春季関東学生リーグ戦(リーグ戦)も最終日。早大は1敗で並ぶ、東京富士大学と対戦した。この試合はリーグ最終戦、そしてリーグ戦2位の座を争う戦いとなったため大激戦となる。金子碧衣(スポ1=愛知みずほ大瑞穂)・鎌田那美(スポ1=北海道・駒大苫小牧)組の1年生ダブルスと阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)・徳永美子(スポ2=福岡・希望ヶ丘)の主力ダブルスを落とし、一時は暗雲が立ち込めた。しかし、これまで培ってきた早大のチーム力で勝利を収め、リーグ戦2位を勝ち取った。
リーグ最終戦、1番手を任せられたのは鎌田。ルーキーながらここまで主力級の活躍をしており、思い切ったプレーでチームに流れを引き込んできた。きょうの試合も東京富士大のエース・後藤奈津美との対戦であったが、臆することなく向かっていく。回転量の多い球をストップとドライブでうまく返し、前後に相手を揺さぶる。そして、甘いボールには得意の攻めで得点。しつこく粘るカットマンに一時は追いつかれる場面があったものの、鎌田も辛抱強く対応し相手エースから勝ち点を奪取した。続く徳永は激しいラリー戦をものにし勝利、そして3番手の1年生ダブルスは1ゲームをもぎ取る健闘はしたものの惜敗。これでゲームカウントは2-1。迎えた4番手は早大のエースと呼ばれるまでに成長を遂げてきた阿部愛莉。「立場的にもここ(勝利へのプレッシャー)を乗り越えてチームのために勝たないといけない」とこのリーグ戦を通してエースとしての自覚も生まれた。その阿部は「あまり分がよくない相手」と話す前瀧初音と対戦。その言葉通り、前瀧の得意とする速攻攻撃に反応することができず、第2セットではわずか2得点。そのまま続く第3ゲームも落とした。しかし、「1年生の鎌田と同期の徳永さんが勝ってくれて自分的にも楽に試合をすることができた」と試合の中で冷静に対処法を模索し、阿部の持ち味である多彩な攻撃で前瀧をかわすことに成功。フルセットのゲームで勝利を収め、団体戦スコアを3―1とした。
苦手な相手をフルゲームの末にで下した阿部
「サーブレシーブで相手に崩されて早い段階で相手に攻められました」(阿部)。阿部が課題に挙げた5番手のダブルス。シングルスでも苦しんだ前瀧の速攻にまたもやられた。回転量の多い相手のサーブを浮かせて返球してしまうと、すかさず前瀧がスマッシュを叩き込む。立て直す間もなくストレート負けを喫した。チームはなかなか試合を決められず、勝負は6番手へ。ここで、勝敗を左右する後半戦を得意とする田中千秋(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)が登場。チームの活気づいた応援に鼓舞され、盛り上がった場の勢いに田中自身も乗った。1番手の鎌田同様にカットマンとの対戦となったが相手の回転を読み、落ち着いて的確なコースに返球。粘りに粘ってくるカットマンを根気強く左右に振り続け、崩れた相手を強打で払いのける。また得点をするたびにベンチに向かって笑顔でガッツポーズをする田中らしさも発揮し、危なげなく勝利。団体戦スコア4―2で東京富士大を下し、春季リーグ戦を白星で締めくくることとなった。
チームの勝利を決めた6番手・田中
リーグ戦での戦績は6勝1敗、総合順位は2位。1位の専大と勝ち数では並んだが、直接対決で敗れてしまったため2位となった。優勝を目指してリーグ戦に臨んだ早大にとって悔しさが残る。しかし、早大はチームとして大きな収穫を得たように思えた。リーグ戦開幕前に掲げた『チーム力での勝利』を達成することができたのだ。まさにチーム一丸となって戦う『全員卓球』であった。エース阿部が負けても、上級生である田中、そして佐藤風薫女子主将(スポ4=岡山・就実)が奮起。そして、阿部と同級生である徳永の活躍も光った。自分が敗れるとチームの負けが決まる緊迫した場面で幾度も勝ち星を挙げて望みをつなぐ。チームとして、このリーグ戦で大きな自信も得たはずだ。次なる団体戦は全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)。早大女子卓球部に大きな期待を寄せても大丈夫だろう。一回りも二回りも大きくなった姿をきっとインカレで見せてくれるはずだ。
(記事 本田京太郎、写真 稲満美也)
リーグ戦を終え、笑顔の女子卓球部
結果
対東京富士大 ○4―2
○鎌田那美3―2後藤奈津美
○徳永美子3―1林めぐみ
●金子碧衣・鎌田那美組1―3後藤奈津美・池上玲子組
○阿部愛莉3―2前瀧初音
●阿部愛莉・徳永美子組0―3林めぐみ・前瀧初音組
○田中千秋3―1池上玲子
最終成績
優勝 専大6勝1敗
2位 早大6勝1敗
※勝ち数が同じ場合、当該校間の直接対決の結果によって順位が決定する
コメント
田中千秋(スポ3=愛知みずほ大瑞穂)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
1番で鎌田が向こうのエースに競り勝ってくれたことでチーム全体が盛り上がりました。そのおかげで勢いにも乗れて、私自身も気負うことなく伸び伸びとプレーできました。
――対戦相手はカットマンでしたが、何か戦略というのは考えていましたか
相手は結構カットで変化をつけてきたり、一歩下がって体から遠いボールがうまい選手なので、ひたすら前に寄せてからミドルに打とうと試合前から考えていましたし、練習でもカット打ちの対策はしていました。
――では、それがきょうは上手くいったということでしょうか
はい、そうですね。うまくいったと思います。
――リーグ戦を通して田中選手は重要な場面での出場が多かったと思います。それについてはいかがですか
私自身、前半よりは後半の方が得意だと自分では思っていて、盛り上がって勢いに乗ってプレーできると思います。なので、むしろ後半に出れて良かったと思っています。
――上級生から見て、春季リーグでの下級生の頑張りというのはどのように見えましたか
やっぱり、1年生たちが思い切ってガッツポーズをやってくれたり、伸び伸びとプレーをやってくれているので私たちもそれに乗っていけたと思っていて、そういう意味では1年生たちには感謝しています。
――リーグ戦を2位という結果で終えました。その結果に関してはどう思われていますか
目標は優勝だったので、それに届かなくて悔しいという思いはあります。でも、専大以外はきっちりと勝ち切ることができたというのは私たちのチーム力としての成果が現れた部分で、これからインカレや秋季リーグなど続いてくるのでそれに向けてまた頑張っていきたいと思います。
――最後に関東学生選手権への意気込みを教えてください
昨年は悔しい思いをしているので、ことしは最低でもベスト8以内には入って、表彰台を目指してやっていきたいです。それにダブルスも今回の春季リーグで起用されなかった分、鳥屋真帆(社3=高知・明徳義塾)とまた二人で力を合わせてダブルスでも上位を目指して頑張っていきたいです。
阿部愛莉(スポ2=大阪・四天王寺)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
シングルスはあまり分が良くない相手だと思っていました。ですが前半で、1年生の鎌田(那美、スポ1=北海道・駒大苫小牧)と同期の徳永さん(美子、スポ2=福岡・希望ヶ丘)が勝ってくれて自分的にも楽に試合をすることができて、勝つことができました。でも、ダブルスをストレートで負けてしまったので、そこが反省点かなと思います。
――ダブルスでの敗因に関してはどう分析されていますか
サーブレシーブで相手に崩されて、早い段階で相手に攻められました。なので打ち返すことが難しかったですね。それだと思います。
――春季リーグ戦を2位という結果で終えることとなりました。この結果に関して阿部選手ご自身はどう思われていますか。
悔しいです。
――やはり専大戦での敗戦が大きいですか
そうですね。私が勝っていればチームは勝っていたのかなと思うので、そこはチームに申し訳ないなと思っています。
――今季から阿部選手は各校のエースと対戦する機会が増えてきたと思います。それについて何か感じることはありますか
1年生の時より、プレッシャーを感じることが多くなりました。それでも戦って、勝たないといけないので気持ち的に苦しい時がありました。立場的にもここを乗り越えてチームのために勝たないといけないだ改めて実感しました。
――今季、ほとんどの試合が3時間を超える大熱戦だったと思います。疲労はありませんでしたか
試合中はあまり疲れとか感じなかったのですが、試合が終わった後にやっぱり疲れが出てきましたね。
――リーグ戦を通して1年生たちの活躍が光りました。阿部選手は1年生たちに対してどんな印象をお持ちですか
1年生が思い切ってプレーしてくれて、私たちもその流れに乗ろうとして試合をすることができたので、1年生には感謝しています。
――最後に関東学生選手権への意気込みを教えてください
去年はベスト8で終えてしまったので、ことしはもっと上に行けるように頑張りたいです。