関東最強の座を争う関東学生選手権が12日、駒沢屋内球技場で開幕した。 例年、シングルス・ダブルスの2種目が行われていたが、今大会は新型コロナウイルスの影響でシングルスのみの開催となった。女子は大会2日目となる13日からスタートし、早大からは8人の選手がエントリー。岩越帆香主将(スポ3=福岡・希望が丘)、笹尾明日香(社3=神奈川=横浜隼人)の実力者2人が順当にランク入り(ベスト16)を果たし、今月18日に行われるベスト8決定戦に駒を進めた。一方、本大会で昨年準優勝の加藤結有子(スポ4=東京・エリートアカデミー/帝京)や、先日行われた全日本学生選抜強化大会の覇者・黒野葵衣(スポ2=東京・武蔵野)らは惜しくもランク入りには手が届かず。各個人で明暗が分かれたかたちとなった。
早大勢は2回戦からの登場となった。真鍋雅(スポ2=岡山・山陽女子)はストレート負けを喫したものの、曽根原睦(スポ2=東京・文大杉並)、中島彩希(スポ2=福井・敦賀)の2人がフルゲームの接戦を制し、初戦を突破した。曽根原は2ゲームを先取してから追いつかれる苦しい展開となったものの、最終ゲームを奪い返して粘り勝ち。続く3回戦で敗れたものの、勝負どころでの強さを見せた。また、カットマンの中島は3回戦も勝利し、4回戦ではスーパーシードの千葉(東京富士大)と対戦。試合間隔が短いなか、実力者を相手に奮闘したものの1-3で敗北。2年連続でシード選手の高い壁が立ちふさがった恰好となった。
2つの勝利を挙げた中島
4回戦からはスーパーシードの加藤、岩越、笹尾、黒野も登場。早大が誇る実力者4人だが、明暗がはっきりと分かれる結果となった。先日の全日本学生選抜強化大会では前評判の高かった選手を次々と倒し、見事チャンピオンに輝いた黒野。しかし、今大会は初戦で同じくカットマンの筑波大・中田にストレート負けを喫した。回転をかけた“つなぐ”ボールが持ち味の黒野だが、「どうしても最後決めるボールが自分にはない」(黒野)と言うように、攻撃に転じた際の『あと一押し』が勝負の分かれ目となった。また、昨年の関東学生選手権で2位に食い込み、第一シードでの参加となった加藤は、フルゲームの接戦を落とし5回戦敗退。「競った時にちょっと勝ちを意識して、打ち急いでしまったりとか、勝負どころで思い切ったプレーができなかった」(加藤)。優勝を目指して臨んだ『最後の学生大会』であったが、ほろ苦いかたちでエンジのユニホームを脱ぐこととなった。一方、岩越と笹尾は4回戦、5回戦を共に勝ち上がりランク入りを達成。関東制覇に向けて上々の発進となった。
加藤はエンジのユニフォームを着て戦う最後の大会となった
また、今大会は期待のルーキー・里川奈優(スポ1=高知・明徳義塾)の大学デビュー戦でもあった。「1年生らしく、向かっていく気持ちを持って」(里川)との言葉通り、里川は果敢に攻める積極的なプレーを展開。初戦となった3回戦ではストレート勝ちを収め、上々のデビューを果たしたが、4回戦ではそれが一転。異質ラバーの相手に対し思うようなプレーができず、2ゲームを先取される苦しい展開となった。その後1ゲームを返したものの、反撃はそこまで。1-3で敗れ、トーナメントから姿を消すことになった。インタビューでは「サーブレシーブがうまくいかなかったので、次回はその点を重点的に練習していきたい」(里川)と、浮き彫りになった課題に言及するとともに、「(結果で)恩返しができるように頑張っていきたい」とさらなる飛躍を誓った。
ルーキーの里川は新人らしくはつらつとしたプレーを見せた
勝ち上がった岩越と笹尾にとっては、今月18日に所沢で行われる6回戦以降の試合が年内最後の試合となる。来年も主軸になることが期待される3年生2人。2021年へ向け、弾みがつくようなゲームを期待したいところだ。優勝に輝くのは、昨年惜しくも3位に終わった笹尾か、はたまた自身初のランク入りを達成した主将・岩越か、それとも……。なんにせよ、一時たりとも目が離せないような試合が続くことだろう。2人の躍進に注目だ。
(記事 山田流之介、写真 山田流之介、荻原亮)
▽女子シングルス
2回戦
○曽根原3ー2松橋(大正大)
○中島3ー2山口(東洋大)
●真鍋0-3髙橋(国学院大)
3回戦
○中島3-1永田(立大)
○里川3-0森本(専大)
●曽根原1ー3小島(国学院大)
4回戦
○加藤3-1矢口(大正大)
○岩越3-1小林(国学院大)
○笹尾3-2高山(日大)
●黒野0-3中田(筑波大)
●中島1ー3千葉(東京富士大)
●里川1-3小野寺(大正大)
5回戦(ランク入り決定戦)
○岩越3-2李(東京富士大)
○笹尾3-0平田(専大)
●加藤2ー3工藤(中大)
コメント
加藤結有子(スポ4=東京・エリートアカデミー/帝京)
―― 試合を終えた今の気持ちを教えてください
前回はこの大会で2位だったので、今回は優勝を目指して頑張っていたのですが、ランクにも入ることができなくて正直悔しいです。
――今日の2試合を振り返ってみていかがですか
自分からミスをすることはあまりなく、しっかりとつなぐボールはつなげて、いけるボールは打つという感じで、自分からのミスが少なかったというのが今日のいいところだったと思います。ただ、競った時にちょっと勝ちを意識して、打ち急いでしまったりとか、勝負どころで思い切ったプレーができなかったりしたので、そこが課題点かなと思います。
――今日の試合がエンジのユニフォームを着て戦う最後の試合となりましたが
今回は負けてしまったのですが、社会人になっても卓球を続けるので、そこではチャンピオンを目指して頑張っていきたいと思います。
――早大で過ごされた四年間を振り返ってみていかがですか
充実した四年間だったなと思っています。リーグ戦も1年生の時から出させていただいて、思い切ってプレーをすることができましたし、4年生になってからはキャプテンも務めさせていただいて、今度はチームのことを一番に考えて行動するようになりました。人間性という面でも成長できたなと思いますし、卓球の実力の面でも、高校の時よりもさらにレベルアップできたのではないかなと思います。
――主将として過ごした1年を振り返ってみていかがですか
自分が一番しっかりとしていないといけないので、自分がチームのことを一番に考えるようになりました。チームのために何ができるかだったり、みんなが卓球に打ち込める環境づくりだったり、チームの雰囲気をしっかり意識して取り組むようにしていました。
――後輩たちにかけてあげたい言葉などはありますか
自分たちの代ではリーグ戦(関東学生リーグ戦)やインカレ(全日本大学総合選手権)がなかったので、後輩にはぜひリーグ戦やインカレを優勝してもらって、グランドスラムを達成してもらえたらうれしいなと思います。
黒野葵衣(スポ2=東京・武蔵野)
――今日の試合を終えて今の気持ちを教えてください
組み合わせを見ていたときに、初戦の相手の戦型が自分の苦手な戦型でした。練習をしてきたのですが、全くできなかったな、という感じです。
――全日本学生選抜強化大会で優勝しましたが、今回の大会にはどのような意気込みで臨まれましたか
選抜自体自分の中で、優勝したから(何か変化があった)という感じはあまりなくて、一つずつ頑張りたいという思いでやっていたので、勝ったからというのはなかったです。
――今日の試合を振り返っていかがですか
そうですね、同じ戦型の対カットで、どうしても最後決めるボールが自分にはないなと感じたので、そこを一本多く入るように練習したいなと思います。
――今日の敗因をあげるとすれば
自分がサーブを持ったときに、攻撃しないといけないというルールでやっているので、そこで点数を取れなかったことかなと思います。
――今後はどのような練習に重点を置きたいですか
今後は攻撃の練習をメインにやりたいなと思います。攻撃の中でも強弱をつけたり、決めたいときに決められるボールを身につけていきたいと思います。
里川奈優(スポ1=高知・明徳義塾)
――今日の試合を振り返っていかがですか
入学して初めての試合だったので、私はサーブに特徴があるのですが、相手のラバーが異質ということでサーブがあまり効かなくて、自分の展開にうまく持ち込めなかったところが良くなかったと思います。
――久々の公式戦だったと思いますが、どのような意気込みで臨まれましたか
緊張は特になかったのですが、1年生らしく、向かっていく気持ちを持ってプレーしようと思っていました。
――今日の試合を通して良かった点と反省点をそれぞれ教えてください
自分から攻めていけているときは良かったのですが、悪かったところは自分のサーブが効かなかったときにうまくいかなかった点かなと思います。サーブレシーブがうまくいかなかったので、次回はその点を重点的に練習していきたいと思います。
――今後の抱負を教えてください
大学生になって、同じ大学の中から役員が出て試合の運営をやってくださったり、OBやOGの方々も来てくださったりしていたので、そのような方々に恩返しができるように、結果を出していけるように頑張っていきたいです。