【連載】春季関東学生リーグ戦直前特集 第5回 森美紗樹×佐藤菜月

卓球女子

【連載】春季関東学生リーグ戦直前特集 第5回 森美紗樹×佐藤菜月

 新しいシーズンがスタートし、1カ月。昨年度からのさらなる躍進を狙う早大女子卓球部を支えるのは、主将の森美紗樹(スポ4=高知・明徳義塾)と主務の佐藤菜月(社4=島根・名誠)だ。春季関東学生リーグ戦(リーグ戦)開幕を目前に控えた今のチームの状態や、リーグ戦への意気込みについて伺った。

※この取材は5月4日に行われたものです。

「全員が主役」

仲良く対談する森、佐藤菜(右)

――昨年1年間を振り返って教えてください

 自分たちも3年生だったので付いていくのに精いっぱいで、9月の秋季リーグ戦が終わってからは世代交代もして自分たちの代になったのですが、なかなかうまくまとめていけなかったのですが、最上級生の方々を見ながらいろいろ学んできて。やっと年を明けたぐらいからチームもまとまってきて。それは、早く世代交代をしてくれたからここまでチームもまとまってきたのかなと感じました。

佐藤菜 4年生を3年生という一番近い立場から見ていて、4年生は最後の年ということで自分たちのチームカラーにしたいとかたくさん思いがあったと思うのですが、4年生もいろいろなことがあってうまくいかずに悩んでいたのを間近で見ていたので結果として4年生に良い結果が出せなかったという、悔しいし申し訳ない気持ちでいっぱいだったのと自分たちが最上級生になった時に何をしたら良いのか考えるようにして1年過ごしてきました。

――1年生も加入されましたが、今のチームの雰囲気は

 ワセダは今までずっとそんなに上下関係が厳しくないというのと明るく楽しくやっていくというのがチームカラーだと思っていて、1年生だからといって小さくなって個人を出せないというのではなく、1年生だからこそ高校の時に学んできたことを出せるようなチームにしたいと思っていて。一人一人の個性が強いのでプレーの戦型だけでなく、性格とか色々なので、明るい、今までにないような、仲良しではないですけど何でも言い合えるような、下の学年でも言いやすくて、なおかつ上が言ったらまとまるというようなチームになったのではないかなと思います。

佐藤菜一言でいうと仲が良いと思います。普段の練習以外の時もそうですし、練習の時も、単純にみんなと居て楽しいと思います。1年生も徐々に打ち解けてきてみんなでやってきているのでチームワークではどこにも負けないのかなと思います。 

――これから1年間でどんなチームを目指しますか

 誰が一番強いとかがないチームなので、全員が主役で全員で1点を取りに行く。その結果団体戦で優勝したというのを目標に掲げてやっているのでもう少し技術的にレベルアップができれば一番いいなと思うのですけど。課題かなと思うのは、お互いがアドバイスを言ったり、ちょっと我慢して遠慮して言わないとかではなくてその人のためを思ってお互いがアドバイスをすればもっとレベルアップにつながるのではないかなと思っています。

佐藤菜 今、みんなでやっていく。もうちょっと、個人的な事でいうと4年生という立場なのにあまり引っ張っていけてないというか。後輩が伸びていくのは良いことなのですが良い意味での上下関係をしっかりさせて上の人たちが引っ張っていけるチームになって行ってほしいと思います。

――お二人は、主将さん主務さんだと思うのですが、なった経緯を教えていただけますか

 毎年、主将や主務は学年全員で監督をはじめ、コーチ陣の方々が話し合いをしてくださって、選手と一人ずつ面談という形でどういうチーム作りをしていきたいのか、自分はどう思ってやってきたのかという話を聞いていただいて、また監督さんとかが話し合いをしていただいて、最後に自分たちもまた集まって話し合いをしてそこで決めるという形なので、直接、誰がやりたいですという形ではなくて、全員が納得した形での役割分担が決まったのかなと思っています。

――決まった時はどう思いましたか

 早稲田大学卓球部の主将となるとプレッシャーもありましたしOB、OGの方々もいつも応援に駆け付けてくださっているので、いつも「応援してるからね」と声をかけていただくのが、すごくありがたいのですが、その分つらいなと思うことも多いのですが、今まで先輩たちが積み上げてきた伝統や歴史をまた自分たちが積み上げていくんだと思うと、プレッシャーとかよりも楽しみという気持ちが強くなってきたので、今となってはやってよかったと思っています。

佐藤菜主務なので事務的なこととか、チームの仕事を任されることなので、まずきっちりミスの内容にというのを心がけて。そういう部分がうまくいっていたら選手の人達も心配することなくプレーできると思うので私がしっかりやることでチームがうまくいくと思ったのでしっかりやろうと思いました。 

――練習はせずに、事務をおこなうのですか

佐藤菜 普通にやっています。両立も大変ではないですし、練習もしています。

――お二人のチームにとっての役割はどのようなところだと思いますか

 試合に勝ってチームを引っ張っていくと同時に、主将として全員が個性を出せるような環境づくりをしていくのが自分の役割だと思います。

佐藤菜 良くも悪くも声が大きいので(笑)。みんなを盛り上げたりとか、みんなが落ち込んでいるときにはみんなを盛り上げたりして明るく振る舞ったり、常にチームが楽しく入れるようにしています。

――大変だなと感じるときはありますか

 今まで見てきたりした感じたことは、一人二人が落ち込んでいて、どうしようという感じになっている様子をリーグ戦前には見てきていたのですが、今回この代になってからは別にそういうこともないので、特に大変に感じることはないです。

佐藤菜 今、森が言ったように最近は落ち込んでいる人は見かけないのですが、私あんまりへこむタイプではないので悩んでいる人になんて声をかけたらいいか分からなくて、ほったらかしにしてしまうというか。分かっているけど声はかけられない。どうしたらいいのだろうと感じるときはあります。

「チームに居て心強い」

チームの環境づくりを大切にしている森

――お二人は仲が良さそうに見えるのですが、お互いについて紹介してください

 佐藤とは、高校の最後の試合とかで試合会場であって声かけるような感じで。大学入る前もそこまで気まずい感じではなくて。声も大きくて明るいので、話しかけにくいとかはなくて、個人的にも遊びにも付き合ってくれるし練習にも付き合ってくれるし本人はなんて声かけたら分からないとか言ってたんですけど、たくさん助けられたところもあって。気付いていないとは思うのですが、一緒に居て楽しくやっていけるのが彼女の持ち味だと思っているのでチームには欠かせないお姉さん的な存在だと思います。

佐藤菜 とにかく、気を遣っています。常にアンテナを張って、チームのことだったり、もちろん先輩が居た時にはすごく気を付けるのでそこにはすごく感心しますね。そこに気付くみたいな。

――いいところ、直してほしいところはありますか

 どんな場面でも、その場の雰囲気を明るくしてくれる。今までの団体戦でもどんな悪い場面でも彼女が後ろで大きい声を出して応援してくれる。シングルスとかでベンチに入ってもらうと、全然不安そうな顔もしないので一緒にチームに居て心強い。たまに、困った時に笑って何も言えなくなるのが、ちょっとあれかな(笑)。そこができたら完ぺきだと思うのですが(笑)。

佐藤菜 笑ってごまかすってこと(笑)。気を遣えるところ。責任感も強いし、キャプテンだなと思います。その分、責任感が強すぎて自分が悪くないことでも、自分のせいで、私が悪いみたいに勝手に落ち込んでいるので。そうじゃないでしょって。もうちょっと気楽に考えてもいいんじゃないかなって思います。

――今年がラストイヤーだと思うのですが、心境はいかがですか

 ラストという感覚はあんまりなくて。今まで、ラストラストといって良かった経験がないので。小学校ラスト、中学校ラストと節目節目はあるのですが。最後っていうと、1年目を経験できるのは最後だしという感覚なので。特に最後の思い入れというのはなくて。今私にできることを精いっぱいやろうというのが目標です。

佐藤菜 四年生になると今までと視点が全然変わってきて、チーム全体が見えるというか。今まで分からなかったことも分かるようになってきたし、逆に今まで見えてなかった、こんなに大変だったんだということも見えてきたというのが率直な感想で。今までが嫌いだったとかではないのですが、ことしのチームが大好き。最後というか、このチームで試合できることが多くても14回なのでそれがすごく嫌で。もっとみんなで練習とかいっぱいしたい。いろんな経験とかもしていきたいと思っているので、少ない中で後悔のないように、楽しんでやっていきたいと思っています。

――信念のようなものは持っていましたか

 今まで関わってきた人。高校の恩師、ワセダのコーチ、OGの方々、先輩、同期。周りの人に感謝の気持ちを持って恩返ししようというのが常にあります。してなかったらここまでやってこれなかったと思うので、仲間が居るからここまでライバルでもあり、仲良しな友達でもあり、常に感謝を忘れず周りの人に感動を与えられる。でも普段の時はしっかり抜いて。そこら辺はメリハリのある人間として成長できたらなと思います。

佐藤菜 高校の時の部訓が、自信、誇り、感謝の3つでその言葉がすごい好きだったので何事にも自信を持って臨む。試合とかでも迷ったりしたときは、大丈夫できるという自信を常に持つように心がけてきました。誇りは、ワセダという伝統のある卓球部の一員である誇りを常に持ってプレーするということ。関わってくれた人全ての人への感謝を忘れないというところを思ってやってきました。

「自分の持ち場」

どんな場面でもチームを盛り上げる佐藤菜

――リーグ開幕に向けて意識して練習に取り組んでいるところはありますか

 ダブルスが、4年生の方と組んでいたペアがほとんどだったので1から見直すペアが多かったので。その点では3月からダブルスもシングルだけでなく、同じくらいの時間を取りながら練習したりだとか。今は直前なので、ガッツリやるだけでなく体調面を整えながらやっています。それぞれ、怪我だったり体が強くないとか、しっかり整えて万全の状態で臨めるように心掛けています。

佐藤菜 私はサポートする側なので、みんなの調子が上がるように意識しています。普段だったら、自分のことも考えながら練習するのですが、今はレギュラーの人の調子が上がるように打ちやすいボールを打ったり。時期によって接し方を変えるようにしています。

――チームで共通して意識していることとかはありますか

佐藤菜 とにかく楽しくやろうとは思っています。団体戦なので1人が負けて落ち込んでたら次の人にもつながってしまうので、負けても明るく楽しんでしようと。

――チームでの目標を教えてください

 常に全員が、試合に出る人だけじゃなくて全員がその時にできること全てを全力でやること。全員が同じように仕事ができるかと言われるとできないと思いますし、仕事してくれている人には感謝していますし気を遣ってくれているので、そういうことも分かりながら、試合に出る人は感謝の気持ちを持ちながらプレーすることで、その場の自分の持ち場を把握してしっかりとやり遂げることがチームの勝利のカギとなるのではないかと思います。

佐藤菜 目標は、全部取る。

――今後に向けての意気込みをお願いします

 本当に、みんないい子たちばっかりで楽しいチームなのでこの勢いをつけて春リーグからインカレ(全日本大学総合選手権団体の部)、全てタイトルを取って、あのチーム楽しかったなと思ってもらえるようなチームにしたいです。

佐藤菜 今までは、頑張んなきゃな、結果出さなきゃと思っていたところはあるのですが、ことしは負けるイメージができないと思っているので、それが口だけにならないで良かったなと思ってもらえるように頑張っていきたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 久保田有紀)

持ち前の明るさでチームを支えるお二人です

◆森美紗樹(もり・みさき)(※写真左)

1992(平4)年5月20日生まれ。155センチ。高知・明徳義塾高出身。スポーツ科学部4年。右シェーク一枚・表。マイブームはワンピースだそうで、熱く話してくれました。厳しい練習の合間にも、充実したオフを過ごしているようです。

◆佐藤菜月(さとう・なつき)(※写真右)

1992年(平4)7月21日生まれ。168センチ。島根・明誠高出身。社会科学部4年。右シェーク裏・裏。森主将同様ワンピースにはまっているらしく、趣味はワンピースのモザイクアートのパズルをすること。試合で鍛えた持ち前の集中力で、難しいパズルも完成させるのでしょう。