関東学生選手権の最終日は、シングルスの6回戦以上が行われた。この日出場したのは、既にランク入りを決めた5名。うち3名はベスト8を目前に敗れたものの、佐藤風薫女子主将(スポ4=岡山・就実)と阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)は難敵をはねのけ、ベスト4入りを果たす。迎えた準決勝のワセダ対決で佐藤を破った阿部が、勢いそのままに優勝をつかんだ。ワセダの女子卓球部が関東学生選手権女子シングルスの頂点に立つのは、実に25年ぶり2人目の快挙だった。
ベスト8を決める6回戦では、各校のエースに苦しめられた。1年生ながら勝ち残ってきた金子碧衣(スポ1=愛知みずほ大瑞穂)は、専大の安藤みなみと対戦。第2ゲームを6点差をつけて奪い、ゲームカウント1-1で並んだ。ところがその後、再び流れは相手に引き寄せられてしまう。そのまま突き放され、白星を献上することとなった。一方徳永美子(スポ2=福岡・希望が丘)は、中大の山本怜とシーソーゲームを展開する。ゲームカウント1-3と追い込まれた中、第5ゲームをゲームスコア11-3で奪取。このまま勝利へこぎ着けられるかと思われた。しかし「流れが相手にいっていた」(徳永)と振り返ったように、第6ゲームは相手のペースをなかなか崩せず、悔し涙をのむ結果となった。田中千秋(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)もカットマンの強敵相手に粘り強いプレーを見せたが、ベスト8入りはかなわなかった。
6回戦で中大・山本と熱戦を繰り広げた徳永
準決勝のワセダ対決は、いきなり阿部が2ゲーム連取するかたちでスタート。しかし主将の佐藤もこのまま負けるわけにはいかない。大きく左右に揺さぶり、球に変化をつけて続くゲームを取り返した。第4ゲームは佐藤が短く低い返球で阿部のネットミスを誘い、ジュースにもつれ込む。ところが最後は佐藤が放った球が台を超えて落下。「最後はちゃんと自分のプレーができた」と語った阿部が第5ゲームも奪い、同士討ちは阿部に軍配が上がった。決勝は相手に先手を取られ、第1ゲームを取られたものの、ここから快進撃が始まる。バックハンドで相手を崩し、鋭いコース取りで次々と得点を重ねていった。最後まで攻めの姿勢を貫いた阿部が、ワセダの女子卓球部の歴史に残るタイトルを獲得した。
盤石の試合運びで優勝を決めた阿部
「みんな調子が上がってきている」(佐藤)。間近に控えている全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)に向け、5名がランク入りした今大会の結果は、大きな自信になったことであろう。昨年ベスト16に終わった雪辱を果たすことができるか。戦い続ける選手たちから目が離せない。
(記事 橋本望、写真 稲満美也)
表彰式を終え、笑顔の女子卓球部。左から阿部、佐藤女子主将、徳永
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結果
▽女子シングルス
6回戦
●金子1―4安藤みなみ(専大)
○阿部4―1相原なつみ(日体大)
●徳永2―4山本怜(中大)
●田中1―4池上玲子(東京富士大)
○佐藤女子主将 不戦勝 滑川明佳(東京富士大)
準々決勝
○阿部4―3安藤みなみ(専大)
○佐藤女子主将4―1瀬山咲希(中大)
準決勝
○阿部4―1佐藤女子主将
決勝
○阿部4―1林めぐみ(東京富士大)
コメント
佐藤風薫女子主将(スポ4=岡山・就実)
――ベスト4という結果についていかがですか
関東学生選手権は2年生の時のベスト16が今までで最高の結果だったので、最後の年だしベスト4に入れてよかったです。
――準々決勝を振り返っていかがですか
準々決勝は初めて対戦する相手で、1セット目は緊張した場面があったんですけど、2セット目からは自分のプレーを出し切れて、攻撃もしっかりできたので、振り返ってみるとよかったと思います。
――準決勝は同士討ちとなりましたが
思い切っていこうと思っていて、悔いの残らない試合ができたらいいなと思ってやっていました。
――実際に対戦してみていかがでしたか
同じ大学なのでお互いが分かり合ってる部分があって、ラリーも続くし、自分の嫌なところを相手が知っている分やりにくかったです。
――女子部は5名がランク入りしましたが、主将としてこの結果をどう捉えていますか
本当によかったと思います。ダブルスで良い結果が残せなかった分、シングルスでみんな頑張ってくれたので、それは全日学にもつながるのでよかったと思います。
――インカレが間近に迫っていますが、インカレに向けて意気込みをお願いします
みんな調子が上がってきているので、インカレではその調子をぶつけられるように優勝目指して頑張ります。
阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)
――優勝おめでとうございます!今のお気持ちはいかがですか
ありがとうございます。優勝できると思っていなかったので、うれしいです。
――今大会ではどのような目標を掲げていたのですか
安藤さん(専大)のところまではいこうと思っていました。でも安藤さんとの対戦では自分は分が悪いので、良い戦いができたらいいなと思っていました。でも勝つことができたので、そこが一番良かったと思います。
――勝敗を分けたのは何だったと思いますか
最初の2ゲームを相手に先手を取られて連取されてしまって、そこから自分から積極的に相手を崩すように意識しました。開き直って戦えたので、そこが勝因かなと思います。
――準決勝はワセダ対決になりましたが、どのような思いで試合に臨まれましたか
ワセダに入ってから佐藤さん(スポ4=岡山・就実)とはやったことがなかったので、どうなるか分かりませんでした。やっぱりやり慣れているだけあって相手の戦術とかも分かっていたので、技術的にはやりやすかったです。精神的には、同士討ちで最初はやりにくい部分もあったんですけど、最後はちゃんと自分のプレーができたと思います。
――決勝の相手と対戦経験はありましたか
高校の時はあったんですけど、大学に入ってからは初めてでした。結構強いイメージがあって、サーブ3球目とか、先に攻めてくる印象でした。レシーブでちゃんと自分のボールにできて最後返せていたので、先に相手に攻められることも少なく、自分のプレーができたと思います。
――第4ゲームでタイムを取っていましたが、その時はどのようなお話をされたのですか
リードしていたけど追いつかれてきていて、ベンチの方に「もっと自分から攻めることを意識して」と言われました。そこから自分のサーブだったので3球目から攻められるようにして、そのゲームを取れたのは大きかったと思います。
――インカレに向けて意気込みをお願いします
きょねんはベスト16で最後勝ち切れずに終わってしまったので、ことしは優勝を目指して私もチームに貢献できるように頑張ります。
徳永美子(スポ2=福岡・希望が丘)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
山本さん(中大)には勝ったことがなかったんですけど、今回は本当に勝ちたいという思いを持って試合に臨みました。
――山本選手とは対戦経験があるということですが、何か対策はありましたか
ラリーの緩急がすごいのは分かっていたし、バックが強いのも分かっていたのでフォアにボールを集めるようにしていました。でもそれで逆にフォア側から攻められてしまうパターンが多くて、途中で(戦術を)変えなければいけないと思いながらやっていました。
――どのゲームもシーソーゲームになっていましたが、その点に関しては振り返っていかがですか
ゲームの前半でリードできても後半になって的確に打たれて、大事なところでも厳しく打たれてしまったので、そういうところでやっぱり強いなと思いました。
――第6ゲームのタイムではどのようなことを話されたのですか
そのゲームは流れが相手にいっていたので、とりあえずサーブレシーブを工夫して、流れを自分の方に持ってこられるようにという話をしていました。
――インカレに向けて意気込みをお願いします
きょねんベスト16で負けてしまって悔しかったので、どの大学も強いと思うんですけど優勝目指して頑張りたいです。