春の涼しい風が吹く埼玉・所沢市民体育館。2勝1敗で大会3日目を迎えた早大は、大正大、専大との試合に臨んだ。大正大との一戦は、前半部分の入りに緊張が見られたものの、すぐさま修正を見せた早大が、大きくリードし快勝。一方の専大は、杉田陽南副将(スポ3=大阪・香ヶ丘リベルテ)が先勝するが、以降は苦戦を強いられチャンスをものにできない。果敢に攻め入る姿勢を保ち続けた早大であるが、第5試合目は4連敗で敗戦となった。結果、今週までの戦績を3勝2敗とし、来週末に迎える後半戦に望みをつないだ。
トップバッターは杉田。相手にリードを許す展開が見られたものの、冷静に球を打ち返し第1、2ゲームをものにする。第3ゲームは落としてしまうが、入りの課題に修正を見せた第4ゲームは着実に得点を重ね、早大が先勝。そして、2番手には福岡乃愛(スポ3=兵庫・三田学園)を選抜。第1ゲームこそは相手の仕掛けからミスが相次ぎ得点を献上してしまうが、第2ゲーム以降は攻守共にリズムを崩さずに優勢となり、危なげなく2つ目の勝利を手にした。続く3番手は宮脇心和子(社2=鳥取敬愛)。序盤の緊張も見られたが、後半戦は素早いラリーを立て続けに制し、徐々に持ち味を発揮。終盤にはリードをつかみ、優しい笑顔でガッツポーズを決める。4連勝を託された杉田・里川奈優主将(スポ4=高知・明徳義塾)組のダブルスは終始拮抗(きっこう)した展開を繰り広げたが、左右を広く使った相手の攻撃に苦しみ、敗戦。勝利するためには落とせない5番手に臨んだのは里川主将。第2ゲームは奪われたが、正確な攻撃で相手のミスを誘発し、流れをものにする。静かなる闘志をむき出し、激しいラリー戦も冷静な切り返しでピンチ脱出。終盤は里川主将の鋭いスマッシュが光り、勝利を手繰り寄せた。仲間と共に笑顔を見せ、早大は今大会3勝目を飾った。
大正大戦でドライブを放つ宮脇
第5試合目は、前大会王者の専大。1番手としてコートに立った杉田の試合は、終始接戦の展開となった。勢いある攻撃で開始早々の激しいラリー戦を制すが、第2ゲームは延長戦にもつれこみ惜敗。心機一転迎えた第3ゲームは、杉田リードの試合運びで攻勢を保つ。終盤にも両者譲らない熱戦を繰り広げ、最終的には、長く続いた我慢の時間を耐え凌いだ杉田が価値ある一勝を獲得した。杉田の後に続いた鈴木晶(スポ1=岩手・一関第一)、宮脇は、強打を仕掛ける相手の勢いにのまれ、失点を重ねてしまう。最後まで食らいつき粘りを見せたものの、ストレート負けを喫した。続くダブルス戦も互角の戦いとなったが、専大に主導権を握られ二人のペースをつかめない。相手の隙を見抜いて巻返しに出るものの、再び1セットを献上。5番手に登場した里川主将も積極果敢な相手の猛打に遭う。必死の反撃も及ばず、大差での連敗となった。終わってみれば1ー4と大きくリードされた早大。前大会王者の壁を越えることができず、秋季リーグ戦にリベンジを誓うこととなった。
専大戦でプレーする里川・杉田組
アグレッシブな仕掛けで相手を翻弄(ほんろう)する場面が多く見られたものの、随所に課題が残る一戦となった。しかし「人数が少ない分、仲の良さや団結力は負けていない」(福岡)と自信を見せるように、他大に比べて部員が少ない早大の応援席には、仲間に寄り添う声掛けが印象的。より一層チームワークが高まる早大、次戦は会場を東京・代々木体育館に移し、中大、日体大と対戦予定となる。今回の試合で浮き彫りとなった細かな点の調整を個々人で行い、よりパワーアップした早大の姿をコートで示してくれるはずだ。
(記事・写真 谷口花)
結果
▽第4試合 対大正大 〇4-1
〇杉田3-1田中
〇福岡3-1佐々木
〇宮脇3-1遠藤
●里川・杉田組1-3田中・矢口組
〇里川3-1矢口
鈴木 山本
深谷 石井
▽第5試合 対専大 ●1-4
〇杉田3-1甲斐
●鈴木0-3船場
●宮脇0-3中山
●里川・杉田組0-3出澤・甲斐組
●里川0-3出澤
福岡 立川
深谷 陳ヶ尾
コメント
福岡乃愛(スポ3=兵庫・三田学園)
――今日の試合を振り返って
結果は1勝1敗ということで、昨年の秋季リーグ戦はもしかしたら2部に落ちるかもしれないという状況で戦っていたのですが、今回はチームとして勝てているので、安心して試合ができました。
――ご自身のプレーについてはいかがですか
個人戦のシングルスでは競った場面で返ってこないようなボールが、団体戦だと1本多く返ってくることを感じました。実力差があって負けちゃうという試合はあまりなかったのですが、1本の取り方というのが団体戦のシングルスでは結構違うなと感じました。
――第1ゲームを取られましたが、課題は
第1ゲームは相手の緩いボールとか、わざとタイミングを外してきたボールに対して自分が対応できなくて、凡ミスを誘われて取られました。
――対戦相手の印象はいかがでしたか
前に一度練習試合で対戦したことがあるのですが、その時も粘り強くて相手の嫌なことをしてくるタイプなので、試合する前から簡単には勝てないだろうなと思っていました。
――今日意識していたことはありますか
あまり強いボールだけで攻めようとせずに緩いボールも入れながら、でも緩いボールだけでなくたまに強いボールもちゃんと打っていくというつもりでやっていました。
――3年生になって、どんな意気込みで臨んでいますか
今は4年生が一人しかいないので、里川さんの負担を軽くしようと思っています。里川さんがいないときの練習での雰囲気を緩くなりすぎず厳しくなりすぎず、里川さんがいなくてもしっかりチーム作りをしていこうと意識しています。
――リーグ戦の後半戦に向けて意気込みをお願いします
中大も日体大も人数が多くて層も厚いのですが、早稲田は人数が少ない分仲の良さとか団結力は負けていないと思います。層は厚いけれど、全体として強いだけであって一人一人で見れば良い勝負なので、あまり強いチームとやるという意識を持たないようにしたいです。