今回お話を聞いたのは、周りを明るくする素敵な笑顔を見せるお二人。昨季、関東学生トーナメント（春関）、関東学生選手権（夏関）、全日本学生選手権（インカレ）の三冠を成し遂げた吉冨愛子（スポ４＝愛知・椙山女学園）。そして昨年はルーキーながらチームに大きく貢献した細沼千紗（スポ２＝東京・富士見丘）。ことしからダブルスのペアも組むお二人だが、すべてが順風満帆なわけではない。悔しい敗戦をも自身の糧に頂点へ――。全日本学生選手権（インカレ）に懸ける思いを伺った。
※この取材は８月５日に行われたものです。
「攻めていくダブルス」（細沼）
昨年に引き続き活躍が期待される吉冨
――まずは今季これまでのご自身の手応えはいかがですか
吉冨 結果的には満足のいくものではなかったのですが、自分のテニスの底上げをしたくていろいろなことにチャレンジしていたので、それをだんだんと試合に表せるようにはなってきているのかなと思います。ただやはり自分がチャレンジしてきたことをコートの中で１００％完璧に表現することはまだできていないです。今シーズンは春関もベスト４で、インカレインドア（全日本学生室内選手権）もベスト８で終わってしまって。インカレインドアが正直あまりよくなかったかなと思ったので、そこからいろいろとチャレンジしていくようにしてきました。
細沼 昨年のインカレインドアではダブルスで優勝することができたのですが、シングルスはずっと結果が残せていなくて。春関も２回戦負けと良い成績が残せていないので、ことしの夏に懸ける思いはかなり大きいです。あとはダブルスでもっと勝ち上がっていきたいと思っています。早慶戦も春関も満足のいく結果ではかったので、インカレでは頂点目指して頑張っていきたいです。
――吉冨選手は具体的にはどのようなことにチャレンジしてきたのでしょうか
吉冨 もちろん勝つということには変わりがないのですが、昨年はディフェンシブなテニスをしていたなと思っています。試合が長引いてしまったり、相手に攻められてからこちらが食らいついてというポイントも多かったので、もっと効率的にポイントを取れるようにしたくて。コートの中に入って早いタイミングで打ったり、ノーバウンドで打つボールを増やしたりして、自分から打つ積極的なテニスとディフェンスの部分の組み合わせをしっかりとできるようにしたいと思って、いま取り組んでいます。
――春関の結果に関しては
吉冨 春関の結果を振り返ると優勝を狙っていただけに悔しいのですが、自分のこれからのためのテニスができたので、シングルスに関しては内容としては悪いものばかりだったわけではないと思っています。ダブルスに関しては、春関でも早慶戦でもかなり満足できない結果になってしまって。やはり自分の取り組みの甘さが試合に出てしまったかなと思います。
――春関でダブルスは筑波大のペアに敗れてしまいましたが、振り返っていかがですか
細沼 相手の勢いに押されてしまった部分が大きかったです。（筑波大の）１年生の乗っている雰囲気に、こちらが一歩引いてしまいました。私たち二人は攻めていかないと良さが出てこないので、攻めていくダブルスを追求していきたいです。
――お二人のペアの強みは
吉冨 繊細なプレーはあまりないですね。けれども二人ともサーブは武器ですし、強いストロークとスマッシュもできるので、そういうパワーで押していけるところです。
――ダブルスを組んでいて、お互いの印象は
細沼 吉冨さんはワセダのエースとしてチームを引っ張っていて、そういった方と組めるというのはすごく心強いです。強気なプレーで後ろでストロークを何本も粘って続けてくれているので、私がもっと頑張らなきゃなと思うことが多々あります。
吉冨 細沼はいろいろなことができる選手で、強いボールも打てますし、私と違って前衛での動きもすごくいいです。自分が前で動けない分、前に行ったときにどんどん動いてポイントを取ってくれるので、彼女のいいプレーをもっと引き出せるようにしたいです。あとは元気がある時は二人とも調子がいいので、お互い元気をもらいつつプレーできたらいいなと思います。
――現時点での仕上がり具合はいかがですか
吉冨 （インカレの）２週間くらい前ですけれど、正直まだなかなか納得がいくものではないです。試合前なのでナーバスになっている部分はあると思うのですが。これから調整していきます。
――吉冨選手は先月ユニバーシアードの代表として海外の選手とも対戦しましたが、収穫はありましたか
吉冨 （ユニバーシアードでは）勝ち上がっていくと海外の大学生の選手でグランドスラムの予選に出ているような選手と対戦できたりもしました。そういった選手に勝つことができたというのは自信になりましたし、逆にそうした選手にぼこぼこに負けたということにもやはり新しい発見がありました。日本人選手と対戦しているのとではパワー面での違いもありましたし、戦い方も違って。こういうポイントの取り方があるんだと思ったり、海外の選手と戦うならこういうところを強化していかなきゃいけないなと課題が見つかったりして、非常に実りあるものになりました。
「優勝だけを狙って」（吉冨）
にこやかな表情で取材に応じる吉冨、細沼（左）
――お二人は私生活ではどのような印象ですか
吉冨 ２年生はみんなでわいわいやっていて、すごく楽しそうだなという印象を受けます。細沼はよく食べて、よくしゃべって（笑）。
細沼 ４年生と２年生は学年で似ているなという部分があって、元気があるというかうるさいというか（笑）。そういった面で仲が良いです。吉冨さんもよく食べているという感じですね（笑）。結構似ているなと思います。
――細沼選手は２年生となり、ことしから後輩もできました
細沼 私たちが１年生の頃は一つ上の先輩方は指導が大変だったんだなと（笑）。ことしの１年生に私たちが指導することもたくさんありますが、やはり私たちが１年生の頃の方ができていなかったと思いますし、後輩より先輩の方が大変だなと思っています。
――吉冨選手はトレーニング係とのことですが、具体的にはどのようなことをされているのでしょうか
吉冨 トレーナーさんについていただいているのですが、その方と連絡を取り合ったり、来てもらった時に打ち合わせをしています。みんなはどの動きが足りていないかという話をしたり、これからどういうトレーニングをしていこうという話をしたり、主にそのような調整を行っています。
――吉冨選手は最上級生となりましたが、そのことで何か変化はありましたか
吉冨 自分は後輩に優しい言葉をかけたりする面倒見がよいキャラではなくて。自分にできることは、コート上で誰よりも頑張っている姿を見せてついてきてもらうことしかないと思っています。
早慶戦では１年生ともペアを組んだ細沼（左）
――では改めて本題に戻りますが、ことしから夏関の時期が遅くなったことでインカレに影響はあるのでしょうか
吉冨 いままで夏関はインカレ前にあって、クレーコートで試合をしていました。試合勘に関しては、昨年までは夏関で試合をたくさんしていたのでその点は良かったのかなと思います。ただインカレと夏関ではコートも全然違っていて。その分今回は１週間きちんとハードコートで練習できるので、それはいい影響だと思います。
――これまでのインカレを振り返っていかがですか
吉冨 私は１年生の時ベスト８で２年生の時ベスト４で、３年生で優勝して。だんだんと上がってきているので、ここで落ちたくないです。もちろんことしも優勝だけを狙って頑張りたいと思います。
細沼 昨年は西本さん（恵、慶大）にファイナルセットで惜しくも負けてしまって、すごく悔いが残る試合でした。結果も全然残せなかったので、ことしはもっと上を目指していきたいです。
――インカレまであと２週間を切りました。いまの心境は
吉冨 結構夢に出てくるんですよね（笑）。最近インカレの夢とかを見るので、緊張しているんだと思います。けれど最後のインカレなので絶対に悔いが残らないようにやり切りたいと思います。
細沼 私もこの前インドアで試合をやっている夢を見ました。ファイナルで競った場面で、それが昨年の西本選手のことかことしなのかは分からなかったのですが（笑）。本番の試合でも、競った場面では体力で勝って２年生らしく頑張りたいと思います。
――ちなみに夢での勝敗の結果はいかがでしたか
細沼 そこまで見れていないんですよ（笑）。
吉冨 私はインカレの決勝だったのですが、靴を間違えてしまって試合に出られないっていう夢でした（笑）。右左全然違う靴を履いていて。気をつけます（笑）。
――インカレまでにどのようなことを意識して練習していきたいですか
吉冨 どんどんコートの中に入って打っていくということを意識してやっています。
細沼 私はもう少しラリーを続けられように、一本でも多くどんな球でもコートに入れるということを意識しています。
――ずばり目標は
吉冨 単複優勝です！
細沼 シングルスはやはり昨年が全然だめだったので、それを越す成績を出します。ダブルスは優勝します。
――では、最後に改めて意気込みをお願いします
吉冨 最後のインカレなのですが、何でもいいので絶対に勝ちます！
細沼 私はやはり元気にやっている時が一番いいので、落ち込むことなく元気にやっていきたいと思います。
――ありがとうございました！
（取材・編集 吉原もとこ）
インカレでの目標を書いていただきました！
◆吉冨愛子（よしとみ・あいこ）（※写真右）
１９９３（平４）年９月２４日生まれ。身長１５８センチ。愛知・椙山女学園高出身。今季の主な成績は関東学生トーナメント女子シングルスベスト４。全日本学生ランキング女子シングルス１位、女子ダブルス６位（２０１５年８月１０日現在）。スポーツ科学部４年。圧倒的な強さを誇る吉冨選手。毎試合グリップテープは新しいものに巻き替えているとのこと。気持ちを新たに、インカレ２連覇という偉業に挑みます！
◆細沼千紗（ほそぬま・ちさ）（※写真左）
１９９６（平８）年３月２６日生まれ。身長１６８センチ。東京・富士見丘高出身。スポーツ科学部２年。全日本学生ランキング女子シングルス１１位、女子ダブルス９位（２０１５年８月１０日現在）。よく食べ、よくしゃべるという細沼選手。試合前には、好きなお菓子を食べるなどして緊張を和らげているそうです。２年生らしい元気ではつらつとしたプレーに期待です！