破竹の勢いで、表彰台へ駆け上がった。佐藤風薫(スポ1=岡山・就実)は4回戦までを全てストレート勝ち。目標のランク入り(※1)を達成すると、快進撃は止まらない。5回戦では北岡エリ子(中大)を、準々決勝では高校総体覇者の鈴木李茄(専大)を破り、ベスト4に進出。並み居る強豪たちを次々と倒し、銅メダルを手にした。また小道野結(スポ2=神奈川・横浜隼人)はベスト8、高橋結女(スポ2=新潟産大付)はベスト16と3名がランク入り。男子勢が奮わなかった一方で、女子勢が健闘した。
ガッツポーズをして吠える佐藤風
躍進を支えたのは、強い精神力だった。4回戦まで1ゲームも落とさず、ランク入りを決めた佐藤風。5回戦で対するは、関東学生リーグ戦(リーグ戦)通算39勝を誇る北岡エリ子だ。カットマン同士の一戦は、1ゲームの半ばで促進ルール(※2)が適用され、先に仕掛けられる展開となる。それでも、佐藤風は冷静だった。「守って点を取ろう」と、相手の強打をブロックし着実に点を稼ぐ。「北岡さんに勝つことを目標に頑張ってきた」と、フルゲームの末、宿敵に価値ある1勝を挙げた。翌日の準々決勝では、またも最終ゲームにもつれる大接戦の中、ラリーで先手を奪い勝利。高校総体を制した鈴木を破り、見事ベスト4に進出した。攻められても、追い込まれても、何度も立て直した佐藤風。大一番での高い集中力、精神的な強さが、今回の好成績につながった。
結果を残したのは、佐藤風だけではない。前日のダブルスでランク入りを逃し、「ショックで、かなり落ち込んだ」と小道野。それでも気持ちを切り替え、シングルスに挑んだ。4回戦まで順調に勝ち上がり、ベスト8をかけた5回戦。苦手とする左利き選手との対戦で、練習の成果が出た。対策したレシーブから積極的に攻め、ゲームカウント4-2で勝利。昨年のベスト16を上回る成績を収め、「一歩成長できた」と手ごたえを口にした。また、高橋は2年連続のランク入り。5回戦でフルゲームの末に敗れ、昨年のベスト8には届かなかったが、安定感を見せた。
鋭いバックドライブを放つ小道野
3名がランク入りと結果を残した女子勢。昨年も5名がランク入りを果たし、個人戦では圧倒的な強さを見せつけている。今後は、この個人戦での成績をどうリーグ戦に生かすかが課題となってくるだろう。またランク入りした3名は、次週の全日本学生選抜選手権への出場が決まった。リーグ戦でも大活躍している留学生が加わる同大会で、再び力を発揮してほしい。
(記事 栗坂美祐、写真 加藤万理子)
※1 ダブルスではベスト8以上、シングルスではベスト16以上を『ランク入り』と呼ぶ。
※2 1ゲームが10分が経過しても終わらない場合に適用される。ただし、対戦両者のポイントの合計が少なくとも18点に達した場合は適用されない。また対戦者双方の合意があれば、10分経過していなくても促進ルールを適用することができる。攻撃方の選手で10分を超えることは稀であるため、守備型の選手同士の対決で適用される可能性が高い。促進ルールが適用された場合、13回のリターンに成功すればレシーバー側の得点となるため、サーバー側は攻撃する必要性が出てくる。そのため、最終的には守備型選手であっても攻撃で得点する戦術が必要になる。
ランク入りした小道野(左)、佐藤風(中央)、高橋
結果
ベスト4 佐藤風
4回戦 ○4-0鈴木せり奈(東京富士大)
5回戦 ○4-3北岡
準々決勝 ○4-3鈴木
準決勝 ●2-4庄司有貴(専大)
ベスト8 小道野
4回戦 ○4-2多田光希(中大)
5回戦 ○4-2富田真凛(中大)
準々決勝 ●0-4丹羽美里(淑徳大)
ベスト16 高橋
4回戦 ○4-2滝理果(淑徳大)
5回戦 ●3-4松村(中大)
※ランク入り選手のみ掲載
コメント
佐藤風薫(スポ1=岡山・就実)
――シングルスに臨むにあたって、ダブルスで負けてしまってからどのように気持ちを切り替えたのですか
ダブルスもランク入りを狙っていたのですが入れなかったので、その分シングルスで思い切ったプレーをして、悔いのないように試合ができたたらいいなと思って臨みました。
――4回戦まで1ゲームも落とさずに勝ち続けました
瀬下選手(専大)が苦手なタイプだったのですが、対策練習をやっていたのでその成果が出たと思います。次の試合もいろんなボールが来てやりにくかったのですが、焦らず自分のペースで試合ができたのでそれが良かったと思います。
――5回戦で対戦した北岡選手(中大)とは過去にも対戦していましたが、今回初勝利しました
打ち方とかめちゃくちゃだったんですが(笑)、北岡さんに勝つことを目標にして頑張ってたので、勝てたことが本当に良かったと思います。
――どのような対策を立てていましたか
とりあえず促進ルールに持っていって、そこから勝負しようと思ってました。自分が打つボールは点取れなくてもしょうがないけど、守るときはしっかり守ってそっちで点を取ろうと思ってました。
――勝因は
カット打ち練習をしていて、それが成果に出たと思います。それと前よりも(ボールを)拾えるようになって、自分が打つ方じゃない場面で点が取れたので良かったと思います。
――準々決勝で対戦した鈴木選手(専大)は左利きでしたが、どのように試合を組み立てていきましたか
サーブレシーブはしっかり入れてこうと思っていました。あとはラリーになったときに自分の展開に持っていけるように、カットに変化を入れることができたのでそこが良かったです。
――準決勝で対戦した庄司選手(専大)は北岡選手と同じカットマンでしたが、違いはありましたか
同じカットマンでも庄司さんは北岡さんとタイプが違って、けっこう切れてるし攻撃もうまかったです。試合もジュースが続いて五分五分で、本当にあと一歩だったと思います。
――あと一歩及ばなかった点というのは何だと思いますか
しっかり守り切れなかったのと、攻撃が中途半端になっちゃったかなと。あと促進ルールのときに、焦って無理やり打ってミスをしたのがもったいなかったです。
――ベスト4という結果を残しました
本当に良かったと思います。うれしいです。
――次の大会に向けて一言お願いします
次の(全日本)学生選抜選手権でも、今回みたいにたくさん勝てるように頑張っていきたいと思います。
小道野結(スポ2=神奈川・横浜隼人)
――シングルスベスト8という結果について
率直に、シングルスでベスト8に入るというのが大学で初めてだったので、うれしかったです。今大会に向けて結構準備してきて、コンディションも良くて、自信を持って臨めて、自信と結果が初めてつながってうれしかったです。
――自信と結果が初めてつながったというのは
今までは色々自分の中で試してきて、これがいいんじゃないかなと思ってそれに向かって最大限努力しても自分とちょっと違ったりとか、それで思うように結果に表れてくれなくて。でも今回は、自分が思い描いていたことを練習して、結果につながりそうだと思ってできたので、一歩成長できたかなって思います。
――かなり転機となった大会でしたか
はい。自分の中にとっては、一歩進めた試合じゃないかなって。
――昨年と比べて
昨年はぎりぎり(ベスト)16に入れたという感じだったんですけど、今回はきょねんよりもコンディション、体力、精神面、技術が良かったなって思います。
――ダブルスで結果が残せない中、切り替えはうまくできましたか
ダブルス負けた後は結構ショックで、シングルスどうしようかなってかなり落ち込んだんですけど、逆にダブルス負けて「シングルス頑張ろう!」って思うんじゃなくて、シングルス負けてもいいからって吹っ切れてできたのでそこが良かったのかなって思います。
――きのうは左の富田さんにストレート勝ちを収めていましたが、左対策が実りましたか
そんなに意識せずにできました。左に対して、レシーブができなくてレシーブを中心に対策してきました。それが結果として現れたのかなと思います。
――左の選手がワセダにいない中で、どう対策してきたのですか
左のフォア前に出てくるレシーブができなくて、全部バックに集まってしまうようなレシーブしかできなかったので、それをフォアにいったり、フリックしたり積極的にできるプレーを中心に練習してきてそれが良かったのかなと思います。
――準々決勝では丹羽さんにストレート負けでした。丹羽さんのどこが一枚上手でしたか
私は全部出せたんですけど、やっぱりあっちの方が全然レベルが違くて。バック対バックは互角だったと思うんですけど、それでフォア対フォアの勝負とか、ラリーになってから向こうが全然ミスしなくて。だからもう少しフォア対フォアで互角に戦えたら良かったなって思います。
――1月の全日本選手権に向けて
きょねんはシングルスすぐ負けちゃって、ことしは全日本(選手権)であまり成績残したことがないんで、今回みたいに「勝とう」とは思わずに一個一個進んで自分がまた成長できるような大会になればいいなって思います。
――目標にしている数字はありますか
目標は、一個でも上にいきたですけど、ランクに入りたいです。