魔の第5戦。リーグ制覇の夢ついえる

卓球男子

 悪夢が第5戦に待ち受けていた。春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)最大のヤマ場、全勝中の専大との一戦。不運にも見舞われ、まさかのストレート負けを喫した。第6戦の筑波大戦こそ、勝利したものの、最終戦を前に早大の優勝はなくなった。

専大戦は一度も流れをつかむことができなかった

 第5戦は試合を通して、早大に運がなかった。そう思わせる展開が三度。いずれも流れをつかみかけたシーンだ。まず、2番手の葉波啓(スポ1=山形・鶴岡東)が試合を立て直そうと、第3ゲームの7ー10から1点差にまで盛り返した場面。持ち味の速攻強打でジュースに持ち込んだかに思われたが、ボールはネットに触れて台の外へ。このゲームを落とし、団体戦カウント0-2とした。二度目は、3番手の硴塚将人(スポ2=東京・エリートアカデミー/帝京)が及川瑞基(2年)を相手に先制しかけた場面だ。「専大の中で一番当たりたくない相手」と、苦手意識のある及川をジュースにまで追い込だが、ラリーの最中、ボールはエッジに当たって失ゲーム。絶対絶命の場面で登場した上村慶哉主将(スポ4=福岡・希望が丘)・緒方遼太郎(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)組にも不運が襲う。1ゲームを取り返し、反撃ののろしをあげて迎えた第4ゲーム。5ー5と緊迫した展開の中、緒方が返球したボールは無情にもネットに弾かれた。ここで、一気に主導権が相手に流れてしまい、6ー11で試合終了。オーダーの組み合わせやネット際のボール。運にも味方されず、今季初黒星を喫した。

 第6戦の対戦相手は筑波大。昨年、早大がリーグ戦や全日本大学総合選手権団体の部でも勝利できていない難敵だ。トップバッターを務めた平野晃生(スポ3=山口・野田学園)は、相手のチキ―タに苦しみながらも、巧みにコースをついたバックハンドで得点を積み重ねる。ゲームカウント3-1で勝利しチームを勢いづけると、続く硴塚がフルゲームの熱戦を制し、さらに3番手の上村が相手を寄せ付けることなくストレートで白星を挙げた。団体戦カウントを3-0とし一気に勝利に近づいた早大。だが、やはり筑波大は甘い相手ではなかった。4番手の上村・緒方遼太郎(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)組がゲームカウント1-3で黒星を喫すると、緒方はシングルスでも惜敗。一転して嫌なムードが流れ始める。ここで、今季の春季リーグ戦でシングルス全勝中と絶好調の竹岡純樹(スポ4=東京・青森山田)が登場。竹岡は切れのあるドライブを効果的に用い、またたく間に2ゲームを先取する。しかし、この後のゲームでは序盤から相手に主導権を握られてしまう。要所でミスも頻発しリズムを作ることができず、第3、第4ゲームを連続で献上。迎えた第5ゲームでも一時カウント3-9まで点差を離され、窮地へと追い込また。それでも竹岡は決してあわてることはなかった。「難しいことは考えずに、シンプルに自信を持って攻撃していこうということだけを考えた」とここから再び攻勢を強めると、驚異的な追い上げでジュースに持ち込む。「すごく緊張していた」というジュースでも立て続けにフォアハンドを打ち込み、この熱戦に勝利。これにより団体戦スコアを4-2とし、早大は見事、筑波大にリベンジを果たした。

試合を締めくくった竹岡

 この日、専大が連勝したことで、早大の優勝はなくなった。戦力的にも、ここまでの戦いぶりを見ても、可能性があっただけに悔やまれる。しかし、春季リーグ戦はここで終わったわけではない。最終日は昨年、『グランドスラム』を達成した強敵・明大との最終戦が待ち受けている。「開き直って、思い切り自分のプレーをして勝ちたい」(硴塚)。勝利で春季リーグ戦を締めくくりたいところだ。

(記事 本田京太郎、大庭開 写真 本田京太郎)

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結果

▽男子 第5戦

VS 専大 ●0ー4

●緒方遼太郎2―3田添健汰

●葉波啓1―3田添響

●硴塚将人0―3及川瑞基

●上村慶哉・緒方遼太郎組1―3田添健汰・郡山北斗組

▽男子 第6戦

VS 筑波大 ○4ー2

○平野晃生3―1原田卓哉

○硴塚将人3―2三浦健太郎

○上村慶哉3―0梅崎光明

●上村慶哉・緒方遼太郎組1―3坪井勇磨・三浦健太郎組

●緒方遼太郎2―3坪井勇磨

○竹岡純樹3―2片岡弘紀

コメント

竹岡純樹(スポ4=青森山田)

――まずここまでの春季リーグ戦を振り返っていかがですか

自分としては落ち着いて試合ができている感じがするので好調です。

――チームの成績についてはどのように感じていますか

専大には負けてしまったんですけど、去年は勝てなかった筑波大にリベンジできて他の大学にも勝てているので、チーム状況はいいと思います。

――専大戦は出場はありませんでしたが、チームの試合をどのように見ていましたか

緒方(遼太郎、スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)が惜しいところで勝ち切れなかったりだとかしていて、葉波(啓、スポ1=山形・鶴岡東)や硴塚(将人、スポ2=東京・エリートアカデミー/帝京)にしてもまだまだ大学の大会はあると思うので、この経験を糧にして頑張ってほしいと思います。

――竹岡選手は出場したシングルスの試合で全勝中ですが、このことについてはいかがですか

自分がその時にできることをしっかりと落ち着いてやったことが結果につながっていると思います。

――それではきょうの筑波大戦については振り返っていかがですか

2ー0になってこのままいけるかなと思ったんですけど、相手が僕の嫌なところをついてきてその後のゲームでは前半ではなされてしまって苦しかったです。なんとか勝ち切れてよかったと思います。

――逆転できた要因は何かありますか

難しいことは考えずに、シンプルに自信を持ってやって攻撃していこうということだけを考えていました。

――最後はジュースとなりましたが

手とか震えてすごく緊張していました(笑)。

――きょうのプレー内容をどのように評価しいていますか

1、2ゲーム目はすごく良くて、僕の戦術がはまっていた時はいいプレーができていたと思うんですけど、相手に嫌なところをつかれた時の対応がまだまだだなと思いました。

――最終日に向けての意気込みをお願いします

明大には最近勝てていないので、勝って終わりたいと思います。

硴塚将人(スポ2=東京・エリートアカデミー/帝京)

――ここまで春季リーグ戦を戦ってみて

個人成績が3勝2敗で勝ち越すことができたんですけど、中大戦での敗戦は反省すべきだと思っています。あそこで僕が勝てていたら、もっと楽に中大に勝てていたと思うので。専大戦は、先に1年生の2人が負けてしまったので、なんとか盛り返そうと積極的に行ったのですが、専大の中で一番当たりたくない相手との試合だったので。第1ゲームをジュースで落として、そのまま負けてしまいました。

――専大戦は、早大側に運がないように思わせるような試合でした

ネット際のボールやエッジとか、結構不運続きだったと思います。特に、オーダーとかも、各々あまり対戦したくない相手と当たってしまったので、そこも運がなかったですね。

――筑波大戦を振り返ってみていかがですか

昨年のインカレ(全日本大学総合選手権団体の部)でも対戦した相手だったんですけど、前回も今回も逆転で勝つことができました。第4ゲームは追い詰められていたんですけど、思い切って、大胆に攻めることもできましたし、駆け引きの面でもうまくいきました。

――大きなラリーではめっぽう強かったですね

それが強みなので。でも、今大会はフォアもいい感じに決まっています。それは収穫ですね。ラリーの中でも、フォアに自信がつきました。

――2位か3位という結果に関してどういった感想をお持ちですか

戦力的にも、優勝を狙えていただけに、悔しい2位ですね。

――最後に意気込みを教えてください

優勝の可能性はないですけど、自分の思い切ったプレーで勝ち切りたいと思います。