全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)は2日目を迎え、前日の予選リーグを突破した32校が決勝トーナメントに臨んだ。早大は1、2回戦を勝ち上がり、準々決勝で筑波大と対戦。団体戦スコア1―1で迎えたダブルスで逆転負けを喫し、早大は末路を絶たれる。そんな中、4番手のルーキー硴塚将人(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)が劣勢をはね返して勝利し、5番手へとバトンをつなぐ。期待に応えたい5番手・平野晃生(スポ2=山口・野田学園)はフルゲームにもつれ込む大接戦を演じたが、勝利にはあと一歩及ばず。チームは団体戦スコア2―3で惜敗し、5年ぶりにベスト4入りを逃した。
1回戦の相手は慶大。1番手の竹岡純樹(スポ3=青森山田)が快勝するも、続く2番手がストレート負け。なんとか流れを取り戻したい3番手のダブルスだったが思わぬ苦戦を強いられる。簡単なミスで相手に得点を献上し、格下ペアとの試合はフルゲームに突入。しかし最終ゲームは集中力の高いプレーで相手に攻め入る隙を与えず大差で下した。4番手も流れを明け渡すことなく勝ち星をつかみ、団体戦スコア3―1でまずは1回戦を突破した。2回戦では新潟産業大と対戦した。トップバッターとして登場した早大エース上村慶哉(スポ3=福岡・希望が丘)が白星を収めると、2番手とダブルスも後に続いて勝利。新潟産業大をストレートで下し、ベスト4決定戦へと駒を進めた。
チームの勝利のカギとなる上村・平野組のダブルス
5年連続のベスト4入りのために絶対に負けられない準々決勝。早大は5月の春季関東学生リーグ戦でストレート負けを喫している筑波大と対戦した。トップを任されたのは好調の竹岡。チキータを得意とする相手エースに対し、多彩なサーブで対抗したが、要所で1点が遠かった。それでも2番手の上村が勝利し、団体戦スコア1―1で今大会ここまで全勝の早大ダブルスに出番は回ってきた。試合は完全に早大ペアのペースで進む。2ゲームを先取し、第3ゲームのゲームスコア8―6。そのまま畳みかけたいところだったが、レシーブミスが相次ぎ5連続失点でこのゲームを落とすと、試合の主導権は筑波大ペアへ。上村・平野組は反撃もかなわず、ゲームカウント2―3で痛い一敗を喫する。4番手の硴塚、5番手の平野の試合は2台同時進行で行なわれた。「これまでに経験したことがないプレッシャーがあった」(硴塚)。後がない状況で、硴塚のプレーには固さがあった。2ゲームを続けて落とすと、第3ゲームもゲームスコア5―8とリードを許す。しかしここから、吹っ切れたルーキーが驚異の追い上げを見せる。5連続ポイントを挙げて勢いそのままにこのゲームを奪うと、続く第4、5ゲームも接戦をものにして大逆転勝利をつかみ取った。硴塚が勝利を決めた瞬間、隣の台では平野が窮地に立たされていた。最終ゲーム、ゲームスコア4―10。もう失点が許されない中、平野が後輩の頑張りに応えようと粘りを見せる。気持ちのこもったプレーで5連続ポイントを奪い、デュースまであと1点と迫った。しかし、そんな平野の思いを乗せたボールは無情にもネットへ。ゲームスコア9―11、ゲームカウント2―3、そして団体戦スコア2―3。最後まで勝利を信じ続けて戦った早大に、勝利の女神は振り向いてはくれなかった。
準々決勝で大逆転勝利を収めたルーキー硴塚
「記録を途絶えさせてしまって申し訳ない」(上村)。筑波大に敗れ5年連続のベスト4入りを逃したことで、選手たちは悔しさをにじませた。しかし、きょうの敗戦は早大を強くさせる原動力になるはずだ。悔しいからこそ、前を向きたい。この借りは、必ず秋季関東学生リーグ戦で返してみせる。
(記事 稲満美也、写真 本田京太郎、石川諒)
結果
1回戦 ○早大3―1慶大
○竹岡3―0工藤
●平野0―3三田村
○上村・平野組3―2大野・三田村組
○硴塚3―2伊藤
2回戦 ○早大3―0新潟産業大
○上村3―2斎藤
○竹岡3―1宮澤
○上村・平野組3―1宮澤・高橋組
準々決勝 ●早大2―3筑波大
●竹岡0―3坪井
○上村3―1片岡
●上村・平野組2―3三浦・坪井組
○硴塚3―2三浦
●平野2―3梅崎
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コメント
上村慶哉(スポ3=福岡・希望が丘)・平野晃生(スポ2=山口・野田学園)組
――惜しくもベスト4入りを逃しました
上村 4年連続でベスト4入りしていただけに、僕たちがその記録を途絶えさせてしまって申し訳ないです。
平野 4年間先輩たちが築き上げてきたものに対して、自分が2点落として負けてしまったので悔しい気持ちです。
――今大会、ダブルスは楽に勝てる試合はあまりなかったのではないでしょうか
上村 簡単なミスが最初から最後まで目立ったかなと思います。最後の試合も2―0の8―6で勝っていたのに、2―1の9―9で僕が3球目攻撃を2本ミスしてしまいました。シングルスでも凡ミスに対する意識はしてるんですけど、ダブルスでも同じように凡ミスをなくす意識を練習からしていかないといけないと思います。
――平野選手はプレッシャーのかかる場面でのシングルスとなりましたが
平野 ダブルスで自分が落として状況が悪くなったので、もちろんプレッシャーは感じていました。相手は何度か対戦したことのある選手だったので、大体戦い方も分かっていたのですが、そこにうまく自分が対応できなかったのが敗因だと思います。
――大会を振り返っていかがですか
上村 チーム戦は自分だけのことじゃないので、僕がチームのエースとして、試合で勝つだけじゃなくて精神的な面でも技術的な面でも、ワセダに帰ってから部員全体にアドバイスしていけたらいいと思います。
平野 ワセダのいろんな人の試合を見ていて、もっと精神的な部分を普段から考えてやっていかないと、と強く感じました。
硴塚将人(スポ1=東京・エリートアカデミー/帝京)
――後がない状況での試合でした
後がない状況で、自分が勝たないといけない場面でした。先輩からは「気楽にやっていい」と言われたんですけど、自分で勝手に絶対に勝たないといけないとプレッシャーをかけてしまいました。それで出だしは弱気なプレーや甘いプレーがあって、0―2の5―8まで追い込まれてしまいました。
――逆転できた要因は精神面の切り替えが大きいですか
個人的には、ひとつカベを越えられたかなと思います。いつも逆転負けが多かったりしたので、そういう面に関しては成長したかなと思います。
――初めてのインカレはいかがでしたか
インターハイにも出たことがなくて、まともなチーム戦を経験したことがありませんでした。しかもメダルがかかった劣勢の場面で回ってきて、これまでに経験したことがないプレッシャーがあったんですが、それは良い経験になりました。
――ミーティングではどのような話がありましたか
春リーグは筑波大に惨敗して、それと比べたら今は1点、2点のところなのでそこは成長したかなと思います。ことしから大島さんたちが抜けて戦力が落ちたけれど、そこを少しずつ埋めているという話でした。
――今後の抱負をお願いします
これからも試合が続きます。8月の始めには全日学予選、9月には秋季関東学生リーグ戦があるので、少しずつ自分で目標を決めて練習していきたいです。