【連載】『令和3年度卒業記念特集』第16回 岩越帆香/卓球

卓球女子

4年分の感謝

 全日本大学総合選手権(インカレ)で優勝を果たした卓球部女子。チームを率いたのは、岩越帆香(スポ=福岡・希望が丘)だ。個人戦ダブルスでもインカレの頂点に立つなど、輝かしい成績を残して卓球部を引退した。「自分が入れるとは思っていなかった」という憧れの早大に入学してから、主将として日本一をつかむまで。試練も栄光も経験した充実の4年間を振り返り、岩越は周囲の人々への『感謝』を口にした。

 インカレ準決勝でバックハンドを放つ岩越

 高校時代にも全国大会で活躍していた岩越だが、大学に入って感じたのは、高校までとの大きな差だった。「練習の質が全然違う」。監督やコーチの指示に従うだけではなく、自分で考えて練習に取り組まなければならなかった。そんな環境に驚きながらも、岩越は下級生の時から試合に出場し、チームの中心として経験を積む。その中で1年時から、将来的に主将を担うことを意識していた岩越。「チームのことは私が考えようと思っていた」という。たった1人の女子の同期である笹尾明日香(社=神奈川・横浜隼人)には、卓球に専念してもらおうと考えたのだ。

 こうして主将になった岩越は、新チームの目標として『グランドスラム』(春季関東学生リーグ戦、インカレ、秋季関東学生リーグ戦の三冠)を掲げた。ところが、最初の団体戦となるはずだった春季リーグが、新型コロナウイルスの影響で中止に。挑戦すらもできずに夢を絶たれてしまった。それでも、チームはすぐにインカレ制覇に向けて走り始める。全員が「絶対に優勝する。ここしかない」という気持ちを持ち続け、士気が下がることはなかった。そして迎えたインカレ。決勝戦では岩越・笹尾の4年生ペアが決着をつけ、早大は優勝をつかんだ。主将として臨んだインカレでチームを頂点に導いた岩越。『グランドスラム』はならなかったが、その心は達成感に満たされていた。

 インカレ優勝後、チームに感謝を伝える岩越

 自身を「優柔不断で主将には向いていない」と評する岩越にとって、主将という役職は楽なものではなかったはずだ。しかし、監督やコーチ、OBOGらに支えられ、先輩から刺激を受け、後輩と助け合い、笹尾と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、主将として、選手として成長した岩越。卓球部での4年間を振り返り、「全ての人に感謝したい」と話す。特に唯一の同期である笹尾へ、「本当に笹尾選手が同期で良かった。2人で良かった」。卒業後は実業団で競技を続ける。舞台は移っても、変わらず感謝を込めた卓球で、さらなる活躍を見せてくれるに違いない。目指すは日本リーグ優勝、そして早大では達成できなかったシングルスでの全国優勝だ。

(記事 是津直子、写真 鬼頭遥南)