関東学生新進選手権もついに最終日。この日行われたシングルス決勝では、巽寛人(スポ2=福岡・柳川)と木島駿(スポ2=東京・日野台)が対戦した。安定したショットで粘り強くラリーを続ける巽と、熱のこもったフォアハンドでコートに鋭い球を放つ木島。優勝をかけたワセダ対決の一戦は、互いの持ち味が存分に出た試合となった。第1セットは巽がペースを握るが、第2セットに入ると流れは一変。今大会で幾度も後半に追い上げを見せてきた木島が勢いに乗り、試合はフルセットにもつれ込む。最終セットも競った展開となるが、冷静なプレーを続けた巽に軍配が上がり、セットカウント2-1で勝利。見事初タイトルを手にした。
第2セットから調子を上げた木島
同じ2年生同士の二人の対戦。第1セット、リードしたのは巽だった。序盤から攻めの姿勢を見せる木島に対し、センターに素早く戻るフットワークで正確な返球を続け相手のミスを誘う。第4ゲームは8度のジュースでどちらも譲らぬ大接戦。このゲームをものにした巽がその後も主導権を握り、第1セットは6-1と大差をつけた。しかし、木島もこのままでは終われない。続く第2セットでは、木島のフォアハンドが躍動。第1セットでのミスショットはエースショットへと変わり、次々とコートに突き刺さる。左右にコースを散らした球に、巽は追いつくことができない。気迫のこもったプレーに拍手も度々湧き上がった。大きくガッツポーズも見せ、流れは一気に木島のものに。セットカウント1-1に追いつき、試合は振り出しに戻った。
冷静にボールをコートに返した巽
優勝の行方が懸った最終セット。「ガッツを出してくる相手なので、感情を抑えるようにやっていた」と語る巽は、焦りを見せることなく自分のプレーを貫く。得意のライジングショットも使い、相手のペースを乱すと序盤に2度のブレーク。4-1とリードする。冬場に強化したというフィジカルも生き、これまでフルセットをものにしてきた木島の果敢な攻めにも足が止まることはなかった。一方の木島は「集中力を切らしてしまった」と、惜しくも挽回かなわず。巽が6-3でこのセットを奪い勝利。念願の栄冠を手にし、ほっとしたような晴れやかな表情を浮かべた。
これから始まる本格的なシーズン。春に控える関東学生トーナメントは上位20位以内の選手も加わり、よりハイレベルな戦いとなるだろう。「(ミスを誘うだけでなく)もっと自分から打っていければ」と語る巽は、この結果に甘んじることなく一層のレベルアップを図る心積もりだ。自らの可能性を広げ高みを目指すべく、選手たちの挑戦は続いていく。
(記事 吉原もとこ、写真 谷口武、山本葵)
結果
▽男子シングルス
決勝
○巽寛人(6-1、4-6、6-3)木島駿
優勝を果たした巽(左)と、準優勝の木島
チャンピオンスピーチ
巽
まず、この大会を運営してくださった関東学生テニス連盟のみなさん、ありがとうございました。本当に感謝しています。そして、応援にかけつけてくださったOBをはじめワセダ関係者のみなさん、ありがとうございました。まだ今年度は始まったばかりなので気を抜かずに、近いことろでは春関(関東学生トーナメント)でしっかり自分の納得できる成績を出せるよう、また練習に励んでいきたいと思います。ありがとうございました。
コメント
巽寛人(スポ2=福岡・柳川)
――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは
優勝できたことは正直すごく嬉しいです。僕はきょねんはリーグも出させていただいていたのですがその時から調子を落とすこともあったので、真面目にやってきたことがこの大会ではちゃんと結果として出せてよかったです。
――決勝は同じ学年の木島選手(駿、スポ2=東京・日野台)が相手でしたが、作戦はありましたか
(相手を)知っているということもあって、それなりに僕も考えてやっていました。ガッツを出してくる相手なのでそれに向き合ったら僕は負けてしまうだろうということもあって、きょうは感情を抑えるようにやっていたので、最後はファイナルセットにいってもそんなに焦ることはなく自分のプレーができたかなと思います。作戦というよりは、感情の面においてしっかりと自分を保つということを意識していました。
――ご自身のプレーにおける強みは何だとお考えですか
この決勝戦では相手が相手なのもあってそこまで打ってはいなかったのですが、ライジングで捉えていくのが強みです。
――第1セットは6-1で終えましたが、納得のいくプレーができていましたか
自分から打ってエースを取りにいくというよりはしっかり相手に打たせてミスを誘うという面においては、自分が考えていたことがしっかりできたセットだったと思います。
――続く第2セットは接戦になりました。具体的に木島選手のプレーで変わった点などあったのでしょうか
そうですね。いままでミスを誘っていたショットがしっかり入ってきたというところが変わったところで、それだけでもかなり相手にポイントを取られてしまいました。
――先ほど焦ることはあまりなかったとおっしゃっていましたが、最終セットの勝因は
いままであまり打っていなかったのでライジングで打つようにしました。そうしたら相手もそれに対して焦ってくれて。エースはほとんど取っていないのですが、それでもミスを重ねさせることができたので、そこが勝因かなと思います。
――ご自身が冬場に強化したのはどのようなところですか
やはりフィジカル面です。いままでスリーセットになると2セット持つか持たないかで、体力には自信がなかったのですが、走り込んだりして体力をつけたことがこの大会にも生きたかなと思います。
――今大会で見つかった課題は
ミスを誘えたのはよかったのですが、もっと自分から打っていけたらと思います。ここは取りにいけるというポイントを見逃していた部分もあったので、それをなくしていけばセカンドセットでも大差をつけることができたのかなと思います。
――では最後に今後の目標をお願いします
春関(関東学生トーナメント)ではトップ20の選手が入ってくるのですが、それに臆することなくしっかりと立ち向かって、どこまでいけるかは分からないですが、自分が納得できる結果を出したいと思います。
木島駿(スポ2=東京・日野台)
――惜しくも準優勝に終わってしまいましたが、いまのお気持ちを教えてください
正直悔しいですね。巽とは部内でもよく練習したりしている間柄なので、勝つときもありますがきょうはそのチャンスを逃したということで、とても悔しく思っています。
――ダブルスも組んでいる巽選手ですが、何か対策などはありましたか
試合中には完全に忘れていましたが、思考パターンや苦手なところはだいたいわかっていたので、ここで相手も引き下がらないだろうなとは思いつつも、試合していました。気持ちの勝負でもあったかなと思います。
――第1セットは開始から攻めていた印象でしたが、これまでと変えたところなどはあるのでしょうか
いままではファイナルで取り切って勝っていましたが、相手が本当によく知っている相手なので、ファイナルで取りにくることをむこうもわかっていたと思うので、特に第1セットは取りたかったです。そういう意味で攻めました。
――攻めたにもかかわらず取り切れなかった要因というのはどのようなところにあるのでしょうか
相手に(センターに)戻る時間を与えてしまったので、コースや配球を間違えてしまった感じですね。
――第2セットはフォアハンドがよく決まっている印象でした
巽をうまく動かせていたので、フォアが決まるようになったと思います。
――得意のファイナルセットを落としてしまいました
ファイナルセットは第1、2ゲームのキープできたはずのところで、集中力を切らしてしまいました。特になにが悪かったというわけでもないですが、やはりそういったことは誰にもありうることで、ついにそれが来てしまったという感じですね。
――フルセットの試合がこれまで多かったですが、疲れなどはありましたか
もちろん疲れはありましたけれど、体力が持ち味だと思っているので、それを強みに頑張ってきました。
――今回の結果をどのように捉えていますか
65点ぐらいです。
――なぜ65点なのでしょうか
目標が新進の優勝だったので、それを目指してやっていました。せっかくこの場所にきたので、相手は関係なく優勝したいと思っていて。自分次第では勝てたなということで65点にしておきます。
――改善点としてはどのようなところが挙げられますか
フットワークとストロークの伸びです。
――今後に向けて意気込みを教えてください
春関では本選から戦えると思います。いままでにない経験ですし、春関で勝てばインカレ(全日本学生選手権)に向けてチャンスがあるので、頑張りたいです。