「4年生を勝たせてあげたかった…。でも、それは難しいことだった」(硴塚将人、スポ2=東京・エリートアカデミー/帝京)。秋季関東学生リーグ戦の最終日、早大は春の覇者・専大と対戦した。かなりの手練れを揃える専大。国際大会や全国大会で好成績を残すような選手がごろごろといる。この日の試合で、それを思い知らされた。1〜4番手まで全てでまさかの1ゲームすら取れずに敗北。リーグ成績4勝3敗で、秋季リーグ戦を4位で終えることとなった。
強敵に向かっていった上村
専大のカベは、とても高く厚いものだった。1ゲームすら取れずに、まさかの完敗。付け入るスキさえ見えず、何もすることができなかった。特に、チームとして痛かったのが1番手で登場した上村慶哉主将(スポ4=福岡・希望が丘)の敗北だ。調子の上がらない上村に、専大の及川瑞基(2年)が攻撃を畳み掛けた。強打強打で後ろに下げられ、ラリー戦で破れた。そして、「なかなか自分のプレーができなかった」(上村)と、持ち味であるドライブも鳴りを潜めた。そして、続く2、3番手の緒方遼太郎(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)と葉波啓(スポ1=山形・鶴岡東)も、専大の勢いに飲まれてしまう。「全てにおいて、僕のレベルを上回っていた」(葉波)と言うように、完膚なきまでに打ちのめされてしまった。
この試合の最後に登場した緒方・硴塚組。なんと、準備時間無しの新生ダブルスだった。リーグ戦初出場の経緯は、「全日本(選手権)予選や来年以降のことを考えた結果」(硴塚)という。後に最優秀ペア賞を獲得する田添健汰(4年)・郡山北斗(3年)組に屈したが、端々に可能性の見える内容となった。硴塚がチャンスメークし、緒方がチキータやドライブで攻撃をする。もしくは、緒方が相手の甘い球を誘い、硴塚が強烈なバックハンドで仕留めるスタイル。「練習すればもっと勝てるようになると思いました」(硴塚)、「もっと練習して来年は全勝できるようにしたい」(緒方)と、本人たちも手応えを口にした。完敗したものの、来年以降に向けて好材料を得たようだった。
新生・硴塚・緒方組
「すごく悔しい気持ちがある」(上村)。ここまでずっと目指してきたリーグ制覇は、かなわなかった。ずっと、遠くにある優勝杯をつかもうと、困難な状況の中でも、ここまでやってきた。これで、夢はついえたかに思える。しかし、そうではない。この日、成し遂げられなかった優勝は、きっと後輩たちが果たしてくれるだろう。「最後まで勝ちたい気持ちをもち、戦うことを4年生が教えてくれた」(葉波)。未来は明るいはずだ。
(記事 本田京太郎、写真 本田京太郎、吉田寛人)
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結果
▽男子 最終戦
VS 専大 ー
●上村慶哉0―3及川瑞基
●緒方遼太郎0―3田添響
●葉波啓0―3三部航平
●硴塚将人・緒方遼太郎組0―3田添健汰・郡山北斗組
コメント
上村慶哉主将(スポ4=福岡・希望が丘)
――最後のリーグ戦、優勝することはできませんでした
春リーグ(春季関東学生リーグ戦)、インカレ(全日本大学選手権団体の部)、秋リーグ(秋季関東学生リーグ戦)のどれか1つは優勝するという目標を立てていたんですけど、それができなかったのはすごく悔しい気持ちがあります。でも、自分もキャプテンとして成長できた部分があったので、それは良かったと思います。
――2敗で優勝が消えたリーグ戦4日目を振り返っていかがですか
中大戦は大事な2番手で自分が負けてしまったので、それがチームの負けに響いてしまったかなという気持ちが強いです。明大戦もダブルスとシングルスでリードしたところから負けてしまって、きのうの2試合はエースとしての仕事ができなかったと思います。
――きょうのチームの試合を振り返っていかがですか
優勝はなかったんですけど、最後の試合ということで盛り上がっていければいいかなと思っていました。誰も1ゲームも取れずに負けてしまって、終わり方としてはさっぱりしてしまったんですけど、悔いはないです。
――シングルスで対戦した及川選手は関東学生選手権で勝利した相手でしたが、試合を振り返っていかがですか
自分自身、緊張が切れてしまっていた部分がありました。試合に入り込むまでに時間がかかってしまって、なかなか自分のプレーができませんでした。
――最後のリーグ戦が終わりましたが、主将として過ごした1年間を振り返っていかがですか
卓球面でも私生活でも、みんなのお手本にならないといけない立場だったので、大変なこともあったんですけど、自分自身の気持ちを抑制してしっかりやろうという気持ちでやっていました。そういうこともあって、視野が広がったり、自分自身いろいろ考えることもあったので、すごく成長できた1年間だったと思います。
――リーグ戦を通して後輩に託せたことや伝えられたことはありますか
キャプテンやエースが負けてしまうとチームの雰囲気が悪くなってしまうので、今度エースになる緒方やキャプテンの平野には、そのことを言葉でも伝えました。そういう代表となるような選手が勝ったり、盛り上げたりすることでチームが良くなっていくということは伝えられたと思います。
――個人戦は続いていきますが、これからに向けていかがですか
僕は卓球を続けるので、これからの個人戦でも上を目指して頑張りたいと思います。
硴塚将人(スポ2=東京・エリートアカデミー/帝京)・緒方遼太郎(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)
――リーグ戦を終えていかがですか
硴塚 僕は前半戦、0勝2敗で試合内容もひどかったのでだいぶ落ち込んだんですけど、後半の初戦で勝つことができて、ちょっとは取り戻せたかなと思います
。
緒方 きのうときょうの試合が一番大事だったのに、シングルスとダブルスで両方勝てなくて一勝もできなかったので、強い人と当たったときでも勝てるようにしたいと思いました。
――きのうで優勝はなくなりましたが、きょうはうまく気持ちを切り替えられましたか
硴塚 きのう2敗して優勝が決まらなかったのは悔しかったので、きょうはもう4年生も最後だし、勝たせてあげたいという気持ちがありました。でも、難しかったです。
緒方 最後の試合はダブルスを組み替えて、ダブルスはいいかたちで終わりたかったんですけど、相手も強くて、1ゲームも取れなかったので、もっと練習して来年は全勝できるようにしたいです。
――緒方選手のシングルスは、1番手の上村選手の敗戦直後でした
緒方 慶哉さんがずっと勝ってくれて、それでチームが勝てていた部分がありました。4年生が負けたときには、自分がその分カバーしなきゃいけないと思っていたので勝ちたかったんですけど、力が足りなかったです。
――ダブルスを組み替えた経緯は
硴塚 永山監督から、全日本(選手権)予選や来年以降のことを考えて、この二人で組んでみようと伝えられました。
――練習時間は取れましたか
硴塚 いや、ほぼしていないです。ずっと上村・緒方で組んでいたので。
――実際に組んでみて、感触はいかがでしたか
硴塚 高校の時に何回か試合は出たことがあって、その時の感覚とはまた違うんですけど、特別組みづらいということはないです。練習すればもっと勝てるようになると思いました。
――これから新体制になりますが、今後に向けていかがですか
硴塚 僕も3年生になって上級生になるので、プレーや生活面で後輩を引っ張っていけるようになりたいと思います。
緒方 チーム戦が終わって個人戦になるので、自分もそうですが一人一人が結果を出して春リーグにいいかたちでつなげられたらいいなと思います。
葉波啓(スポ1=山形・鶴岡東)
――秋季リーグ戦を終えましたが、全体を振り返ってどうでしたか
3戦全て試合に出たんですが、4年生に頼りすぎてしまったので、これから次に向けてしっかりと頑張っていきたいと思います。
――三部航平選手との対戦はどうでしたか。
相手の方が強いので、向かって行く気持ちだったんですけど、まだ技術・体格共に負けているので、今度またあたるとしたら、しっかりと自分もそのレベルに達して、次は勝てるように頑張りたいです。
――人生最後のリーグ戦となる4年生の気迫は感じましたか。
最後だから勝ちたい気持ちもあって、昨日優勝の可能性はなくなってしまったんですけど、最後まで今日も頑張っていて、自分も4年生になったら、そういうのを後輩に伝えられるようになりたいなと思いました。
――新チームとなりますが、これからどのように取り組んでいきたいですか。
体格が他の強い選手と比べたら小さいので、身体を大きくして互角に打ち合えるようになりたいなと思います。