幕切れはあっけなかった。最終ゲーム、9―10。高田直騎主将(スポ4=福岡・希望が丘)が繰り出したサーブは、無情にもネットに阻まれた。この日挙げた勝ち点は上村慶哉(スポ3=福岡・希望が丘)のシングルスのみにとどまり、団体戦スコア1-4で完敗。春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)、全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)で敗れていた筑波大に、雪辱を果たすことはできなかった。
現体制で臨む最後の試合。先陣を切ったのは、専大戦でリーグ戦初勝利となる金星を挙げた中窪康喜(教1=静岡学園)だった。ゲームカウント0-2と追い込まれるも、第3ゲームでは驚異の粘りを発揮する。激闘の末16-18で敗れたものの、筑波大のエース相手に堂々たる戦いぶりを見せた。2番手は同じくルーキーの硴塚将人(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)。フォアハンドの不調を修正できないまま、ストレート負けを喫した。1年生二人が流れをつくれない中、負の連鎖を断ち切ったのは早大のエース上村。インカレでも勝利していた相手に対し、両ハンド攻撃で左右に揺さぶり完全に試合の主導権を握る。圧巻のストレート勝ちを収め、これでチームは勢いづくかと思われた。
次期主将でありエースの上村が意地を見せた
今季好調のダブルスで勝利し、イーブンに持ち込みたいところであったが、シングルスから一転、上村の調子が上がらない。窮地を救うべく、平野晃生(スポ2=山口・野田学園)が打数を増やし奮闘するも、力負け。まさかのストレート負けで後がなくなり、バトンは高田主将に渡された。主将として戦うラストゲーム。好調のフォアドイライブを武器に得点を重ね、第1、2ゲームを奪う。しかし、バックハンドが決まらないと見るや、第3ゲーム以降は相手がサーブの配置を変えてきた。バックサイドへのサーブに対応できないまま続く2ゲームを連取され、フルゲームに。試合が進むにつれ、一つ一つのガッツポーズと雄叫びが大きくなっていく。手に汗握る熱戦となったが、最後は自らのミスで11点目を献上し、試合に終止符が打たれた。
ルーキーに逆転を許した高田
「2位という結果は上出来」(高田)。最終戦を勝利で飾ることはできなかったが、激闘を終えた選手たちの表情は達成感で満ちあふれていた。春6位からの成長を、確かに証明してみせたと言えるだろう。一時は2部降格の危機にまで立たされたが、中窪、硴塚ら若い力の台頭もあり、早大の未来は再び開かれた。この秋手にした自信を胸に、『打倒メイジ』へ向けリスタートを切る。
(記事 川浪康太郎、写真 稲満美也、高橋里沙)
現体制で臨む最後のリーグ戦を終えた早大卓球部
結果
対筑波大 ●1―4
●中窪0―3坪井勇磨
●硴塚0―3原田卓哉
○上村3―0片岡弘紀
●上村・平野組0―3坪井・梅崎光明組
●高田2―3梅崎
コメント
高田直騎主将(スポ4=福岡・希望が丘)
――現体制最後の試合でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
順位的には明大の試合結果が関係していたのですが、ワセダが2位か3位ということは分かっていたので、筑波大には春とインカレ(全日本大学総合選手権団体の部)で負けているということもあって、チーム全員で向かっていこうという気持ちで臨みました。
――第1、2ゲームはすごく調子が良いように見えましたが
思った以上に緊張もなくて、すんなりと1ゲーム目を取れたのですが、相手も冷静になってきて接戦になり、最後まで対応できずに終わってしまいました。
――第3ゲーム以降、相手は具体的にどのように戦略を変えてきましたか
サーブの配置を大きく変えられて、自分が思っている以上にサーブに対応できませんでした。
――最後はサービスミスで終わりましたが、あの場面を振り返って
相手がプレーに入るまでの間合いができてしまって、自分の中ではすぐサーブを出そうと思ったのですが、その間合いに手こずってしまいました。自分のやることを決めていたのですが、その間合いを外して打てばよかったかなと思いました。逆に良い思い出になったと思います。
――今季も活躍が目立った後輩に期待することはなんですか
今大会は3年の竹岡(純樹、スポ3=青森山田)であったり、1年の硴塚(将人、スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)であったり、初勝利を挙げた中窪(康喜、教1=静岡学園)であったり。春は勝てなかった選手がしっかり勝ってくれたことはチームにとっても大きかったです。来季以降も新入生が入ってくると思うのですが、チームの層も厚くなっていくのではないかなと思います。
――最後に、秋季リーグ戦の総括をお願いします
春は6位、インカレはベスト8ということで、男子はチーム全員が苦しい思いをしました。8月の1ヶ月を気合いで乗り越えて、秋リーグに向けて全員が仕上げてきて戦えて、優勝には届かなかったのですが、2位という結果は上出来だと思います。
梅本聡(商4=兵庫・滝川)
――最後のリーグ戦を終えて、いかがですか
自分は4年の初めに退部しようとしたことがありました。でもその時退部の決断をせずに、最後まで続けてきてよかったと、このチームにいられてよかったと心から思います。
――退部を思いとどまった理由は何だったのでしょうか
チームのみんなにあした退部すると連絡をしたら、その日の夜にみんなが自分の家まで来てくれて、みんなが思うことを言ってもらいました。そこから1週間くらいゆっくり考える時間をもらって、最後の半年くらいやり切ろうと自分で決めました。
――早大卓球部はどんなチームでしたか
強い人だけじゃなくて、実力のない人でも一緒になって頑張れるチームだと思います。
――後輩へのメッセージをお願いします
僕たちが在学中はリーグ戦で優勝することができなくて、すごく残念なのですが、最後のリーグ戦を通して後輩たちの活躍を目の当たりにして、新体制は絶対にグランドスラムの可能性があると思うので、来年はタイトルを総なめにしてほしいです。
川田雄太郎(人4=東京・日大豊山)
――最後のリーグ戦を振り返っていかがですか
新加入の選手が勝利を挙げたりしていたので、そういう意味では次の代につながるリーグ戦だったと思います。
――4年間の早大卓球部での生活を振り返っていかがですか
つらいこともたくさんあったんですけど、チーム一丸となって難しいことを乗り越えてきました。そう思うと、今回の2位という結果は良い結果じゃないかなと思います。
――引退する先輩として、後輩に伝えたいことはありますか
来年はまた新しい1年生が入ってくるので、また優勝を目指して頑張ってほしいです。
工藤佑哉(スポ4=群馬・前橋育英)
――最後のリーグ戦を終えて、いかがですか
春は6位だったので、2位という結果にはすごく満足しています。ただ、優勝はぶらしたくない目標だったので、次の代は絶対に優勝してほしいと思います。
――4年間を振り返っていかがですか
本当に学ぶことが多かったです。大学に入る前は、これ以上卓球をやっても学ぶことはないかなと思って、高校で卓球をやめようかなと思っていたこともあって。結局、大学で卓球を続けてきたこの4年間は学ぶことがすごく多かったので、振り返ってみるとここまで卓球をやってきて本当によかったなと思いますね。
――後輩に何を期待したいですか
リーグ戦優勝もそうなんですが、来年はレギュラー争いが厳しいチームになると思うので後輩たちには自分自身に期待する気持ちを持ってほしいと思います。
白石賢史(政経4=東京・学習院)
――最後のリーグ戦を終えて、いまどんなお気持ちですか
優勝という目標は掲げていたんですけど、チーム内の試合に出ている選手、出ていない選手一人一人の成長を6位から2位に上がったことで感じています。そこから1位に向けてどうしていくかは下の代に託していくことですが、その方向性は僕たちの代が示していけたのかなと思います。
――早大卓球部で過ごした4年間を振り返っていかがですか
僕からすると、ワセダは夢みたいな世界でした。本当に強い人ばっかりで、キラキラした空間なんだろうなと思って入部したんですが、4年間過ごしてみて、弱いチームも強いチームも人間関係は一緒なんだなと思いました。大会ではキラキラしているけれど、影の部分もあって、チームをどうしていくかについてそれぞれ意見があって、対立があって。強いチームでも弱いチームでも、そんな中でみんな戦っているんだなと思いました。大学の卓球部は毎日毎日顔を合わせるところが中高とは異なるところだったので、それだけ濃密な中でチームメイトと時にぶつかりながら過ごしてきた4年間は本当にかけがえのないものだと思います。何より、楽しい部活でよかったなと思います。
――後輩に何を伝えたいですか
選手一人一人、必ず応援してくれる人がいることを忘れないでほしいです。あとは、みんなが応援したくなるような選手になってほしいと思います。頑張ってる選手も、隣の選手が頑張っていたらその人を素直に応援できる人であってほしいと思います。
本橋侑己(社4=埼玉・西武文理)
――最後のリーグ戦を終えて今のお気持ちをお聞かせください
4年間ずっとサポート側としてやってきたのですが、それがやっと最後ちゃんと締めとして終わったのかなと思います。やり切ったなという達成感があります。最後優勝できなかったのが悔しいというのはありますけど、今3年生の後輩たちに繋げられたのがよかったのかなと思います。
――春の6位から秋は2位と成績が上がりました。チームの成長についてはいかがですか
やはり、春と比べると選手それぞれの試合に出る意識がかなり高くなったと思います。ただ技術だけではなくてチームとして自分が勝たなくてはならないというそれぞれの思いが強まって、それが出た選手たちの成長につながったかなと僕は思います。
――チームをサポートする立場としてどのようなことを苦労しましたか
僕自身は練習であるとか選手の技術的なものは上げることはできないのですが、練習環境を整えたりチームの雰囲気をつくっていくことが主な仕事なので、そのために練習のオンオフをはっきりさせるだとか、私生活が卓球の方にも出てくるので私生活の方の指導をしたりだとかそういうところを気をつけて日々過ごしてきました。
――4年間を振り返っていかがですか
卓球面では、自分はあまり成績を残せなかったので悔いが残るところがありましたが、早稲田大学卓球部としては満足いく結果で、素晴らしい経験ができたなと思います。
――後輩には何を期待しますか
今の後輩は僕らよりも実力は上なので、チームとしての結果は期待できるのですが、それに加えて希望としては練習の時と休みの時の切り替えをしっかりしてメリハリのあるチームを作っていってほしいなと思います。メリハリのある中でも仲良く、チームが一つとなっていけるようになってほしいなと思います。
上村慶哉(スポ3=福岡・希望が丘)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
試合前にオーダーを見た時は、硴塚と僕が取って2―1とリードしてダブルスで勝負のかたちが理想でした。でも硴塚が負けて、ダブルスも負けてしまったので、ダブルスが勝負だったかなと思います。
――シングルスで対戦した片岡選手とはインカレでも対戦しましたが、どのような対策を考えていましたか
1年の時は僕が負けていたんですけど、2年の時も3年になってからも2回当たっていたので、対策としては自分から先に攻めていく戦術を立てていました。
――ダブルスは連戦でしたが疲れはありましたか
疲れはあまりなかったんですけど相手も調子が良かったですし、それに僕らが対応できなかったので試合に入る準備ができていなかったと感じます。
――ダブルスの敗因と相手の印象を聞かせてください
まだ1回も勝った事がなくて、相手は良いイメージでこちらは悪いイメージでした。その分僕らが思い切っていければよかったんですけど、相手の勢いを抑えることができなくて負けてしまいました。
――2位という結果はどう感じていますか
春リーグが6位だったので、優勝はできませんでしたが良い結果だと思います。
――最後に、今後に向けての抱負をお願いします
チームとしては春リーグ、インカレ、秋リーグのどれも最近優勝ができていないので、主将として優勝して監督を胴上げできたらなと思います。またシングルスでもこれから試合が続くので全日額では入賞を目指して、全日本ではもう一度ランクに入れるように頑張っていきたいです。