、それで相手が最終的に引いて私が攻め込めたのかなと思います。結構自信を持ってプレーできたので、練習の成果が出たかなと思います。
――２セット目を落としたときはどのように気持ちを切り替えましたか
セカンドセットも私はそんなに悪くなくて。何でこんなに差が開いて落としてしまったかなと。テニス自体もそんなに悪くなかったので、あまり気にせずに、ファイナル勝負だなと気持ちを切り替えていきました。相手もこのままじゃ終われないと積極的に打ってきて、私が一瞬引いてしまった場面もあったので、そこで一気に離されてしまったかなと思います。
――インカレに向けて意気込みをお願いします
去年はシングルスがベスト８で、ダブルスは２位だったので、どちらも優勝を目指して頑張りたいと思います。
上唯希（スポ２＝兵庫・園田学園）
――きょうはシングルス３の出場でしたがどのような気持ちで臨みましたか
きょねんの早慶戦（早慶対抗試合）に単複で出させていただいたのですが両方負けてしまって春の早慶戦でチームに迷惑をかけて、ことしはチームに貢献したいなというのがありました。きょうはわたしの前の先輩が負けてしまって流れがあまり良くなかったので、ここで勝つことがチームに勢いをつけられるポイントかなと思い、それを意識して試合に臨みました。
――終始押している印象がありましたがきょうの試合内容を振り返っていかがですか
きょう対戦した江代さん（純菜、慶大）はジュニアのころから結構対戦しているのですが、今まで勝ったことがなくて苦手意識もありました。相手の分析だとかを早慶戦前に行っていたので苦手なところとかも分かっていて勝てて良かったです。
――きのうのダブルスの試合内容を振り返っていかがですか
予想していた相手のオーダーとは全然違っていて、どういう風にくるか、よく分かりませんでした。わたしたちのやるべきことは、自分たちのネットプレーを生かしてやるということだったので、要所でのミスもあってセカンドでリードされている部分もあったのですが、要所、要所ちゃんとネットプレーで抑えられたかなと思います。
――きょうは５－２で勝利しましたがその結果をどのように受け止めますか
去年の春の早慶戦はわたしのせいで４－３でした。秋はダブルスで出させていただいたのですが、負けてしまってそれでチームも負けてしまいました。（去年は）４－３で勝っても秋負けてしまって、だからことしの秋どうなるか分かりません。勝ったことは勝ちましたが、誇らずにまたリーグ、王座で慶大を倒せるようにしていきたいと思います。
――今季の目標は
個人戦では去年インカレ（全日本学生選手権）のダブルスで優勝できて、ダブルスに関して自信はあるといえばあります。今ペア組ませていただいている林さんもダブルスがすごく上手なのでことしもインカレ２連覇できればいいなと思っています。シングルスも去年のインカレ以外の大会ではベスト４に入れたので、インカレは去年２回戦負けだったのですが、それを超えてダブルス同様上位を目指せるように頑張りたいと思います。