歴史を変えた!女子部が創部史上初の快挙達成!

卓球女子

 ついに悲願の瞬間が訪れた。全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)の最終日。早大は準決勝で専大と対峙(たいじ)し、春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)のリベンジマッチが実現した。鎌田那美(スポ1=北海道・駒大苫小牧)がチームに流れを呼び込み、専大に快勝する。そして、続く決勝でも早大は日体大を圧倒。エースの阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)が安定した強さで流れを作り、鎌田と徳永美子(スポ2=福岡・希望が丘)らがそれに続く。前日に躍動した下級生たちがこの日も大暴れし、創部史上初のインカレ制覇を成し遂げた。創部してから実に67年目のことだった。また今大会を通して単複でチームをけん引した阿部は優勝に最も貢献した選手に与えられる殊勲賞を受賞した。

 「(準決勝の)専大戦は実質上の決勝戦」(桜井茂雄女子部監督(昭45社卒=北海道・北見北斗)。専大は昨年の同大会を制覇し、5月の春季リーグ戦でも優勝している強豪校。インカレ優勝に立ちはだかる最大のカベはこの専大戦だった。この試合、カギとなったのは鎌田と庄司有貴の2番手対決。1番手がストレート負けし、早大に立ち込めていた不穏なムードを鎌田が一拭した。劣勢の中でも懸命に相手カットマンを揺さぶり、浮いたチャンスボールにはミスを臆さない大胆なフォアハンド。上級生をも鼓舞する思い切った戦いぶりで逆転し、一挙に試合の流れを手繰り寄せた。そして続く阿部・徳永組のダブルスもその勢いに乗る。春季リーグ戦でストレート負けの屈辱を味わった安藤みなみ・鈴木李茄組に対し「自分たちは相手に向かっていくだけ。戦術というよりも相手より先に攻める」(阿部)とやることは明確だった。前日から手応えをつかんでいたというサーブからの展開を軸に阿部、徳永共に強打の嵐で難敵から勝ち星を奪取。これで団体戦スコアを2―1とし、リードした状況で4番手の阿部に後を託す展開に。「すごく気持ち的に楽でした。もし負けても良いかたちで5番手に回そうと思っていた」(阿部)と阿部は勝ち急ぐことなく、自身のモットーとする『攻めの卓球』で堅実に目の前の勝利を追求。専大の鈴木を圧倒し、ついにリーグ戦でのリベンジを果たす。そして、今大会の最難関を突破した。

巧みなカット打ちで強敵を下した鎌田

 決勝では大学日本一の称号を懸けて日体大と対戦。ここでも2番手として登場した鎌田の活躍が光った。今度は日体大のエース谷岡あゆかを撃破。バッククロスや3球目攻撃など速攻を仕掛ける攻撃的なカットマンに鎌田はスピンのきいたドライブで応戦。そして、好機には得意のフォアハンドで払いのけ、1番手の阿部に続いた。3番手のダブルスを落とし、団体戦スコアは2―1。ここで登場したのは徳永だった。試合開始早々から相手ペースで進められ、大差で第1ゲームを落とす。しかし、第2ゲーム以降で「相手がレシーブをすごく嫌がっている」と気付いた。多彩なサーブを起点とした攻撃にシフトチェンジし、3球目攻撃も仕掛ける。この戦術が功を奏し、主導権は一気に徳永へ。そして、迎えた第4ゲーム、ゲームスコア10―7と徳永がマッチポイントを握った場面。徳永がレシーブした球を相手はミスショットし、ついに長年待ちわびたその瞬間は訪れた。創部以来の快挙に早大の応援席からは選手たちへ労いの拍手と「ありがとう」という声が飛び交い、温かい祝福の雰囲気に包まれる。それに選手たちも笑顔で応え、応援に駆け付けた方々へ深くお辞儀をした。

徳永は優勝の懸かった試合で気持ちを前面に出してプレーした

 創部史上初のインカレ優勝を成し遂げた早大女子卓球部。ここまでの道のりは長く、険しいものだった。一部に昇格し、安定した成績を残せるようになったのはここ最近のこと。インカレでは過去に2度決勝に進出するもあと一歩のところで涙をのみ続けてきた。しかし、この日、ついに卓球娘たちはその地道な努力を結実させた。ようやく咲いた花に佐藤風薫(スポ4=岡山・就実)女子主将は涙を流し喜んだ。また「(この優勝は)早大女子の歴史を変える。きょうはその歴史が変わる出発点になる」と桜井女子部監督は選手たちの健闘ぶりを讃えた。だが、この結果だけでは満足し切らない選手たち。試合後には創部史上初のインカレ優勝に頬を緩ませながらも、それぞれ秋季リーグ戦への課題を口にしていた。まるでインカレ制覇だけではまだまだ8分咲きと捉えているかのように。これから新たな歴史を刻んで行く、その覚悟が感じ取れた。来年以降、グランドスラムという満開の花を咲かせるため、これからも早大女子卓球部の礎を築いていく。

(記事 本田京太郎、写真 大島悠輔、稲満美也)

創部史上初の快挙を達成した女子卓球部

結果

準決勝 ○早大3―1専大

●徳永0―3安藤

○鎌田3―1庄司

○阿部・徳永組3―1安藤・鈴木組

○阿部3―0鈴木

決勝 ○早大3―1日体大

○阿部3―1温

○鎌田3―2谷岡

●阿部・徳永組0―3高橋・谷岡組

○徳永3―1前瀧

関連記事

男女ともに連勝し決勝トーナメント進出/全日本大学総合選手権 団体の部(16.07.07)

悲願の優勝に向け、大きく前進/全日本大学総合選手権 団体の部(16.07.08)

コメント

桜井茂雄女子部監督(昭45社卒=北海道・北見北斗)

――初優勝ということでいまのお気持ちをお聞かせください

私が監督になってから今まで2度決勝までは行っています。初優勝ということで3度目の正直で優勝することができ、目標が達成できてよかったなと思います。もう一つは早大の女子が1部リーグに上がって優勝を何回かしていますけど、女子は1部に定着をしてからしっかり結果を出してきました。ここでインカレ優勝したことで、これからの早大の女子がまた違った意味でしっかりした部になる転機だと思います。格好いい言葉で言えば「早大女子の歴史を変える」と言いますかね。きょうはその歴史が変わる出発点になるかなと思います。そういう意味でもよかったという気持ちが強いです。

――きょうの2試合はオーダーもうまくかみ合った印象でした

専大は春リーグで負けていて、主力の3人が1、2、4番で出てくるのはわかっていました。その上で一番調子のいい選手を、ということで鎌田を前半に使おうと。たまたまカットマンの庄司選手と当たって良い試合ができたので、よかったと思います。1、2、4番は相手の主力が出てくるので、誰と当たっても頑張るというオーダーです。そういう意味ではこちらが誰を狙ってとかそういう余裕はないので、みんなが一戦一戦頑張ってくれました。2番の鎌田と4番の阿部が勝ってくれたのが非常に大きかったです。専大戦は実質上の決勝戦ですよね。それにしても2番の1年生があそこで頑張れた、流れを引き寄せたというのは大きな勝利でしたね。

――選手の方には試合後どのような声をかけましたか

整列してから、たくさんの人が応援に来てくれているので、観客席に上がって挨拶しないといけないのですぐに行きました。そのあといつも試合後は円陣を組んで一言話すのですが、全員と「やっと優勝できたね」と握手をしました。「ここからまた早大の女子が変わっていくんだよ。変わっていかないと」と話しました。

――今後の目標を教えてください

今までの目標と変わらないのですが、団体戦のグランドスラムは春秋のリーグ戦とインカレです。春は惜しくも優勝を逃して、ことしはグランドスラムは取れませんが、インカレを優勝して9月には秋リーグがあります。秋リーグではインカレの優勝校らしい試合をして、秋も優勝したいです。ことしは達成できませんでしたが、来年は今までの目標であるグランドスラムをきっちり取るということを選手自身も実感を持ってやっています。今回の優勝は選手たちの自信になるという意味でありがたい優勝だったと思います。

佐藤風薫女子主将(スポ4=岡山・就実)

――優勝おめでとうございます!いまのお気持ちはいかがですか

創部初だったので、優勝できて本当にうれしいです。

――試合後には涙されていましたね

いままで優勝してなかった分、優勝したいっていう気持ちも強かったです。春リーグも2位で優勝に届かなかったので、インカレでリベンジ果たそうってみんなで決めていたので、本当によかったです。

――準決勝は春リーグで破れた専大との対戦でした。リベンジの気持ちもありましたか

はい。専大戦はみんなで思い切っていこうという気持ちで戦っていました。

――優勝の要因はどのように考えていますか

1年生の鎌田が思い切ったプレーで相手のエースに勝ってくれて、阿部もしっかりしたプレーをしてくれて。後輩たちがみんな頑張ってくれたのがよかったと思います。

――これからに向けて、いかがですか

夏休みに入って練習時間も増えるので、しっかりそこで調整して、秋リーグで優勝したいです。

阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)

――卓球部史上初のインカレ優勝です。率直に今の気持ちを教えてください

正直優勝したという実感がなくて、うれしいことはうれしいのですが、今は信じられないという気持ちが強いです。

――準決勝のダブルスで対戦した専大の安藤・鈴木組ですが、春リーグでは負けている相手だと思います。そんな中でどんな対策を練って試合に臨んだのでしょうか

大学に入ってから、今回で対戦するのが4回目の相手でした。最初は競っていたのですが、春リーグでは慣れられてしまい、相手のペースで試合が進んでしまいました。そこで今回は相手よりも攻めることを意識しました。自分たちは相手に向かっていくだけだったので、戦術というよりも相手より先に攻めることを意識しました。

――準決勝のシングルスでは鈴木選手との対戦でしたが、振り返ってみていかがですか

自分は4番手で、ゲームカウント2-1で回ってきたので、すごく気持ち的に楽でした。相手も強いのは分かっているし、私は向かっていくだけだったので、もし負けても良いかたちで5番手に回そうと思っていました。思い切ってプレーしたのが良かったのかなと思います。

――決勝のシングルスでは温選手との対戦でしたが、第1ゲームの接戦を落としてから、その後のゲームは大差をつけて奪いましたが、ご自身何かつかんだものはあったのでしょうか

1セット目を取られたのは、結構痛いなと思いましたが、やっていることは間違ってないと思っていました。相手も嫌がっていたので、自分の攻める卓球ができれば、勝利は見えてくると信じていました。

――阿部さん自身のシングルスは、関東学生選手権とインカレを通じて全勝しています。何か成長した部分などを感じていますか

関東学生選手権では、今まであまり勝ったことのない相手と戦うことが多かったです。そこで、フォアで回り込むなどして、自分が先に攻めないと勝てないということが分かったので、このインカレではフォアで攻めるのを意識しました。相手も嫌がっていたと思うし、自分自身もフォアで攻める方がリズムが出てよかったと思うので、これが変わったところだと感じています。

――秋季リーグ戦に向けて、この夏をどう過ごしたいですか

インカレで優勝したからといってここで気を緩めずに、全体が秋リーグに向けて意識を高めていけるといいと思います。次は自分たちが向かってこられる側だと思いますが、そんな中でもワセダらしいプレーができたらいいなと思います。

徳永美子(スポ2=福岡・希望が丘)

――優勝おめでとうございます

うれしいんですけど、まだあんまり実感がないです。

――専大戦のダブルスは春季リーグ戦では破れている相手でしたが、嫌なイメージはありませんでしたか

1番手のシングルスでストレート負けして、春リーグでもそんな感じだったので、嫌なイメージはすごくあったんですが、後がないし切り替えてやろうと思いました。

――決勝では、ご自身の勝利で優勝を決めました。振り返っていかがですか

2―1で勝ってる感じはあんまりなくて、思い切って打ってくる相手だったので自分の卓球をやろうということだけ考えました。

――サーブでよく崩していた印象ですが

相手がレシーブをすごく嫌がっているのが分かったので、いろんなサーブをどんどん使っていこうと思いました。

――次の目標はありますか

今回試合をさせてもらって、できないことや反省点がたくさんあったので、少しずつ克服していって、秋リーグや全日学(全日本大学総合選手権個人の部)で良い試合ができるようにしたいです。

鎌田那美(スポ1=北海道・駒大苫小牧)

――早大女子卓球部史上初のインカレ優勝です。いまの率直な感想を教えてください

素直にうれしいです。

――大学日本一になられました。実感はありますか

自分自身、いままで全国大会という大きな舞台で優勝して日本一や上位にはいったことがないので、早稲田大学に入学して、こういった経験ができたことにあまり実感がないというか、すごいなって思います。

――きょうの1日を振り返ってみていかがですか

何か力が抜けました(笑)。緊張はしていたんですけど、OBの方や保護者の方がたくさん応援に来てくださったりして、楽しく試合ができたと思います。

――専大と日体大の試合ではともにカットマンとの試合でした。カットマンに対して良いイメージは持っていましたか

1戦目に勝てたことで2戦目も自信を持って臨めたと思います。

――専大戦、庄司選手との試合では2ゲーム目がカギとなったと思います。その時のことを振り返って、いかがですか

そうですね。2ゲーム目を取れなかったら結構厳しかったなと思うので、そこで腕を振れたのは良かったと思います。でも、あの試合は相手のラッキーポイントがあって、チャンスを無駄にしないように、ちゃんと決め切りたいなと思っていました。

――今大会では、出場された試合すべてに勝利されました。それについてはいかがですか

チームの1点としか考えていなかったので、あまり気にしていなかったというか、チームに貢献できて良かったです。

――インカレを終えて課題も見つかりましたか

前半での試合で技術や精神的な部分でいろいろもろい部分が出てしまって試合で競ってしまったので、レシーブを中心に練習していかないといけないと思いました。

――最後にこれからに向けて意気込みを教えてください

このインカレで学んだこと、経験したことを反省して秋季リーグ戦で優勝できるように自分のレベルも上げて頑張っていきたいと思います。