実業団に完敗するも、1年間の確かな成長を示す。

卓球女子

 全日本選手権(団体の部)が13日に、来年度国体開催地の福井県で開幕した。ジュニアナショナルチームから県選抜まで多岐にわたるチームが、1チーム3名の5シングルス制で争う今大会。トップチームだけが出場を許されたこの大会で、早大はグループ2位で予選リーグを突破。全日本大学総合選手権(インカレ)の覇者として今大会に臨んでいた早大だったが、昨年と同様に実業団チームに苦しめられ決勝トーナメント準々決勝敗退となってしまった。

大接戦となったの日本生命との試合で、3番手として勝利を挙げた田中

 予選リーグ初戦の相手は日本生命。世界ランク29位の浜本由惟や56位の前田美優などの難敵を揃え、日本リーグ松江大会2位の実績を持つチームだ。その実力を見せつけられ、試合は序盤からストレートで1番手を落とす嫌な展開となる。しかし、2番手の阿部愛莉(スポ3=大阪・四天王寺)が浜本由惟を攻略し、大差で圧倒すると、徐々に流れは早大へ傾く。そして、接戦の3番手を田中千秋女子主将(スポ4=愛知みずほ大瑞穂)が勝ち切ると、その後を託された4番手の阿部がゲームカウント2ー1と前田を追い込んだ。日本生命撃破に王手をかけ、勢いづいた。だが、日本生命も引き下がらず、さらに力を増して応戦。前田の鉄壁の守りを前に得点できずにいると、両ハンドでスキを突かれた。そして、5点以上の差で2ゲームを連取されると、完全に主導権を握られる。最後に出てきた徳永美子(スポ3=福岡・希望が丘)も、浜本の重い一発に苦しみ、惜しくも、日本生命との一戦を落としてしまった。その後の福井県選抜との試合は、3ー1と辛勝。地元の応援を背に躍動する福井県選抜に何度も苦しみながらも、なんとか決勝トーナメント進出を決めた。

 実業団の強豪・中国電力を追い込んだが、あと一歩のところで力尽きた。決勝トーナメント準々決勝は、1番手の徳永と阿部が続けて勝利し、早々に試合の主導権を握る展開。特に、昨日ストレート負けの屈辱を味わった徳永は、この日の試合で高い修正能力を見せつけた。一つ一つのプレーに粘りがなかったと振り返った昨日とは違い、集中力が増して戦術が冴え渡る。要所ではバックサーブに切り替え、3球目攻撃で確実に得点。それに、得意とするサーブが圧巻だった。「立ち位置を変えたり、同じサーブでも相手が迷うように工夫してサーブを出していました」(徳永)と多彩なサーブに加え、相手を惑わす高い技術まで披露。冷静に頭を使いながらも、レベルの高い大熱戦をものにした。しかし、3番手以降は実業団の意地を見せつけられることとなる。3番手の田中、4番手の阿部共に1ゲームも奪えずに完敗。あっという間に、試合をイーブンに戻される。そして、5番手の徳永も2ゲームを先取するも、じわじわと詰め寄られ、フルゲームに突入。緊張のファイナルゲームは激しい打ち合いとなり、徳永も両ハンドで応戦した。しかし、最後は経験の差で勝る相手ベテラン選手に軍配が上がり、早大は昨年と同様にベスト8でコートを去ることとなった。

あと一歩のところまで迫ったが、惜しくも敗北を喫した

 昨年度と同様のベスト8に終わった今大会。成績では同じでも、実業団チームに全く歯が立たなかった昨年から、今年は成長の跡が垣間見えた。日本リーグで上位に君臨する実業団の2チームをあと一歩のところまで追い込むことができたのだ。特に、決勝トーナメント準々決勝の中国電力との一戦は、早大が勝っていてもおかしくない内容。「この1年で確実に、個々の技術であったり、チームのレベルは上がってる」(徳永)とこれまでの取り組みの証明にもなった。多大な重圧の中で連覇を果たしたインカレの覇者は伊達ではなかった。しかし、これで今季の団体戦は終了し、これからは個人戦へと移行する。「このチームの成長を自信に、ワセダとして上位入りを目指していきたいです」と来季の主将を務める徳永は力強く意気込んでくれた。

(記事、写真 本田京太郎)

結果

▽予選リーグ第1戦(Bグループ)

対日本生命 ●2―3

●徳永0―3前田美優

○阿部3―0浜本由惟

○田中3―1石垣優香

●阿部2―3前田美優

●徳永0―3浜本由惟

▽予選リーグ第2戦(Bグループ)

対福井県選抜 ◯3ー1

○徳永3―0青木千佳

○阿部3―1上野大弥

●鎌田2―3山本笙子

○阿部3―2青木千佳

▽決勝トーナメント準々決勝

対中国電力 ●2ー3

○徳永美子3―2土`田美佳

○阿部愛莉3―1土井みなみ

●田中千秋0―3宋恵佳

●阿部0―3土`田

●徳永2―3土井

コメント

徳永美子(スポ3=福岡・希望が丘)

――今大会を振り返ってみて

日本生命との試合で、2回出場させていただいたのですが、両方ともストレート負けをしてしまいました。格上の選手だったのですが、ポロポロとミスをしてしまって、粘ることもできていませんでした。昨日の試合後、ゆっくり考え直して、今日は頭を使いながら元気良くプレーできました。良くも悪くも、課題がたくさん見えました。

――検証トーナーメント準々決勝・中国電力との試合の1番手を振り返ってみて

初めて対戦した選手でした。サーブがうまいと聞いた通り、重要な場面で、相手はサーブを軸に畳み掛けてきました。結果的には勝てたのですが、相手のミスも多かったですし、あの試合は負けていてもおかしくない試合でしたね。

――今日の試合では徳永選手のサーブが相手に効いていた印象です

大学生には通用しても、社会人選手には打たれたりしてしまうので、立ち位置を変えたり、同じサーブでも相手が迷うように工夫してサーブを出していました。

――チームとして、このベスト8をどのように評価していますか

昨年もベスト8でした。でも、昨年は実業団の選手から1ゲームも取れずに負けていたので、その点、今年は最後までせったりしていて、成長を感じました。この1年で確実に、個々の技術であったり、チームのレベルは上がってると思えたので良かったです。これからは個人戦が増えてくるのですが、このチームの成長を自信に、ワセダとして上位入りを目指していきたいです。