全日本選手権(全日本)5日目のこの日、女子部ではシングルス5回戦に小道野結(スポ4=神奈川・横浜隼人)、女子ダブルス5、6回戦に小道野・高橋結女(スポ4=新潟産大附)組が出場した。女子シングルスでランク入り達成はならなかったが、女子ダブルスでは小道野が取ったタイムが功を奏し、絶体絶命のピンチをひっくり返すことに成功。見事ランク入りを果たした。
ランク入りをかけ女子シングルス5回戦に臨んだのは小道野結主将。対する相手は世界ランク18位で今大会注目選手の1人である平野美宇だ。小道野は序盤から積極的に得意のバックハンドで左右に揺さぶりをかけ攻めるも、ことごとく跳ね返される。また相手の質の高いサーブに終始対応することができず失点を重ね、なすすべがない。結局、ゲームを1つも取れないまま敗北を喫し、試合後「今の自分ではこんなものかな」と実力の差を痛感した。続く女子ダブルスの5回戦もランク入りをかけた大一番となる。試合は序盤から相手ペースで進み、ゲームを2連続で落として、第3ゲームも7-5とリードを許す。「(攻め方を)考えて、悩みながら試合をしていた。」と二人は戦術を意識するあまり攻めの姿勢を欠いていたのだ。しかし、ここで意を決して小道野がタイムをかけ高橋に「もうどこでもいいから思い切って打っていこう」と声をかける。すると、今までの戦術に対する迷いが解消され、果敢に向かっていく。威力を増したスマッシュに、精度の高いバックハンドで連続6得点。これでゲームを取ると、その後も勢いは止まらずこの試合の勝利までもつかみ取り見事ランク入りを果たした。
ランク決定戦で平野に敗れた小道野
「6回戦は二人とも迷いながら戦っていたし、迷いからか気持ちがのっていなかった」「戦略にも一貫性がなかった」(小道野)。この言葉の通り女子ダブルスの6回戦で二人は迷いながら卓球をしていた。その証拠に声をあげてお互いを奮い立たせ得点するたびにガッツポーズをする、そんないつもの熱い試合ができていなかった。ドライブ主体の攻めにバックハンドを織り交ぜ得点を狙うが、相手のブロックは堅い。またカットの変化も分かりづらく、レシーブでも苦戦。今まで対戦したことのない相手に戸惑いを隠せなかっただろう。なんとか意地で1ゲームを勝ち取るものの、最後まで二人らしいプレーはできなかった。
ベスト8入りを果たした小道野・高橋組
女子部の全日本はこれで終了したが、4年生がワセダとして参加する大会はまだあと1つある。ことしの3月に行われる東京選手権だ。「今までやってきたこの4年間の集大成を見せ、またこのユニフォームに袖を通すことができる喜びを噛みしめながら、さらにレベルアップして最後の大会を楽しんで終わる」(小道野)。有終の美を飾るため、この1か月を全力で取り組む覚悟だ。
(記事 本田京太郎、写真 寺脇知佳、稲満美也)
※ダブルスではベスト8以上、シングルスではベスト16以上を『ランク入り』と呼ぶ。
結果
▽女子シングルス
5回戦
●小道野0―4平野美宇(JOCエリートアカデミー)
▽女子ダブルス
5回戦
○小道野・高橋組3-2玉石美幸・中尾優子組(エクセディ)
準々決勝
●小道野・高橋組1-3池田吉美・北岡エリ子組(日立化成)
コメント
小道野結(スポ4=神奈川・横浜隼人)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
自分の持てる実力をすべて出し切れたし、いまの自分の実力じゃこんなもんかなって感じです。
――シングルスでは世界ランク16位の平野美宇選手と対決されましたが
きょうが初めての対戦でした。中学3年なのに世界ランクも高いですし、サーブ、レシーブの質が高かったですね。全体的にレベルが高い、強い選手だなって印象でした。
――ダブルスの5回戦ではゲームカウント2-0で追い込まれている場面に取ったタイムが試合の流れを変えました。高橋選手とどのような話をされましたか
1、2セット目までは攻め方をいろいろ話し合って、考えて、悩みながら試合をしていました。それでタイムを取ったときに私がどこでもいいから思い切って打っていこうと話したら、がらっと試合の流れが変わっていきましたね。あのタイムは取ってよかったですね。
――6回戦ではドライブ攻撃が多かったと思いますが何か意図はあったのでしょうか
できれば、スマッシュとか強めのドライブとかを入れて攻めったかったんですけど相手のブロックも堅かったですしカットの変化も分かりづらかったので、山なりの感じのボールが多くなっちゃったのかなって思います。
p>――6回戦は5回戦とは対照的にガッツポーズや声を上げたりする場面が少なかったと思います。その点いかがですか
二人がしっかりのっているときは声をあげたり、ガッツポーズとか出たりするんですけど、6回戦は二人とも迷いながら戦っていたというか、あんまり気持ちものっていませんでしたし、戦略にも一貫性がない状況でした。それが静かになってしまった原因だと思います。緊張とかではないんですけど、私たち二人の中に多少の迷いがありましたね。
――大学生最後の大会となる東京選手権に向けての意気込みをお願いします
3月にある東京選手権でこのワセダのユニフォームを着れるのが最後なので、今までやってきたこの4年間の集大成を見せ、またこのユニフォームに袖を通すことができる喜びを噛みしめながら、さらにレベルアップして、最後の大会を楽しんで終わることができれば十分かなって思います。そのためにまた出直してきます。