ことしもいよいよ春季関東学生リーグ戦(リーグ戦)が近づいてきた。伝統ある早大卓球部の中でも1年目から活躍を続けているのは小道野結(スポ3=神奈川・横浜隼人)と高橋結女(スポ3=新潟産大附)と佐藤風薫(スポ2=岡山・就実)だ。今季リーグ戦でも主力として活躍が期待される三人。今回は普段のチームの雰囲気や春季リーグ戦への意気込みなどに関してお話を聞いた。
※この取材は5月4日に行われたものです。
先輩としての役目
和やかな雰囲気で取材を受ける高橋、小道野(中央)、佐藤風(右)
――学年が変わっての心境の変化を聞かせてください
高橋 3年生になって後輩が増えてきたのですが、団体戦は楽しまないとやっぱり勝てないと思います。今まではがむしゃらに試合をすればいいだけだったのですが、上の方の学年なので、後輩がいかに楽しんで自由に試合ができるかということが大事になってくると思います。なので、後輩が自由にできるように私たち3人の雰囲気も盛り上げていかないといけないと思います。
小道野 3年生になって1、2年生の時とは大きく違いを感じています。2年生の時よりも余裕ができてきて、生活の面でも練習の面でもいま何をしたらいいのかということが見えてきました。リーグ戦も2年間経験してきたというのもあって、自分のことをしっかりコントロールしながら、知っていることを後輩が伸び伸びできるように教えたりして、サポートしていけたらと思います。
佐藤風 大学に入って2年目になってレギュラーとして活躍することができると思うので、そこはしっかり自分らしいプレーをして、後輩も入ってきたのでリーグ戦のことを伝えられたらということと仕事の面でも自分がしっかりしないと後輩が付いてこないと思うので、そこをしっかりしたいです。1年生の頃は自分だけのことを考えていればいいと思っていたのですけど、一つ学年が変わって他の人のことも考えないと、と思います。
――2年生になる佐藤選手に対して何かお二人からのアドバイスはありますか
小道野 2年生がどの学年よりも1年生と近くて、いろんなことに気付けると思うので、伝えるところは伝えるといったうまいコミュニケーションが取れればいいと思います。
高橋 3、4年生になるとプレッシャーを感じやすくなってしまうと思うけど、まだ2年生なので勝ち負けとかじゃなく、思い切ってやってくれればいいかなと思います。
――昨年と比べて成長した点はありますか
佐藤風 団体戦でも個人戦でもいろいろな試合に出させてもらって、高校と大学の試合の違いの大きさを感じました。大学では自分がやらなきゃ強くならないというのを感じたので、気を抜かずに頑張っていきたいです。
小道野 私は逆に1年生のとき、自分のことに必死で周りが見えなくなってしまったりすることが多かったですが、3年生になって自信とは言えなくても、ちょっと余裕が持てるようになりました。その辺の対応が臨機応変にできるようになってきて、抜くところは抜くというようなメリハリができたらなと思います。
高橋 一つ言えることは3年生になって気持ちの余裕ができてきたなと思います。気持ちの余裕ができるということは結構周りとかが見えてくるので、1、2年生の時よりも練習でも私生活でも何かに偏ることがなくなってきました。バランスよく練習ができたり、食事とかもそうだし、生活していて一つのことばっかりやっているというのがなくなって、効率よく考えて行動できるようになりました。リズムができてきたと思います。
――高校と大学の違いを感じますか
高橋 強制でやらされることがなくなりましたね。高校までは「やれ、やれ」という感じで、時間で決められてやらされていました。でも、いまはそうじゃなくてむしろやりすぎることが多くて、けがしたりしてしまって、どれだけやり込んでいいのかという問題が大学にはありますね。やりたいけどそこを我慢して、体のケアをした方がいいのかとかそういうのが大学では難しいと感じました。
小道野 私もそう思います。やりたいけど、あしたにつなげるためにはきょうはやめてというメリハリがあると思います。まだうまくできないのですけど。
――早大卓球部のチームの良いところは
高橋 ずば抜けて強い人がいないと思うので、みんな一生懸命頑張るし、人任せじゃないところが良いと思います。一人一人がそういう意識で、任せっきりとかじゃなくて、やらなきゃいけないことは自分でやっていく感じがします。
小道野 私もそう思う。ことし1年生が6人入ってきてくれて、すごいみんな元気で、チームの雰囲気を盛り上げてくれています。そういった下からの押し上げも加わって、一人一人自分がしっかりしないと、という気持ちがプラスになっていると思うので、その辺が良い部分じゃないかなと思います。
佐藤風 私も高橋さんや小道野さんと同じです。あと、強い人同士で練習するわけじゃなくて、みんないろんな人と練習するから、そこが良いところじゃないかな。上同士でやらずに、下ともやって「ずっとこの人と」って決めずに練習するからみんなが強くなっていくのではないかなと思います。
――リーグ戦までの課題などあったりしますか
高橋 最近はどっちも裏ラバーの選手が苦手で、結構中国人の人とかはそうですけど、そういう人たちに勝たないとチームは勝てないと思うので、とりあえずサーブ、レシーブを鍛えます。
小道野 私は練習したら課題しか見えなくて、挙げ出したらきりがなくなっちゃうので、逆に試合で自分の課題を見ないで、良いところだけ意識してやることが課題じゃないかなと思います。それで悪いところが見えて、自分が暗くなって、チームの雰囲気を悪くするのがいけないと思います。どれだけ上級生が笑顔でやって、下級生がそれに伸び伸び付いてきてくれるような雰囲気にすることだと思います。
佐藤風 自分の課題としては、最近他大学から自分のカットのスタイルを大体把握されていると思うので、そこを逆手にとって、変化の差を広げようと思っています。ナックルがいままでは多いのですけど、切るカットを中心に練習しているのと攻撃力を上げています。
――1年生が入ってきましたが、印象はどうですか
高橋 みんな素直だよね。一番嫌なのは話しかけられずに気まずい空気が続くことですが、ことしは明るく話しかけてきてくれるので、1年生たちとはコミュニケーションが取りやすいです。
小道野 私もそう思っていて、意欲的でみんなが頑張ろうとしてくれるので、逆にこっちが休憩しなよって(笑)。それくらいチームとして頑張ってくれていて良いと思います。
佐藤風 1年生に本当に頑張っている子が多くて、自分もやらなきゃなって思えるので、それがプラスにつながっています。でも、まだ気を遣っているんじゃないかなという部分もあります。
――話を聞いて、下からの突き上げなどチームがいま相乗効果でいい雰囲気なのかなと思うのですが、どうですか
高橋 はい。
一同(笑)
小道野 きょねん、「すごいいいチームです」と言っていてぼろぼろだったので、そういうのが怖いです。ただことしもいい雰囲気だからそれを信じて。
一同 (笑)
チームメイトそれぞれの印象
昨年の全日学でランク入りした三人。主力として欠かせない存在だ
――森美紗樹主将(スポ4=高知・明徳義塾)はどのような方ですか
高橋 優しい(笑)。みんなのことを考えているのが分かります。そういう雰囲気を出してくれるので、自分たちも意見を言いやすいです。
小道野 かわいい(笑)。一人一人の個性を見つけて、それを全員が伸ばせるようにと活躍できる場をつくることを考えてくれます。自分のこともいろいろとあると思うのですけど、チームを優先して時間をつくってくれるので、優しい。
佐藤風 すごいけじめがつけられる人だなと思います。普段と練習と結構差があって、普段は面白いし話もしやすいですけど、練習になったらすごい真面目で、そういう雰囲気をつくってくれる人だと思います。
――小道野選手、佐藤選手から見て高橋選手はどのような方ですか
小道野 ドンキー。
一同 (笑)
高橋 記事に書かれちゃう。恥ずかしいから(笑)。
小道野 同期でずっと同じような感じでやってきてくれてすごく心強いです。いろんな話もして、同期だからこそ結女から学ぶことが多くてリスペクトするところが多いけど、何て言えばいいんだろう…言葉にできない思い(笑)。
高橋 重すぎる(笑)。
小道野 居てくれてすごく心強い存在です。
佐藤風 自分ができないって思ったことでも熱心に取り組む人だなと思います。自分が課題と思っていることもすぐ修正しようとするところがすごいと思うし、それができるようになるまで、ずっとやり込むところが尊敬してます。それに普段は面白くてよく話しかけてきてくれるし、楽しい人です(笑)。
――では高橋選手、佐藤選手から見て小道野選手は
高橋 何だろう、難しい…。言葉にできない(笑)。ダブルスのパートナーでもあるので、ずっと一緒に居るので。多分自分の駄目なところを見つけるのが得意なんですよ。それで結構周りが見えなくなってしまうので、自信を持ってほしいな(笑)。本当に良いところもいっぱいあるんですけど、試合では最初に欠点が目に付いちゃって自分で落ち込んでしまうので、今回のリーグ戦では自分の良いところだけを生かしてくれたら、全勝すると思います。普段は学部も一緒で授業もほとんど一緒です。たまに寝てる。でも、ちゃんとやるべきことはやる子なので、ね?
小道野 うん(笑)。
佐藤風 チームとしてのムードメーカーなんじゃないかなと思います。高橋さんも言っていたのですけど、試合とかで落ち込んじゃう場面が結構多くて、それでもみんなのことを気にして見てくれていると思うし声かけもうまいから。
小道野 泣いていいですかね。
一同 (笑)
佐藤風 全体を明るくしてくれる存在だと思います。
――先輩お二人から見て佐藤選手は
高橋 練習中そんなに考えてなさそうでも、考えている感じがする。
小道野 分かる(笑)。
高橋 練習の時からちゃんと修正して試合に臨んでいるので、考えている自分を表に出すのが恥ずかしいんですかね(笑)。
小道野 シャイ?似合わない(笑)。
佐藤風 自分でも考えているか考えていないか分からないけど、ちょっとは考えている部分もあるのかな。試合で「これやらなきゃ」という思いが強いから…。
高橋 負けても笑っているイメージがあります。それは団体戦において結構大事で、暗い気持ちでチームに帰ってきて雰囲気壊すとかじゃないので、団体戦ではいい雰囲気で試合をしてくれる後輩ですね。勝ったときはもちろん負けたときも笑顔で(笑)。
小道野 気持ちのバランスの取り方がうまいというか。ちょっと抜けすぎかもしれないけど(笑)。試合でも練習でも変わらない気持ちの持ち方、楽しんで卓球をできているのだなというのを感じて、結女が言ったように勝っても負けても笑顔で帰ってきますし。私はふうこと呼んでいるんですけど、ふうこのそのほわほわした雰囲気が好きです。
――試合であまり緊張しないのですか
佐藤風 試合で緊張しても意味がないというか、全てを出し切って終わったほうが自分のためになるし、後で後悔しても仕方がないからそこは練習と試合を区別するのではなくて、同じぐらいの気持ちでいかないと駄目かなと思います。
――小道野選手、高橋選手は緊張しますか
小道野 しますね(笑)。自分でも気づいているのですけど、小さなことでも不安要素があると自分の中で大きくしてしまって、そのせいで試合で「これできないんじゃないかな」と思って緊張してできなくなることが多いから、二人が言うように伸び伸びやらないと、と思います。
高橋 試合前は緊張しています。卓球台についたら緊張はしないんですけど、入る前はいろいろ考えてしまうので、緊張してます。
――お互いにプレー面でのいいところだったり、うらやましいところはあったりしますか
高橋 佐藤選手の攻められてる中でもチャンス見つけて打ちにいく技術はうらやましいなと思いますね。守備だけじゃなくてチャンスをつくれるところがいいです。自分は相手の様子を見ながら試合する感じで、相手がミスをして点を取るんですけど、小道野さんみたいに鋭いボールがないので、それがうらやましいです。
小道野 ふうこは大事なときに思い切って打ちにいくから、カットマンだけど大事なとこで攻められるからすごいなって思います。それも気持ちの持ち方だと思うしいいなと思います。で、高橋さんは私とタイプが全く違うんですけど、ぶれない体幹がほしいです。
一同 (笑)
小道野 どこに来ても崩れなくて、ボールを入れるのでそういうぶれなさがいいです(笑)。
佐藤風 高橋さんは粘り強さと相手のボールを見て、回転をかけて返して、相手のミスを誘うように先にミスをしないところ。
小道野 要するに。
佐藤風 粘り強さと体幹です。
一同 (笑)
佐藤風 あと、ボールの回転量がいいと思います。メインは体幹(笑)。小道野さんはサーブからの三球目とかが結構うまいと思うので、その部分がいいなと思うのと自分にあったボールだと思い切ってどんどんいける選手なのでそこがいいと思います。ボールを見極める判断力がうらやましい。
雰囲気を第一に
――チームでの役割とかはありますか
高橋 一本でも二本でも多く取ってくることだと思います。
――小道野選手は
高橋 三本取ってくること。
一同 (笑)
小道野 三本取ること(笑)。それと二人が着実に一点上げてくれると思います。その点、確実な一点というのができない人間なので、盛り上げる方に徹して、自分は勝敗よりもチームの雰囲気を上げる役割かなと思います。
佐藤風 勝っても負けてもいい雰囲気で次につなげられたらと思います。自分が負けたとしても次の人が思い切ってプレーできるような雰囲気づくりをしたいです。
――ダブルスはどういう風にペアが決まりますか
小道野 いろいろな人と組んで最終的に監督と話して。
高橋 選手の意見もちょっと入ったりして決まります。
――ライバル校や意識している選手は居ますか
一同 数えられない(笑)。
小道野 指が足りないなと思って。全部だよね。
佐藤風 どこも強さ同じくらいじゃないですか。きょねんみたいに淑徳大がめっちゃ強いというわけでもないから、どこも気が抜けない。
高橋 でも中国人選手には勝ちたい。
一同 確かに。
高橋 倒したら大きい。
小道野 誰かが1人強い人に勝ちたいな。一本でも取れたらうれしいです。
――リーグ戦間近ですが意気込みをお願いします
高橋 チームみんないろんな人の気持ちを背負って試合に出させてもらっているので、最後まであきらめずに感動してもらえるようなプレーをしたいです。
小道野 試合に出ている人も出てない人も私が試合に出たらみんなが楽しめたり、全員で勝ったら「良かったね」と、負けても「お疲れ」と言ってもらえるようなチームの雰囲気でやっていきたいと思います。
佐藤風 試合に出る人と出ない人で分かれてしまうと思うので、試合に出たら最後まであきらめずに、試合に出ていない人の分まで頑張って試合をしたいです。後、みんなが笑顔で楽しんで試合ができたらいいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 豊田光司)
リーグ戦でもチームワークでの勝利に期待です!
◆小道野結(おどの・ゆい)(※写真中央)
1993年6月4日生まれ。155センチ。神奈川・横浜隼人高出身。スポーツ科学部3年。右シェーク裏・表。チームのムードメーカーとしてこの取材でも良い雰囲気をつくってくれました。
◆高橋結女(たかはし・ゆめ)(※写真左)
1993年8月4日生まれ。161センチ。新潟産大付高出身。スポーツ科学部3年。右シェーク裏・裏。普段から仲の良い小道野選手と相談して色紙を書いていました。
◆佐藤風薫(さとう・ふうか)(※写真右)
1994年4月16日生まれ。156センチ。岡山・就実高出身。スポーツ科学部2年。右シェーク裏・裏、カット。先輩二人に流されず取材に対応してくれました。